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新たなジャパニーズドリームを!(最終回)

  • 2009/08/25(火) 20:58:04

 昨夜はFC2サーバーが不調だったのか、入力した記事がどうしてもブログに保存されず、1日遅れの記事更新となってしまった。

どうも月曜夜は何かが起こる(苦笑)

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”新たなジャパニーズドリームを!”バックナンバーはこちら。

(その1) (その2) (その3) (その4) (その5)

(その6) (その7) (その8) (その9) (その10)

(その11) (その12)



 これから日本が目指すべき国家像や理想とする社会について考える連載企画、”新たなジャパニーズドリームを!”長かったこのシリーズも今日で最終回である。

前回は、いかに日本を”国際収支発展段階説”でいう”未成熟な債権国”の段階に踏みとどまらせるか、いかに国内の製造業をもう一度世界の工場の地位へと押し上げるか、その方策の一つとして”ハイ・ロー・ミックス戦略”を提案した。

”ハイ・ロー・ミックス戦略”は既にコモディティ化した(広く普及した)工業製品を対象にしたものだが、モノづくりの分野で新たな技術の発明や市場の開拓をすすめ、世界をリードするための投資戦略も重要だ。

地球環境にやさしい次世代エネルギーや新たな動力機関の開発、航空宇宙産業への進出、バイオテクノロジーの医療への応用などがあげられるだろう。

 また”未成熟な債権国”の段階に日本をとどまらせるべく貿易サービス収支の黒字を維持し続けるためには、モノづくりだけではなくサービス産業の振興も欠かせない。

日本の場合、貿易サービス収支のうちモノの取引を示す貿易収支はずっと黒字であったが、サービスの取引を示すサービス収支は赤字傾向にある。

貿易収支とサービス収支を合計するとトータルで黒字になるというのがこれまでの日本であったのだが、これまで述べてきたとおり近年貿易黒字が減少傾向にあり、当然貿易サービス収支全体の黒字額も減少傾向だ。

成熟した債権国の特徴はサービス産業が比較的強く、サービス収支は黒字になることが多い。

日本は債権国として成熟しつつあるが日本のサービス産業はまだまだ国際競争力が足りないように思われる。

金融業、保険業、ソフト産業、運輸・通信業、観光業など、国際競争力のあるサービス産業を育成していくことも欠かせない。

紙幅の関係でサービス産業のうち金融業についてのみ触れておくが、円の国際化という通貨戦略が皆無に近いという点で、現在の財務省と日銀は怠慢としか言いようがない。

そのくせアジア開発銀行に出向した連中を中心に「アジア統一通貨の創設」という地に足のつかない、日本にとってはたいした得にもならない”理想”に熱をあげている。

そもそも統一通貨をつくるということは政策金利も統一しなければいけないということをわかって言っているのだろうか。(もちろん為替介入政策や資本移動の自由を認めるかどうかも統一しないといけない)

先進国の段階にある日本と中進国段階の台湾や韓国、さらに発展途上国段階の中国やインドネシア等が混在するなど、アジアは経済の発展段階が国によってあまりにも違いすぎる。

経済のファンダメンタルズにこれほど違いがあるのに、近い将来「いっせいのせ」で政策金利を統一できるとはちょっと信じられない。

日本の政策金利は現在0.1%だが、中進国の台湾や韓国はそれぞれ1.25%と2%。

途上国の中国にいたっては6%を越えているはずで、アジア統一通貨の政策金利を日本の0.1%に合わせれば中国や韓国で土地・株のバブルが発生するだろう。逆に中国の政策金利に合わせれば、あまりの高金利に企業の設備投資や家計による住宅購入が激減して日本経済は破滅する。

そんな地に足のつかない話に夢中になるより、ハードカレンシーとして信用があり為替政策や資本移動において制限がない通貨という点で人民元を含めたどのアジア通貨よりもリードしているという長所を生かし、円の国際利用を拡大させた方が日本の利益になる。

前回述べた”ハイ・ロー・ミックス戦略”において、日本製品に高い付加価値をつけることを提案したのは、円の国際利用を拡大させるのに有利ということもある。

日本からしかその商品を買えないのであれば、外国の顧客に円による決済をお願いしやすくなるからだ。

対外取引を円で決済すれば、円高による商品の実質値上げで輸出が不振におちいったり、外貨で受け取った利益を円に換えた時に目減りしてしまったり、円高によるコスト削減圧力から日本の労働者の雇用・賃金がカットされるのを防ぐことができる。

ただ、性急な円の国際利用拡大はドルの信用失墜、さらに100兆円近い日本の外貨準備の毀損につながりかねない諸刃の剣であり、慎重に事を運ばないといけない。

アメリカの国益とも深くからんでくる問題だ。

しかし日本が円の国際利用をすすめようとすることが一つの外交カードとなって、経済のみならずさまざまな分野で日本の国際的影響力を向上させる手段として利用することができる。

たとえば日本が天然資源を100億円ぶん買っているAという国があり、日本が工業製品を100億円ぶん輸出しているBという国があって、さらにB国はA国に大量の出稼ぎ労働者を輸出していて、出稼ぎ労働者の賃金と本国への送金額が50億円ぶんだとしよう。
  
日本・A・Bの三カ国がこれらの取引に円を利用し、日本国内の金融市場で国際決済システムを整備しておけば、日本国内にあるB国銀行の円口座から50億円引き、それをA国銀行の円口座へと振り替えることで決済が簡略化され便利なサービスとなる。

日本がA・B両国から受け取る決済手数料も見込める。

こういったシステムを構築することが理想だが、まずは少しづつ円での貿易決済を拡大することから始めるべきだろう。

人民元は、元高ドル安進行による輸出不振を防ぐために当局が国策として為替介入を行い、また為替介入を有効なものとするために人民元の移動(中国からの持ち出し、持ちこみ)も厳しく制限している。

10年になるか20年になるかそれはわからないが、ともかく中国は当分こうした政策を維持せざるをえない。

このような手かせ足かせがない分、円は国際化においてアドバンテージを持つと言える。信用度においても他のアジア通貨の追随を許さないと言って良い。

こうしたアドバンテージを持っているうちに円の国際化を地道にすすめ、確固たる地位を築いておくべきだろう。

今の財務省・日銀そして財界にこうした金融センスがないのが大変残念だ。

 シリーズの前半で述べた地方経済の自立化ともからんでくる話だが、日本の国内市場向け農産物に生産制限をかけるのではなく、逆に薄利多売に導くことによって地方経済を自立させるとともに安価な食料を豊富に供給する体制を構築して、低所得労働者の家計を助けることも必要なのではないか。

日本の農業も、薄利多売の国内市場向け農産物と高級ブランド化した輸出向け農産物というハイ・ロー・ミックス戦略の導入が有効かもしれない。

 さて、長編連載企画”新たなジャパニーズドリームを!”に最後までおつきあい下さり誠に感謝する。

最近「日本のいきづまり・閉塞感」が盛んに言われるようになったが、結論から言ってしまえば日本を取り巻く環境が変わり日本社会自身も変わっているのに、新しくなった環境に多くの日本人が適応できていないことが最大の原因だと思う。

北原白秋作詞、山田耕筰作曲の童謡に”待ちぼうけ”というのがある。

まじめなお百姓さんが田んぼで農作業をしていると、かたわらにあった木の切り株にウサギが激突して死んでしまった。

難なく食料をゲットできたお百姓さんは「これからは農作業なんかやめて、ウサギが切り株に激突するのを寝て待っていればいいんだ」と考えた。

しかし来る日も来る日も切り株を見張っていたが、二度とウサギがぶつかるようなことはなく、お百姓さんの田畑はすっかり荒れ果てて作物が実らない状態になってしまったというのが歌の内容だ。

第三者から見れば「こんな簡単な間違いに気づかないなんて」と思うかもしれないが、「木の切り株に激突したウサギをつかまえて難なく食料をゲットできた」というお百姓さんの成功体験はまぎれもない事実であって、成功体験が想像でも妄想でもない事実であるだけに本人が間違いに自分で気づいて修正するのが非常に困難なのである。

数ある失敗の種類のうち、「間違った成功体験に学んでしまう」ということが一番怖いということを童謡”待ちぼうけ”は子供たちに教えているわけだ。

ある時を境に周囲の環境や前提条件が変化したことで、これまで何回も成功していたやり方が通用しなくなったとき、人はこうした間違いに陥りやすくなる。

そのやり方が過去に大きな成功を導いていればいるほど、人は”待ちぼうけ”状態から抜け出すのが困難になる。

今の日本は、「昭和30年代の高度経済成長期に何度もここでウサギをつかまえたんだ」と言って、木の切り株にウサギが激突するのを待ち続けている人が非常に多いように思える。

さもなくば”待ちぼうけ”をやめて新しい一歩を踏み出した人を日本が成功できなくなった元凶としてスケープゴートにして叩きまくる。

失敗の原因を他者のせいにし、国が何とかしてくれるのをひたすら待っている人がとても多くなった。

新たなことに果敢に挑戦しようとするアニマルスピリッツを持つ人が逆に少なくなっているように思える。

こうした状況に危機感を抱いたことが”新たなジャパニーズドリームを!”を書こうと思った最大の理由である。

だからこそこのシリーズでは戦後日本の経済史をデータをまじえて詳しくふりかえり、日本がなぜ極めて短期間のうちに世界第2位の経済大国になれたのか、どうしてそれまでの高度成長がストップしてしまったのか、成長がストップしそれまで隠れていた問題点があらわになったがその原因は何かを正確に分析することを心がけた。

原因を正確に把握できれば、正しい対策を立てることもまた容易になるはずだ。

 ”新たなジャパニーズドリーム”はどこか別のところにあるのでも、誰かが我々に与えてくれるものでもない。

日本人ひとりひとりの心の中にあり、自分自身でつかみに行くものだ。

「コップに水が半分しかない」と不満ばかり言ってその戦犯探しにあけくれ、コップを水で満たしてくれる人をひたすら待っていても何かを達成できるとは思えない。

「まだコップに水が半分もあるじゃないか」と考え、それをいかに有効に活用して幸福な社会を実現するかが今一番重要なのではないだろうか。 

戦後まもなくの日本人は今よりお金やモノの豊かさの面ではるかに不利だったのに、創意工夫と挑戦心で偉大な社会をつくりあげた。

これからの日本人の夢・理想の社会・欲しいものをまず望み、実現に向けた方策をみんなで考え、それにふさわしいリーダーを選び出し、リーダーのもと一致団結して行動に移す。

負けというのは「そんなのできっこない」とあきらめた瞬間に確定するものだ。

<了>

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この記事に対するコメント

結論として

我が国のエリート育成コース。
なかんずく最高幹部養成コースが硬直化して役立たずに成っているのが、総ての原因の気がします。
必要なのはドラスティックな価値観の再構築。
現在の我が国上層部では、ちょいと難しそうです。
庶民の方も取敢えずそこそこ食えている中金持ち辺りが中心と成って新たな価値観の構築に抵抗している。
そしてその連中こそが民主党の今回の支持母体と言うのは正に笑えない事実で・・・
如何に我が国の戦後が自由主義を標榜するだけの醜悪な体制だったかと言う事を物語ってますね。

  • 投稿者: 火天大有
  • 2009/08/28(金) 21:29:17
  • [編集]

火天大有さん

>必要なのはドラスティックな価値観の再構築。
>現在の我が国上層部では、ちょいと難しそうです。

右も左も守旧派ばかりのような気がします。

この数年ですっかり日本社会を改革しようとう勢力の影が薄くなりましたね。

失敗を恐れて小さくまとまって、これまでのものを守ろうとする政治家ばかりじゃないですか。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2009/08/29(土) 01:29:28
  • [編集]

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