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新たなジャパニーズドリームを!(その10)

  • 2009/07/11(土) 01:14:02

 ”新たなジャパニーズドリームを!”バックナンバーはこちら。

(その1) (その2) (その3) (その4) (その5)

(その6) (その7) (その8) (その9)


 これから日本が目指すべき国家像や理想とする社会について考える連載企画、”新たなジャパニーズドリームを!”

前回は、これからの日本にふさわしい雇用・賃金制度の叩き台として私案を提示してみた。
今日はその続きである。

 派遣・契約社員・パートタイマー・アルバイトなど非正規労働者の最低賃金を適正な水準まで引き上げて、セーフティネットを構築する必要もある。

横並び意識の強い日本企業の多くは、外国企業も含めたライバルが商品を値下げすると、それに安易に追随してしまう傾向がある。

するとコストダウンのしわ寄せが人件費に向かい、特に若年労働者の賃金が低く抑えられてしまう。

だが、モノには適正価格というものがあるのであって、企業が製造原価を割るような価格で商品を販売し続けることができないように、労働者という”商品”にも原価や適正価格があることを忘れてはならない。

労働者という商品の原価とは、その労働者が結婚して子育てをし、たとえ借家であっても家族が住むための家を確保でき、安定した家族生活を営んでいくのに必要な最低賃金ということになる。

今や総数1800万人、全労働者の3人に1人が非正規労働者といわれる状況である。

すべての労働者が正社員として雇用されるのが望ましいのだろうが、それが無理ならば少なくともパートタイマーや派遣といった非正規労働者の最低賃金を適正価格まで引き上げる必要がある。

前回述べたように日本企業の非正規労働者に対する評価は不当に低いように思われるが、少子高齢化や人口・国内市場の縮小を防ぎ、年金・保険制度や税収の維持のためにも、それらを是正していくべきだ。

これは企業自身の利益にも最終的につながっていく問題である。

非正規労働者であっても正社員同様の失業保険や健康保険・年金などの負担を企業に義務づける法整備を行い、法令違反は厳しく取り締まる。

同じ企業内で同一内容の労働をこなしているのであれば、非正規労働者の1時間当たりの賃金を正社員と同額にすることも、賃金を適正価格へと引き上げることにつながるなら実施すべきだろう。

 当然、労働力確保の目的で積極的に外国人移民を受け入れるようなことはしない。

高い専門能力を持ち、多くの資産を日本に持ちこんで会社でも興してくれる外国人なら話は別かもしれないが、物価の安い途上国から移民を受け入れれば国内に賃金デフレを引き起こし、非正規を中心に日本の労働者の賃金が今よりもっと下がっていくのは必定だからだ。

外国人移民は低賃金を我慢しても日本で数年間働いて1千万円ぐらい稼いで帰国すれば故郷に自分の店や工場が持て、結婚し家族を養っていけるだけの生計が得られるから良いが、日本に残されるものは、大量の、結婚も子育てもできないほど低所得になってしまった日本人労働者だ。

長期的な視野にたてば移民受け入れは不利益の方が大きく、それよりも給与・勤務時間など待遇面を魅力あるものにすることで、「自分の労働力をこの条件で企業に売るのは割に合わない」と考える若者を中心とした”我慢しない日本人”に社会参加と、できるかぎり正社員としての就職を促し、潜在的労働力として活用されずに眠っている日本人を掘り起こした方が、少子化・人口減少を防ぐのに役立つ。

 以上、これからの日本にふさわしい雇用・賃金制度をつくりあげるための叩き台として、一案を提示してみた。

この案をどうして日本に導入したいと私が考えたのか、一番重要なポイントをおさらいしてみる。

これまで日本企業は、時代にマッチしなくなってもなお「正社員として、一つの組織で長いこと我慢して働き続けた人ほどエライ」という価値観に過剰とも言えるほど重きを置いていたが、そのことが、中高年世代と若者世代、正社員と非正規労働者の間で所得分配のバランスを失わせ、日本社会にさまざまな弊害を及ぼすほど資産格差を大きなものにしてしまった。

よって、正社員の年功序列賃金制を維持するにしても、もっとゆるやかな賃金上昇におさえて、その分セーブされた賃金を能力や会社利益への貢献度の高さを基準にして、若年正社員はもちろん非正規労働者に分配しなおす。

また終身雇用制度から一度でも振り落とされると、そこへの復帰・敗者復活が極めて困難である現状をふまえ、今や日本経済にとって欠くことのできない重要な戦力となっている非正規労働者の能力を正当に評価しつつ、他社正社員・非正規労働者に対する企業の”食わず嫌い”をなくし、転職をより容易にするための客観的な能力評価制度の導入、さらに非正規労働者を正社員として雇いやすくするための暫定的な給与体系の併設を提案した。

それでも正社員として雇用されず、セーフティネットからこぼれ落ちてしまった非正規労働者の賃金を適正価格まで引き上げる必要があり、賃金の価格破壊を引き起こしそれを妨げてしまう移民受け入れ策は決して採用してはならないことを指摘した。

 ここまでの話は、主に所得分配のバランスの乱れを修正するための改革案であるが、労働時間と自分の生活・余暇のために使える時間とのバランス(ワークライフバランス)の乱れも早急に是正する必要がある。

ワークライフバランスの乱れが、異性との出会いの減少から少子化に拍車をかけ、さらに労働者自身の過労死・うつ病自殺の原因となるだけでなく、子供世代のフリーターやニートの増加、親殺し・子殺しなど家庭崩壊をまねく最大の要因になっていると思われ、日本社会を構成する最小単位である家族の立てなおしは急務である。

ワークライフバランスの乱れは経済面でも社会に大きな損失を与えている。

ある経済史の本は、中世が現代より経済発展が遅かった理由として、技術の遅れもさることながら、社会に蓄積された富が経済を発展させるための再投資や消費に回らず、権力者が庶民から税として集めた富を金銀・宝石といった形に変えて宝石箱の中に大事にしまっておいたからだと指摘している。

宝石箱の中で死蔵された金銀財宝は、何かを生産して利潤を生み出すこともなければ、消費されて内需を拡大し、庶民の働き口や所得を増大させることもないからだ。

現在、日本の金融資産の80%を保有しているのは若者ではなく50代以上の中高年世代である。

働くことだけが生きがいで、高い給与をもらって巨額の金融資産を現金・預金などの形で死蔵し、ほとんど消費しないで巨額の遺産を残して旅立ってしまう典型的な中高年世代は、童話の”蟻とキリギリス”の世界でなら模範生なのかもしれないが、経済学の法則から見れば悪そのものである。

定時になったらとっとと帰宅して、家庭や地域社会など会社以外のコミュニティとも接点を持ち、定年してからとは言わず元気な今のうちから趣味でも旅行でも消費してもらって、お金をもっている中高年世代から率先して内需をひっぱっていかないと、日本経済が発展していかない。

中高年社員が定時で帰った分、若い正社員や非正規労働者の賃金をアップするとともに、若い正社員も定時で帰宅しやすくなるから、異性との出会い・結婚・子育てに励んでもらう。

サービス残業など過酷な長時間労働が解消されれば、フリーターやニートへ流れる若者も減少して、少子高齢化も防げるかもしれない。

こうした日本社会全体の利益を考えれば、政府・経営者・労働者の三者が協力して、有名無実化している労働基準法が定めた週40時間の法定労働時間の厳守をすべての企業で実現させることが求められる。

一部企業の抜け駆けを許せば、なし崩し的に元通りになってしまうのは明らかで、移行期間をもうけた後に全産業の全企業で一斉に実施することと、違反したら監督官庁が実効性のあるペナルティを与えることも実現のために欠かせない。

 ほとんどの経営者ならここまで読んできて、「こんなことをやったら商品を値上げせねばならず、会社が成り立っていかない」と考えるだろうし、「クロフネは社会主義者へ宗旨変えでもしたのか」と思われた方もいるかもしれないが、そうではない。

今の日本は企業戦略や政府の産業育成策において、発想の全面的な転換を求められる時期に差し掛かっていると考えたからだ。

 そもそも、日本という国家や日本企業が営まれる目的とは何だろうか?

それは、日本人1人1人が幸福になるためではないのか。

幸福の定義は人によって違うかもしれないが、私が考えるこれからの日本人の幸せのカタチ・新しい”ジャパニーズドリーム”とは以下のとおりだ。

大半の日本人が中流階級に属していて、穏やかな進歩と改革を続ける社会や政治を望み、月曜から金曜まで朝9時から夕方6時まで1日8時間、週40時間まじめに会社で働いたすべての人が、最低限、借家ぐらしであったとしてもお父さんお母さんそして子どもの3人で温かい家庭を築いていけるだけの所得がもらえる社会。

24時間対応の業界に勤めている人は仕方ないとしても、夕方6時にはみんな仕事を終え7時にはそろって家族だんらんの食卓を囲み、親が子供に「今日は学校で面白いことあったかい?」子供が親に「パパ・ママ、お仕事おつかれさま」と会話ができるような、そんな社会。

土・日曜は、家族みんなで一緒に過ごしたり、趣味や自分のための勉強、地域コミュニティへの参加などに使える自由な時間であり、期間をずらして調整するとしても夏には誰もが2週間前後のバカンスがとることができる。

これまでの物質的な豊さは確保しつつ、国民が心の豊さを得るための時間もつくることができる社会。

ある読者さんが指摘なさっていたように、自分の心の居場所がどこかに必ずある社会。

日本のリーダーは日本人が幸福に暮らせる社会を実現するために適切な戦略を立て、それを実現するために日本という国家や日本の企業は営まれていかなければいけない。

一番重要なのはそこだ。

日本人は、メンテナンスフリーで働き続ける産業ロボットではなく、れっきとした生身の人間である。

休息は欠かせないし、恋愛・結婚・子育てといった人間として当たり前の幸福を追いかけるための時間も必要だ。

 であるならば、商品をこれぐらい安く売らなければいけないから、労働者の賃金をこれぐらい削らないといけない、サービス残業を月200時間やってもらわないといけない、という今までの常識・発想ではダメだ。

日本の人件費は高いし、もっと法人税が安い外国があるからそこへ行こうと考える日本企業があるなら、自分たちを育ててくれた恩を忘れて日本社会に砂をかけて出ていくような行為であろうし、経営者も”武士の棟梁”としてのノブレス・オブリージュに欠けた考え方ではないだろうか。

そうではなくて、日本人全体の幸福のためには労働者にこれだけの賃金と休暇を保証しないといけないから商品はその製造原価以下では売れない、製造原価にどうやって高い付加価値をつけて、ライバルより高い値段でも世界中のお客さんに商品を買ってもらえるようにするかという、新しい企業戦略・産業育成策を考えて行かねばならない。

シリーズのラストスパートはこれがテーマとなる。

次回へつづく


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この記事に対するコメント

ヨーロッパ人の働き方に近いですね

クロフネ氏の考えに賛同します。
ヨーロッパでの労働環境は上記にかなり近かったです。夕食は大体6時~7時で家族揃って食べます。

驚いたのは夕食後着替えて寝ようとしているとドイツ人女性「気持ちいい風が吹いているから散歩に行こうよ」と誘われたことでした。
 夕食後に散歩するなんて…それまで考えたこともありませんでした。日本の会社員は夕食を0時以降に取ることが多いので「驚いた」と説明すると、彼女は「私は日本に生まれなくて良かったわ…」とつぶやいていましたね。

確かに日本人は、人として「豊かに生きること」を捨てているかもしれませんね。
多くの欧州人は会社を辞めずとも各国へ1~2ヶ月の留学ができますし、有給休暇を取るのが会社・社員への義務として法制化されているようです。

クロフネ氏の提案は実現へのハードルは高いでしょうが、実現へむけて努力する価値のあることだと思います。
少なくとも「移民1000万人」などというよりは、日本人として夢のある話ですしね。

  • 投稿者: 猫のしっぽ
  • 2009/07/12(日) 01:09:42
  • [編集]

政治と生活の乖離

どうも、政治家の皆さんに、国民生活の守るべき「基本」が全く伝わっていないように思います。役人の方々のまじめな仕事ぶりには頭の下がる思いであることがしばしばですが、国民生活の基本を守る仕組みにはなっていません。万難を排するのではなく、万難を乗り越えることが求められている時代に、安易な解決策を強力に推進するのはやめて頂きたいのです。マスコミがここに乗っかってきているので日本国民は比較的恵まれた人でも「働けど働けど…」、あぶれた人たちは「探せど探せど…」という状況になってしまっています。

マジョリティが発信しなければならない時代に来ているのではないでしょうか?

  • 投稿者: クマのプータロー
  • 2009/07/12(日) 10:27:31
  • [編集]

猫のしっぽ さん

>驚いたのは夕食後着替えて寝ようとしているとドイツ人女性「気持ちいい風が吹いているから散歩に行こうよ」と誘われたことでした。

ヨーロッパですと、夏は夜9時すぎでようやく日没ですから、夕食後に遊びに行くというのは良くあるケースですね。

そのため、イタリアなどではサッカーのナイトゲームの開始時間が21:30に設定されていたりします。

これはヨーロッパの例ですが、人間にとっての豊かさという点では人種・文化文明を超えて普遍的なものがあると思います。

日本も先進国ではありますが、今ほど「日本文明にとっての豊かさとは何か?」が問われている時もなありません。

その答えが、過労死とうつ病自殺におびえながら文字通り死にそうなほど働くか、飢えにおびえた失業者として暮らすかの二者択一というのであれば、これほど悲しいことはありません。

 日本の現状からすると確かにハードルは低いものではありませんが、今の日本社会は決して日本人の力ではどうしようもない天与の条件ではなくて、財界・労働者・政府が同じ戦略目標のために一致協力してやれば、真に豊かな社会を建設することは決して不可能ではないと思います。


クマのプータロー さん

>どうも、政治家の皆さんに、国民生活の守るべき「基本」が全く伝わっていないように思います。役人の方々のまじめな仕事ぶりには頭の下がる思いであることがしばしばですが、国民生活の基本を守る仕組みにはなっていません。

永田町にしろ霞ヶ関にしろマジメな方は大勢いると思うのですが、日本をひっぱるエリート層は「豊かさ=カネの多さ」以上の価値観を持ち得ていないのではないかと感じます。

国民にとってお金はもちろん必要なんですが、人間の幸せは決してそれだけではないと思います。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2009/07/14(火) 21:37:49
  • [編集]

あまりに正論すぎて・・・

取敢えず我が国は最近続いている人事考課システムと社会システムを全面的に破壊して再構築する時期が来ている様です。
その時期は財務省が電子マネーを導入した3ヵ月後ぐらいに来ると思いますが。
早く導入してくれないかな、電子マネー。www

  • 投稿者: 火天大有
  • 2009/07/15(水) 23:30:46
  • [編集]

火天大有さん

リーダーというのは本来、国民にとって魅力的な理想や夢(=正論)をどーんと打ち出して「こうやれば実現するよ。だからみんなで一致団結して、実現に向かって走りだそう」と語りかけるものではないでしょうか。

その正論というか、人間として当たり前の幸福さえ実現されていない現状をふまえてみれば、日本は世界をリードする先進文明国にはなれないと思います。



>取敢えず我が国は最近続いている人事考課システムと社会システムを全面的に破壊して再構築する時期が来ている様です。

わが国は、戦後に構築されて現在ではすっかり賞味期限切れになってしまっている、社会システム・人事評価システムさらには産業経済システム・統治機構・安全保障システムなど、さまざまなものを再構築する時期にさしかかっていると思います。

1990年代はじめからずっとそうです。

しかし、過去の成功法則に固執しすぎて、その成功法則が環境の変化で今では通用しなくなっているのに、過去に戻れば日本は復活すると考えている人がたいへん多い気がします。

かつては大成功をおさめたシステムが今は通用しなくなっているのに、これからも有効だろうと考えて固執し続けるというのは、人間が失敗するパターンで最悪のものです。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2009/07/16(木) 00:28:46
  • [編集]

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