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新たなジャパニーズドリームを!(その7)

  • 2009/06/26(金) 23:15:55

 ”新たなジャパニーズドリームを!”第1回はこちら。

 ”新たなジャパニーズドリームを!”第2回はこちら。

 ”新たなジャパニーズドリームを!”第3回はこちら。

 ”新たなジャパニーズドリームを!”第4回はこちら。

 ”新たなジャパニーズドリームを!”第5回はこちら。

 ”新たなジャパニーズドリームを!”第6回はこちら。



 これから日本が目指すべき国家像や理想とする社会について考える連載企画、”新たなジャパニーズドリームを!”

前回は、日本が奇跡的な高度経済成長をとげる原動力となった輸出主導型の製造業が、70年代以降日本の国際的な地位の急上昇で円が切り上げられるたびにコスト削減圧力を受けて海外へ脱出、「終身雇用制度の終わりの始まり」であったバブル崩壊から日本の製造業従業員が減少する一方になり、代わりにサービス産業従業員数がそれを追い抜いてトップに。

正社員の総数は横ばいかゆるやかな減少に向かう一方、パート・アルバイト・派遣といった非正規雇用者が急増し、低所得労働者の増加がさまざまな社会問題の原因となっていることを見てきた。

 今日は、日本型経営を支え、日本の労働問題と決して切り離すことのできない終身雇用制度と年功序列賃金について深く掘り下げてみたい。

終身雇用制度や年功序列賃金のような日本型雇用慣行が、奇跡的な高度経済成長を演出する原動力になったことは言うまでも無い。

終身雇用(正確には定年までだが)で企業は労働力を長期かつ安定的に確保し、年功序列賃金で労働者がまだ若いときには賃金を安く抑え、その代わりビジネススキルアップのための投資を会社が行って労働者を長期戦略で育てていく、35歳をすぎ中堅戦力となったあたりから労働に応じた、あるいはそれ以上の賃金を保証することで長期間労働者を会社につなぎとめ、早期退社による育て損を防ぐという雇用システムが高度経済成長期まではとてもうまく機能したと言える。

 だが、終身雇用制度や年功序列賃金が生まれた理由は、こういった経済的合理性だけではないだろう。

むしろ、日本人の民族性が生み出したという要因の方が大きいように思える。

数千年に渡って大半が稲作に従事してきた日本人の民族感情がつくりだした最大の美徳の一つは我慢ではないかと私は考える。

これが狩猟民族なら、獲物のいないことがわかりきった森でじっとしていることは死活問題にかかわるから、いつまでも我慢なんかしていないでさっさと猟場を変えてしまう。ピンチの時は自分から動いて自己の才覚で新しい生活を切り開いていくのが原則である。

砂漠に点在するオアシス都市のバザールを渡り歩くアラブ人やソグド人のような商業民族とて同じだ。

自分の商品がさっぱり売れない都市でじっとしていることはビジネスチャンスを失うばかりか、手持ちの在庫品が痛んで致命的な損失をこうむりかねない。だから我慢なんかしていないで、さっさと別の都市へ向かう。

遊牧に従事する騎馬民族とて、家畜が草を食い尽くしたら我慢していないで別の放牧地へ移動するし、家畜を失って食っていかれなくなったら、ためらいもなく農耕民族の国を侵略して略奪する。

 しかし、作物をいったん植えてしまったら農耕民族はその場にとどまって、じっと収穫まで我慢するより他は無い。

しろかきをし苗を育て、腰が痛いのを我慢して田植えをする。真夏の猛暑のなか雑草を取り除き、雨が少なければ必死に雨乞いをし、稲を食い荒らすスズメやイナゴを追っ払い、収穫まであと一週間というところで台風が来て稲が全滅、これまでの苦労が水の泡という、とんでもなく理不尽なことがいくらでも起こり得るのが稲作の民の宿命だ。

台風やお天道様に怒ったところで何の解決にもならない。じっと我慢あるのみである。

ありとあらゆる苦労・理不尽さをひたすら我慢したさきに、収穫という幸福が待っている。

それでも生活の安定性でいえば、バクチ的傾向が強い狩猟や商業よりは高いと農耕民は考える。

我慢すれば必ず幸せが待っている。だから我慢強ければ強いほど幸福につながる。よって我慢は美徳であり、一番長いこと我慢した人が一番エライ人」という民族の共通認識が日本人社会のなかで醸成されたとしても不思議ではない。

騎馬民族の末裔である朝鮮人の国家や、騎馬民族に繰り返し征服された商・農民族の国・中国からどんなにひどいことをされても、多くの日本人が「我慢していればいつかきっと良くなるさ」とマゾヒスティックなまでにひたすら耐えようとする原因もそうした思いこみがあるからだろう。

 話を元に戻す。

この「我慢すれば必ず幸せが待っている。我慢は美徳であり、一番長く我慢した人が一番エライ人」という稲作農耕民の”常識”を、西欧にルーツを持つ近代工業化社会に移植したものが終身雇用制度・年功序列賃金といった日本型の経営システム・雇用慣行だと私は考える。

一つの企業に一生忠誠を誓い、若い時は賃金が安くサービス残業や休日出勤といった理不尽なことを強いられてもじっと我慢していれば、よほどのヘマをしないかぎり将来高い賃金・役職が約束されるという、一つの企業内で長く我慢した人ほど報われるという制度設計こそ終身雇用制度や年功序列賃金の特徴だからだ。

 この「我慢は美徳」の他に、儒教の「長幼の序」も日本型雇用慣行に強い影響を与えている。

「お年寄りは人生経験豊かで知恵の宝庫であるから大事にしよう」という考え方は昔から世界のあちこちにあるが、中国発祥の儒教もその例外ではない。

「川も思想も源流から遠くなればなるほど汚染されていく」と誰かがいったが、儒教が孔子の手から離れ、朱熹のような弟子に引き継がれて何千年もたつうちに「長幼の序」も本来の趣旨から離れ、だんだんとスポイルされていった。

その典型が日本の部活文化だろう。

中学・高校の部活動(大学なら体育会)では、たった1年であっても先に生まれた者が”先輩”として後から生まれた者に対して無条件の服従を要求、後から生まれた者は自らの分をわきまえ原則としてそれに従わないといけない。もちろん先輩に対しては常に尊敬語で話しかけることを義務づけられる。

後輩は先輩からどんな理不尽なことをされても2年間ひたすら我慢することができさえすれば、そのご褒美としてこんどは下の者に理不尽な要求を出すことが可能になる立場になれる。

この場合、人間のエラさはその人の能力や組織への貢献度といったこととはあまり関係がない。やはりどれだけ長く一つの組織にとどまって我慢したかで評価される部分が大きい。

4番でエースの1年生が、ベンチにも入れない3年生の球拾いに(たとえ建前であっても)ペコペコせざるを得ないのが日本の部活文化である。

こうした学校の部活文化が、会社組織に移植されたものが年功序列賃金制度とも言えるだろう。

会社の儲けをみんなで分配する時に、儲けに対する真の貢献度はあまり関係がない。

会社に長くいる年長者ほど多くの分配を受け、年少者に対しては低賃金・少ない休暇など労働条件で理不尽な状況を強いる。長年ひたすらそれに耐えたご褒美として、年少者が年長者になったあかつきには、自分より後に入社した者に理不尽な状況を強いる権利が与えられるというのが年功序列賃金制度の別の顔だ。

大学の体育会出身者が日本企業の新人採用担当に大人気なのも当然だろう。

 企業が労働者の一生の面倒を見、歳をとるごとに賃金と役職が必ず上がっていくという終身雇用と年功序列賃金の高い信頼性・予測可能性が、はじめは所得が少なくても若者が結婚して子供を育て自らの家族をつくる、高額のローンを組んでマイカーを買い、郊外に家族のためのマイホームを建てるという、少なくとも1950年代から80年代いっぱいまで存在したジャパニーズドリームを保証してきたのである。

それでは現在の日本社会において、終身雇用制度と年功序列賃金が昔と変わらず有効な雇用制度として機能していると言えるのだろうか?



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[ライフハック]終身雇用制のメリット、デメリット

人を雇う側と雇われる側が明確に分かれている場合、雇われる側同士に助け合う理由がありません。たとえば新入りや同僚がミスしても、それは雇用主とその新入り、同僚との問題であって、自分には関係ないのです。新人のへまのツケは客に回せばよく、責任を取るのは雇いという

  • From: keitaro-news |
  • 2009/06/29(月) 05:46:07

この記事に対するコメント

賛成です。

大賛成です、正に終身雇用の正の部分を言い当てて妙だと思います。
ここで我が国の終身雇用を崩壊させた(バブルをハードクラッシュさせた)大蔵省(当時)の土田銀行局長を思い出しましたが、その件はお考えも有るでしょうから次回以降のエントリーに期待します。

  • 投稿者: 火天大有
  • 2009/06/28(日) 22:32:51
  • [編集]

終身雇用制の目的は違うと思います

まず、日本が農耕型社会であったという視点ですが、明治を待つまでもなく、日本には多様な産業が存在していました。北前船に代表される物流なども発達していました。しかも農村社会で食べていける人口は限られていたために、商なり工へと次男坊、三男坊は流れていき、職業の流動化は起こっていたのではないでしょうか。そういった自然な労働力の流動化のしくみがあったと思います。
もともと月給制度すらなかった日本ですが、戦時体制のなかで、働き手を確保するために、当時は官僚とか、エリートの月給制を導入したわけで、しかも戦後になって急激な経済成長を達成し、企業はどちらかというと設備投資が重要となり、若い労働者の賃金抑制が必要となって、年功で将来に返すという保証を行ったというのが終身雇用制度であったはずです。
現在では、終身雇用制が労働力の流動化を妨げ、古い産業に労働量が停滞し、新しい産業への人材の流入を妨げるばかりか、本来日本がもっていたチャレンジ精神を失わせる結果となってしまっているように感じます。



  • 投稿者: 大西
  • 2009/06/29(月) 19:28:01
  • [編集]

火天大有さん

>大賛成です、正に終身雇用の正の部分を言い当てて妙だと思います。

物事には必ず良い面と悪い面があるわけでして、火天大有さんのように冷静に自分たちを振り返ることができない”保守”が少なからずいることが、私としては残念です。


大西さん

>まず、日本が農耕型社会であったという視点ですが

士農工商の江戸時代においても農が人口の80%以上を占め、士・工商あわせても1割ちょっとしかおらず、第二次産業人口が一次産業人口を逆転するようになるのは戦後になってからのことです。

”例外”を持ってきて、あたかも全体のようにおっしゃるのは適切ではないと思います。

ちなみに、私は日本人が農耕民的な考え方をし、我慢を美徳としているのは一面ではとても良いことだと思って記事を書いております。


>企業はどちらかというと設備投資が重要となり、若い労働者の賃金抑制が必要となって、年功で将来に返すという保証を行ったというのが終身雇用制度であったはずです。

これはソースはあるのでしょうか。

どちらにせよ、この記事においては年功序列賃金が存在しているという事実を指摘できれば良いわけで、その目的が何であったかはピントが外れ話が冗長になるので特に深入りしません。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2009/07/01(水) 17:20:49
  • [編集]

農耕民族と騎馬民族まで遡らなくても、戦国時代の混乱と続く江戸時代の安定が今の日本人の思考に強く影響している気がします。(騎馬民族的時代から農耕民族的時代に変わったとも言えるかもしれませんが)
戦国時代は一歩間違えれば、領地も命も失う弱肉強食の時代でした。ですが続く戦乱に疲弊し辟易した日本人は混乱の原因を考え、続く江戸時代には様々な制度が徹底され安定期に入ることになります。
諺も一所懸命から一生懸命に。生まれついた身分や土地からなかなか離れられない時代では、我慢するのは美徳というより当然身につけるべき感覚だったのではないかと思います。
ただこの感覚を当たり前のように持ちすぎたが故に、産業革命後の欧米の科学技術力の差を精神論で穴埋め出来ると、第二次世界大戦でコテンパンにやられるまで勘違いし続けてしまったのだとも思います。(韓国の永遠の十年も似たような物でしょうかね?)
日本人が変なところで保守的だったり妙に短気だったりするのも、近代以降の時代の変遷と培われた感覚が上手くかみ合っていないせいなんでしょうね。

  • 投稿者: 初心者
  • 2009/07/02(木) 08:01:36
  • [編集]

初心者さん

>日本人が変なところで保守的だったり妙に短気だったりするのも、近代以降の時代の変遷と培われた感覚が上手くかみ合っていないせいなんでしょうね。

保守的なところは黄色人種らしいなと思うのですが、中国人や朝鮮人みたいに儒教(朱子学)の負け惜しみ思想にいつまでもしがみつくのではなく、さっさと欧米の良いところを取り入れて明治維新をやって近代化してしまうというアバンギャルドなところがあるのも日本人であり、自分で言うのも何ですが非常にユニークな存在であります。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2009/07/03(金) 00:53:08
  • [編集]

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