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ロシアのユニラテラリズム(その2)

  • 2008/09/24(水) 23:06:33

前回のつづき

 南オセチア問題に限らず国際問題は、どちらが100%正しい・悪いと決めつけるのではなく是々非々で考えていかなければならない。

この問題、私は七割がたロシアに問題があると思っている。

今回のいきすぎたロシアの報復・侵略行為も問題だが、グルジア・ウクライナなど、帝政ロシアの後継者であるソビエト連邦の植民地、あるいはポーランドやチェコなどの衛星国といった”かつての領土”を失ったと考えるロシアの大国意識・覇権主義にこそ最大の問題がある。

それは米ソ冷戦にソビエト・ロシアが敗北した時、自由主義陣営はかつて日本にやったように、ロシアに対し”ウォー・ギルティ・インフォメーション・プログラム”を施さなかったこと、共産主義という名のファシズムで東欧や中央アジアの人々を弾圧・支配し、朝鮮戦争やアフガニスタン侵略を起こしたことに対して、ロシア国民に反省と贖罪の強い意識を持たせるような工作がほとんど行われなかったことと関係があるのかもしれない。

 ともかく「不当にも自分の領土を失った」と感じたロシアは、モルドバから沿ドニエストル地域を分離独立させ、ベラルーシにはロシアとの再統合を要求し、グルジアに対しては国内の少数民族に軍事・経済援助を与えて嫌がらせを行ってきた。

アルメニアとアゼルバイジャンが対立するナゴルノカラバフ問題に代表されるように、その地域の二つの民族を戦わせてロシアに一致団結して反抗できないようにするのは、ロシアの異民族統治術の十八番(おはこ)である。

そしてロシアに従わない国々には、石油・天然ガスの価格を増額したり、パイプラインをストップする”石油戦略”も発動している。

ネットでは「南オセチア紛争はアメリカのネオコンが石油のために始めた戦争」と主張する人もいるが、むしろ逆ではないか。

グルジア自体はそれほど資源に恵まれた国ではないが、産油国アゼルバイジャンからグルジアを通りトルコの地中海沿岸の港ジェイハンまで建設された原油パイプラインがある。

このパイプラインは、石油戦略を発動するロシアを通らずに中央アジアの原油を地中海に運べるので、欧米にとっては大変重要なものである。

ロシアにとって、自国の影響力を低下させるこのパイプラインの存在が面白いはずがない。

だからこそロシアはグルジアに侵攻して、グルジア国内の原油輸送ルートを破壊したのであろう。

グルジア紛争が起こった8月はじめは、7月に1バレル=145ドル付近まで急上昇した原油相場のバブルがはじけ、110ドル台後半にまで値を下げていた時期だ。

グルジアで大規模な戦争が起き、地政学的理由から原油価格が再び高騰して喜ぶのは、原油価格の高騰・ドル安・景気減速のトリプルパンチでアップアップしていたアメリカではなく、原油・天然ガス収入で持つロシアではないだろうか。

 ロシアのメドベージェフ大統領は、この問題について「欧米との冷戦も辞さない」と勇ましいことを言っている。

以前、今のアメリカはベトナム戦争に負けた直後のような状態と言ったが、イラク戦争によってアメリカの国力がだいぶ疲弊し、サブプライム問題にからむ金融不安がそれに拍車をかけている。

アメリカの外交も、ヒル国務次官補やライス国務長官らによる”リアリズム外交”へと大きく舵を切り、核問題や拉致問題解決のため一向に真剣な態度を見せない北朝鮮に対して無軌道・無原則の譲歩を繰り返した。

核開発をエスカレートさせるイランに対しても、ほとんど指をくわえて見ているだけ。

ロシアもそのようなアメリカの足元を見てグルジア領内深くに侵攻し、欧米諸国に対して第二の冷戦を堂々とふっかけるような冒険主義に走ったわけで、ヒル国務次官補らが主導する”リアリズム外交”の敗北であったといえよう。

アメリカ大統領選挙の支持率も抜きつ抜かれつのデッドヒート状態だが、オバマ候補の外交顧問にカーター政権下で国家安全保障担当大統領補佐官を務めたブレジンスキーがいる。

”人権外交”をかかげたカーターほど、クレムリンや中南海からナメられた大統領はいない。
ソビエト軍によるアフガニスタン侵略は人権外交敗北の象徴であった。

カーター政権もベトナム戦争に負けてアメリカが弱っていた時期に登場したが、もしブレジンスキーを外交顧問にすえるオバマ政権が誕生して”人権外交”が復活するなら、世界中で西側先進国の同盟国(たとえばグルジアや台湾など)がロシアや中国などの新帝国主義国家群にひっくり返されかねない。日本も決してうかうかしてはいられない。

ベトナムが手のつけようの無い暴君ポルポトを排除すべくカンボジアに侵攻したのもそのころだが、手のつけようの無い北朝鮮をコントロールすべく中国が北朝鮮統治に深く介入することもあるかもしれない。

 ロシアが西欧諸国のエネルギー供給源の半分弱を握っている以上、南オセチア問題の解決もロシアの膨張主義・ユニラテラリズムにストップをかけることも容易なことではない。

国連中心主義者が大好きな国連も安保理も、例によってマヒ状態だ。

だが米ソ冷戦時代とは違って、ロシアは世界経済に深く組み込まれ、ロシア自身も資本主義にどっぷりと漬かってしまった。

現在の状況下でロシアと欧米諸国が再び冷戦に入り、世界経済から孤立すれば、いくら資源国とは言えロシアもタダでは済まないだろう。

資本主義経済とその豊かさというものを知ってしまったロシア国民も、豊かさを保証してくれたがゆえに独裁傾向を強めるプーチン政権を支持してきた。

アメリカ発の金融不安から世界規模でのマネーの収縮が起こっているが、世界経済に組み込まれたロシアとて例外ではない。

もしロシアでもマネーの収縮・過剰投資の発覚と金融不安が起これば、絶好調だった経済で大きくつまづくかもしれない。

その時ロシア国民は、社会主義時代のように皆が平等に貧しかった状態におとなしく戻れるだろうか?

 南オセチア問題が発端となったロシアによるグルジア侵略は短期的には上手くいくかもしれない。
しかし長い目で見れば、ロシアにとって高くつくものになるだろう。

ロシアの「失った領土を取り返したい」という、被害妄想的なまでの膨張主義とユニラテラリズムは、周辺国に強い恐怖心を思い出させた。

ロシアは、社会の成熟度や文化の高さ・人権尊重といったソフトパワーでも欧米諸国に大きく劣り、周辺国から見て魅力に欠けるものであることを自ら宣伝してしまった。

周辺諸国も、ロシア離れとEU接近の動きをなお一層強めることになると思う。

 我が日本も、低信頼社会に属するロシアのことを良く理解し、政治・経済・外交・安全保障の各分野で対策を立てなければ、再び煮え湯を飲まされることになるだろう。

もはやロシアは民主主義国家でも無いし、先進国首脳会議に参加する資格も完全に無くなった。

戦争をしかけろとは言わないが、日本や欧米など民主主義国家群は、外交などその他の手段を総動員して、勇気を持ってロシアや北朝鮮といった独裁国家の無謀な行動に立ち向かうべきだと思う。

特にヒル次官補のように、北朝鮮の無謀な行動に理解を示してやり、”聞き分けの良いおりこうさん”になることが、本来の意味でのリアリズム外交だとは決して思えない。

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この記事に対するコメント

やはり人種差別?

今回の記事で初めて知ったのだが、ウォーギルトインフォメーションプログラムはやはり我が国だけに施されたものだったのかと言う思いを強くした。
そして今更ながら思う、この洗脳の恐ろしさは、国家の自然発生権である戦争権を完全に否定忌避する国民性を造り上げる事で、対象国の外交能力まで破壊すると言う事だ。
何と言う陰湿陰険狡猾さであろう。
例えば我が国の外交官が諸外国との交渉で、憲法9条が有ろうが無かろうが、我が国はいざとなれば毅然として立ち上がると言うアピールを、腹を据えて仕掛けたとしても。
その母国の国民がゾンビの様に、戦争は駄目だ、何が有っても駄目だ、絶対に駄目だ、理由の如何を問わず駄目だ、等と唱えている状況では、舐められて御終いである。
大体我が国では外交官自身がゾンビと成り果てて、交渉や国益の意味も判らない輩が増えている現状では、今更遅いのかも知れないが。

  • 投稿者: 火天大有
  • 2008/09/25(木) 16:12:55
  • [編集]

陰謀・策謀・思惑が入り混じって

クロフネ氏が指摘している通りである。

実際、ロシアの市場も火の車、政府による1000億ドル以上の財政救済策を打ち出すほど転落している。
もっとも投資家に好感を持たれている点を見れば、アメリカより病状は軽い。
しかし、確実に8月9日から外国人投資が警戒し、離れているのは間違いない。

地球温暖化などとEU諸国が騒いでいるが、実際は脱石油、エネルギーの転換をしたい為だ。CO2が原因で温暖化が加速している科学的な実証データーはない。(モデル=あるかもしれないよって程度のデーターのみ)
将来的にロシアがパイプラインを閉じても大丈夫な社会の構築を目指していると考えられる。
グルジアを西側に入れたいのと同じ理由

原油もクロフネ氏が言われる可能性が高い。原油が下がったのもアメリカの意向が働いているのかも。原油が高くて得をするのはロシアやイランである。。石油で儲けるアメリカだが、外交的国益が関わる場合は容赦ないのもアメリカだ。

では、報復に投資会社への資金を回収したのはロシアだろうか?
リーマンを始め、軒並み金融危機だ。
私の予想では先に地方の銀行倒産が起こり、それから本体と推測していた。地方の銀行倒産の10月危機、本体(リーマン等)は来年になってから(先に本体が倒産???)。
私の予想では、石油も9月ごろに持ち直し、10月で再び暴落すると予想していただけに大外れである。

もっともNYの株価が暴落した為に、ロシアも暴落することになり、1000億ドル以上の財政救済策をする羽目になった。

陰謀か、偶然か、神ならぬ私に判る訳もないので困ったものだ。

次に何をしてくるのか???

株を買い占めて、企業の乗っ取り?
そうなるとアメリカは、株主の発言権の無効と短期売買の禁止を法案化するかもしれない。?
UFJや三菱、住友が大損することになる。???
(かってバブルの時もやられた。)
イランやアルカイダを利用する手もある。???

いずれにしろ、ロシアが何かを仕掛けると世界が動く。
「冗談じゃないぞ!」と言いたくなる。

  • 投稿者: donnat
  • 2008/09/25(木) 21:06:19
  • [編集]

火天大有さん

>今回の記事で初めて知ったのだが、ウォーギルトインフォメーションプログラムはやはり我が国だけに施されたものだったのかと言う思いを強くした。

ウォーギルティインフォメーションプログラムが日本以外の国で実施されたことがあるのか、残念ながら勉強不足で私は存じ上げません。

ただ、ドイツにも過去に対する贖罪意識があり、寛容な移民政策や外国人への親切心にもそれが反映されていますが、不良移民によってドイツも苦しんでいますね。

それがウォーギルティインフォメーションプログラムのせいであるのかどうかはわかりません。

ドイツと日本が違う点は、戦後のドイツ人は一応自分たちで憲法(ドイツ基本法)をつくりましたし、SPDのようなドイツの左翼政党は日本の左翼みたいに空理空論をもてあそぶ勢力ではありませんでした。

日本で未だにウォーギルティインフォメーションプログラムの影響が強く残っているとすれば、それは日本人の民族性(たいへん保守的で、出る杭になって叩かれるのを嫌う、お手本・マニュアルを神聖視してなかなか疑わない、多くの人が言うことはそれだけで信じてしまいがち)とも関係していると思います。


donnat さん

>将来的にロシアがパイプラインを閉じても大丈夫な社会の構築を目指していると考えられる。

地中に埋まっている資源はどうしても地政学的危機を生み出してしまいますから、西側にとって次世代エネルギーの発明は急務だと思います。

特に原油や天然ガスは、独裁国家や紛争地域などキナ臭いところに眠っている場合が多いですね。

私が「早く次世代エネルギーの発明を!」と考えた理由はまさしくそれです。

http://gaikoanzenhosyo.blog4.fc2.com/blog-entry-172.html

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2008/09/25(木) 23:49:50
  • [編集]

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