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戦後レジームへのレクイエム (その2)
- 2008/09/03(水) 23:41:44
前回のつづき
福田政権が誕生したことで、左翼リベラル勢力が言うように日本は良くなったのか?
経済は明らかに減速している。
世界経済全体が減速している影響があるにしても、福田首相が重用していた与謝野氏は今あるパイをどう切り分けるか、もっと言えば増税で国民に薄く、公務員と企業に厚く”ケーキ”を切り分けて財政再建をという発想しかないように思える。
規制緩和と将来のための投資によってパイそのものを大きくする、つまりたくさんの雇用を生み出す新しい産業の誕生を促し、企業の内部留保をある程度減らしてその分労働分配率を上げ、家計の所得を向上させることで内需を拡大して、日本経済の改革を進めつつ景気の下支えを図るような施策がまったく見られなかった。
(日本企業の性格からして、法人税減税をすれば労働分配率が自動的に上がるという考えは甘いのではないか。内部留保が高すぎる企業に課税するぐらいでないとダメだろう)
外交にしても「小泉・安倍はアジア外交が下手だ」と言われたが、中国に心酔する福田首相率いる待望の左翼リベラル政権に任せてみてどうだったか。
中国からは殺人ギョーザ問題、韓国からは竹島・教科書問題、尖閣諸島がらみで台湾にまでケンカを売られまくり。
北朝鮮には率先して制裁の一部解除を表明してまんまとだまされ、アメリカによるテロ国家指定解除表明を誘発する始末。
日本がどういう対応をしても中国・韓国・北朝鮮はインネンをつけてきてはケンカを売り、日本に領土・領海・カネをせびって来るチンピラ国家というのが、誰の目にもはっきりした。
「中国・韓国・北朝鮮のチンピラ国家に土下座してでも波風をたてなければ上手い外交」という戦後日本の誤った常識からはいいかげん卒業したい。
内政にしても外交にしても、「話し合い解決以外ないでしょ」が口癖の福田氏だったが、話し合いで解決できなかった場合の対策・リスクマネジメント能力はゼロだった。
話し合いで解決できなかった場合の福田氏の答えは首相を辞めるということだったのだが、我々国民は日本人を辞めるわけにも人間を辞めるわけにもいかない。(移民したい人はどうぞご自由に)
中・韓・朝の特定アジアは相変わらず存在しているし、左翼リベラル勢力である民主党・社民党・共産党や毎日・朝日などの左翼マスコミも依然国内でがんばっている。
我々日本人は、日本を貶め破壊しようとするこうした勢力にこれからも対処していかなければならないのである。
「安倍前首相と同じように福田首相も政権を無責任に放り出した」という声がある。
福田氏自身が否定しているようにこれは事実ではない。
安倍政権の場合、少なくとも安倍首相の「外交・安全保障などの分野で普通の国がやっていることを普通にやれるような日本にする」ために「日本版NSCに代表される政主導によるトップダウン政治を確立する」というビジョン・国家戦略は明確に見えていた。
志半ばで倒れてしまったが、それは特アへの罪悪感を引きずり続けている官僚が主導する政治”戦後レジーム”への決別であった。
だからこそ政・官・マスコミの左翼リベラル勢力から危険視され集中砲火を浴びたわけで、マスコミが次から次へと”発見した”安倍政権のスキャンダルにしても、安倍氏が掲げた政策の間違いではなく、そのほとんどが安倍氏以外の人間が抱えていた過去のスキャンダルの蒸し返しであったことに注意せねばならない。
こうしたメディアスクラムによって24時間攻撃され続ければ、よほどの愚鈍でないかぎり心身の健康を害するのも無理はない。
しかし自他ともに認める親中派の福田氏は、左翼リベラルマスコミからこれまでの失政をさんざん見逃してもらい、辞意表明会見でも述べたように心身いたって健康のまま政権を放り出したのである。
「安倍前首相と同じように福田首相も政権を無責任に放り出した」というのは断じて事実ではない。
以前も指摘したように、福田政権というのは左翼リベラルにとっては念願の左翼リベラルオールスター復活政権であり、失われた10年の延長戦であった。
マスコミは「実務派の福田」「外交の福田」とさんざん持ち上げたが、優柔不断で携帯片手に「どっちが正しいの」と聞いてまわり、中川(秀)氏が右と言えば右へフラフラ、与謝野氏が左と言えば左へフラフラの”便所のドア”に過ぎなかった。
この1年間の日本の停滞はいったい何だったのかと思う。
小泉・安倍両政権を叩いていた連中の思い通りに政治をやるとこうなるよということの証明ができたという点に意味があったと総括すべきなのかもしれないが、そんなことはやる前からわかっていたことで、失敗するとわかっていることを失敗してから理解するというのは賢明なこととは言えない。
福田政権を誕生させたと報道されている、野中・古賀・森・中川(秀)の各氏それに読売の渡辺主筆は、不始末の責任をとって永久に政治に口出しするのを自粛してもらいたい。
福田氏は世論調査でも一貫して「人柄が良い」ということだけは評価されていたが、国家指導者に求められる資質としては本来どうでも良いオマケ程度の話。
これに懲りて国民も人柄が良いなんてことで指導者を評価すべきではない。
そして次の政権には、戦後レジームにしっかりと引導を渡してもらい、激動の21世紀を生き延びられるよう、政治・経済・外交・安全保障ありとあらゆる分野で日本を強くするための改革を一刻も早く再開して欲しい。
次の焦点は自民党の総裁選挙に移ることになる。
誰が立候補することになるのかはまだわからないが、今回の総裁選挙だけでも良いから思い切ったことをやるべきだと思う。
例えば今回にかぎり、自民党の党員ではなくても選挙権のある人であれば総裁選に投票できるようにして、有権者自ら次の首相を選ぶ作業に参加できるようにしたらどうか。
有権者の政治不信がかつてなく高まっている今、それくらい思い切ったことをしなければダメだ。
◇ ◆ ◇
一方、1990年の日米構造協議でアメリカの貿易黒字削減要求を丸のみし、バブル崩壊後の日本経済立て直しに全くと言ってよいほど効果がなかった430兆円ものバラマキ公共工事を国際公約した自民党経世会七奉行のトップ・小沢一郎氏。
そして日本に膨大な借金の山だけ残し、財源不足で景気対策さえ満足にできず現在の国民が苦しむ原因をつくって反省もしない小沢一郎氏。
その彼が率いる民主党をどう見るか。
小沢氏は自由党を壊し、民主党に入って日教組や自治労など旧社会党のしがらみを引き継いだとたん、節操も無く政治信条を左右180°転換させて左翼政治家になってしまった。
民主党最高顧問である渡部恒三氏も経世会七奉行のひとり、幹事長の鳩山由紀夫氏も副代表の岡田克也氏もみんな経世会出身だ。
参院議員会長の輿石東氏や選対委員長の赤松広隆氏、横路孝弘氏は旧社会党の残党。
当時の社会党は経世会を「金権腐敗の元凶」と盛んに批判していたが、今なんで手を組んで同じ政党にいるのかワケがわからない。
金権政治の代名詞・経世会とヘタレ社会党がくっついた小沢民主党では、経済もダメ・外交安保もダメの”第二の福田政権”になってしまうのではないかという不安が大きい。
小沢氏の、誰かが書いた作文を見てそれを棒読みするかのようなコメントを聞くにつけ、福田首相と同じように、国家指導者への意欲とか確固たる政治信念といったものがまったく見えてこない。
与党のやることに何でも反対するだけで、裏付けのある対案も出さなければ国会の審議にも出ず敵前逃亡するところまで、昔の社会党そっくり。
福田政権が続けば続いたで、小沢民主党は参院で首相問責決議を通し「福田、早く辞めろ」と非難して、福田首相が辞めれば辞めたで一斉に「政権を放り出すとは無責任だ」と批判する。
じゃあ、どっちなんだ!
無責任で子供じみた”何でも反対政党”だったがために滅亡したかつての社会党とウリ二つだから、国民は民主党に国の舵取りを安心して任せられないのである。
前述のようにかつての社会党にいた人間が現在の民主党にはたくさんいるのだから、そのDNAのなせるわざか。
民主党という新しい看板に変えただけでまるで若々しい改革政党であるかのように誤解し、多くの有権者が経世会や社会党の過去をすっかり忘れているのが私には信じられない。
◇ ◆ ◇
これも以前とりあげたが、現在の日本の国家意思決定システムはとんでもない欠陥を抱えている。
衆議院と参議院の意思が食い違うと、日本は何も決定できずマヒ状態になってしまう。
これはどこの政党・左右どちらが有利という話ではないのだから、衆議院と参議院の意思決定が食い違った場合、自動的に衆議院の決定を日本国家としての意思とするよう憲法を改正すべきだ。
なんなら参議院を廃止して一院制にしたっていい。その方が財政面で助かる。
早急に、与野党が協力して憲法改正案を通さなければならない。
兄弟牆に鬩げども外その務りを禦ぐ(けいていかきにせめげどもそとそのあなどりをふせぐ)と言うように、民主党はいつまでも「何でも反対」では許されない。
それこそ売国行為である。
<了>
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【国際】安倍首相が日本を“チンピラ国家”に近づけている―中国紙
1 :そーきそばΦ ★:2013/07/18(木) 20:57:41.56 ID:???0 中国共産党機関紙・人民日報系の国際情報紙「環球時報」は18日、「安倍首相が日本をどんどん“チンピラ国家”に近づけている」と題
- From: 【2chまとめ】ニュース速報+ |
- 2013/07/19(金) 02:01:38
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この記事に対するコメント
安倍氏の評価
殆どのおっしゃる事は、ごもっともだと思います。ただし、安倍氏の評価については少々違うのではないかと思います。
私は、今日の政治の混乱の原因を作った責任は、第一に安倍氏の思慮の無さにあり、後世の歴史家の評価は、恐らく日本没落を決定付けた宰相ということになろうかと思います。確かに、安倍氏の外交政策については、必ずしも悪くはなかったと思います。しかし「お友達内閣」や郵政解散での造反議員を復党させてしまった事など、人事面での大失敗は、驕りと油断と思慮の無さを示すものだったかと思います。
他に感じる事は、
①小泉・安倍・福田・麻生、そして小沢も皆、二世議員。こうした政治家の世襲こそ、日本の政治をダメにしている元凶。
②公明党こそが日本国に巣食った真の寄生虫であり、奴らが国会に存在する限り、日本の将来は真っ暗。
よかった
福田が首相のままだったら破綻間近の韓国に大量の資金援助とか言いかねん
麻生首相でも多少は援助するだろうが
世界情勢を語らない候補には入れたくない。
北京オリンピック開幕日から世界情勢が大きく変化した。
それまではイラン・北朝鮮・アフガン・イラク・コソボ・アフリカの各紛争等々と問題を山積した状態でありましたが、経済優先という論理が世界を覆っていました。
しかし、グルジア紛争はロシアという大国が起こした戦争であり、覇権主義、軍事力優先の世界への移行期に差し掛かったのではないのでしょうか?
オバマ有利からマケイン有利に、流れが変わったのも、このことを危惧した1つの表れです。
今は西の出口の問題ですが、東の出口は日本です。西の問題が一段落したなら、必ず東に目を移してくるでしょう。
もちろん、中国が力を酷使するようになれば、出口である沖縄が問題になってきます。
自民党の総裁戦で内政が中心になると考えられますが、外交を多く語らない候補者は危険です。丸腰で狼の群れに飛び込むようなものです。
国連主義を唱える小沢民主党も危険です。以前なら、1年くらい民主党にやらせて、自民党の大掃除説もあったのですが、風雲急を告げるとはこのことです。福田政権のこの1年のロスタイムがなんと勿体無いと思う。今日この頃です。
安倍しか無い
ベストは安倍さんです。安倍さんに任せて、10年遣って欲しい。経済に就いては、試行錯誤で遣っていくより仕方が無いと思います。
麻生氏や石原氏は、国民年金を税でと言っている時点でアウトです。此れは嘘つきと言えます。嘘つきに国を任せたくない。
安倍はまだ無理だ
安倍はあと10年ぐらいしてから首相にならないと、逃亡総理として支持率が低くなる
あと十年して、過去の反省を生かして再び総理をやります
と言えばかっこよくなる
ねっとうよく さん
>しかし「お友達内閣」や郵政解散での造反議員を復党させてしまった事など、人事面での大失敗は、驕りと油断と思慮の無さを示すものだったかと思います。
前回のエントリーで「若く経験も少なかった安倍氏」と書きましたが、具体的に言えばご指摘のとおり人事面についてです。
”身体検査”の甘さやスキャンダルが持ちあがった閣僚を最後までかばってしまったことはまずかったと思います。造反組復帰も失敗だったのかもしれません。
ただ、安倍氏とある程度思想信条の一致する人たちで内閣を組んだ事を指してマスコミが”お友達内閣”というのであれば、私は特に問題だと思っておりません。
安倍氏としても反日自虐思想を持つ人間とは同じ内閣で仕事できないでしょうし、意思決定が致命的に遅い「仲間外れをつくらずみんなの意見を足して参加者数で割って、一緒に決めましょう」という旧来の日本的意思決定システムとは決別すべきだと思います。安倍氏もそれを意図していたのではないでしょうか。
保守から売国勢力までゴチャ混ぜの自民・民主両党の体たらくは良くご存知でしょう。
安倍氏の思想信条と違う人たちが国家の意思決定から外されたからこそ、慣例を破って仲間はずれにされた守旧派から”お友達内閣”という極めて幼稚なやっかみが出てきたのです。
あの時点で、安倍氏はベストではなかったとしてもよりベターな総裁候補だったと評価します。安倍氏以外に現実に総裁になる権利と実力を持つ、もっと素晴らしい総裁候補がいたでしょうか。
あのたった一回の失敗で日本が没落決定なんてことはありません。どうも日本人は淡白で、うまくいかないとすぐあきらめる傾向がありますが、我々国民が今後どう行動するかで将来はいくらでも変えられると思います。
安倍さんもあの時の得がたい教訓を糧にして再チャレンジして欲しい。
首相が無理ならキングメーカーになっても良いですし。
最後に、私も公明にウンザリですね。経済政策も最低です。切るに切れないのでしょうけれども...
福田がやめて さん
ホント、誰が首相でも韓国に援助するのだけは勘弁して欲しいです。国家反逆罪をつくりたいぐらいです。
donnatさん
ロシアによるグルジア侵略は、アメリカ国務省のリアリスト外交の失敗を証明することになったと思います。
小沢さんが崇拝する国連の無力さも。
日本の首相は、外交で”ケンカのやり方”を知っている人になって欲しいです。
八目山人さん
実は私も麻生さんの経済政策だけは不安視しています。
おいおい書く事になるかと思いますが、外からの侮りを防ぐためには、それに目をつぶってでも麻生さんを支持するしかないと思ってます。
外交・安保・経済すべての分野でパーフェクトな候補者がいれば良いのですけど。
いや さん
「昨日の今日」といった感じですしね...。
クロフネさまの考えに
全面的に感激です。
福田と安倍は全く違います
そのことをはっきりとわかる形で現してくれたのはくろふねさまの記事がはじめてではないでしょうか。。
あまつさえ日本は韓国の外貨危機に126億ドルをすぐさま用立てる。。
歯をくいしばっても頑張らねばとおもっても、あのときの安倍さんのありようがフラッシュバックしてしまいますね。まさに福田はちがいます。レクイエムの価値もなし。
日本がくたばらないように、気を取り直してがんばらないと!!
ほとんど同意、だけど
やはり後編で鋭く突っ込んでくれましたね。
ただ私が思うのですが、現在の我が国は政治の混迷、庶民の苦境等、非常にワイマール体制に状況が似てきた気がします。
ドイツにとっての第一次大戦の敗戦が我が国の大東亜戦争の敗戦なのかと、つらつら思います。
もっとも占領側の米ソ支ははるかに狡猾で陰険ですけどね(笑
そして今が確かに時代の転換期だと言う事は肌で感じます。
人生の厄介息子さん
>福田と安倍は全く違います
またしてもやってますね、マスコミ。
二代続けて無責任に政権を放り出したかのような印象操作です。
そもそも安倍政権にエスニッククレンジング的な集中砲火を浴びせて打倒し、”実務派の福田”とヨイショして、今「無責任だ」と叩いている福田を首相官邸に送り込んだのは当のマスコミだったはずですよね。
マスコミも責任をとって欲しいものです。
火天大有さん
>ドイツにとっての第一次大戦の敗戦が我が国の大東亜戦争の敗戦なのかと、つらつら思います。
同時に第一次大戦の英仏の勝利と激烈な対独報復という戦後処理の失敗は、第二次大戦における中・朝・韓の”勝利”と対日報復にあたるとも考えられそうです。
もっとも、私は現在の日本にファシズムが復活するとは思っていませんが...
ご参考までに
http://gaikoanzenhosyo.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html