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がっかりさせられた”大きな政治”

  • 2008/05/16(金) 00:03:35

 いま発売中の文芸春秋6月号に、自民党の与謝野馨・麻生太郎両氏の政策提言”大きな政治”が載っている。

詳しくは買って読んでいただきたいが、はっきりいって相当がっかりした。

政界一の政策通と定評のある与謝野氏のお考えのまとまったものが読める貴重なチャンスなので、その部分を特に楽しみにしていたのだが、与謝野氏のかかげる国家目標それ自体は納得のできるものであったが、それを実現するための具体的政策がことごとく矛盾しているように感じた。

 現在日本がこれほどの重苦しい閉塞状況に陥っているのは、「日本が欧米先進国にいかに追いつくか」というのがテーマであった高度経済成長期の政治・経済システムが今の時代に合わなくなっているにもかかわらず、いまだにそうしたシステムを色濃くひきずっていて、新しい時代に即した政治・経済システムへの改革が不十分のまま停滞しているからである。

にもかかわらず、与謝野氏がこれからの日本をつくるためとして出してきた政策が、昭和30年代を絶頂とする高度経済成長期にやっていればまず間違いの無い”ガチガチの鉄板マニュアル”とされたものばかり。

その”鉄板マニュアル”をいまだにひきずっているから、今の日本が停滞しているというのに。

 政治面について言えば、政治家がトップダウンで物事を決めていくよりも、下からの意見をまとめ与野党との話し合いと官僚を重用するボトムアップ型政治の重視と、小選挙区制度の見直しなどを与謝野氏は主張されているが、そもそも高度成長期の中選挙区制度が腐敗と利権談合政治の温床となったから小選挙区制が導入されたわけだ。

ひとつの選挙区に、同じ党から複数の候補者をたてる中選挙区制度のもとで、各候補者は地元の会合に必死に参加して顔を売り、いかに地元に利権をひっぱってくるかを競った。

それが地元企業との癒着と利権談合政治を生み出しただけでなく、地元まわりに忙しく、政策をまったく勉強しない政治家を多く生み出した。

(中選挙区制では、ひとつの選挙区で与野党複数の候補者が当選できたから、与党のやることに何でも反対のかつての日本社会党のような無責任野党が跋扈し、ついにドイツのSPDやイギリスの労働党のようなまともな政策をかかげる野党が日本に誕生しなかった)

そうした政治家が当選回数を重ねて出世し大臣や首相になっても、勉強不足で自分の政策に自信が無く、失政と選挙落選が怖いから官僚に政策立案・実行を丸投げする。

政策面で官僚に頼り、彼らに頭が上がらないから各省も大臣ではなく官のトップである次官が実質的に動かすようになる。

首相と各大臣を中心とした閣議ではなく官僚の最高職である官房副長官と各省庁の次官が集まる会議が日本を動かす。

 しかしそれでは日本の主権が選挙の洗礼を浴びない官僚にあることになってしまい、主権在民を原則とする民主国家としてはルール違反である。

こうして官僚が日本の政策を決定するが失敗してもその責任を問われない、だから自浄能力を失った官僚・公務員が同じような失敗を何度も繰り返し、そのツケだけは本来の主権者である国民に押し付けるというモラルハザードが生まれた。

これが戦後日本型の政治システムであり、社会保険庁の年金問題にしろ、バブル崩壊以後の財務省・日銀による経済政策の失敗やそれに伴う巨額の国家債務累積問題にしろ、問題の根底にはこうした政治システムの欠陥がある。

そうしたモラルハザードに陥った政治システムを、与謝野氏はこのまま続け強化せよとおっしゃるのだから、正気の沙汰とは思えない。

 こういう政治システムのもとで、与党も野党も官僚も各種利権団体も、
”仲間はずれ”をつくって誰かの恨みを買うようなことがないように、みんなで仲良く一緒に「なあなあで決めましょう」という日本特有の談合型意思決定システムができた。

(談合政治は日本と中・韓・朝のいわゆる特定アジアとの間でも行われた。特アが反日で騒ぎ、「しょうがないなあ<嬉>)」と言いながら日本がカネを出しつづける構図である)

談合型意思決定システムでは、たとえ反対する人がいても明確なビジョン・政策をかかげて皆をぐいぐいと引っ張っていくトップダウン型のリーダーは嫌われ、時間が長くかかっても”仲間はずれ”をつくらないように、みんなの意見を調整するボトムアップを重視する”利害調整型のリーダー”が好まれる。

この”利害調整型リーダー”には、しっかりとした政治哲学を持っているかや政策立案・実行能力の高低は問われない。

ともかく組織内で仲間割れや大きな失敗を起こさず、”ことなかれ”で任期をやりすごせばそれで大成功とされるのが、これまでの調整型リーダーだった。


 その典型は、誰にかけているのか知らんが携帯電話片手に「これで決めて良いの?それともあれが良いの?」とグズグズ聞いてまわっている福田康夫首相である。

じゃあ調整型リーダーである福田さんを有権者は「現在の日本にふさわしい指導者」として支持しているのか、政界一の政策通・与謝野さんに聞くまでもあるまい。どの支持率調査を見てもわかるとおり答えはNOである。

「欧米をお手本に追いつけ」の昭和30年代には福田康夫首相でも通用したかもしらんが、現在においては時代錯誤もはなはだしく、首相官邸のイスに座っているだけで犯罪だと思う。

与野党との話し合いと官僚主義を重視し、小選挙区制度の見直しという与謝野さんのかかげる政策、調整型リーダーを官僚が影から動かす日本特有のボトムアップ型政治も、昭和30年代の高度経済成長期には、間違いの無い鉄板マニュアルであったかもしれないが、もはや現在の日本では制度疲労を起こしてしまって使えなくなっているのは明々白々である。

それを与謝野氏は復活させ強化させるべきだとおっしゃるのだから、その時代錯誤ぶりに驚きあきれる。

 与謝野氏は、福田首相が「民主党の誰に話を通せば政治が動くのかわからない」と嘆いていると指摘しているが、野党民主党ですら、小沢さんのトップダウンではなくボトムアップ型の政治決定システムのために、つまり指揮命令系統が複数存在するために、誰が政策決定権を持っているのかあやふやになってしまっていて、それが政治の混迷をいっそう深めている。

であるならば、与謝野氏自らボトムアップ型の政治システムを変えていかなくては駄目だと主張しなければならないのに、ボトムアップ型の政治システムが日本にとって効率が良いなどと矛盾しきったことを、麻生氏との対談でおっしゃっている。

 高度経済成長期の日本型政治システム、利害調整型の指導者とボトムアップ型国家意思決定システムに本当に限界を感じるが、それをいまだに金科玉条にしている与謝野氏のようなエリート官僚出身政治家にも限界を感じる。

現役官僚もそうであるならば、もはや日本最高の政策立案集団とは言えないだろう。

与謝野氏は対談で、今の日本を高度経済成長期の残照だとおっしゃっているが、高度成長期の残照というのは与謝野氏のお考えそのものではないだろうか。

与謝野氏は、頭の中の政治マニュアルを最新のものにアップデートされるよう、強く願う次第である。

次回は経済政策面に突っ込みを入れたい。

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↑与謝野氏が絶賛する、福田自民党・小沢民主党に代表されるボトムアップ型政治と利害調整型リーダーにウンザリという方はポチッとしてください↓
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福田政権を強く支持している三浦としては、辛いエントリーですね…

福田さんは与謝野さんに、「税制抜本改革」案をまとめるよう指示し、与謝野さんは財務官僚と一緒に腰を抜かして驚いた、といった記事を読みました。年金の国庫負担分引き上げに対応するためだそうで、まだまだこの政権の前途は多難。心中を察するに辛い気持ちになります。

日本米の対中輸出全面解禁。これだけでも大きいのではありませんか?小沢さんはチベットフリーならぬチベットスルーをしたそうです。福田政権とは対象的とさえ言えるはずです。パンダは瑣事のはずです。

  • 投稿者: 三浦介
  • 2008/05/16(金) 00:37:14
  • [編集]

総論反対、各論賛成

今、打たなければならない政策について言うのならば、賛成できる各論はあると思います。

それを続けて大きな政府にしてしまうのは反対です。

官僚が法案を作らないのであれば、日本は今のままでも十分小さな政府です。法律を執行する側が法案を作る、ここに全ての権力が集中してしまうことに気づくべきです。

政治家は、選挙があるのに、権限に比べて負う責任が大きすぎます。責任に見合う権限と、それを可能にする教養とを持ち合わせて欲しいものです。

  • 投稿者: クマのプータロー
  • 2008/05/16(金) 05:47:23
  • [編集]

「政策通」という言葉は官僚の言うことをよく聞くという理解をしてきましたが、いかがでしょうか?こんな政治家ばかりでよく国が持っていると思います。正直。低レベルのコメントですみません。

  • 投稿者: fuyuneko
  • 2008/05/16(金) 09:56:55
  • [編集]

三浦介さん

>福田さんは与謝野さんに、「税制抜本改革」案をまとめるよう指示し、与謝野さんは財務官僚と一緒に腰を抜かして驚いた、といった記事を読みました。

福田さんも政権運営を他人事のように考えていた期間が長すぎました。

与謝野さんが案をまとめるのであれば、消費税を10%以上にアップ、法人税は減税、道路は「必要な分(49兆円)」つくります、ということになるのではないでしょうか。

まったく支持できません。

日本米輸出については、現在世界的に穀物不足が深刻化しつつあり、お米も例外ではありません。

そのうち日本政府自ら米の国外流出を防ぐようになるのでは?

よって外交の得点とは言えないでしょう。


クマのプータローさん

>官僚が法案を作らないのであれば、日本は今のままでも十分小さな政府です。法律を執行する側が法案を作る、ここに全ての権力が集中してしまうことに気づくべきです。

おっしゃる通りです。

国民一人あたりの官僚の数それ自体は少なく、過労死ぎりぎりで働いている彼らを気の毒に思っています。

無駄な独立行政法人や天下りを無くして、その分官僚の数を増やしても良いでしょう。

しかし、一握りの官僚が法をつくりそれを解釈して執行し、おまけに一般会計予算と特別会計を握るという権力の集中とそれに対するチェック機構の無さが深刻な問題ですね。

そのためには、政治家が政策を勉強したり政策立案スタッフをかかえたりして、官への依存を断ち切らないと負の連鎖は続くのではないでしょうか。


fuyuneko さん

>「政策通」という言葉は官僚の言うことをよく聞くという理解をしてきましたが、いかがでしょうか?

与謝野さんはエリート官僚出身ですし、おっしゃることを見ればわかるように、官界の代弁者ですね。

福田さんも、官僚から「あれほど勉強熱心な首相は初めてだ」と言われているようですが、それは純粋な誉め言葉ではないと思います。

「こんなに意のままになる(バカな)首相は初めてだ」が偽らざる本音ではないかと。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2008/05/16(金) 22:58:03
  • [編集]

政策通?

 与謝野さん、最近テレビに良くお出になられるように成りました。
 テレビでの発言しか知りませんが、何か曖昧模糊とした物言いに、聞こえます。
 私が聞いていて、言わんとする所が理解し易かったのは、安倍さんと竹中さんです。

  • 投稿者: 八目山人
  • 2008/05/17(土) 01:35:35
  • [編集]

変えなきゃいけませんね!

おひさしぶり、donnatです。

とらえず、文芸春秋6月号を買ってみます。
与謝野、谷垣氏の言う財政再建は反対です。経済というものを判っていないと思っています。

いずれにしろ、政治と経済が判る方が政治の舞台に立てるようにしないと官僚の好きにされるというのが私の意見です。

ともかく、官僚の力を削ぐためにも渡辺大臣が提出している公務員改正の法案を審議入りしてもらえるのか、廃案にされないかと冷や冷やしています。

  • 投稿者: donnat
  • 2008/05/17(土) 09:47:22
  • [編集]

振り返っても詮無いですが

今や話題の端にものぼらない、のせないのか、知りませんが、前首相安倍氏が掲げ中途で挫折した「戦後レジュームからの脱却」は安保や教育だけを指したものではなく、その根幹には官僚機構に委ねられて来た、日本の政策立案、施行の歪みを正す目的があったと思っていたのですが、朝日新聞をはじめ反安倍勢力の執拗な攻撃の前に頓挫したことが、結局今日の政治の混迷を招く元となったと感じています。
おっしゃるとおり、与謝野氏はこうした疲労した制度擁護とも取れ、新たな日本を切り開く立案を持っているとは思えません。
現状を幾ら小手先で手を加えたとて、既得権化した官僚機構がどうにもならないことは年金機構、後期高齢者医療制度を見てもわかることです。
今の状況の下では、自民党も消滅した社会党の轍を踏むことになるのではないでしょうか。
それ以上に怖いのが民主党政権誕生とは、洒落にもなりません。

  • 投稿者: 安国寺
  • 2008/05/18(日) 10:10:25
  • [編集]

八目山人さん

口にこそ出しませんが、どうやら与謝野さんは次期首相ポストを狙っていらっしゃるようですね、マスコミへの露出が顕著になってきました。

もし与謝野さんが首相になっても、かかげている政策を見る限りでは、福田首相に毛が生えた程度となるのではと思ってしまいます。


donnat さん

>政治と経済が判る方が政治の舞台に立てるようにしないと官僚の好きにされるというのが私の意見です。

おっしゃる通りです。

政治家が政策に暗いと、官僚の言っていることが正しいかそうでないのか判断さえできません。

官僚から「あの首相・大臣は勉強熱心だ。我々のレクチャーを良く聞いてくれる」と言われる様ではダメです。


安国寺さん

>前首相安倍氏が掲げ中途で挫折した「戦後レジュームからの脱却」は安保や教育だけを指したものではなく、その根幹には官僚機構に委ねられて来た、日本の政策立案、施行の歪みを正す目的があったと思っていたのですが、朝日新聞をはじめ反安倍勢力の執拗な攻撃の前に頓挫したことが、結局今日の政治の混迷を招く元となったと感じています。

安国寺さんのこのお言葉は、現在の混迷状況を簡潔かつ的確に描写なさっていると存じます。

政権末期のスキャンダル暴露による”包囲殲滅攻撃”を見ればわかるように、だからこそ安倍さんは官界・マスコミ界など守旧派勢力から政治生命を狙われたのでしょう。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2008/05/18(日) 16:19:24
  • [編集]

国民は泣いている

嗚呼このブログを開く度に思う、我が国の議員諸氏の質の低さよ。
与謝野、駄目だな。
福田、論外です。
腐れ役人の立法行為を防止するには選挙制度の根本改革が必要だが、その為の立法行為は既存の議員か官僚以外に実行できない。
まるで泥棒に自分を縛る縄を打てと言っている様なもので、クーデター以外に妙策を思いつかない昨今の私です。
因みに既存の政治家では麻生太郎を応援してはいますが、総合力ではどうだか?

  • 投稿者: 火天大有
  • 2008/05/18(日) 22:56:48
  • [編集]

火天大有さん

>我が国の議員諸氏の質の低さよ。

過去に国から給料が支払われる公設秘書は二人まででしたが、官主導の政策立案・立法から政治家主導のそれへと改革するため、政治家に第三の公設秘書として政策担当秘書を雇うことが1994年に認められましたが、それがあまり生かされていないのが残念です。

社民党の辻元のように秘書給与詐取のネタに使われる始末で、情けないかぎりです。

もっと政策担当秘書制度を改良して、政治家もそれを賢く利用してほしいと思います。

麻生さんについては次回エントリーで触れる予定です。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2008/05/20(火) 22:06:27
  • [編集]

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