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東アジア共同体とEUへの誤解 (その2)

  • 2008/03/06(木) 01:01:58

前回のつづき

 それではいよいよ何故EUが出来たのか、その本題に入る。

それは「国家は常に悪であり、戦争を無くすためにも国家や国境を無くした方が良いから」といった、多くの日本人が誤解しているような理由からではない。

むしろその反対、統合された国家であるEUという名の”強いヨーロッパ”をつくろうとしたのである。

 前回述べたように、第二次世界大戦後の英・仏は、広大な植民地や超大国としての地位を失い、世界金融の中心地はロンドンからニューヨークへ移り、ポンドは世界基軸通貨としての地位から転落した。

インドネシアやザイールといった広大な植民地を失ったオランダ・ベルギーも同様だが、英仏は戦争に勝ったはずなのに何もかも失ってしまったのだった。

戦後世界は、アメリカ・ソビエトという超大国が台頭し、並の国に転落した人口数百万から数千万のヨーロッパ諸国がバラバラに別れてチマチマやっていても、ヨーロッパの地盤沈下は進むばかりだった。

だからこそ強いヨーロッパ復活のために思いきった戦略の転換が必要だったのである。それがヨーロッパ統合だ。

 その目的は二つ、

まず二度の世界大戦とヨーロッパ没落の原因のひとつとなった、巨大な生産力を誇るドイツをうまく取りこんで、三度目の暴走を許さないこと、

ヨーロッパ各国の政治力・経済力・軍事力・人口を合わせ、規模の大きさを利用してアメリカ・ソビエトの二大超大国に対抗できるようにすることである。

しかし英・仏の間で欧州における覇権争いが起こったため、最初から順調だったわけではなかった。

カナダ・インド・南アフリカなど英連邦諸国やアメリカとの結びつきが強いイギリスに比べ、ドイツの経済力を取りこむことで欧州内のリーダーシップを取ろうとしたフランスが積極的に動き、以後、後者を軸に欧州統合がすすんでいく。

1952年に仏独伊ベネルクス三国が参加して欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)が結成された。
その狙いは石炭と鉄という戦略物資をコントロールすることでドイツの暴走を防ぐことにあった。

1956年のスエズ動乱(第二次中東戦争)において英・仏が敗北し、国際社会における両国の凋落が誰の目にも明らかになると、ECSC加盟六ヶ国でヨーロッパ経済共同体(EEC)が結成され、より統合が深化していく。

イギリスもEECに対抗して北欧諸国やスイスなどを誘ってEFTAを結成するがうまくいかず、1963年にイギリスがEECに加盟を申請するも、フランスのド・ゴールが猛反対して却下された。

このあたりで、年平均10%もの高度成長を続けていた日本に経済力で追い抜かれ、ヨーロッパ諸国はショックを受けたことだろう。

1967年、EECにECSC、EURATOMなどをあわせて欧州共同体(EC)が発足、いよいよ域内で商品・資本・労働力が自由に移動する関税同盟が成立する。

1973年以降、イギリスやギリシャ・スペインが加盟してECは拡大を続け、1993年のマーストリヒト条約で欧州連合(EU)が発足、市場統合だけではなく将来的な政治統合も視野に入れて動き出した。

90年代はじめにソビエトが崩壊して東欧の社会主義国家が続々と民主化、EUはこれらの国々を受け入れて拡大を続けている。
 
 もちろん統一通貨ユーロのことも忘れてはならないが、それは前回述べたブレトンウッズ体制というドル支配からの自立の必要性からはじまった。

ベトナム戦争の長期化でアメリカが疲弊していた60年代末、ドルとヨーロッパ各国通貨との相場は不安定になった。

それはECという関税同盟存続を危うくし、アメリカのドル政策に翻ろうされないためにも欧州統一通貨が必要になってきた。

71年のアメリカによる金ドル交換停止(ニクソンショック)でブレトンウッズ体制が崩壊、金と交換できるドルを基軸とした固定相場制から、金と交換できない管理通貨となったドルを基軸とする変動相場制に移行したこともそれに拍車をかけた。

本来なら欧州最強の通貨・西ドイツマルクをそのまま統一通貨にすれば簡単だったのだろうが、フランスのプライドが許さなかった。

そこで欧州各国の通貨でバスケットをつくり、共通通貨単位ECUを経て統一通貨ユーロが誕生、通貨・金融政策を担当する欧州中央銀行(ECB)やTARGETと呼ばれる決済システムが整備されて、今やドルを脅かす存在にまで育ってきている。

 つまりEU(EC)とは、アメリカ主導でつくられたGATTによる戦後の自由貿易体制、もっと言えばアメリカの農工業製品から欧州産業を守るためにつくられた関税同盟であり、ユーロは基軸通貨ドルを握るアメリカの通貨政策からの自立を獲得するためにつくられたのである。

それは「国や国境を無くせば平和になる。主権を委譲してみんなで地球市民になろう」みたいな、幼稚なお花畑理論を実現するためではなくて、ヨーロッパの失地回復のためにEUという名の新しい国家を強化する動きである。

その証拠に、現在もEU加盟国と非加盟国の間にはちゃんと国境があるし、パスポートチェックも受けなければいけない。

EUは地中海をはさんだリビアに主権を移譲しようなんてしていない。

どうしてお花畑派日本人はそこを見ようとしないのであろうか?

次回へつづく

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  • From: ありがとう |
  • 2009/03/11(水) 14:32:19

この記事に対するコメント

アホはほっといて・・・

東アジア共同体が成立したとして、中共が中心では「強い東アジア」は出来そうにありません。

日本が中心になった緩やかな国家連合がもっとも強い東アジアたり得るでしょう。もっとも、中共がが中華思想を捨てることと、加盟諸国の底辺が底上げされることが大前提であります。あと2つは無視しうるレベルなので、お笑いネタとして加わることもありなのか、悩ましいところですが。

欧米の価値観で亡命者を押しつけられることがなければ、比較的収まるべきところに収まるのではないでしょうか。スーチー女史に言い表しようのないいかがわしさを感じるのは私だけでしょうか。

  • 投稿者: クマのプータロー
  • 2008/03/06(木) 19:00:40
  • [編集]

よく覚えております。

通貨ユーロがはじまる頃、アメリカ経済が崩壊すると騒がれていた。準備金の相場が140円/ユーロ程度の評価を受けていたのだが、ユーロが開始されたと同時に100円/ユーロ程度と暴落して開始されたのだ。
ポンド建て、ユーロ建ての外貨預金をしていた私にはショックな出来事であった。

よくよく考えればあたり前の話しだ。
アメリカが易々とユーロを世界機軸通貨に認める訳がないのだ。
国家的戦略として、ユーロ安を演出され、アメリカは金融システムを駆使した金融バブルを生み出したのだ。
日本のバブル崩壊による景気低迷による円安とアメリカの好景気の煽りでEUも十分潤ったお陰で、損害は最小に収まったのは幸いだった。

もっともその中の1つは、
ユーロの相場が回復していない間に、預けているドイツの会社が倒産したということ言われ、強制的に円で換金されたときのショックは忘れられない。

  • 投稿者: donnat
  • 2008/03/06(木) 19:31:50
  • [編集]

日本は、実はもう400年ぐらい前に統合を終わらしているんだよね。だから、大陸側と統合しようというのは、ヨーロッパとアフリカを統合しようと言っているのと同じ意味になるんだよね。

  • 投稿者: 7743
  • 2008/03/06(木) 22:07:07
  • [編集]

クマのプータロー さん

>東アジア共同体が成立したとして、中共が中心では「強い東アジア」は出来そうにありません。

崩壊したコメコンみたいなものになるでしょう。

あれはソ連が東欧や中央アジアをいかに搾取するかというものでしたから。

あと、ミャンマーは軍政が本当に国民のことを考えて開発独裁するというなら猶予期間を与えても良いと思います。

スーチーさんのダンナさんが白人ということで欧米では実態以上にイメージが悪いようです。

だったら中国はどうなのかと言いたいところです。


donnatさん

donnatさんも大変でしたね。

発足当初こそアメリカはEU(EC)を支持していましたが、ユーロも含めてだんだんと良い顔をしなくなりました。

それでもブンデスバンク時代からそうですが、ECBの政策はアメリカから圧力を受けたとしても毅然としていますよね。

某BOJとは大違いです。


7743 さん

>だから、大陸側と統合しようというのは、ヨーロッパとアフリカを統合しようと言っているのと同じ意味になるんだよね。

まあ、そういうことでしょう。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2008/03/06(木) 23:48:51
  • [編集]

経済的な事もそうですが

 フランス人とスペイン人、ドイツ人とイギリス人の違いは、私の目から見れば、大阪人と東京人との違い程度にしか見えない。 
 日本人と中国人の文化や物の考え方の違いは、ドイツ人とブッシュマンの違いほど有る。
 ドイツとフランスは魏と呉の違いだ。

  • 投稿者: 八目山人
  • 2008/03/07(金) 15:06:12
  • [編集]

八目山人さん

殺人ギョーザ事件における中国側の対応を見れば、とても日本人と価値観を共有できるとは思えません。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2008/03/07(金) 23:48:30
  • [編集]

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