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東アジア共同体とEUへの誤解

  • 2008/03/04(火) 00:00:30

 「東アジア共同体や東アジア共通通貨をつくろう」

 「日本の主権を中国に委譲しよう」

 「人権擁護委員会のメンバーに外国人をいれよう」

 「外国人に日本の参政権を与えよう」

こうした考え方を持つ人は、EUに強い影響を受けていることが多い。

ヨーロッパのシェンゲン協定加盟国同士だと、空路にしろ陸路にしろパスポートコントロールを受けずに国境を通過できるし、いったんシェンゲン協定国に入ってしまえば、それは日本人でも同様だ。

多くの日本人は「自分の国や社会・家族は、常に個人に害を与えようとする邪悪な存在である。だからそれと戦わなければならない」という思想が子供のときから刷り込まれているから、それを見ただけで「やっぱり国家や国境が無いって素晴らしい!!」と、ナイーブに感動してしまう。

そうした日本人が帰国して、熱病にでもうなされたように「アジアでもEUのような共同体をつくろう!ユーロのような共通通貨をつくろう!そして日本の主権を委譲しよう!」などと言い出すのである。

日本の政治家や高級官僚までがそうだから余計に始末が悪い。

なぜEUが出来たのかが正しく理解できていれば、そのような誤解は起こらないはずである。

そこで今回は、EUが出来た歴史的経緯を振り返り、その意味について述べたい。

 なぜEUが生まれたのかを述べる前に、どうして第二次世界大戦が起こったのかについて要点をかいつまんで述べる。

EUは第二次大戦が起こったから生まれたのであって、多くの日本人がEUの本当の姿を正しく理解できないのは、高級官僚・政治家のような”エリート”を含めて、どうして第二次大戦が起こったのか、その歴史を正しく学んでいないからだと言って間違いない。

「そんなこと言われなくても知ってる。悪い侵略者の日本やドイツを、正義の味方のアメリカやイギリス・ソ連がやっつけたんだろう」という人がたくさんいるのだろうが、それは動かされる人間が学ばされる歴史であって、世界を動かす方の人間が学んでいる歴史とは違う。

なお以下に述べることは、60年前の恨みを今思い出して、将来の日本外交を決定するために書かれたのでは無いのであって、感情と外交政策を分けて考えるという正しい外交への心構えが準備できていない人は読むべきではない。

 第二次世界大戦の直接のきっかけは1929年の世界恐慌にある。

この未曾有の世界同時大不況に対する、英・仏・米といった当時の超大国の経済政策が大失敗に終わったことが第二次大戦勃発の大きな原因の一つとなった。

英・仏・米は、自国とその植民地や経済的従属国との間で排他的な関税同盟(ブロック経済圏)を結成し、外国からの輸入品をシャットアウトする露骨な保護貿易政策に転換、金本位制から離脱して事実上の自国通貨切り下げ合戦をはじめた。(通貨の切り下げは自国の輸出品の値下げ・競争力強化を意味する)

いわゆる”近隣窮乏化政策”である。(今の中国がやっている通貨・貿易政策がこれ)

なんとか独立を維持している国(中南米諸国など)や植民地にさせられた国(アジア・アフリカの大部分)を犠牲にすることで、英・仏・米だけが助かろうとしたわけだ。

 そこで微妙な立場におかれたのが、日本やドイツ・イタリアなど、英・米・仏などの超大国にある程度対抗できるだけの軍事力と少々の”植民地”を持つ国々である。

これらの国々も、超大国による近隣窮乏化政策によって大打撃を受けたが、幸か不幸かそうした苦境を打破するための力があったし、苦境を甘受するつもりもなかった。

そこでこれらの国々も超大国のように”自分だけの通商圏”を獲得するため、イタリアはエチオピア、ドイツは東欧諸国、日本は中国へと乗り出していく(なぜなら超大国が植民地としてツバをつけていないのは、そこしか無かったから)が、英・仏・米はそれを阻止しようとして第二次世界大戦が勃発することになる。

(だから日・独・伊が100%正しかったと言っているわけではない)

戦争はアメリカの勝利に終わるが、少なくとも英・仏は自分たちの広大な植民地を自由にしてやろうなんていう気はサラサラ無かった。

だが戦前の英・米が日本の戦力を読み違え、あまりにも過小評価していたため、アジア植民地に独立のきっかけを与えてしまう。

アジアに戻ってきたフランス軍は、ホー・チミン率いるベトナム独立同盟軍との戦いに敗れ、インドネシアに戻ってきたオランダ軍は、スカルノ率いる独立勢力に敗北を喫してアジアから追い出された。

植民地独立の波は、アジアからアフリカ・カリブ海地域など第三世界へとどんどん広がっていく。

 第二次大戦後すぐにイギリスも動いた。

タフ・ネゴシエーターであるジョン・メイナード・ケインズをアメリカとの外交交渉に送り、イギリス本国と植民地・自治領でつくる排他的関税同盟の存続を容認するようアメリカに要請した。

また、ポンドが世界基軸通貨の地位から滑り落ちるのはやむをえないものとして、新しい基軸通貨”バンコール”をつくり、それを管理するための国際機関創設を提案した。

しかし、アメリカ代表のハリー・デクスター・ホワイト(ソ連のスパイとしても有名)はこれを一蹴。

アメリカは、GATT(当初はITOを創設しようとして失敗。GATTはのちにWTOに発展的解消)を軸に、世界に自由貿易体制を構築すること

(もちろん超大国の厳しい保護貿易政策が世界大戦の原因となったからであるが、これでアメリカも、英・仏植民地市場に手を突っ込むことができる)

金1オンス35ドルで交換できるアメリカ・ドルを新たな基軸通貨に

基軸通貨ドルと各国通貨とを固定相場制にして戦前のような通貨切り下げ合戦を防止し、ドルを基軸とする固定相場維持のため、短期の市場介入資金を各国に融資するIMFと、より長期の資金を融資する世界銀行を創設することで押し切った。

(いわゆるブレトンウッズ体制の確立)

こうして、戦争に勝ったはずの英・仏ヨーロッパ超大国は、世界中に保有していた広大な植民地をほとんど失い、ポンドは世界基軸通貨の地位から転落した。

世界経済の中心は名実ともにロンドンのロンバート街からニューヨークのウォール街へと移ったのである。

 チャーチルは戦争が終わるとまもなく、もはやドイツへの恨みは無くなったと言って、英仏がドイツを取りこむ形で結成するヨーロッパ合衆国構想を表明する。

これが世界を動かす方の人間が学ぶ歴史である。

 第二次世界大戦がなぜ起こって、それがどういう結末を迎えたかを正しく理解できていなければ、チャーチルの言葉が持つ意味も、EUがどうして誕生したのかも理解できるはずがない。

そして怪しげな陰謀論に惑わされることも無いだろう。


次回へつづく

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この記事に対するコメント

ASEANもEUも元々は軍事同盟の延長線から発展した考え方である。(と、言うと左翼は反論出来ないんだよね。)
ASEANは支那共産党を、EUはソ連を警戒した西側防衛網である。
よって仮想敵に対する情報の共有をするのが望ましいとされたのが事の始まりだろう。
それを経済の分野にも適用させてみようとして、試行錯誤を加えただけなのだ。(結果的に成果はあったみたいだが、弊害もあるみたいだ。)
つまり、それは副次的効果にしかならない。
日本国の中にはその副次的効果を主目的と誤解しているから支那への主権移譲を平気で実行しようとするのだろう。
主目的が軍事同盟に有るかぎり南鮮、北鮮、支那(ロシア?)と日本が共通の仮想敵を共有せねばならず、あるとするなら米国以外に無い。
だが、現実は支那、南鮮、北鮮、日本共に対米強硬路線を取っていないので、いわゆる東アジア共同体なんてものは不要どころか害悪でしかない。
ただ、東アジア共同体導入にも数少ない利点がある。彼らの反日活動が無くなることだ。(反日が銭にならなくなるから)
しかし、その代償として日本の経済力は支那に抜かれ南鮮と肩を並べるレベルにまで後退しているだろう。
本来なら、東アジア共同体論を言いだすのは特ア側であり、日本側は提案なんてしない。
それよりも私の説によれば成立すらしないだろう。

  • 投稿者: 馬鹿陽区
  • 2008/03/04(火) 02:32:00
  • [編集]

無理な話です。

中国が覇者としての資質を持っていれば可能な話ですが、現在の中国にそれを期待するのは無理があります。
形だけの中華思想を持つ中国は単なる拡大主義であり、自国の利益を優先するようではありえない。

私が思うところの覇者とは、自国の利益でなく大儀によって行動し、仲介・救援など他国の紛争に介入するもの。
自己の利益のみで行動するようでは中国にその資質はない。自己主張できない日本にもその資質を持たない。その他の国では国力的に問題がある。

EUのような統合を望むなら、
東アジアの国力のバランスが取れるまでアジア通貨の話をしてはしてはならない。

  • 投稿者: donnat
  • 2008/03/04(火) 11:25:44
  • [編集]

誰が得をするのか

 最近鉄鋼石を、ブラジルとオーストラリアの会社が、グルになって70%も、値上げしようとしています。
 石油も小麦も鉄鋼石も、バイオエタノールだ中国が買うからだと、訳知り顔で評論家は言っているが、WTOがあるのに、何かおかしい。アメリカが損に成るか、得に成るかを考えると、アメリカが得に成るものが、上がっているように見える。

  • 投稿者: 八目山人
  • 2008/03/04(火) 12:04:52
  • [編集]

ちゃんちゃらおかしい

よしんば日独伊が正義でないにしても、連合国の側が正義だなんてちゃんちゃらおかしいですね。
ソ連はいわずもがなだし、それ以外だって、枢軸国の植民地はファシズムからの解放なんぞと詭弁を弄して取り上げるのみで、自身の植民地ははなっから、それとは別だとして、後々の独立運動のためにいやいや独立させてやったに過ぎない。
アメリカにいたっては、かつて、ドイツがイラク戦争に非協力なのに怒って、「ナチスから解放してやったのに恩知らず」と言う風に非難したのには腹が立ちました。イタリアに比べれば、ドイツに対してはドイツ人はどいつももこいつもナチ野郎と強い敵意を持っていたくせに、何が解放だ!早い話が、親米的でない強大国を叩き潰して、「オレ・イズ・ナンバーワン」を突き進みたかっただけじゃないですか。

  • 投稿者: DUCE
  • 2008/03/04(火) 21:20:15
  • [編集]

馬鹿陽区さん

>本来なら、東アジア共同体論を言いだすのは特ア側であり、日本側は提案なんてしない。

日本側で東アジア共同体結成を主張してる人の中に、特ア側が送り込んだトロイの木馬がいるのではないでしょうか。

>それよりも私の説によれば成立すらしないだろう。

このあたりは次回述べたいと思います。


donnatさん

>EUのような統合を望むなら、
東アジアの国力のバランスが取れるまでアジア通貨の話をしてはしてはならない。

ここ百数十年間における日本の悩みは、日本だけが突出して発展していて、その周囲は政治・社会・大衆の成熟がずっと遅れているということでしょう。


八目山人さん

鉄鉱石に関してはBHPとかリオ・ティントとかバーレといった資源会社が強気に出ているからでしょう。

バーレはともかく、前者二つは英豪系です。

穀物生産はアメリカが強いですし、石油も含めてコモディティ市場には国際金融資本のカネが殺到しているせいもあります。

このあたりはアメリカ有利かもしれません。


DUCEさん

第二次大戦は直接的には、欧州においてイギリスが伝統的な勢力均衡外交をしくじったことで勃発し、その失敗の尻拭いのためにイギリスがアメリカを戦争に引きこもうとし、そのダシとして日本が使われた。

それを中国とソ連が後押ししたというところだと思います。

まんまとハメられた日本もうかつだったわけですが、そうした真実の歴史を隠すためにつくられたのが、正義の米英ソ中VS悪の日独伊という子供だましのストーリーで、日本を破壊したい韓国・北朝鮮ら特ア勢と国内左翼がのっかったということでしょう。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2008/03/04(火) 23:20:10
  • [編集]

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