- | HOME |
官憲横暴?
- 2007/12/08(土) 01:33:37
堀部政男・一橋大名誉教授が座長をつとめる、総務省の”通信・放送の総合的な法体系に関する研究会”は、6日最終報告書をまとめた。
そこでは、特別な社会的影響力をもつインターネット・コンテンツのうち、政治的公平性・善良な風俗・報道の正確性などの基準に違反したものについて、TV局同様に規制することを提言している。
参考記事
総務省資料(PDFです)
総務省はこの最終報告を受けて、放送・電波・ネット関連の法を一本化した、”情報通信法”(仮)を2010年の通常国会に提出する方針をかためた。
総務省の研究会が出した最終報告は、ネット・コンテンツのような「放送に類比可能なメディア」が「特別な社会的影響力をもつ」場合、TV放送と同様の規制を受けるべきだと言っている。
「特別な社会的影響力」の基準はどうなっているのかと思って総務省の資料を読んでみると、アクセスの容易性や視聴者数・有料か無料かなどと書いてある。
TV放送と比べるとまだまだかもしれないが、ブログを含むインターネット・コンテンツが将来的にTV放送に類比可能な社会的影響力をもつかもしれないし、”ニコニコ動画”などは、すでにTV並の影響力を持ちはじめているのかもしれない。
人気ブログなどは1日で数万の読者が訪れるし、へたな地方新聞やケーブルTVよりよっぽど社会的影響力があるのではないだろうか。 最近のブログはPCのみならず携帯からも読めるようになっていて、アクセスが非常に容易になった。
当ブログにも携帯を利用してアクセスしている読者さんがいる。
総務省の最終報告では、しきりに言論・表現の自由がうたわれているが、視聴者数やアクセスの容易性という規制基準を拡大解釈していけば、「社会的に影響力のある」ブログの記事やネット上にアップされた動画が、政治的に公平でないと判定されて、政府からネット・コンテンツの管理人に削除命令が下される危険性があり、たいへん忌々しきことだと言わざるを得ない。
政治的公平性も何も、人間がどういう政治思想を持ち、どの政党を支持し、それをネットなどを使ってどう表現するかは、国家が当然保障するべき基本的人権である。
ある人・団体が特定の政党を支持する記事をネット上にアップすれば、その記事が政治的に偏向しているのは当たり前のことで、それを政府・総務省が規制すると言うのであれば大反対だ。
個人情報をばらしてしまったり違法行為に手を貸すといった、ネット上の有害コンテンツへの規制や罰が必要なのは当然だが、政府・総務省がネット言論に”政治的公平性”を押し付けるのは、有害コンテンツ規制うんぬんとまったく関係が無い話である。
「有害情報の規制・排除」のドサクサにまぎれて総務省は何をやろうとしているのか?
さらに言えば、すっかり形骸化していっこうに守られない放送法とNHKを含む放送局にこそ深刻な問題がある。
放送法の第三条にはこうある。
第三条の二 放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
このうち、一番目はともかくとしても、二~四はNHKを含む各放送局はほとんど守っていないと言える。
「二.政治的公平性」については、放送法に遠慮してどこか一つの党を100%支持することこそしないが、おのおのの放送局が、どの党に対してネガティブな報道を集中させているかを見てみれば、政治的に偏向しているのは明らかである。
TBS系とテレビ朝日系は、民主党や共産・社民など左翼政党、日本テレビ系も、最近になって民主党支持に左旋回している。フジテレビは、安倍自民党に好意的だったように思える。
夏の参院選の報道特集番組で、安倍さんが各局に出演して敗戦の弁を述べた。
私は、各局の番組をザッピングして見ていたが、TBS系と日本テレビ系の番組の安倍さんに対する姿勢は、とても政治的に公平とは思えなかった。
録画を持っている人がいるなら確認してみて欲しいが、TBS系と日本テレビ系のアナウンサーや解説者は、不気味な薄ら笑いを浮かべて、「辞任しないんですか?それでも辞任しないんですか?本当に辞任しないんですか?」とクドイぐらいに安倍さんに詰め寄っていた。
まるで悪魔に囲まれた安倍さんが、たった一人で地獄の裁判を受けている様で、TBS系と日テレ系のアナウンサー・解説者たちの気味悪い表情を見ると、人間あそこまで浅ましい顔ができるのかと驚いた。
テレビ朝日系は、古舘アナに代わって田原総一朗氏が質問したので特別、異常な感じはしなかったし、フジ系列も普通の報道番組だったから、TBS系と日テレ系の異常さが余計きわだっていた。
外国の政治問題に対する公平性についても、NHKの”Nスペ”などを見ていると、明確にアンチ・アメリカ、親中国といった姿勢が近年ありありとうかがえる。
”激流中国”などは、その例外かもしれないが、本来なら事実を曲げず不偏不党を守らなくてはいけない公共放送として、当たり前のことではないだろうか。
NHKラジオなんか、ひどいもので、キューバの左翼独裁者カストロを絶賛する人間にえんえんとしゃべらせる番組を流していて、ひっくり返ったことがある。
他の民放も、多かれ少なかれアンチアメリカ・親中国的な傾向が強い
「三.報道は事実を曲げないこと」も一向に守られていない。
2006年6月29日に放送されたTBS系”筑紫哲也ニュース23”という番組で、アメリカ下院国際関係委員長のヘンリー・ハイド議員が「(小泉首相の靖国神社)参拝に強く反対しているわけではない」という発言を、「行くべきでないと強く思っている」とテロップをつけて報道したことがあったし、
2003年11月2日放送のTBS系”サンデーモーニング”では、石原都知事の「日韓合併を100%正当化するつもりはない」という発言を「日韓合併を100%正当化するつもりだ」というテロップ入りで放送した。
(これを聞き間違い・単純なミスとするには無理がありすぎる。そもそも「○○を100%正当化しない」という使い方は日本語にあるが、わざわざ”100%”つけて「正当化する」という使い方はしない。TBSの人間は日本語・英語が不自由なのか?)
関連サイト
「四.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする」についても守られているか大変疑問だ。
南京問題や慰安婦問題、沖縄集団自決問題も、意見が激しく対立している問題だが、各放送局は、賛成派・反対派の主張を公平に同じ時間だけとりあげ、多くの角度から論点を明らかにしているだろうか。疑問と言わざるを得ない。
政治的公平性を義務付けた放送法を無視し、視聴者にたいし、さも中立公平さを装って、堂々と政治的偏向番組を垂れ流しているのだから、日本の各放送局は悪質きわまりない。
放送関係者の中には、「俺様が日本の政治を変えてやる」という傲慢な意識がミエミエの人物もいる。
にもかかわらず、こうしたTV局の違法行為は「報道の自由」の名の元に、事実上野放しになっている。
日本のTV関係者は、報道の自由という権利を要求することだけは一生懸命だが、政治的公平中立さを守るという義務を果たすことをないがしろにしている。
どうせ各TV局が、こうした放送法の決まりを守らないのだったら、少なくともNHKをのぞくTV局に政治偏向だけは認めて、交換条件として、ニュースや政治ワイドショー番組に「当番組は○×党支持です。ニュースはそうした方向に偏向している可能性があります」と視聴者にハッキリと表明することを義務付けたらどうだろうか?
例えば、TBS系”筑紫哲也ニュース23”や古舘伊知郎ニュースステーションの放送中は常に、画面左上にでも「当番組は民主党・共産党支持です。ニュースはそうした方向に偏向している可能性があります」というテロップを表示することを義務付けるわけである。
こうすれば、視聴者が「ああ、このTV局の番組は○×党を応援しているんだな」と理解でき、政治的偏向報道や事実を歪曲した報道の被害にあうのを避けることができ、なおかつチャンネル選びの参考になることだろう。
○×党支持というテロップを出したくないのなら、TV局は政治的公平性を遵守すべきだし、政府はTV局に放送法を厳格に守らせ、違反したものには厳罰を与えるべきである。
これに関連して、自民・公明・民主など与野党による放送法改正案の共同修正案が6日、衆院総務委員会で可決したが、捏造番組を垂れ流した放送局への行政処分規定が削除されるなど、権利は要求するが義務は果たさないTV局側に大甘な内容へと骨抜きにされてしまった。
参考記事
その代わりに”放送倫理・番組向上機構(BPO)”に放送局のお目付け役をやらせることが定められたが、BPO自体、TV局側の人間が入っていて、いわばTV局の身内なのだから、身内たるTV局に厳しい処罰を下せるわけなかろう。
犯罪容疑者の家族を裁判官にすえるようなものだ。
これでは、今まで一向に放送法第三条を守ろうとしない放送局の姿勢が変わるとは、とても思えない。
報道の自由の名の元に、「政治偏向の自由」「事実歪曲の自由」「意見が対立している問題を一面だけから報道する自由」がまかり通ってしまう。
この修正案では、安倍政権が拉致問題を重点的にNHKの国際放送で流すよう要請してもめた事件を受けて、政府がNHKに放送を要請する場合、「NHKの放送番組の編集の自由に配慮しなければならない」という条文が加えられた。
NHKは、利潤のことも考えなければならない民放と違う公共放送として、拉致問題のような、たとえスポンサーがつかずお金にならなくとも、公共性が高く国益上重要な番組をつくり放送する義務があると思う。
拉致問題は、あったかなかったか意見が分かれている歴史上の事件ではない。
現在進行中の重大なテロ行為である。
だからこそ、NHKはなかば強制的に国民からお金を取って運営することが認められているのであり、それが嫌というなら、国民から強制的に視聴料を取るべきではない。
国民がNHKを見るか見ないか、視聴料を払うか払わないかの選択の自由を与えるべきだし、払わない人のTVにスクランブルをかけるか、いっそのこと民放同様コマーシャルを流して、完全無料化すれば良い。
国民から強制的にカネは取るは、公共放送としての義務は果たさないはなんて、NHKに許されることではない。
安倍政権が倒れて以降、民主の人権侵害救済法案や、自民の人権擁護法案といったゾンビがうごめきだしたと思ったら、こんどは”情報通信法”(仮)で「ネット言論は政治に意見するな」とでも言うのだろうか?
総務省と言えば、戦前の内務省にあたると思うのだが、今さら言論統制・思想統制でもするつもりだろうか?
そういえば現在の総務省は、自治省と統合したはずだ。
”情報通信法”(仮)の成立で「安易な中央から地方への権限委譲反対」「外国人への地方参政権反対」「自治労は年金問題のA級戦犯」「地方公務員の削減で財政健全化を!」みたいな、「政治的に偏向したネットの声」はどうなるんでしょうね、自治省さんじゃなかった、総務省さん。

↑政府によるネット言論への「政治的中立」押し付けに反対という方は強力にポチッとしてください↓
人気blogランキング
関連記事・民主党が政権を取るとどうなる?(その3)
関連記事・第四の権力のおそろしい腐敗
関連記事・民主党が政権を取るとどうなる?(その2)
この記事に対するトラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
コンテンツ規制 「舶来信仰」から脱却を
総務省の研究会がとりまとめた最終報告書のコンテンツ規制部分と他の部分を読み比べると、いかに思考停止に陥っているかが分かります。いい加減、コンテンツ規制の「舶来信仰」から脱却するべきです。
- From: 匿名希望の時事ブログ |
- 2007/12/10(月) 00:11:40
この記事にコメントする
- | HOME |
この記事に対するコメント
BPOのように、ランキング上位ブログ有志による倫理委員会などを作ればどうでしょう?
自称知識人による暴言等を取り締まる事が可能ですし、有名ブログに対する他ブログの暴言なども防げます。
基本的に上位ブログの常連は読者から支持されている方々ですし、当然ネットである程度の知名度があるわけで問題行動を起こせばネットの特性上すぐに広まります。
BPOなどよりよっぽど公平性の高い規制が可能となると思うのですが、いかがでしょう?
……まあ、自分から動けないつまらない人間の、単なる独り言なんですけどね。
放送法を守りもせんでネット規制とは喜劇だ!
クロフネ様、こんにちは!永らく体調を崩しておりまして、久々にコメント付けさせて頂きます。
「特別な社会的影響力をもつインターネット・コンテンツのうち、政治的公平性・善良な風俗・報道の正確性などの基準に違反したものについて、TV局同様に規制すること」って、テレビはそんなに公正な報道をしているんでしょうか?まるで、大勲位・ナベツネ・氏家あたりの影が見え隠れするようです。
安倍内閣で折角、放送局への行政処分が盛り込まれた“放送法改正案”が提出されたと喜ばしく思っていたのも束の間、ソラマメに似た顔の媚中オジさんが政権を取った途端、このザマですからね。そもそも、自分達の情報操作が以前のように上手く行かなくなったからといって、リベラル系政治家や言論人の間ではネット層を敵視する風潮がありますが、
何かと言うと「報道の自由への侵害」を錦の御旗の如く振りかざすような連中に、ネット規制を口にする資格はありません。(これらの勢力が働きかけたのは、ほぼ間違い無いでしょうが・・・)それとも、国内が巨大なイントラネット状態の中共のような姿が、連中にとっては望ましいんでしょうかねぇ?・・・
NHKも中共マンセー報道を垂れ流すならば、同じ位の割合で中共のチベットや東トルキスタン、内モンゴルへの弾圧と搾取の実態を報道し続けるべきでしょうね。中共はタクラマカン砂漠での核実験の周辺影響を一切、認めていません。東トルキスタンでは放射能被害に苦しむ貧困層が国からの医療援助もないまま、高額な医療費を負担出来ない状況でただ、死を待つのみです。これらの現実を、詳細に報道する事こそ、公共放送の使命ではないでしょうか?日中記者交換協定の前に、産経等一部を除く多くのマスコミが、中国側にとって都合のよい報道しか出来ない現実こそ、何とかすべきだと思うのですが。
通りすがりの軍オタ さん
>BPOのように、ランキング上位ブログ有志による倫理委員会などを作ればどうでしょう?
つまり人気ブログ管理人有志が、TVの政治的偏向をチェックするということですか?
政府が具体的な権限を管理人有志に与えるなら機能しそうですが、政府がそれを許すかどうか...
本来ならばBPOを、本当の意味で公平中立な組織にして、違反者に厳罰が下せるよう、ある程度の力を与えるべきでしょう。
特亜消尽さん
メディア既得権層からすれば、ネット言論は目障りということなんでしょうか。
一郎太さん
お体はもう大丈夫なのですか。くれぐれも無理をなさらずご自愛ください。
>安倍内閣で折角、放送局への行政処分が盛り込まれた“放送法改正案”が提出されたと喜ばしく思っていたのも束の間、ソラマメに似た顔の媚中オジさんが政権を取った途端、このザマですからね。
沖縄集団自決と教科書検定、北による日本人拉致・殺害、中国による東シナ海のガス吸い取り、増税による大きな政府復活、人権擁護法案、地方自治における外国人参政権付与、そして今回の情報通信法の問題と、安倍政権が守ってきたものが次々と崩壊していくように思えます。
日本のネット界に自由を奪う”万里の長城”を築き、中国のような全体主義国家としたい連中がいるのかもしれません。
お久しぶりです。
歴史上良くあることではありますね。
失政→世論の反発→言論統制
とここまではスンナリ続くんですがその後が・・・
言論統制→不満の爆発→民衆の蜂起ってパターンが多い事多い事(笑)
せめてガス抜きの為の抱き合わせの飴を用意するべきだと思うんですけどね。人は不満があれば根本から取り除こうとする者よりも呑み屋でこき下ろす者が多い現実を今のお偉いさんは知らないのでしょうか?
今後の推移がある意味楽しみではありますけどね。
>つまり人気ブログ管理人有志が、TVの政治的偏向をチェックするということですか?
そうではなく、ネットが規制されることになった場合の話です。
TV自体が身内での規制でOKになっている以上、人気ブログ側がブログの規制を行えばいいという事です。
少なくとも、表現の自由を逸脱した過激な発言や、人権侵害を行うブログなどをネットの常識の範囲内で取り締まる事が出来るのではないか、と言う事ですね。
少なくとも、TVがその程度で許可されているわけですから、ブログ有志による自主規制が駄目という構図は成り立ちませんし、不許可になればBPOの存在も不許可にすべきという理屈が出来ます。
産経の阿比留記者のブログと被りますが、マスゴミって『反権力姿勢こそメディアの本来の姿、政府側に立つのは恥』って思い込みがあるんですかねぇ。参院選前、安倍さん寄りのコメントをした田原総一郎を叩いてたくらいだし。
こいつらのやってる事はただの倒閣運動じゃないか。反権力と言っても中身はアンチ保守、反白人、反資本主義、親リベラル・サヨクの布教に過ぎない。同じ事は反米エセ保守にも言える事だけど。
住民ピエール さん
>言論統制→不満の爆発→民衆の蜂起ってパターンが多い事多い事(笑)
こちらこそご無沙汰しておりました。
こんなこと言うと怒られると思いますが、昔は米騒動やら打ち壊しやら、あったのですから、官憲横暴に対し、少しは国民も暴れたら良いのですよ。
通りすがりの軍オタ さん
>TV自体が身内での規制でOKになっている以上、人気ブログ側がブログの規制を行えばいいという事です。
なるほど、おっしゃることがようやく理解できました。
人気ブロガーさんも、日々の更新で「いっぱいいっぱい」ではないかと...
どこかから給料が出て、ブロガーがネット言論の監視に専念できるとなれば話は違ってくると思われます。
MOCHAさん
>マスゴミって『反権力姿勢こそメディアの本来の姿、政府側に立つのは恥』って思い込みがあるんですかねぇ。
それは充分あると思います。
「国家権力は自動的に悪」というのが、サヨク教の重要な教義ですし、そう信じるのが「進歩的」で「カッコイイ」と思っているでしょうから。
是々非々という考え方はできないのでしょう。