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攘夷派VS開国派

  • 2007/10/27(土) 01:24:07

 私は、日本の文化が好きだし、当然誇りを持っている。

だが、世界情勢にアンテナをはり、外国の良いところを日本に取り入れることが恥ずかしいことだとは思わない。

しかし、間違った方向へ愛国心を発揮し、敵性用語がどうの言いながら、ブラジャーを”乳バンド”と言いかえるような人がいるのも事実である。

 さて、日本の歴史、特に近・現代史を振り返ってみると、自分達がこもっているタコツボの内側でしか通用しないようなデンパに近い感情論・観念論で、日本を動かそうとする人たち(とりあえず攘夷派と呼んでおく)と、

ある程度日本の外側で起こっていることが理解できていて、外の情報もとりいれながら現実的な方策によって日本を動かそうとする人たち(こっちは開国派と呼んでおく)との争いという一面が見えてくる。

 19世紀、欧米帝国主義列強によるアジア侵略の波が日本にも押し寄せた。

江戸時代の日本は長らく鎖国を国是としてきたが、薩英戦争や下関戦争の敗戦によって、軍事力で欧米列強を追い払い鎖国を維持する、いわゆる”攘夷”がとうてい不可能なことがわかると、薩摩や長州・土佐などを中心に開国派が増え、彼らの影響力が強くなっていた。

それが明治維新につながり、開国して欧米文明を積極的に取り入れることで経済力をつけ、外国の侵略から国を守れるだけの軍事力を養おうとする、富国強兵策となって実現した。

開国派による富国強兵策の正しさは、日本よりも国家予算や兵力・戦艦の数で上回るロシアとの戦い、つまり日露戦争における”勝利”によって証明された。

第一ラウンドは開国派の勝利と言えよう。


 だが、日露戦争の9年後に起こった、第一次世界大戦が日本に次の課題をつきつけた。

第一次世界大戦は、それまでの戦争とは一変し、軍事力・経済力・科学技術力など国家のあらゆる資源をつぎこむ、総力戦・科学戦となった。

近代化に成功したとはいえ、列強の中では経済的に貧しく科学技術力のすそ野も狭い日本は、第一次大戦のような総力戦にとても対応できる状態とはいえなかった。

日本の軍部でも当然危機意識が生まれてくる。

そこで出てきた考えが、軍でリストラを行い、人員を削減して浮いた予算で性能の高い兵器を装備して、量から質への転換をはかり、日本の持つ軍事力・経済力・外交力・資源を総力戦のために戦略的に集中できる体制をつくろうというものであった。

観戦武官として史上初の総力戦である第一次世界大戦をつぶさに見てきた永田鉄山を陸軍省動員課長に据えた宇垣一成陸軍大臣は、陸軍の4個師団・約9万人の兵力削減を断行した。

 このリストラ(宇垣軍縮)は当然の事ながら、師団が消滅した分だけ軍人官僚の昇進ポストの削減を意味した。 

これを快く思わない一派、いわゆる皇道派は、日露戦争期の軍を理想化し、早くその状態に復帰させることを望んだ。

そして、宇垣陸相ら”軍閥”など”君側の奸”を討ち、天皇親政を実現すべし、そのためには勝算を度外視してもクーデタやテロのような猪突猛進策をいとわず、やった後どうするか具対策もはっきりしないという、極めて感情的・観念論的な考えに取りつかれていた。

そもそも彼らに世界全体を見渡して、日本の国家戦略を策定するといったようなことは期待すべくもなかったように思う。

 荒木貞夫・真崎甚三郎らが皇道派の代表と言えるが、彼らに対して永田鉄山や東条英機らを統制派といった。だが、統制派は一つの派閥というよりは、「皇道派以外」と言えるのかもしれない。

この統制派(開国派)と皇道派(攘夷派)の争いは、実質的に後者の勝利に終わったように思える。

永田鉄山中将は、省内の自室に踏み込んできた皇道派の相沢三郎中佐に、軍刀で斬りつけられて殺されてしまった。

このテロで、統制派は回復不可能なダメージを負った。

2.26事件で皇道派は失脚するが、永田中将の後を継ぐ人間が日本には残っていなかった。残念ながら東条英機首相には、永田ほどの戦略構想力がなかったように思う。

その意味で、第二ラウンドは皇道派の辛勝だったと言えるのではないか。

 結局、日本が来るべき総力戦にどう対処するかという問題の解決は、永田がテロに倒れたことによって、中途半端になってしまった。

いかに総力戦への備えをするか、あるいは総力戦になる前に短期決戦で勝負をつけてしまうか、その問題がうやむやとなったまま、米英との総力戦にずるずると突入していき、生産力・補給能力の脆弱さから、日本は負けた。

統制派が当初抱いていた不安が現実となったと言えよう。

「能否ヲ超越シ、国運ヲ賭シテ断行スベシ」(やれるかどうかなんてぶっ飛ばせ、国の運命を賭けてやってみろ)という皇道派にありがちな精神論・観念論は、アメリカの総力戦・物量戦の前に敗れ去り、日本は現実から重い罰を受けた。

第二ラウンドでの攘夷派の勝利は、日本を敗北へと導いてしまった。

 戦後の日本は、アメリカによって自由主義陣営に組み込まれ、軍事や外交・諜報のような手の汚れる仕事はアメリカにやってもらい、日本は経済発展にだけ専念することになった。

「日本の外交は、対米・対韓・対中外交しかない」と言われるぐらいで、米・韓・中あるいはソ連からやってくる刺激に対して右往左往することが、日本外交のすべてだった。

だが、1980年代後半から90年代前半にかけて、日本が経済発展に専念した副産物としての政・官・財の癒着と数々の汚職事件、偏狭な民族主義にかられた中国や韓国の要求を受け入れて、ひたすら右往左往した結果としての外交の失態(教科書問題・慰安婦問題)など、戦後日本の矛盾が誰の目にも明らかとなる。

それが「失われた十年」だった。(実際、十年じゃ済まないかもしれない)

 戦後から50年近くたって、日本は新しい経済・社会システムを構築し、自分の頭で考えた外交を行い、手を汚してでも自分で情報を集め自分で国を守る必要が出てきた。

それを行おうとした開国派が、小泉政権であり安倍政権だったのではないだろうか。

しかし、攘夷派が強烈な反撃に出て、安倍政権は倒れた。

その攘夷派とは、国益より、自省の予算拡大と増税による大きな政府を優先させる官僚、公務員の組織票に支援された左翼政党、新規参入が困難で再販制度に守られた勝ち組の既得権益集団・マスコミ、ユダヤ陰謀論を固く信じる反米保守などがあげられる。

彼らは、国際情勢をしっかり把握したうえで日本の国家戦略を考えていたとはとうてい思えないし、自分がこもっているタコツボ内でしか通用しない感情論・観念論でしか動いてないと思う。

攘夷派は左右に関係無く、「小泉・安倍が戦争をおっぱじめる、ユダヤ・アメリカに日本を売り渡す」などと、感情論というかハッキリ言えばデンパを飛ばしていたことも共通している。

官からのスキャンダル情報リークとそれを取り上げるマスコミの共闘クーデタが、安倍政権崩壊の原因だとすれば、平成の官僚は皇道派の軍人官僚たちと同じ失敗を繰り返したと後世の歴史家は記すのではないか。

第二ラウンドの攘夷派の勝利は、日本を亡国に追い込んだ。

第三ラウンドは、第二ラウンドに続いて攘夷派の勝利に終わってしまうのだろうか。 


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福田は思いっきりクロフネさんのおっしゃる攘夷派ですね。

  • 投稿者: 右ですが
  • 2007/10/27(土) 02:52:57
  • [編集]

言わんとすることは、良くわかった。
にしても、皇道派はなんつーか今思い起こせば左翼思想全開だった。
いわば軍の内部で左翼が形成され戦後左翼思想が生まれていった。庶民派左翼はまがいなりにも治安維持法で弾圧されてましたから、左翼の拡散は軍からと見てよい。
また、皇道派と言われてはいるが、革命を目指し、自分達の都合のよい政治をめざす姿はまるで紅道派のようである。
統制派とか言われていても、中には橋本欣五郎のようなど阿呆もいるので管理人さまの言う、皇道派とそれ以外という位置付けは納得する次第です。

  • 投稿者: 馬鹿陽区
  • 2007/10/27(土) 02:59:36
  • [編集]

攘夷派、開国派、第三区分

興味深い分類です。

情報があふれている現代社会に於いては、攘夷派、開国派も「過ぎる」事が多いように感じます。
情報の激流の中、しっかり軸足を据え、冷静なヴィジョンを提供する方々もいらっしゃるような気がします(便宜上第三区分とします)。
例を挙げれば感情的な表現が目立つNHKの地球温暖化報道について批判した金田一秀穂教授とか・・・。

ともすれば、浮世離れしているとマスコミや、それに付和雷同する両派の方々からは批判の的となる(あるいは「不思議ちゃん」として無視される)行動なのですが、必要な視点だと思います。

クロフネさんも第三区分のような気がしますが・・・。

  • 投稿者: クマのプータロー
  • 2007/10/27(土) 08:40:28
  • [編集]

なら、私も開国派でしょうか!

おもしろいたとえだと思いました。

たしかに吉田茂以下当時の内閣は占領下であっても開国派(上で述べられている)だったと思います。しかし、経済が発展していく過程で生まれた経済通の方々が譲位派(属国化を受け入れる。)になっていったようですね。
個人的には田中角栄時代がターニングポイントではないかと思います。

20年ほど前はアメリカの第X州はクェートが先か、日本が先かなどと言われた時代もありました。本気で考えていた官僚がいたのではないのでしょうか?

小泉総理が開国派というのは異論がありますが、安部総理は開国派なのは間違いありません。

同じ開国派でも方向性の違いはありますが、譲位派ではこの国が持たないということはいよいよ事実になってきました。

  • 投稿者: donnat
  • 2007/10/27(土) 11:39:26
  • [編集]

右ですが さん

福田政権がそれだと困ります。


馬鹿陽区さん

>また、皇道派と言われてはいるが、革命を目指し、自分達の都合のよい政治をめざす姿はまるで紅道派のようである。

そうだとすると、極右は容易に極左に転向するという説を裏付けるものになりそうです。


クマのプータロー さん

>クロフネさんも第三区分のような気がしますが・・・。

自分では客観的な判断ができないので、評価は読者さんにお任せします。


donnatさん

>しかし、経済が発展していく過程で生まれた経済通の方々が譲位派(属国化を受け入れる。)になっていったようですね。

敗戦から立ち直るには、あれしかなかったと思いますが、それがいつしかマニュアルとなって、現実と乖離してしまいました。

それではいけません。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2007/10/28(日) 00:39:04
  • [編集]

私は、大村益次郎という人物を強く尊敬しています。

和魂。大和魂。

開国なれど魂は一徹に譲らず。
いかなる国も侮らず、また侮られず。

でよいのではないかと思っています。

  • 投稿者: 三浦介
  • 2007/10/28(日) 10:07:36
  • [編集]

「攘夷派」にも困ったもんだ・・・

「特亜人」というだけで、「親日派」や「知日派」の人まで叩きのめしてしまう人々が、ネットの世界でも多々見受けられます。
好き好んで「反日派」を増やそうとしているようにしか見えません。
あるいは何か深い思惑があるのかも知れませんが、こういう人々も当然「攘夷派」でしょうね。

困ったもんだ。国益を台無しにしかねない不逞の輩です。
私たちは、常に冷静でいましょう。

  • 投稿者: xingfu
  • 2007/10/28(日) 20:04:41
  • [編集]

三浦介さん

>私は、大村益次郎という人物を強く尊敬しています。

日本軍の生みの親とでもいうべき人ですね。靖国にも像が立ってます。

ベースは大和魂で良いと思いますし、それを捨てる必要も無いでしょう。

しかし、海外の正確な情報を把握し、外国文化の良いところを取り入れることは悪いことではないと思います。

100%国粋主義か0%かというゼロサムでしかモノを考えられない頭が硬い人がいて困ります。


xingfuさん

>「特亜人」というだけで、「親日派」や「知日派」の人まで叩きのめしてしまう人々が、ネットの世界でも多々見受けられます。

特アは、日本人を取り込んでの分裂工作が得意ですよね。

日本も冷静になって、それくらいできないようでは...

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2007/10/28(日) 23:02:03
  • [編集]

いつも、拝見させてもらっています。
2chで見たこんなコピペを思い出しました。以下引用↓ 
朝日が日露戦争をマンセーした事をもって保守化したとか言ってる奴がいるが,日本の思想対立の構造が分かっていない.

 日本の対立構造は
・親大陸派=親アジア主義,親儒教,親社会主義,親官僚制(=中央集権) 親全体主義,親人治主義

・親英米派=親国際主義,親資本主義,親封建制(=地方分権),親自由主義,親立憲主義
なんだよ.

 親大陸派は,天皇制を認めるかどうかで国家社会主義(親ドイツ)か共産主義(親ソ連)に分かれ,親英米派は伝統の重視の度合いで保守主義と自由主義に分かれる.

 今風の言葉で言えば,反米保守は親大陸派で,親米保守は昔ながらの親英米派なんだよ.
 両者は戦後,反共産主義という一点で手を組んだ訳だが,元々は水と油.共産主義が崩壊した90年代以降,元の親大陸派vs親英米派の構図に戻っただけの話.
 戦前の革新官僚や軍部の中に,国家社会主義者に偽装した共産主義者が沢山いたってのは有名な話で,この両者は,天皇の扱いを除いては対立点はないから,転向は簡単.
 西部邁,小林よしのりも何度も転向してるでしょ.

 でも,親大陸派は絶対に親英米派にはなれない.逆もしかり.根本の思想が違う.

 で,日露戦争の評価について言えば,「白人に対する被支配者有色人種の勝利」と言う点を重視するのが親大陸派の特徴で,英米日の文明国が専制的(=アジア的)なツァーリのロシアに勝利したと言う点を重視するのが親英米派の特徴.
 当時の人々はどう思っていたかと言うと,圧倒的に後者が多いだろね.当時の一般の日本人は,文明の度合いを肌の色よりも重視していたから.

 このように考えると,朝日が日露戦争を賛美したのは何の不思議も無い.
 国家社会主義と共産主義の間は容易に転向できる.
 そのうち,大東亜戦争の「白人支配からの解放」という面について賞賛する日も近いだろうね.
 そして孫文のアジア主義の訴えだが,中国は伝統的に日本と英米との離間を企てるのに熱心で,孫文は日英同盟にも強硬に反対していた.今の中国の日米同盟反対と同じだな.
 これを東洋の王道だなんて感動してる奴は,馬鹿としか言いようが無い.

  • 投稿者: 音波
  • 2007/10/29(月) 00:43:09
  • [編集]

音波さん

非常にユニークかつ、鋭い分析です。

参考になりました。ご紹介ありがとうございます。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2007/10/30(火) 00:57:01
  • [編集]

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

  • 投稿者: -
  • 2007/10/30(火) 12:46:45
  • [編集]

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