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ロシア人との交渉(その2)

  • 2006/12/18(月) 12:40:56

前回のつづき

 恐れながら申し上げれば、前々回の記事に反論くださった方は、日本で生まれ育ちドップリと日本人的な考え方につかってしまって、ユーラシア大陸に広く存在する低信頼社会の人たちの考え方・価値観・交渉の仕方について知識を持たないのではないかと思われる。

(親米か反米かも含めて、このブログの論調が自分に合わないという方の多くは、そういう方ではないかと推測する)

管理人クロフネも生粋の日本人だが、何回か仕事の関係でロシア人と接触したことがある。

そのとき思ったのは、「ロシア人は同じ白人でもイギリスやドイツのような西欧人とは違う。むしろメンタル的には中国人やアラブ人のようなアジア人だ」ということ。

モンゴル人に支配された歴史もあるし、ロシア料理には中国起源のギョーザみたいな料理がある。(ペリメニといったか)

 ところで1976年に起こったベレンコ中尉亡命事件をご存知だろうか。

その年の9月、ベレンコ中尉操縦するソビエト極東軍のミグ25戦闘機が突如日本領空を侵犯し函館空港に強行着陸した事件だ。

ソ連は最高軍事機密が西側に漏れることを恐れ、当時の”最精鋭戦闘機”ミグ25とベレンコ中尉の即時返還を求めてきた。

ベレンコ機は日本の領空を侵犯したのだから、ミグ25を日本側が調査する権利は国際的な慣習として認められていた。ベレンコもアメリカへの亡命を求めていた。

しかし、日本国内は「ソ連の言う通りにしないと、核を持った強大なソ連軍が日本に攻めてくるかもしれない」と、マスコミ・国民も含めて右へ左への大騒ぎになったのである。

日本政府の内部でも、「指一本触れずにミグをソ連に返すべきだ」といった意見があったと聞く。

ミグ戦闘機の分解調査は国際慣習法的に日本に認められた権利であるが、相手も怒っているし”現実的な対応”を考えればソ連の言う通りにしたほうが良い、ということだろう。

いかにも日本人らしい考え方である。

だが、あるソ連政治の専門家(袴田茂樹氏だったか、あるいは木村汎氏かもしれない。間違っていたらゴメンナサイ )が、「ミグ戦闘機は日本が堂々と調査するべきだ。何故なら逆の立場だった場合、当然ロシア人は亡命してきた日本の戦闘機を分解調査するからだ。このことでソ連が激怒して日本を軍事侵攻するようなことは無い」といった趣旨の発言をしたという。

結局、ベレンコはアメリカへ亡命、ミグ25はアメリカ専門家を呼んで分解、日米共同で精密調査が行われた。

 しかし読者の皆さんが現在日本人として普通に生活しているとおり、日本はソ連軍の侵攻で滅亡ということにはならなかった。

精密調査のあとミグ25戦闘機はソ連側へ引き渡された。

ソ連の”ミスター・ニエット”ことグロムイコ外相は日本の小坂外相に、ミグを即時返還しなかったことに抗議した。

またアメリカに亡命したベレンコについては「彼がソ連からの亡命を望むはずがない。日本に薬をかがされて『アメリカに亡命したい』と言わされたのだ」
と日本側を非難していたが、日本側はミグの分解調査もベレンコの亡命も「国際法上認められた当然の措置」としてつっぱねた。

最後にグロムイコ・小坂両外相は、過熱報道に苦笑いしながら握手をして別れたという。現在に至っても、日露関係でベレンコ事件の後遺症など存在していない。

もし相手の言う通り、日本がミグ戦闘機に指一本触れずに返却していたら、ソ連はタテマエでは「日本はソ連の友好国だ」と褒め称え、それを聞いた日本人は額面どおり受け取って大喜びするのだろうが、

陰では「軍事機密を手に入れる千載一遇のチャンスをみすみす逃すなんて日本人はバカだな。日本はバカ国家だからもっとシメ上げて甘い蜜を吸ってやろう。 だまされるバカな日本人の方が悪い」と、ニヤッと笑ったことだろう。


それがバザール商人の考え方だからだ。

言霊文化を持つ日本人は相手の言うことをすぐに額面どおりに受け取ってしまう。

1000円という値札が貼ってあったら、モノの価値を考えずに何の疑問も無く財布から1000円だす国民だ。(関西は除いて)

しかも、短気で淡白・交渉の妥結を焦り、話し合いが決裂することを異常に恐れる。

相手の戦略を読まずに、こちらに都合の良いシナリオだけでロシアの出方を予測してしまうから、スターリンに裏切られた松岡外相のように、ロシア外交でいつも失敗する。

今回の北方領土二分論をたとえるなら、バザールで2000円の価値のカニが売っていたとする。それをロシア商人は言い値で「4000円だ」とふっかけてきたとしよう。 

それに対して客の日本人は「相場は2000円だし本当はそれが適正な値段だけれども、ロシア人は4000円と言い張ってきかない。2000円じゃ絶対無理だから間を取って3000円出そうじゃないか」というようなもの。

相手の言い分を丸のみした、こんな敗北主義じゃ、はじめからロシア商人の思惑にズッポリはまっている。

こういう場合はたとえ無理で非現実的だとわかっていても500円とか1000円といった買値をロシア商人に提示しなければならない。

そして相手が値段を下げてくるごとに、こちらの値段をちょっとづつ上げていく。

にもかかわらずロシア商人が「2300円以下じゃ絶対売らない」と言ってきたら、淡白で辛抱が無い日本人は焦って財布からお金を出すのだろうが、それではいけない。ここからが本番。

話合い原理主義の日本人は、話し合いが物別れに終わるのを極度に恐れるがそうではなく、「1700円じゃなきゃ絶対に買わない」と言って、それでもロシア商人が折れないなら敢えて一度店を出る。

そこでロシア商人が後から追いかけてきて「まあ怒るなよヤポンスキー、2000円でどうだ」と言ったら、ようやく交渉成立である。

バザール商人の場合、交渉が決裂して話し合いの場が壊れた後に出してくる条件が、ホンネであることが多い。

それまでは「言うだけならタダ。相手がOKしてくれたら儲けもの」とばかりに、いくらでも非現実的な値段をふっかけてくる。


言霊文化とは正反対である。

それをイチイチくそ真面目に、額面どおりに受けとめて短気に交渉成立を焦ってみたり、腹を立てていたんでは、バザール商人と交渉できない。

店を出た自分をロシア商人が追いかけてきてくれるかどうか、ロシア商人が提示するホンネの交換条件がどんなものになるかは、こちらの財布に入っている”カード”しだい。

だからロシアの指導者に北方四島と”交換”したくなるようなカードを持つために、日本自らが努力しなければならないし、カードを相手に持ちかけるための国際環境の構築が重要だと口を酸っぱくして言っているわけだ。

 二回にわたって見てきたように、たとえ北方領土を面積で二等分するという譲歩をしてロシアと平和条約を結んだとしても、それだけでロシアが喜んで日本と反中同盟を組むということは無いと思うし、それ自体バザール商人相手の交渉戦術として全く不適切である。

故郷である四島への帰還を心待ちにしている方々には申し訳ないけれども、この問題は50年とか100年スパンで解決策を練らなければならない問題で、今は問題解決のタイミングとしてふさわしくない。

ここ十数年の日本の対露外交がひどすぎた。(対中・対韓・対朝・対米みんなひどかったのだが)

今後ウラジオストクを中心とした沿海州からハバロフスク・イルクーツク州あたりの極東ロシアへの中国人の浸透拡散・経済的支配が強まり、これらの地域がロシア国内の”中国人自治共和国”化する可能性がある。

中国側の歴史教育では、サハリン(!)まで含めてこれらの地域はもともと清帝国の領土と教えられており、油田・炭田を抱えたロシア国内の”中国人自治共和国”が、中国への編入を求める動きがいずれ出てくるかもしれない。

ロシアと中国の対立が深刻化してからでも、北方領土問題の解決は遅くはないのではあるまいか。

旧島民の方で故郷への帰還を強く望む方には、ロシア施政下でも良いなら四島への帰還を認めたらどうだろう。 ロシア人のアジア人排斥運動が強まっているので、おすすめはできないのだが。

再三再四言っているように、新エネルギー源(メタンハイドレートでも良いから)を開発するような、交渉をロシアに持ちかける前の国際環境の構築・下準備も重要。

こうしたことの以前に、ロシア国民に北方領土問題やシベリア抑留問題についての正確な知識を伝える努力が、日本側に全く不足している。

淡白な日本人は、努力する前から北方領土の返還をあきらめているように見えて仕方が無い。

(麻生外相はその後、政府として北方四島・面積二等分論は検討していないと述べたことを付け加えておく)

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ペリメニ

ペリメニのソ連のポスターペリメニ(пельмени(ロシア語(単数形:пельмень))、пяльмен?(ベラルーシ語、pilm?n(n?r)/пилм?н(н?р)(タタール語))は、東欧の(主にロシア)国民的な料理であり、通常薄いパン生地で包み

  • From: みきのblog |
  • 2007/06/15(金) 12:19:45

この記事に対するコメント

クロフネさん、こんばんは。
北方領土には日帝に強制連行されたと称する在露朝鮮人が多数存在しているそうなのですが、北方領土が返還されたら、そのような者達が国内の反日勢力と結託したりするようなことはないのでしょうか?
エントリーと関係ない話題ですいません。

  • 投稿者: エトワ
  • 2006/12/18(月) 22:43:56
  • [編集]

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  • 投稿者: -
  • 2006/12/19(火) 08:02:37
  • [編集]

エトワ さん

>北方領土には日帝に強制連行されたと称する在露朝鮮人が多数存在しているそうなのですが、北方領土が返還されたら、そのような者達が国内の反日勢力と結託したりするようなことはないのでしょうか?

そのような話は知りませんでした。私の勉強不足ですね。

もしかしたら朝鮮人が多く住んでいる樺太から北方四島へ移住したのかもしれません。

しかし反日の朝鮮人がいたとしても、北方四島を放棄するわけにもいきませんから島と一緒に引き取るか、さもなくば返還時に希望者を樺太か半島へ送還するのも手かと。

参考記事です↓

http://gaikoanzenhosyo.blog4.fc2.com/blog-entry-271.html

http://gaikoanzenhosyo.blog4.fc2.com/blog-entry-276.html

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2006/12/19(火) 22:18:31
  • [編集]

日本の神社もぶっ壊す、朝鮮人(どこが共生できるんだ?こいつらと)。

【社会】 脱税目的で京都の神社を乗っ取り! 神社本庁が刑事告発…宮司を強迫、韓国人を新役員に、社務所や鳥居を撤去
http://news19.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1166513505/l50

 神社本庁の役員会が十二月七日に開かれ、平成十九年度一般会計予算大綱などが協議されたほか、
本庁業務検討委員会が提出した第一号報告書、京都府内の神社に関して公正証書原本不実記載罪で
刑事告発したことが報告された。
(中略)

★ 本庁が刑事告発
 報告事項では、京都舞鶴市内の神社において、宮司を強迫の上、代表役員変更登記が行われた
事件が発生したことから、神社本庁が刑事告発したことの説明があった。
 府神社庁の調査によれば、被告発人は「同神社の土地を買い取ったので、神社を潰す」などと
言って宮司を強迫。被告発人らが総代会を開き、韓国人三人を新役人に選任している。
 脱税を目的とした神社乗っ取りと見られ、十一月二十二日には、同神社の社務所・石鳥居が
撤去されたことが確認されている。

ソース(神社新報・画像):http://www.vipper.net/vip146262.jpg

神社新報社
http://www.jinja.co.jp/

神社本庁
http://www.jinjahoncho.or.jp/

  • 投稿者: 論論
  • 2006/12/19(火) 23:25:39
  • [編集]

なるほど

中露の間にくさびを打ち込む為にも、北方領土問題を解決して平和条約締結した方が良いかな?(根本的な部分で信用できないが…)と思っておりましたが、こりゃクロフネさんの見解が正しいですね。

領土問題で譲歩した上に中国の当て馬じゃ~、うかばれないですよね、日本。

まずは自分のスタンスをしっかり定め、相手の特性を理解するとゆう事ですね。

  • 投稿者: 暴君竜
  • 2006/12/21(木) 08:12:18
  • [編集]

暴君竜 さん

>まずは自分のスタンスをしっかり定め、相手の特性を理解するとゆう事ですね。

そこが重要ですね。 次に日本自身が強くなり有効な外交カードを持つというステップに進むことが必要だと思います。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2006/12/21(木) 21:23:38
  • [編集]

ミグ事件の後処理

ソ連は、引き渡しを強硬に申し入れ、それに同調する者(特に野党)も多数おりました。
が、その時ストップをかけたのは、当時ハト派と言われていた、坂田道太防衛庁長官でありました。

長官は直ちに外相(宮沢喜一氏)と打ち合わせた上、空幕長(角田氏)を呼び「この問題は日本独自で調査する。また同盟国であってもアメリカのいいなりにもならず、イニシアティヴを取るべし」と指示されたのです。

ミグはギャラクシーで函館から百里に運ばれ、完全に解体して調べ上げ、また元のように組立て直してソ連に返還されました。
これが真相です。
坂田氏の著書にも詳しく書かれておりますが、
「アメリカも、のどから手が出るほど、ミグの情報を欲しがっているからこそ、むざむざ引き渡してはならなかった」

ソ連の不当な要求をはねつけ、また同盟国といえどもいいなりにはならぬ。

長官がこのような信念を持ち、すみやかに実行されたことは、当時はかなり広く知られておりましたが。

  • 投稿者: 当時を知る者
  • 2007/08/27(月) 16:21:48
  • [編集]

ミグ事件の後処理 追記

書きたりなかった部分を追記します。

坂田道太防衛庁長官は
「作業は、たとえミグ屋(アメリカのミグ解体専門チーム)の手を借りることとなっても、イニシアティヴだけは、しっかり日本側で取るべし」と厳命なさったそうです。

ソ連の強硬な要求などは論外であったわけで、この素早く毅然とした対応は当時、識者の共感と称賛を呼び起こしたものです。

リンクは防衛白書より「第4章 ミグ25事件」
http://jda-clearing.jda.go.jp/hakusho_data/1977/w1977_04.html

  • 投稿者: 当時を知る者
  • 2007/08/27(月) 16:31:26
  • [編集]

当時を知る者さん

当時の詳しいお話をありがとうございます。

日本が、ミグをソ連の要求どおり返還せずに、しっかりと分解調査したことは大変よかったと思います。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2007/08/28(火) 01:05:23
  • [編集]

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