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指導者としての覚悟

  • 2006/04/26(水) 08:00:40

 中国との東シナ海ガス田問題や韓国との竹島海底調査問題など、日本の指導者の覚悟が試される事件が相次いでいる。

両事件の途中経過を見る限り、小泉首相をはじめとする政治家と二橋官房副長官や谷内外務次官など事務方(官僚)の双方に、国家を指導していくのに必要な覚悟というものがちゃんと備わっているのか、非常に心もとなく感じる。

 「政治とは結局、利害調整である」と大学時代の政治学の教授はおっしゃっていたが、「あちらを立てればこちらが立たず、こちらを立てればあちらが立たない」といった事は、政治ではよくある話だ。

知らず知らずのうちに、将棋で言えば「王手飛車取り」のような、どちらを選択しても犠牲を覚悟しなければならないという状況に、国家が追い込まれるといった事は、そう珍しいことではない。

国家の指導者にとって一番つらく難しい決断とは、「王手飛車取り」の”王”も”飛車”も、人の命がかかわっている場合に行う決断であろう。

 1977年にダッカ事件と呼ばれる大事件が発生した。

パリ発東京行の日航機が日本人極左テロリストにハイジャックされ、バングラデッシュの首都ダッカにある空港に着陸させられた。

極左テロリストは、刑務所に入っている仲間の釈放と15億円以上の身代金を要求した。

1972年のミュンヘン事件に代表されるように、当時の国際社会では「テロリストの要求に屈することは、さらなるテロを生む」という考えから、「テロリストの要求には応じず、特殊部隊による強行突入も辞さない」というのが常識となっていた。

 当時の首相は、福田康夫・元官房長官のお父様である福田赳夫氏であったが、福田首相は「人命は地球より重い」と述べて、”超法規的措置”として、獄中の極左テロリストを釈放し身代金支払いを決断。

「日本は家電や車のみならずテロまで輸出するのか」と国際社会から厳しい非難を浴びた。

残念ながら当時の福田首相には、指導者としての覚悟があったとは思えない。

 そして「テロリストの要求に屈することは、さらなるテロを生む」という言葉が現実となるのが、96年に起こったペルー日本大使公邸人質事件である。

ペルーの日本大使公邸を左翼テロリストであるツパク・アマル革命運動(MRTA)の武装メンバーが占拠し、500名近い人質をとって、仲間の刑務所からの釈放を要求した。

フジモリ・ペルー大統領はテロリストの要求をつっぱねて毅然とした姿勢をみせ、米・英・独などもこれを支持した。

しかし、当事者である日本の橋本首相は「人命最優先」を主張して、あくまでも話し合いによる平和的な解決をペルー政府に求めた。

「テロに屈するな」という欧米諸国と、「人命最優先」を主張するペルーの大口援助国である日本との板ばさみに、フジモリ大統領もかなり苦しんだことだろう。

事件の方は、フジモリ大統領がペルー特殊部隊を日本大使公邸に強行突入させて極左テロリストを射殺、ペルー人の人質1名と特殊部隊隊員2名に犠牲を出しながら、事件を解決させた。 日本人の人質は全員奇跡的に無事だった。

 フジモリ大統領は、「人命最優先」「平和的な解決」を求めていた日本に何も知らせず特殊部隊を突入させ、ペルー政府と極左テロリストとの話し合いによる「平和的な解決」を最後まで信じきっていた橋本首相と日本政府は予想を完全に裏切られ、赤っ恥をかいた。

大森義夫・元内閣情報調査室長によれば、MRTAは武力占拠の目標を当初から日本かスペインの公館にしぼっていたという。

つまりアメリカやフランス・ドイツなどの大使館を占拠すれば、各国が保有する特殊部隊が強行突入してくるのは目に見えているからそれらを避け、テロリストの要求をすぐ飲むと定評?のある、組しやすい日本が標的になったということだ。

ちなみに事件がおこった時、MRTAのメンバーは人質に含まれていたアメリカ人をさっさと解放した。 これによって強行突入に備えていた、アメリカの特殊部隊デルタ・フォースはひとまず撤収したという。

ダッカ事件で福田首相が国際社会からの非難にもかかわらずテロリストに屈した時点で、ペルー人質事件の発生は約束されていたと言えるだろう。

福田・橋本元首相が、不運にも「王手飛車取り」をかけられてしまった時、指導者としての覚悟がなかった彼らは、”王”ではなく”飛車”を逃がすという失敗をおかしてしまったのだった。

”飛車”とは人質の命であり、”王”とは一億数千万の日本国民の命である。

日本の国家主権を無視し、内政干渉をくりかえす中国や韓国に対して、毅然とした態度でそれを跳ね返すことができない、橋本元首相や福田元首相のお子さんである福田康夫議員の存在は暗示的である。

一方フジモリ大統領は、つらい決断ではあったが、”王”を逃がすために”飛車”を犠牲にすることもいとわない覚悟があった。 情けないことに、日本は彼の覚悟に救われたと言える。

 人質に犠牲者を出したくないのは良くわかるし、まずは”飛車”も”王”も安全に逃がすために、国家の指導者が全力を尽くすべきなのは大前提である。

だからといってテロリストの要求を易々と飲むと、テロリストに「人質事件を起こすならアメリカ・フランスなどを避けて日本相手にするのがお得ですよ」というメッセージを発することになり、結局日本と世界に散らばる一億数千万の日本国民全体を危険にさらすことになる。

以前「イラクをこの目で見たい」と言って現地に乗り込んだ若者が拉致され、殺害されるという痛ましい事件が起こった。

その時、イスラム原理主義テロリストの要求をつっぱねた小泉首相を「血も涙も無い冷酷な人間」と批判する声が上がったが、苦渋の決断だったが小泉首相は指導者として最低限の選択はしたと私は思う。

気の毒なことだけれども、無鉄砲な若者一人のために、残りの一億三千万の国民の命を危険にさらすことはできない。

 ここで竹島近海の海底調査問題に話を戻すが、交渉にあたった谷内次官も政府首脳も、海保の調査船が韓国に拿捕されたりするような事がなくなって「最悪の事態は避けられた」と一様に安堵の姿勢を示しているが、私は諸手を上げて賛成できない。

なぜなら海保の調査船拿捕が最悪の事態だとは必ずしも言えないからである。

日本が調査を見送ったことを、韓国や他の国が「日本は自国の領土を一旦奪われれば、あきらめて泣き寝入りする国だ。 自衛隊なんてハリボテの役立たずで日本は軍事力を使う勇気をまったく持ち合わせていない。」というメッセージだと勘違いした場合、日本は竹島に続いて外国からのさらなる侵略を受ける可能性が高まる。

そう、テロリストの要求を受け入れるとさらなるテロを生み出すように。

三国干渉の時のように、紛争を抱える相手が日本より圧倒的に国力が上で、対策を講じるための時間稼ぎが必要だから譲歩するというのなら、まだ話はわかる。

だが日本より国力で劣る国が日本の主権を侵しても、日本が何もしないような場合は、危険極まりない。

 もし新たな侵略を受ければ、追い詰められた日本も自衛のため最後には武力を行使せざるを得なくなる。

それでも「日本は軍事力を最後まで使わないだろう。日本は泣き寝入りするはずだから戦争にはならないだろう」と日本を甘く見た外国が軍隊派遣を強行すれば、本格的な戦争になる。

戦争になれば日本が勝ったとしても、数百あるいは数千の犠牲者が出ることは充分あり得る。

こうして誰も望んでいなかったのに戦争が起こり、犠牲者が出ることになる。

 平和憲法の”信者”に代表されるような空想的平和主義者は、「誰か戦争を起こしたくて仕方ない悪いヤツがいるから、戦争というものは起こるのだ」と思っているのだろうが、誰も望んでいないのに大戦争が起こることは、歴史上決して珍しい事例ではない。

第2次世界大戦のヨーロッパ戦線やフォークランド紛争、湾岸戦争など...

たとえ拿捕されたり銃撃を受けたりしてケガ人が出たとしても、調査船を竹島近海に派遣して「日本はいざという時、実力行使をいとわない」という姿勢を韓国を含む諸外国にみせつけておくのと、誰も望まない戦争を誘発して数百・数千の戦死者を出し国民全体を危険にさらすのと、そのどちらを指導者は選ぶべきだろうか?

どちらが”王”でどちらが”飛車”だろうか?

家族も子供もいるであろう調査船のクルーを危険にさらすというのは、真っ当な人間なら本当につらくて身を切られるような思いになる。

だが、どんなにつらくても冷徹に”飛車”を犠牲にする方を選ぶ覚悟のない人間は、国家の指導者には向いていない。 ”飛車”がかわいいばっかりに”王”を犠牲にしてゲームオーバーにするのは最低の将棋指しだ。

(「王手飛車取り」をかけられないよう、常日頃から万全の備えをしておくのが一番大切だが)

そのような覚悟のない、単に”お山の大将”になりたいだけの人には指導者になる資格が無いし、すみやかに退場するべきだと思う。

国家の指導者というものは、「慈愛あふれる冷血漢」「野蛮な高潔者」でないと務まらない。

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フジモリ氏を日本の首相に

日本国籍も持ってるとのことなので,可能なんじゃないでしょうか?

  • 投稿者: masah
  • 2006/04/26(水) 11:22:18
  • [編集]

masahさん

>フジモリ氏を日本の首相に

彼に被選挙権があるのかは存じませんが、残念ながらフジモリ氏は今、チリの刑務所に入っています。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2006/04/26(水) 22:29:59
  • [編集]

浪費されたままの「愛国心」

最近、保坂正康著「あの戦争は何だったのか」(新潮新書)を購入しました。「大東亜戦争」の敗戦に責任を取るべき者は当然ながら当時の政府・軍部の当時者であって、その祖先でも、その後の世代でないことは明らかで、しかもその責任を問う作業は現在まで全く行われておらず、今がその最後の機会であると著者が述べているのには同感です。私(終戦時満10歳)はあの戦争によって多くの人命や国富ばかりでなく、「愛国心」までが浪費され尽くして、これを口にする人に対して無意識の内に反発してしまう精神構造ができたままになっていることから脱却するためにも、この「責任追及」をきちんと済ませるべきと考えされられます。

  • 投稿者: がいたん子
  • 2006/04/27(木) 10:56:09
  • [編集]

ペルー日本大使公邸今もテロに怯えて

今日は。

ペルー日本大使公邸の記事を
見て思い出しました。
数年前にペルーへ行った時、あの公邸の残骸跡地は、そのまんま
ホッタラカシされ
近くの土地を別途調達し、新築され
ていました。
その建て方がお笑い物!
刑務所の様に高い塀で囲み    二重の壕を築き、その中に屋根を低く隠れる様に
日本公邸と判らない様に
なんと
日の丸旗も塀スレスレ
この地区には、他国公邸もあるので
すが、何れも堂々と
高々に自国国旗を掲げているというのに。
ペルーっ子達がいってました。
あんなに閉じこもって居たって
セスナかヘリでもやられるって
小ばかにされてるらしい。
あっちもこっちも弱腰外交でした。

  • 投稿者: yatoi
  • 2006/04/27(木) 13:36:05
  • [編集]

連名で失礼します

がいたん子さん

>。「大東亜戦争」の敗戦に責任を取るべき者は当然ながら当時の政府・軍部の当時者であって、その祖先でも、その後の世代でないことは明らかで、しかもその責任を問う作業は現在まで全く行われておらず、今がその最後の機会であると著者が述べているのには同感です。

そのとおりですね。

私は、あの戦争を「こうやれば防げた」と軽軽しく言うことはできませんが、日本の舵取りを担った当時の軍人官僚たちが、何をどう間違ったかという事の検証は絶対に必要だと思います。

戦前の日本は貧乏でしたが、国際連盟の五常任理事国のうちのひとつで、いちおう世界の大国でした。

それをあの戦争で、国民から買って頂いた数百万の陸軍と戦艦・空母数十隻を含む大海軍を全滅させて国を焼け野原にして、何もかも失わせたのですから。

yatoiさん

>ペルーっ子達がいってました。
あんなに閉じこもって居たって
セスナかヘリでもやられるって
小ばかにされてるらしい。

へえ~、今ペルー日本大使館ってそんな風になっているのですか?

情報ありがとうございました。 なんか情けなくなってきました。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2006/04/29(土) 00:21:39
  • [編集]

チリ政府も困っているはずで、日本が引き取ればフジモリ氏を釈放してくれますよ。
そして、覇権を巡ってアメリカと中国が激突する2015年前後の日本の国難を救う「21世紀の北条時宗」として活躍してもらいたい。

  • 投稿者: 鹿
  • 2006/04/29(土) 16:03:56
  • [編集]

鹿さん

>チリ政府も困っているはずで、日本が引き取ればフジモリ氏を釈放してくれますよ。

マジレス(笑)ですが、ペルー政府も引き取りを要求しているはずです。

もし日本が引き取ると、ペルー国内の対日感情が悪化する可能性があって、ペルー在住日系人の人たちにマイナスの影響を与える可能性があります。

なかなかこの問題は難しいです。では。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2006/04/29(土) 23:42:05
  • [編集]

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