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第26回 中国の国家戦略

  • 2006/04/16(日) 04:04:13

 このシリーズの締めとして、これまで中国が取ってきた国家戦略を振り返り、日本や自由世界がどう対応したらよいのかを考えていきたい。

 中国を21世紀に突然現れた、これまでとは全く新しい経済発展モデルのように見ている人もいるかもしれないが、それは正しくない。

 東アジアの経済発展は、近代日本から始まった。

明治新政府には、それまで近代的な産業基盤をほとんど持たなかった日本に、民間企業が自然と育ってくるのを待つ余裕はなかった。

そこで明治政府は、日本に近代産業をおこし経済をテイクオフさせるために、自らの独裁権力を使って、資本・人的物的資源・技術を特定の分野に投入して、民間企業の模範となる官営工場を設立した。(いわゆる殖産興業政策)

この策が見事に当たって産業革命に成功し、日本はアジアで最初の近代国家となったのは、皆さんよくご存知の通りである。

これは”開発独裁”と呼ばれる経済発展モデルであるが、少なくともアジアで最初に、開発独裁を導入して経済発展を遂げたのが日本だったのである。

(もしかしたら、開発独裁を発明したのは日本人かもしれない)

第2次大戦に負けて日本は民主化され開発独裁モデルは放棄されたが、戦後日本の奇跡的な経済成長にもその影響は残った。

 1960年代の後半あたりから70年代はじめにかけて、台湾・香港・シンガポール・韓国のいわゆる”アジアNIES”諸国が経済発展を開始するが、これらの国や地域も輸出主導型の開発独裁モデルを導入することで、経済のテイクオフを成功させた。

90年代からは、タイ・マレーシア・インドネシア・フィリピンなどのASEAN諸国が開発独裁モデルで経済発展を開始し、「これからはアジアの時代」と言われた。

 そして中国である。

中国は1992年から”社会主義市場経済”の名のもとに、天安門事件で一旦ストップした改革開放政策を再スタートさせるが、中国がとった改革開放政策もまた、開発独裁モデルに他ならなかった。

中国の工業は、日本が満州(東北地方)に残していった重化学工業を基盤としてスタートし、それらを社会主義計画経済に組みいれて、国有企業中心に経済発展をはかろうとした。

しかし、他の社会主義国と同様に計画経済は失敗。 
中国の国有企業は資本も乏しければ技術でも世界に太刀打ちできず、豊富にあるのは人間だけといった状況であった。

 小平を中心とする中国共産党はこのような事態を打破するために、社会主義計画経済から資本主義経済へと政策を転換した。

そして、金も技術も無いが、人口だけは世界一という唯一の利点を生かし、「十億人の広大な市場」をエサに外国から資本とすぐれた技術を中国に呼び寄せた。

だが「十億人の広大な市場」という看板とは裏腹に、外国企業に対して中国市場を全面的に開放するようなことはせず、

多くの場合、外国資本と中国企業の合弁という形をとって、外資の技術や経営ノウハウによって中国企業の競争力をアップさせ、国内企業が充分育成されてから慎重に市場を外資に開放する一方、こうして力をつけた中国企業が工業製品を世界中に輸出することで持続的な経済発展を可能にする政策を取った。

これが中国の開発独裁モデル・改革開放だった。

 ただ、中国の開発独裁と、台湾や韓国など他のアジア諸国のそれとは、違う点もある。

それは、中国共産党が牛耳る中央・地方政府から権限を委譲された持ち株会社が、大銀行や巨大企業グループの株式を支配し、共産党があたかも一つの巨大な独占金融資本となっていることである。

この意味で、19世紀末から20世紀はじめにかけて出現した帝国主義段階の国にそっくりであり、「中国は100年遅れでやって来た帝国主義国家」と言えるのかもしれない。 

 しかも中国は、日本からASEANに至るまで、経済発展におけるアジアの先輩達をよく観察していた。

日本経済が発展するにつれて、1ドル=360円からスタートした円もどんどん切りあがり、85年のプラザ合意の時に1ドル=約240円、その後も年率20%でドルに対して切りあがっていき、88年には1ドル=約120円となり、円高がピークとなった95年にはとうとう1ドル=79円まで切りあがった。

現在は1ドル=約117円まで戻しているが、バブル経済の崩壊を経てすっかり日本経済は伸び悩むようになった。

また、70年代から80年代にかけて断続的に発生したオイルショックは、しばしば日本の経済成長の足を引っ張った。

97年にはアジア通貨危機が発生し、タイやインドネシア・韓国などアジア新興工業国から資金が急速に海外へ逃げて、各国経済に大打撃を与えた。

 これらのことを教訓として、中国共産党政府は永遠の経済成長を達成するために、中国の輸出競争力を下げる要素は一切排除することを決意した。

それは、通貨の切りあげ・資本の急激な移動・物価上昇・エネルギー供給不安である。


 まず中国政府は、どんなに中国経済が発展しても、あらゆる手段を使って通貨・人民元がドルに対して切りあがるのを防ごうとしている。

最初は人民元をドルに対して固定相場とし、世界からの非難が強まると通貨バスケット制として世界の目をごまかし、ドル買い介入を続けて人民元の対ドル切りあげを遅らせている。

そして人民元と外貨の交換を制限し、資本の自由な出入りを規制して、97年のような通貨危機の発生を防いだ。

中国経済の発展がエネルギーショックで止まらないように、独裁国家として非難されているイランやスーダンを含む世界中から石油や天然ガスをかき集め、
それを国際市場に通さず中国本土へ送り込むことで、国際価格より安く供給することに成功した。

石油や天然ガスのみならず、さまざまな生活必需品を政府が価格統制したり、戸籍制度を利用して労働力の自由な移動を制限することで、物価や人件費の高騰をできるだけ抑えた。

こうした一連の政策によって輸出競争力が減退しないよう中国は必死になっている。

 こうした政策は今のところ成功しているがその代償として、様々なひずみを世界へと輸出しているとも言える。

資源のがぶ飲みは、エネルギー価格を高騰させて世界各国にインフレ圧力と金利上昇懸念を与えているし、物価と人民元の対ドル相場のコントロールは、安価な中国製品を洪水のように世界に輸出する原動力となっている。

「中国が安価な商品を輸出しているおかげで、エネルギー価格の高騰とインフレを相殺しているのだ」という中国政府の主張は、全くの詭弁である。 中国が過剰投資ぎみに大量の工業製品を生産しているから、エネルギー価格が高騰しているのであって、中国の主張は言わばマッチポンプだ。

(これで一番割を食っているのがアメリカ政府だろう。 自動車が不可欠のアメリカで、ガソリン価格が上がったといっては国民の大統領支持率が下がり、中国との貿易赤字が増えたといっては議会や企業から叩かれる。)

 そして中国政府が一番恐れているのが、世界で”中国脅威論”が巻き起こる事である。

中国が経済発展を続けていくためには、外国からの資本と技術の流入、中国製品を売りこむ海外市場が不可欠だ。

もし、”中国脅威論”が巻き起こって、警戒した外国が高度な産業技術や経営ノウハウを中国に渡すのをストップし、外国市場から中国製品が締め出されれば、中国の経済発展は行き詰まる。

だから、アメリカやEUのように、中国が欲しい高度な技術を持ち中国製品の市場となっているような「自分たちより強い国」には、欲しい物が手に入るまで、ひたすら低姿勢を貫いているが、

日本や台湾・ベトナムのように、中国が「互角か自分たちより弱い。」と感じた相手が自分の思い通りにならなければ、力ずくでねじ伏せにかかる。

中国がアメリカやEUの助けを借りなくても、自力で発展できるようになった時、そして中国が政治・軍事・経済で世界一になるようなことがあれば、中国が世界に遠慮する必要はもはやなくなる。 そうなれば中国はアメリカやEUさえも力ずくでねじ伏せにかかるだろう。

その意味で「中国が世界一になるまでは”中国脅威論”が巻き起こるのを細心の注意を払って阻止する」というのが、中国にとってもっとも重要な戦略と言えるのである。

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ふてぶてしい日本

鯨と竹島 このところの二階中国外交。東シナ海ガス田。靖国問題、拉致問題。 日本を愛するブロガーたちを大いに怒らせる「特定アジア」話が連発している。大人の外交をしたくと

  • From: 20年安泰、目標1億!屁っぽこ投資家のボヤキ録 |
  • 2006/04/17(月) 16:26:00

この記事に対するコメント

初めて触れた意見でした

中国が国体の維持に必死であるというのは少し前から知っていたのですが、クロフネさんのような角度からそれを唱えた考えに触れたのは初めてです。
なるほど、と思うと同時に『はてさて日本はどうでるべきか?』と考えさせられました。

  • 投稿者: 紅葉
  • 2006/04/17(月) 23:37:54
  • [編集]

>初めて触れた意見でした

>中国が国体の維持に必死であるというのは少し前から知っていたのですが、クロフネさんのような角度からそれを唱えた考えに触れたのは初めてです。

開発独裁についての知識があって、それをもとに中国の経済政策を見ていれば、自ずから中国のやりたい戦略がみえてきます。

国家の戦略を考える時は、政治・軍事・経済・資源などトータルでみなければいけませんし。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2006/04/19(水) 20:30:47
  • [編集]

かなわなん国ですな。

拝啓、かなわん国ですな。 特亜三国 シナ 韓国 北朝鮮には即刻 援助及び技術供与停止しましょう。 例えば、次世代携帯の日シ韓の共同開発。 お金と最新技術、個人情報を騙し盗られるのがオチです。 竹中とNTTが参加しています。 直ちに手を引き、撤退しましょう。 付き合い方を止めましょう。 シナの明確な侵略行為を官房副長官の腐れ売国奴は懲戒免職の上で 特殊法人にも再就職させないようにしましょう。 ひょう切しますが、低信頼社会の極みである特亜三国とは、距離を取り 坦々と見捨てましょう。 シナを、これ以上強大化させるのは危険極まりないですわ。 北京五輪及び万博が始まる前は、流石のあの自己中心大国シナも周囲に 少しは気を使います。 それが、日本の反撃の好機と捉らえております。 反撃しましょう。 シナにしゃぶり尽くされたヤオハンの二の舞は避けるべし、コピー商品や様々なパクりにも厳然たる対抗措置を取りましょう。 特亜三国に信頼 約束 契約は通用しませぬ。 野球の世界選手権優勝で解る様に、日本及び日本人は やれば出来るのです。 出来る事からコツコツとバントしましょう。周囲に話しましょう。墓参の食事で身内に話しました。 草々

  • 投稿者: (^-^)風顛老人爺
  • 2006/04/24(月) 23:30:23
  • [編集]

>かなわなん国ですな。

拝復、

>特亜三国に信頼 約束 契約は通用しませぬ。

多くの日本人には、ここがわかっていないんですよね。

>シナを、これ以上強大化させるのは危険極まりないですわ。

同感です。 日本の国力が上回っているうちにあの国に軌道修正させないと、日本が食われます。 草々

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2006/04/25(火) 21:31:49
  • [編集]

 脅威論がまきおこらないように他人様に脅威とおもわれるような行動をとらないという発想は中共の独裁者の頭には無いのでしょうか。というより脅威論を防ぐにはそれが一番良いと思うなですが。日本ではふつうそうしますよ

  • 投稿者: ソラフネ
  • 2007/11/25(日) 14:17:43
  • [編集]

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