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格差社会と税制改革(その2)

  • 2006/04/12(水) 01:27:06

前回のつづき

 ただ、チャンスの平等が保障された社会が実現したら、レッセ・フェール(なすにまかせよ)とばかりに、後は放っておいても良いというわけにはいかない。

チャンスの平等の社会には、前述の通り、必ずチャンスをうまくつかむ人とチャンスをつかめなかった人、言いかえれば競争に勝つ人と負ける人が出現し、その社会に属するメンバーの収入や財産に格差が生じる。

その格差を放っておくと、数世代を経るうちに、競争に勝つ人たちと負ける人たち、持つ者と持たざる者が固定化される階級社会となりやすい。

社会的地位が高く資産を持つ家庭の子供は、高等教育を受け、やはり社会的地位の高い職業につき高収入を得る可能性が高くなり、

逆に収入が低い家庭の子供は、高等教育を受けるチャンスが少なく、やはり高い確率でさほど所得が高くない職業につくといった具合になる。

こうした極端な格差社会の出現は、やはり社会全体の活力を失わせる。

(私は、ヨーロッパ社会が活力を失った大きな理由のひとつは、ヨーロッパ各国に存在する階級社会のせいではないかと思っている。)

極端な格差社会では、一握りのアッパークラス(上流階級)は、下からの突き上げが無い分、自分が保有する巨額の資産を管理するだけの存在になりがちで、逆に社会の大多数である労働者階級は、社会的地位や収入の向上が困難な事から、学習や労働への意欲を失い、努力することもできなくなってしまう。

こうなってしまうと、階級間の移動は少なくなり、各階級に所属する人たちが固定される。 そして、スポーツ選手や芸能人にでもならないかぎり、労働者階級の人たちが、下からはい上がる道は無くなる。

たった一回の失敗でその人自身のみならず、彼らの子供たちまで完全にノックアウトされてしまうのでは、「社会的に成功するチャンスは、その社会に属するメンバーに平等に与えられなければならない」とする”チャンスの平等が保障された社会”とは、もはや言えなくなってくる。

 よって、所得や資産の再分配という機能を持つ租税制度や社会保障政策を使って、各階級の固定化を防止し、それぞれの階級の間に人の流れを起こしてやらなければならない。
 
 ここで日本の税制と世界各国の税制を比較しておくと、自由主義経済のアメリカは、国民負担率(国民所得に対する税負担や社会保険料負担の割合)が低く約30%、消費税のような間接税よりも所得税のような直接税の比重が高い。直接税と間接税の比率である直間比率は8:2から9:1ぐらいである。

簡単に言えば、「税金は安いけど、(病気や就職など)国民1人1人のめんどうはなるべく自分自身でみてね。当然社会の中に格差もあるよ。」ということ。

一方、社会民主主義(左翼リベラル)の影響力が強い欧州だと、イギリスを除く欧州諸国は、国民負担率がだいたい50%を越える。 デンマークやスウェーデンのような北欧の高福祉国家になると70%以上だ。

税の直間比率は、アメリカより間接税の比率が高くなり、ほぼ5:5ぐらいで、消費税率も15~20%とこれまた高い。

こちらは「沢山税金は取るけれども、国民のめんどうはなるべく国がみます。格差もなるべくつくらないようにします。」ということになる。


国民負担率の世界比較 

各国の国民負担率の内訳 

各国の税金の直間比率 

 日本の場合、これまで自由主義のアメリカと社会民主主義のヨーロッパの間に位置し(ややアメリカより)、国民負担率は約36%、直間比率は7:3ぐらいで、所得税のような直接税の比率が高かった。

 しかし最近では、政府や与党自民党、財務省などの間で、財政悪化を背景とした消費税引き上げ論議が巻き起こっている。 

特に財務省は、財政再建のために消費税率を将来的には、欧州並の20%以上に引き上げたいようだ。

確かに財政再建も大切だが、財務省からは「未来の日本社会をどういうふうに設計するか」という視点が決定的に欠けているように思える。
これを抜きにして、「消費税率を何%にするか」だけの、税率ありきで議論を進めるのは、本末転倒ではないだろうか。


特に、「欧州諸国の消費税が軒並み15%以上で20%以上も少なくないから。」という理由で、単純に日本もマネをして20%ぐらいまで消費税を引き上げると、将来の日本社会に思わぬ悪影響を与える可能性があると思う。

 消費税のように国民から広く薄くとる間接税は、基本的に金持ちに有利であるのはよく言われることだ。

(直接税の代表である所得税は、所得の高低によって税率を変えられるから、その分公平と言える。 しかしサラリーマンのように所得の計算がしやすく取りやすいところは問題無いけれども、所得の正確な計算が難しい自営業者のようなところからの、納税のもれが発生しがちという欠点がある。)

例えば、日本の大人が1年間生活するのに最低限必要とされる支出が300万円だったとしよう。 現在の消費税率が5%だから、15万円が年間の消費税負担額となる。

15万円という税負担が、年収400万円の人と年収1000万円の人のどちらにとって重くなるかは、言うまでもないだろう。 それぞれの年収から、最低限必要とされる支出額300万円を差し引いた後で15万円の税負担を比較すると、よりはっきりすると思う。

単純計算で、将来の消費税率が20%となると、年間の税負担額は60万円となるから、年収400万円の人の税負担の割合は税率5%のときより一層ひどくなる。

このように、財政再建のためだけに単純に消費税率をあげていくと、将来の日本社会は格差が極端に広がって活力が失われた社会になるのではないか、そのことが国民の所得を減少させ、結果として政府の税収まで減少させるのではないかという懸念を持たざるを得ない。

 また集めた税金・保険料を国民に再分配する社会保障制度についても、失業者や低所得者などに単純にお金をばら撒くと、勤労意欲を失わせ、かえって失業率を高止まりにして、現在のヨーロッパのように、格差が固定された階級社会になってしまうおそれがあると思う。

前述のように、左翼リベラル政党の影響で高福祉政策を取る欧州諸国は、格差の少ない社会を目指して、税や社会保険料の高額負担を国民に求めているのだが、皮肉なことに高福祉諸国特有の税制や社会保障政策が、かえって社会の格差を広げ、それを固定しているように見える。

(単純に比較はできないようだが、世界各国の失業率をみてみると、高福祉の欧州では10%前後だが、アメリカやイギリスでは4~5%程度である。日本は4%ぐらいだが、実質10%を越えると主張する人もいる)

各国の失業率 

こうしたことをふまえ、どうしたら日本が”チャンスの平等を目指す社会”を維持できるのか、そのための税制や社会保障政策はどうすればよいのか考えてみたい。

つづく


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この記事に対するコメント

健全で公正な日本の格差拡大

行政が一生懸命自立支援をしても、自立しようとしない人達や、働きたくないという人達が世の中には大勢います。駅などで見掛けるホームレスも朝から酒を飲んだり、タバコを吸ったり大層結構なご身分です。もちろん、彼らは税金は一銭も払っていません。自分でそういう気楽な道を選んでいるのでしょう。
生活保護者が増えているとも言われますが、言い換えれば、セーフティーネットが完備しているということです。大阪市などは大都市でありながら、生活保護世帯の比率が異常に高いというのは、審査が甘くて、「特典」を活用して楽して生きようとする人達に付け込まれているとしか思えません(通常は大都市ほど比率は下がる筈)。
もちろん、いろいろな事情があって、働きたくとも働けない人達は助けなければなりません。しかし、いわゆる弱者と言われる人達の中には、働こうとも、努力しようともせずに、その身分をアッピールすることで生きて行こうとしている人達が多く含まれており、その人達を手厚く保護することは問題です。それこそ不公平というものです。
社会の中には常にそうした働きたくない人達が存在しますが、その人達を基準に論じることはできません。
日本全体としての富はますます大きく蓄積されて、より豊になるチャンスも増えてきていますが、そうした人達がいて、底が変わらないのですから、格差拡大は当然です。一緒である方がおかしいのです。
一般のサラリーマンでも所得が増えた、生活が少しは楽になった、貯蓄が増えたと思っている人の方が圧倒的に多いはずです。

  • 投稿者: ガッツ
  • 2006/04/12(水) 10:37:38
  • [編集]

消費税は給与所得者に有利な税

>>消費税のように国民から広く薄くとる間接税は、基本的に金持ちに有利であるのはよく言われることだ:

日本では等しく行政の恩恵やサービスを受けながら税金を納めていない人達が非常に多くいます。直接税は取りやすいところから取るため、給与所得者はそれ以外の人達よりしっかり税金を取られています。昔のようにトーゴーサンピンとかクロヨンと呼ばれるほどひどくないにしても依然相当な格差があります。
消費に応じて誰からも一律に取る消費税はフェアーな税制で、税金を取られすぎている給与所得者に特に有利な税制です。直接税で取られるのと、消費税で取られるのとどちらが有利かと言うと、間違いなく消費税の方が有利なはずです。消費税というと脊髄反応的に反対する組合や野党が理解できません。
もちろん、歳出削減に不断の努力が必要であることは申すまでもありません。それなしには、いかなる税金も納得できません。

  • 投稿者: ガッツ
  • 2006/04/12(水) 11:17:16
  • [編集]

ガッツさん

>消費に応じて誰からも一律に取る消費税はフェアーな税制で、税金を取られすぎている給与所得者に特に有利な税制です。直接税で取られるのと、消費税で取られるのとどちらが有利かと言うと、間違いなく消費税の方が有利なはずです。

消費税に関しては、本文に理由を書いたとおり、やはり高額所得者に有利だと思います。 

消費税と給与所得者の関係について言えば、年間300万円の給与を得ている人と、年間3000万円もらっている人では、前者より後者の方が有利です。 そして全人口のうち前者と後者どちらが多いでしょうか?

それを給与所得者全体に有利であるかのようにおっしゃられるのであれば、疑問と言わざるをえません。

所得税が自営業者などからの納税漏れを生みやすいのは事実ですが、だからといって消費税が低額の給与所得者にも有利とは、やっぱり言えないと思います。

所得税の納税漏れの問題は、消費税とからめて論じるのではなくて、納税漏れを防ぐ対策(脱税した場合の罰則の強化や内部告発の奨励など)について考えるべきではないでしょうか。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2006/04/12(水) 22:25:00
  • [編集]

管理人様のおっしゃる通りです

管理人様のおっしゃる通りです;
給与所得者には消費税の方が有利というのは子供の学費や住宅ローン、交際費などで一番出費がかさむ、やや上の年齢層、勤務先では中堅層位か、その上になっている人についてでした。
課税所得が330万円超900万円までの所得税率は20%、900万円超1800万円までは30%の所得税率ですから、この所得水準に達している人には消費税の方が確実に有利になるものと思いますが、元々所得税を払わないで済んでいた人達には間違いなく負担が増えます。10%の所得税率が適用されている層は消費税率しだいということになりましょう。
税金は誰も払いたくないものですが、赤字は放置すれば、雪だるま式に自動的に膨らんで行くもの。これからの人口構成なども考えて、誰がどう負担して行くべきか、早急に議論を詰めて行く必要がありますね。

  • 投稿者: ガッツ
  • 2006/04/13(木) 10:26:13
  • [編集]

>管理人様のおっしゃる通りです

>管理人様のおっしゃる通りです;
給与所得者には消費税の方が有利というのは子供の学費や住宅ローン、交際費などで一番出費がかさむ、やや上の年齢層、勤務先では中堅層位か、その上になっている人についてでした。

ご理解ありがとうございます。

>税金は誰も払いたくないものですが、赤字は放置すれば、雪だるま式に自動的に膨らんで行くもの。これからの人口構成なども考えて、誰がどう負担して行くべきか、早急に議論を詰めて行く必要がありますね。

同感です。 政府には財政再建とともに、日本社会が活力を失わない税制をお願いしたいですね。

もしご意見・お叱り等ありましたら、またコメントしていただけたら幸いです。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2006/04/15(土) 01:18:38
  • [編集]

別のデータでは少し違うとか?

アメリカ好きですが、底辺から才能恵まれない人が上がるのは困難のようです。
失業率もう少し高いのもあるようです。

貧困の固定度は低くないそうです。

アメリカ・ヨーローパより日本のほうがましかもしれませんね。

  • 投稿者: ayu
  • 2007/06/11(月) 13:35:20
  • [編集]

ガッツ様へ、気楽な御身分だと怒

これは飽くまでも私の知り合いの実例です。彼は建築内装業者、健全な営業を続けようと頑張って来ましたが、東京の内装リフォーム工事の多くを握っている在韓の不動産業者(ほとんどの不動産業者は在日です)のすさまじいばかりの言い掛かりと不払い値切り、表には出さないバックマージンの要求(その分は業者の利益として計上され業者が税金を払うのです)に力尽き、区役所の生業資金貸付を受けて立ち直ろうとしたところ、審査は棚上げされ、更に審査を要求すると、実は生業資金と言うシステムはどの区でも機能していないのだと言われ、不本意ながら生活保護に落とされました、それでも事情を知っている担当者の内はまだ良かったのですが、担当者が代わり杓子定規に苛められているそうです。そんなこんなで無教養な建築系の人間は自殺や、すねて浮浪者に成る例も多いのです、気楽ですよね。次に知り合いの公認会計士の例です、彼は中小企業庁等の役所から高額な報酬を貰い相談者に対し融資コンサルタントをしています、そこで新規開業資金(ベンチャー支援制度)での話しです。この制度は全く新しい事業の立上げの支援制度で審査に数ヶ月~1年も要します、そして最後にくだんの会計士から出る言葉は、3年分の当該事業実績の提出です。(新規立上げに対して過去三年分の実績提出)会計士は言いました、つまり国は貸さないって事だな笑、一年間低収入若しくは無収入で役所に振り回された融資希望者は(役所に振り回されるとは、日本の役所は9時5時なので一端関ると関った側は昼の定職に就けません、役人は事態の途中経過など知らせてくれないので予定も立ちません)どうしましょか、まだまだ書きたい実例は有りますが、緊急の連絡が入ったので今回はここまでにします。管理人さんへ今回は趣旨と違っていたかも知れません、管理人さんに対し非礼や勘違いがあったらばお詫び致します、宜しければ公開して下さい。

  • 投稿者: 火天大有
  • 2007/08/22(水) 11:05:24
  • [編集]

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