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第10回 日本・アジアで稀有な高信頼社会

  • 2006/02/14(火) 00:20:43

 それでは日本はどういった社会だったのでしょうか?

オレオレ詐欺やマンション耐震強度偽装事件などで、最近ではだいぶ怪しくなってきましたが、日本はアジアでは珍しい高信頼社会でした。

日本では「武士に二言は無い」などと言ったりしますが、たとえ言葉を交わしただけの約束でも、それを守らなければならないという文化がありました。

証文や血判状のように文書に残した約束なら、なおさらよく守られたことでしょう。

江戸時代の商売は”盆暮勘定”といって、年二回もしくは一回の後払いの決済、いわゆる掛売り販売が広く普及していて、暮れになるとその年の”ツケ”を回収するために、大晦日の深夜まで商人・職人による取り立てが続きました。

商人(あきんど)の町、大阪の堂島では17世紀末に米の売買市場である”堂島米会所”が開設されましたが、1716年ごろには、帳簿上の差し引き計算によって取引の決済を行う”帳合米取引”を開始し、堂島米会所が世界初の証券・先物市場であると言われています。

世界最先端と言われるシカゴの商品取引所でも、「自分たちのルーツは堂島米会所である」と見学者に説明しているとのことです。

 このように、近代以前の日本で売掛け販売や先物取引が発達したのも、「たいていの売掛金(ツケ)が約束どおり問題無く回収できる」「先物取引が契約どおり成立する」という、高い信用と信頼関係が日本人同士にあったからでしょう。

前にも言ったとおり、低信頼社会では借金の踏み倒しの危険性が高いので、現物現金取引が好まれ、その社会で掛け販売や先物取引を高度に発達させるのは困難です。

 よく日本の田舎に、野菜と貯金箱を並べて、「野菜はどれでも一個百円です。代金は貯金箱へ入れてください。」と書かれた張り紙がしてある、無人の野菜販売所をみかけます。

しかし、これも高信頼社会の日本だから成り立つやり方のはずで、低信頼社会では、並べておいた野菜がひとつ残らず無くなっても貯金箱に一円も入っていない、といったことになりかねません。

 それでは何故、日本がアジアでは極めて珍しい高信頼社会を持つ国となったのでしょうか?

民俗学者ではないので、はっきりとしたことはわかりませんが、二つ思い当たる理由があります。

一つ目は、言霊信仰の存在です。

言霊信仰というのは、言葉には霊力があって現実世界に影響を与えることができ、しゃべった内容は本当に実現するという考え方です。

言霊信仰の歴史は非常に古く、日本人の生活に強い影響を与えてきました。

例えば、古代の日本女性は親兄弟以外の他人に本名を明かすことはありませんでした。

他人に本名を教えることがあるとすれば、それは結婚する相手にだけです。
何故なら、「○○さんと結婚します。」と好きでもない相手に宣言されてしまうと困るからです。

つまり、むやみやたらに他人に本名を教えてしまうと、言霊の力によって、好きでもない人と結婚しなければならなくなると信じられていたのです。

おかげで、有名人でも本名がいまだにわかっていない人が結構います。(紫式部や清少納言など)

 読者の皆さんも一度くらいは「縁起の悪いことを言うんじゃない」と言われた事があるのではないでしょうか? これも現代に残っている言霊信仰です。

「縁起の悪いことを言うと本当にそうなってしまうから、そんな事は言うな」というわけです。

 このように日本人は言葉というものを非常に大切にあつかい、時にはおそれてきました。 当然、言葉を交わしただけの約束でも大切にし、約束を破ることをおそれてきました。

ですから日本人は、軽はずみに「滅多なこと言うもんじゃない」し、一度口にした約束は大切に守らなければならず、「武士に二言は無い」と考えたのではないでしょうか。

 二つ目は、日本人が長いこと島国という閉鎖空間に定住して生活し、農業や商売をやってきたということです。

こういう社会では、「信用こそ命」です。

他人だからといって、商売などでウソをついて損をさせたり裏切ったりすれば、狭い世間にたちまち悪い評判が広まって、その人は信用を失います。

そうなると誰も相手にしてくれなくなりますが、居づらくなったからといっても周りは海ですから、日本から出ていくということは簡単なことではありません。

ですから、ウソを言わず人を裏切らず、正直に誠実に「信用第一」で暮らしていくことが、幸せに直結するのです。

 また、島国という閉鎖空間であるがために、自分と同じ高信頼社会の人間とだけ付き合えばよく、低信頼社会の人達と接触するチャンスが極端に少なかった事も大きく関係していると思います。

よそ者をだましたり裏切ったりすることが珍しくない低信頼社会型の人間が日本に沢山いれば、当然、日本人全体が他人を強く警戒したり疑り深くなったりするでしょうが、それがエスカレートすると裏切り合戦となります。 

「悪貨は良貨を駆逐する」の言葉どおり、こうなると高信頼社会は破壊されてしまいます。

しかし日本が島国であったがために、低信頼社会型の人間とつきあわなければならない機会はそう多くはありませんでした。

こうして日本は、アジアでも珍しい高信頼社会になったのではないかと思います。

 日本が高信頼社会であったことは、アジアで唯一19世紀に近代化を成功させ、20世紀に世界第二位の経済大国となった大きな理由の一つです。

日本が高信頼社会で、法や契約といった様々な約束事が良く守られるということは、治安や正常な取引を維持するコストが非常に安いことを意味します。

貸したお金やツケにした代金がスムースに回収できれば、回収できなくなった場合の損失を穴埋めするために準備しておくお金が少なくて済みます。 (簿記で言うところの貸し倒れ引当金ですね)

その分、別のお客にお金を貸したり新しい商品を仕入れたりすることに、お金を回す事ができます。 

そして信用・掛けで商売できれば、手持ち資金よりはるかに額の大きい取引を成立させることができます。

経済犯罪が少なければ、社会がその分の警察官とその給料を負担する必要がなくなります。

コストが安いと言う意味は例えばそういうことです。

 また日本がもとから高信頼社会であったために、欧米で発達した信用に基礎を置く近代資本主義システムや法治主義をすんなりと吸収できました。

 しかし、日本が高信頼社会であったということには、プラス面だけではなく、マイナス面もあります。

それはいったい何でしょうか?


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はじめまして

初めまして。
農家の本棚運営者の玲治です。

良さそうなブログですね。
またお邪魔します。

ポチッとランキング応援しときました。
これからも宜しくお願いします。

  • 投稿者: 玲治
  • 2006/02/14(火) 18:06:19
  • [編集]

>しかし、日本が高信頼社会であったということには、プラス面だけではなく、マイナス面もあります。

悪意を持った人間(または非日本人)にとっては、天国のような国ですね。人を疑うことを知らない人間は騙し易いですから。

  • 投稿者: mt
  • 2006/02/14(火) 19:02:38
  • [編集]

>はじめまして

こちらこそ、はじめまして玲治さん。
ポチっとしてくださって、ありがとうございます。

ただ、コメントと記事の内容が関係無いようです。

次回は記事と関係のあるコメントをよろしくお願いします。詳しくはサイトポリシーをご覧ください。

日本の農家さんは応援したいので今回は特別です(笑)

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2006/02/15(水) 00:21:54
  • [編集]

mtさん

>悪意を持った人間(または非日本人)にとっては、天国のような国ですね。人を疑うことを知らない人間は騙し易いですから。

次回はそのあたりをじっくりと...

お楽しみに(笑)

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2006/02/15(水) 00:23:03
  • [編集]

高信頼社会の背景・自論

日本は大規模自然災害のデパートのような国です。
災害に遭ったとき、お互いの助け合いが必要不可欠
となります。それは、一地域内での個人レベル
のみならず、地域全体が壊滅状態に陥った時、
助けてくれるのは他の集落です。生き残る為には
助けてくれる他人、他地域の人を裏切ることは
絶対に出来ません。それらの助け合いが何世代も
続いた結果、お互いが信頼し合う社会が、自然と
構築されたものと思っています。

  • 投稿者: 朴訥
  • 2006/02/15(水) 03:09:27
  • [編集]

>高信頼社会の背景・自論

>災害に遭ったとき、お互いの助け合いが必要不可欠となります。

>助け合いが何世代も続いた結果、お互いが信頼し合う社会が、自然と構築されたものと思っています。

 災害が多発して、お互い助け合わなければ生きて行かれなかったというのは、確かに高信頼社会の成立に影響を与えたでしょうね。

ご意見ありがとうございました。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2006/02/16(木) 22:53:37
  • [編集]

高信頼社会わかりやすく、ちゃんとしていてありがとうございます。
武士は人口のごく一部ですが、日本は商工業・農業でも比較して、約束まもる社会のいんしょうです。

 武士にもよりますが、敗者にとどめをささない、背中を切らないとかモラルもってる武士もいたようですね。

市民も判官びいきとか敗者にもいたわる気持ちあるし。

他のの比較で高信頼度が高いといえますよね。

弱点といえば、ぼられやすいてことかしら?

  • 投稿者: あゆ
  • 2007/05/19(土) 11:24:18
  • [編集]

災害といえば、社会から外れてろ人も、災害と時は助け合いあったんですね。
村八分はそういう意味だと教わりました。
低信頼度高い社会では見捨てられてますよね。
いい伝統な気がします。

  • 投稿者: あゆ
  • 2007/05/19(土) 11:38:33
  • [編集]

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