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皇室典範改正問題に思う

  • 2006/01/31(火) 23:55:59

 小泉政権がすすめている皇室典範の改正について、与党自民党内からも慎重論が出ており、事態が少し不透明になってきた。

安倍官房長官からも「慎重に事をすすめるべき」といった趣旨の発言が出ている。

そこで今回はこのブログのテーマとは少し離れるが、皇室典範の改正問題、特に皇位継承の問題について考えてみたい。

しかし、この問題は本当に難しい。 なぜなら科学や論理ですべて割り切れる問題ではないからである。 どちらかというと宗教や信仰の問題に近い。

 日本の皇室を含む、君主制度の歴史は相当古く、人類が国家をつくるのと同時にできあがった統治システムである。 そして地球上の多くの国家は君主制からスタートしている。

王にしろ皇帝にしろ君主が国を治める正当性というのは、たいていその民族が持つ宗教や信仰と密接に結びついていた。

「君主がその国を治める権利と統治者としての能力は神から与えられたものであるから、その君主が国を治めるのは正当である」といった、いわゆる”王権神授説”もその一つである。

統治者としての能力のなかには、政治的・軍事的才能のほかに、その民族が信仰する宗教の司祭者・霊能者としての才能が含まれることも多い。

古代から天皇には神道の司祭者としての役割があったし、イギリス国王はイギリス国教会の首長でもある。

 君主の地位の継承方法については「神から与えられた統治者としての能力(カリスマ性)は、その統治者の血によってのみ遺伝するから、正統な後継者はその君主の血をひく者でなければならない。」という血統にもとづく世襲制が大多数である。

(完全な世襲制以外では、神聖ローマ皇帝は血統にもとづく選挙制、ローマ教皇はコンクラーベによる選挙制)

 だから世襲制のもとでは、君主に血のつながった実子、特に男子がいないと正統な後継者がいなくなることを意味し、その国家に戦争や内乱を含む深刻なトラブルが発生する危険性が高まる。

絶対王政期のヨーロッパがその典型で、当時の欧州の各王室・貴族が国際的な政略結婚を繰り返していたために、血のつながりや親戚関係が複雑に絡み合っていたから、なお始末が悪かった。

代表的なものでは、17世紀末に、スペインのハプスブルク王家が断絶し、隣国フランスを支配していたブルボン家のルイ14世が、孫のフィリップにスペイン王を継承する権利があると主張、オーストリアのハプスブルク家やイギリスがそれに反対して、フランスと大戦争になった。(スペイン継承戦争 1701~14)

結局フランスがいくつかの植民地をイギリスなどに譲り、スペインとの合邦を永久にしないことを誓って、ブルボン家のフィリップがスペイン王・フェリペ5世となってやっと戦いがおさまった。

これが現在のスペイン国王・ファンカルロス1世陛下のご先祖様である。

 また神聖ローマ帝国皇帝でハプスブルク家の当主・カール6世は、全ハプスブルク家領の不分割・男子継承を記した”プラグマティッシェ・ザンクツィオン”(国事詔書)を定めた。

だが、カール6世のたった一人の皇太子が幼くして亡くなり、新たに女子相続権を認めたプラグマティッシェ・ザンクツィオンを公布、カール6世が亡くなるとハプスブルク家の全所領を残されたひとり娘のマリア・テレジアが継承したが、バイエルン選帝候カール・アルベルトがハプスブルク家との血縁を理由に「自分こそ正統な継承者である」と抗議した。

このバイエルンの動きに、ハプスブルク家の宿敵・ブルボン王家のフランスとスペインが加勢しイギリスやプロイセンも加わって、またもや大戦争となった。(オーストリア継承戦争 1740~48)

このときもオーストリアが領土をいくらか割譲することで妥協が成立し、マリア・テレジアの夫・フランツが帝位について戦争は終わった。

 このように昔は「統治者としてのすぐれた能力は神から与えられ、その能力は血によってのみ遺伝する」「血のつながりこそ国家の統治者としての正統性を証明するもの」という考え方が強い影響力を持っていたのだが、いまさら言うまでもなく、それは科学ではなくて信仰、心の問題である。

国家の統治者としてのすぐれた能力は必ずしも血によって遺伝するとは限らない。 現代の先進諸国のほとんどが、民主主義に移行した理由のひとつに、君主制度における”カリスマ性遺伝説”への否定が含まれていたのではないだろうか。

 ただ、民主的な先進国のすべてが君主制を完全に否定して、共和国になったわけではない。

君主から国家の統治権をとりあげて国民に与えることで、君主を「君臨すれども統治せず」の象徴的な存在とし、実際の国家統治には民主主義のシステムによって国民から選ばれた首相が責任を持つ、立憲君主制をとっている国も多い。

イギリス・オランダ・ベルギー・デンマーク・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドといった国々がそうである。そして日本もここに含まれる。

立憲君主制度は、信仰や心の領域に含まれる君主制という古い統治制度と、「多数派は常に正しい」とする論理性・合理性の領域に含まれる民主主義という新しい統治制度の二重構造ということができると思う。

だから論理と信仰、どちらか一方で割り切れない分だけ皇室典範の改正問題は難しいのである。

また皇位継承は、日本の元首(事実上の)の継承の問題であると同時に、皇室というファミリーのプライベートな問題でもある。
皇室ご一家の意見をまったく無視することもできない。

 「千年以上続いている皇室の伝統文化を絶やしてはならない。だから男系継承は譲れない。」とする改正反対派の意見はもっともだと思うし、クロフネもそれが理想だとは思う。

だが現実問題として今の皇室には女性のお子様ばかりで、いずれ男系による継承が不可能になるのは決定的だ。 男系にこだわりすぎて、皇位継承をやめてしまうわけにもいかない。

 こうなったら皇室の最高位でいらっしゃる、
今上陛下のご聖断を仰ぐより他はないのではないか。

そして陛下がご決断なさったら、どういった結果になろうとも国民は黙ってそれを受け入れるしかないと思う。 たとえ千年以上におよぶ男系継承がストップすることになったとしても。

 ただ、皇位継承問題を考えるとき、皇室のよき伝統文化の継承は大事にしなければならない。

皇室は日本の家族のひとつの理想として、ノブレス・オブリージュを果たしていただくという大切なお役目も担っていらっしゃるからである。


 であるならば、将来皇位を継承なさる方には、幼いときから皇室の伝統文化のなかで、しっかりとした帝王学を学んでいただく必要があるのではないだろうか。

その点で第一子が皇位を継承する分には問題はないが、男系継承を守るという道をとるには、まず旧宮家自体を皇籍にお戻しする必要があると思う。

皇統のY染色体を持ってさえいれば、そこから自然と皇室の伝統文化が生み出されるといった意見があるのなら疑問である。

ただ、宮家を増やすことで財政負担も増えてしまうのが難点で、そこは国家財政と相談ということになってしまうかもしれない。

 これは余談だが、5世紀ごろ在位なさったと推定される仁徳天皇まで、皇位の継承は末子相続で行われていたらしい。 本当に伝統にこだわるなら末子相続にしなくてはいけないのかもしれない!?

その後、中国から入った儒教の影響で長子相続になったという説をとなえる人もいるが、古事記・日本書紀などを読むと、古代日本では「第一子はできが悪い」という信仰があったらしいことがわかる。

たとえば、イザナギとイザナミの神が日本を生もうとしたとき、第一子は蛭子(ひるこ)で、この子は出来が悪いとして船に乗せられて流されてしまう。
(この蛭子こそ、あのおめでたい七福神のエビス様)

民俗学者ではないので、詳しい事はわからないから深くは立ち入らないが、こうしたことも古代の皇位継承が末子相続だったことと、何か関係があるのかもしれない。 話が少々脱線した。

 世界の王室のなかで最古にして”エンペラー”としては唯一の存在である天皇家は、日本人の大切な伝統文化である。

時代の変化によって、変わってはいけないところと、変わらなければならないところが当然出てくるが、次の世代に大切に引き継ぎたい文化遺産であることに変わりはない。

皇位継承問題のすみやかな解決と皇室のますますのご発展を祈念して、筆を置くことにする。


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皇室典範改正報告書に仕組まれた罠三~皇位継承と民主主義

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  • From: 悪の教典楽天市場店 |
  • 2006/02/04(土) 18:41:36

この記事に対するコメント

同意します

こんばんは
皇室典範の問題は、まさにクロフネさんのおっしゃるとおりだと思います。天皇家の意向はよくわからないまま、外野が騒がしくて、いつの間にか女性天皇を認めてもいいという人が攻撃に晒されているように思えます。
 むしろ、皇太子様と雅子さまのお仲が??な話もあり、家庭が修羅場では悲惨ですよ。皇室の不幸せは国民の不幸です。性別にこだわるあまり遠い血縁から天皇陛下が即位されるのも国民からみたらやや不自然かもしれません。(歴史的にはそうであったらしいですが)
 答えを急ぐ必要はないと思いますよ。

  • 投稿者: SAKAKI
  • 2006/02/01(水) 17:33:55
  • [編集]

皇室典範改正問題以前に...

以下のコメントは、皇室典範改正問題とは直接関係ないので、申し訳ないのですが、ちょっと気になっていますので、一言だけ失礼します。私にとっては、皇室典範改正問題以前に、一番心配なのは、今の皇太子が将来皇位を継承された場合、現皇太子の奥様(その時点では、皇后)が、ちゃんと公務を果たして下さるのかどうかという点です。公務を果たして下さるからこそ、我々は敬意も払うし、皇室のための税金も払うわけです。奥様がもし公務をする気がないとおっしゃるのなら、現皇太子御自身、皇位を継承なさる事には、問題があるような気がします。(この国際社会で、いつもいつも天皇が諸々の公式行事に一人だけで出席するというのは、いかにも不自然ですから。)多分、国民の中には、このような思いを抱いて、心配している人たちもいると思います。ただ、みんな、声に出しては言えないだけで...

  • 投稿者: 本音を言えば...
  • 2006/02/01(水) 20:09:43
  • [編集]

>同意します

> 答えを急ぐ必要はないと思いますよ。

男系継承にあくまでこだわるか、第一子優先に変更するか、ほんとに難しい問題です。

政府としては、どちらでも対応できるように、皇室典範改正案を複数用意して、あとは陛下のご聖断に委ねてもよかったのではなかったかと思います。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2006/02/02(木) 22:53:22
  • [編集]

>皇室典範改正問題以前に...

 雅子さまについては、よく存知あげないのですが、確かご病気で公務におつきになれないと伺ったのですが、そうではないのでしょうか。

別の理由ならともかく、ご病気なら、いたし方無いと思うのですが...

一刻もはやい全快をお祈りするだけです。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2006/02/02(木) 22:59:34
  • [編集]

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