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クロフネの防衛力整備計画(最終回)

  • 2005/12/20(火) 23:46:11

前回のつづき

 それでは具体的に、島嶼(とうしょ)防衛のために必要とされる陸軍力整備について考えていくが、

前回で「これまでどおり、敵正規軍との陸戦を想定した陸軍力整備は継続しなければならないのである。」と述べたとおり、離島での戦いに特化した戦力を整備するというよりは、様々な事態に対応できるよう総合的な日本の陸軍力の維持・向上をめざす。 

その場合、現代戦には欠かせない高度なC4I能力<Command(指揮) Control(統制) Communication(通信) Information(情報) Computers(コンピュータ)>を陸上自衛隊に付与するため、装備の質と量のバランスをとり、効率的な戦力の維持・向上をはかる事に注意を払う。

 まず偵察・戦果評価であるが、現在OH-6Dやその後継のOH-1観測ヘリ、そのほかに各種の偵察車両がその任務を行っている。

しかし、これら有人部隊だけに偵察・戦果評価任務を頼りすぎるのは、人的損害のリスクが高すぎる事や偵察能力の不足の問題から考えると、将来にわたっても有効とは言えないのではないだろうか。

そこでUAV(無人偵察機)や無人ロボット車両を積極的に導入し、それらが集めた各種データをネットワークを使って、対戦車ヘリ部隊・戦車部隊・砲兵部隊・歩兵部隊・各司令部などに送り、情報を共有するようにした方が偵察部隊の人的損害のリスクを避けられるだけでなく、戦力を有効に配置でき戦闘効率が格段にアップするだろう。

日本は世界有数のロボット大国なのであるから、その資産を使わない手は無い。 もし必要ならば有人偵察部隊や観測ヘリの数を縮小してでも、偵察部隊の無人化とネットワーク化を進めなくてはならない。

 次に戦車であるが、現在陸上自衛隊では40tクラスの次期主力戦車を開発中だ。 現在陸自の最新鋭戦車である90式の火力・防御力を上回る能力を持ち、データリンクによるネットワーク化によって戦闘力の効率化をはかるという”IT戦車”としての能力も付与されるという。

ただ、新戦車は相当高価なものになりそうで、老朽化がはじまっていて現在800両以上保有する74式戦車を一対一で新戦車と交換するのは非現実的だし、新戦車の調達スピードも遅くなりそうで、陸自全体の戦車の保有数が減少するのは避けられそうに無い。

であるならば、世界でもトップクラスの戦闘力を持つ90式戦車を北海道に閉じ込めておかないで、いざという時は離島奪回戦に投入できるよう環境の整備をはかるべきである。
(仮設橋や輸送艦、港湾設備、輸送トレーラーなどを、50tと重い90式戦車に対応できるようにしておく)

 そして陸自全体の戦車の減少については、機動力があり強力な火力を有する対戦車ヘリでカバーする。

現在陸自では100機近いAH-1”ヒュイコブラ”対戦車ヘリを保有しているが、もうじき世界最強の対戦車ヘリと言われるAH-64”アパッチ”の配備が始まる。

陸自はこのAH-64の調達に予算を重点的に配分すべきで、戦車や歩兵戦闘車、自走砲などの数が不足している分をこれでカバーしたい。 もちろん対戦車ヘリ部隊と他の部隊、司令部とのネットワーク化は欠かせない。

 その他の戦闘車両(自走榴弾砲・自走迫撃砲・歩兵戦闘車・兵員輸送車・自走対空砲など)については、輸出が禁じられているという理由から国産兵器は調達価格がどうしても高くなりがちで、なかなか数がそろわないという慢性的な悩みを陸自は抱えている。 

その対策としては、これら戦闘車両の共通ベース車両(コストの安い走輪式)を開発して用途別に搭載兵器を代えることによって、部品の共用化と(問題がなければ)民生品の積極的な使用によってコストを下げて、必要最低限の数はそろえたい。

日本は世界一の自動車工業力を持っているのだから、それを生かさない手はない。 もちろん各戦闘車両と他の部隊や司令部とのネットワーク化をはかる。

 歩兵については、ゲリラや特殊部隊・テロリストなどに対応するために、高性能センサーの装備や情報ネットワーク化をすすめる”将来型歩兵”の研究が陸自で始まっているので、それを期待を持って見守ることとする。

 それでは一旦外国軍に奪われた日本の離島を奪回するための作戦の一例をシミュレーションしてみよう。

制空権・制海権を握った日本側は、奪われた日本領の離島に輸送艦と護衛艦隊を近づけ、陸軍兵力を上陸させることになる。

 まず海自の掃海部隊が上陸目標付近の海域の機雷を除去して、輸送艦や護衛艦が安全に近づけるようにする。

輸送艦からは上陸用ホバークラフト(LCAC)や輸送ヘリを使って陸自の各部隊を上陸・展開させることになるが、離島奪回作戦においてこの瞬間が一番脆弱な状態なので、空自戦闘機や陸自の対戦車ヘリの護衛のもとで上陸作戦を行う。

もし上陸目標地点に敵軍がいれば空爆を加え、それらを一掃して安全の確保につとめる。(必要ならば、陸上の地雷原の除去も済ませる。)

 上陸部隊の展開が終わったら離島奪回作戦の最終段階である、敵地上軍の排除に移る。

UAVや偵察ヘリによって情報の収集・分析を行い、それに基づいて対戦車ヘリ部隊・MLRS(地対地ロケット)を含む砲兵部隊・戦車部隊・歩兵部隊・工兵部隊・補給部隊などが連携して作戦を遂行する。

 まず対戦車ヘリや砲兵部隊が攻撃を加え、敵の戦力を十分そいでおく。
そのあとに戦車部隊と歩兵部隊が連携して前進、敵軍を排除して奪われた領土の奪還を完了する。

 以上、空・海・陸の順で日本の島嶼防衛に必要な防衛力整備について考えてきたが、日本の離島の被侵略を含むあらゆる危機の発生に有効に対処するためには、今まで述べてきた事の他にも、

陸・海・空の三自衛隊の統合作戦遂行に必要な指揮・統制能力の整備(全部隊のネットワーク化)、

自衛隊の情報ネットワークを外部から守り、同時に相手国の情報網の破壊工作を行うサイバー部隊の整備、

政府と自衛隊の目となり耳となる質の高い諜報機関の育成、

三自衛隊が、必要な時に、必要としている場所へ、必要なモノを、必要なだけ送り届けられる高度な補給能力、

そして何より、タブーを設けずあらゆる事態を想定し、自衛隊がそれにスムースに対処することを可能にする法整備が欠かせない。


 冷戦の終了によって日本を取り巻く国際環境も変化し、現在の日本の安全をおびやかす脅威も変化した。 そうした脅威を分類すると、冷戦中から現在まで継続して存在しつづけているものと、冷戦後に新たに発生したものとの二種類に分けられる。

 その二つの脅威に日本政府ならびに自衛隊が有効に対処するために、防衛庁の”背広組”を含む文官は、「国民が自衛隊をコントロールする」というシビリアンコントロールを大前提としつつも、無意味な”配慮”によって、自衛隊に手かせ足かせをつけるべきではないし、

 ”制服組”つまり武官は、「自衛隊の進路は国民が決定する」という大原則を肝に銘じつつ、自分たちの伝統的なやり方だけに固執するのではなく、一番の友人であり、すばらしいお手本でもあるアメリカ軍が、戦場でその有効性を証明した最新の戦術・兵器・戦訓を十二分に研究し取り入れて、自らの能力の向上に日夜勤しむべきである。



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この記事に対するコメント

A10ワートホグの出番もお願いします

対戦車へりもよいのですが、安定した飛行と頑丈な機体が特徴の地上攻撃機A10ワートホグの出番もお願いします。ミケ

  • 投稿者: 屋根の上のミケ
  • 2005/12/21(水) 01:38:19
  • [編集]

>A10ワートホグの出番もお願いします

 すみません、日本も財政難ですのでクロフネ案では採用を見送らせていただきます(笑)

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2005/12/21(水) 22:32:49
  • [編集]

本件では

 はじめまして。少しだけコメントさせて頂きます。

 貴案におきましては、戦闘ヘリの比重が高く占められているように感じましたが、今年度予算では2機で143億円、来年度防衛庁要求におきましては1機で104億円(レーダー整備含む)だったかと思います。それほど高価なものを、大量調達、柔軟運用というのはなかなか困難かと僕は思うのですが如何でしょうか?

 また、島嶼奪還という状況に際し、陸自による島嶼逆着上陸のような事態を想定されているように思われます。しかし、島嶼に対して彼我の勢力が戦車等の装甲車輌、重火器等を上陸、もしくは揚陸することが出来たと仮定する場合、海空自による阻止能力は大幅に低下していると考えられます(防衛出動命令が遅延なく発令された場合という、これまた仮定に基づいてしまいますが)。

 海空自の阻止能力が大幅に低下している環境下において、我が方の戦車等の車輌やHLRS等の特科を上陸させるのは著しく困難かと思われます。このような事態においては、防衛力による島嶼奪還は事実上不可能です。

 よって、敵上陸部隊の洋上阻止。奪還には普通科を主とした浸透によって実施する。という警備方針が最善かと思われるのですが如何でしょうか?

 突然、ご意見を求めてしまって申し訳ありません、よろしくお願い致します。

  • 投稿者: coden
  • 2005/12/24(土) 00:31:08
  • [編集]

>本件では

こちらこそ、はじめましてcodenさん。

>貴案におきましては、戦闘ヘリの比重が高く占められているように感じましたが、今年度予算では2機で143億円、来年度防衛庁要求におきましては1機で104億円(レーダー整備含む)だったかと思います。それほど高価なものを、大量調達、柔軟運用というのはなかなか困難かと僕は思うのですが如何でしょうか?

これにつきましては、AH-1と交換していく形になりますが、トータルで戦闘力がアップするのであれば最終的に対戦車ヘリの数が減少しても良いと考えております。

もし対戦車ヘリの数が減らせないのであれば、その他の戦車や自走砲・牽引砲の純減も想定しています。 90式はそのままにして、老朽化した74式を減少させて、戦闘力維持に問題が無ければ、たとえ総戦車数が半分になっても良いと考えております。

>しかし、島嶼に対して彼我の勢力が戦車等の装甲車輌、重火器等を上陸、もしくは揚陸することが出来たと仮定する場合、海空自による阻止能力は大幅に低下していると考えられます

>(防衛出動命令が遅延なく発令された場合という、これまた仮定に基づいてしまいますが)。

そうですね。 私の有事想定では、外国軍による奇襲攻撃で日本の有人・無人の離島が占拠されてしまった、あるいは侵攻の気配に気づいたが、出動が遅れて事前配備が間に合わなかった場合を含めています。

たとえばフォークランド紛争では、アルゼンチン軍はイギリス本土の海空軍力を壊滅させることなく、同諸島を占拠しましたよね。 

このように、外国が例えば南西諸島のある島を占拠する場合、「いったん占拠してしまえば、日本は奪回には来ない。竹島や北方四島のようにあきらめるだろう。」とあやまった予測にもとづく軍事行動に出る可能性は捨てきれないと思うのです。

その場合、日本本土の海空自の阻止能力がそのまま温存されても離島を占拠されたといった事態が想定できるのではないでしょうか?

>よって、敵上陸部隊の洋上阻止。奪還には普通科を主とした浸透によって実施する。という警備方針が最善かと思われるのですが如何でしょうか?

 洋上阻止ができればそれでOKです。

もし占拠されてもそれが無人島ならば、敵海空軍を排除した後、島を包囲して敵を”兵糧攻め”にして降伏を待てばいいでしょう。

しかし有人島となるとそうはいきません。 兵糧攻めにしたら日本人の住民も餓えてしまいます。

その場合は、上陸作戦を行って敵陸軍を排除し、住民を救出しなければなりませんが、有人島ですとそれなりの面積があって、敵軍が戦車やIFV・対戦車ヘリ等を持ちこんでいる可能性があり、普通科だけでは相当の犠牲が予想され、作戦の成功もおぼつきません。

やはり戦車・対戦車ヘリなどの重装備を含めた上陸作戦が欠かせないのではないでしょうか。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2005/12/24(土) 02:24:03
  • [編集]

迅速なレス、ありがとうございます。

 迅速にレス頂きましたこと、感謝致します。

 戦闘ヘリを重視するというのは、確かに着上陸後の想定下における機甲戦などで非常に有効だと思います。ただ、機甲や特科による普通科への直協火力支援は、戦闘ヘリによる航空支援と多かれ少なかれ異なるものでありますから、その辺りのバランスが重要かもしれませんね。

 もう一つの方の、奇襲攻撃を受けたとの想定ですが、これは本格的侵攻というよりかは限定侵略のようですね。奇襲攻撃であったとしても、本格侵攻であれば主要な各基地・駐屯地は攻撃等の妨害を受けるかと思われますので。限定侵略を受けた後に奪還に統幕指揮下の統合部隊が奪還する、というような想定は可能かと思われます。

 クロフネさんのご意見は理解できたと思います。詳しいご教授、ありがとうございました。また、よろしくお願い致します。

  • 投稿者: coden
  • 2005/12/24(土) 17:49:19
  • [編集]

日本に一番不足してるのは情報力です。戦争になってもこれがなければ負けるでしょう。

日本版CIAをという話もありましたが年間3兆5000億という膨大な予算が必要なようで、日本の財政状況からして財源が難しいですね。

安易に税金上げて国民の生活が苦になれば、内部から日本が崩壊してしまいますし。難しい問題ですね。

  • 投稿者: とく
  • 2007/08/29(水) 12:47:58
  • [編集]

とく さん

>日本版CIAをという話もありましたが年間3兆5000億という膨大な予算が必要なようで、日本の財政状況からして財源が難しいですね。

日本が情報機関を持つにしても、必ずCIAと同じ規模にしなければいけないということは無いと思います。

世界には、イスラエルのモサドのように、CIAより予算も人員も、はるかに少ないにかかわらず、非常に優秀な情報機関も存在します。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2007/08/30(木) 23:08:26
  • [編集]

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