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第8回 世界はパクス・シニカとどうつきあうべきか?(その2)

  • 2005/08/31(水) 21:07:37

 前回は、日本が世界戦略を策定する上で、絶対にはずすことのできない、ベースとなるべき価値観は、民主主義と自由貿易であるという事について確認した。

それでは、これらのことをふまえながら、日本と、日本が属する自由世界は、中国と上海協力機構とどのようにつきあっていったらよいか、具体的に考えてみよう。

 中国を盟主とする上海協力機構は、パキスタンやイランといった国々を準加盟国として取りこみながら、拡大の様相をみせている。 しかし、一見順調に見える上海協力機構体制だが、矛盾や対立の火種をかかえているのも事実だ。

 そもそも上海協力機構は、中国とロシア、それに中央アジアの世俗主義イスラム国家が、イスラム原理主義過激派に対処するために結成した同盟機構だ。

それならば、「イスラム原理主義革命の輸出」をスローガンにしてきたイランも上海協力機構の潜在的な敵となるはずだが、イランの上海協力機構準加盟は認められた。

中国やロシアは、自国製兵器の市場として、また石油などエネルギーの供給源としてイランに接近し、イランもアメリカに対抗するための兵器の調達先として中国とロシアを頼りにしており、こうした利害の一致が宗教的な対立さえ乗り越えさせている。

だが、中国やロシアが自国領内でウイグル人やチェチェン人といったイスラム系少数民族を弾圧しつづける限り、イランやイスラム原理主義過激派国際組織と中国・ロシアの対立の火種はくすぶりつづけるだろう。

 またロシアと中国でさえ、完全な一枚岩とは言えない。

中国と陸続きで国境を接するロシアは、中国に完全に心を許したわけではなく、人口の希薄な極東シベリアに確実に浸透する中国の経済力や中国系市民への警戒感を依然持っており、上海協力機構の盟主・中国へエネルギーや武器をただただ貢ぐような、現在の状況にいつまでも甘んじるつもりもないだろう。

ロシア産の石油や天然ガスをすべて中国に吸い取られてしまうよりは、金払いのいいアメリカや日本に売ったほうが、ビジネスとしてもうまみは大きいし、

ロシア製の最新兵器を果てしなく中国に売りつづければ、ロシアと中国の軍事力は逆転し、プーチン大統領のかかげる”強いロシアの復活”どころか、ロシアの中国の従属国的な地位が固定され、ロシアの対中外交の自由度が、著しく制限される可能性があるからである。

 このように、上海協力機構のゆくすえは不透明である。
もしかしたら中国と他の国との間の亀裂が表面化して、上海協力機構は崩壊するかもしれないし、北朝鮮や韓国あたりを新規加盟国として加えて、逆に拡大するかもしれない。

 ただ、前回の冷戦で、自由主義世界の競争相手となった、ソビエトを盟主とするワルシャワ条約機構と、中国を盟主とする上海協力機構の置かれた状況はかなり違う。

その中でも最大の違いは、ワルシャワ条約機構諸国は、盟主であるソビエトから産する、豊富な天然資源・農産物によって発展した工業・農業に基づく社会主義計画経済によって、軍事力・経済力などの総合国力を支え、資本主義の西側自由主義諸国にさほど依存せずに、冷戦を戦えたのに対して、

上海協力機構は、盟主である中国自身が資本主義経済にどっぷりとつかり、資本・技術・産業製品の輸出市場などにおいて、日・米・欧の自由主義世界に決定的に依存しているということである。

以上のことから、自由世界と上海協力機構の間で、もし次の冷戦が起こったとしても、勝敗は明らかだと思う。(自由世界がよほどバカなマネをしなければの話だが)

そして50年や100年の長いスパンで考えれば、一旦民主化されたのに独裁制に逆行するといった”ゆり戻し”があるかもしれないが、いずれ中国やロシアといった国々も、真の意味で民主化の方向へと進むことは避けられないだろう。

日本としても、このことはよく頭の中に入れておかなければならない。

 それでは、中国を盟主とする独裁国家の集団・上海協力機構に対して、日本、そしてアメリカ・EUを含めた、自由主義世界はどのように付き合ったらよいであろうか。 それについては、やはり中国や上海協力機構諸国がどういった内政・外交政策を取るかによって、大きく左右される。

 もし、中国が日・米・EUの自由世界と協調し、日本やASEAN、インドも含めた周辺国に対して、覇権主義的な領土拡張政策を放棄するならば、日・米・欧は、中国に対する関与政策を維持しなければならない。

つまり中国に対して投資を持続し、中国製工業製品の輸出市場を提供して、中国経済の発展に協力しつつ、中国を自らの責任を果たす、国際社会の一員として参加させなければならない。

それによって中国の中産階級を育成し、彼らを中国の民主化を担う次の世代とすることが、長期的な国際社会の利益となるだろう。

 しかし、中国が天安門事件のように、国内の民主化要求の声を武力で圧殺し、高まった経済力を軍事力へと転換させ、共産党独裁体制を維持しながら、あらたな領土・領海や天然資源の獲得のために、自由世界や中国の周辺国に対して、”中華民族優越主義”と強大な軍事力を背景とする脅迫を繰り返し、実際に暴力を行使するとなると話は別である。

 日・米・欧を中心とする自由世界は、まず、中国への投資を抑制して、中国の強大な軍事力を支える経済力の源泉となっている、資金や高度な技術などの流れを抑制し、中国の国力を限定しなければならない。

そして日本・アメリカ・EUの自由主義三極と、ASEAN諸国やインドなどが安全保障の分野で密接に協力しながら、中国と上海協力機構が、危険な軍事的冒険を挑むような過ちをおかすのを抑制しなければならない。

こうした安保・経済両面からの抑制政策をとることによって、中国と上海協力機構が国際法を守り、国際社会において責任ある行動をとるよう、自由世界が彼らに圧力をかけ続けることが、世界の平和と安定のために絶対必要である。

 ただ、この抑制政策を成功させる上で、日・米・EUの自由主義三極の一致団結が欠かせない。 自由主義諸国同士で対立したり、中国でのビジネスに目がくらんで、誰かが”ぬけがけ”するような事はもってのほかである。(逆に相手側は、自由世界の分断を狙ってくるだろう)

 日本としてできることは、アメリカの行き過ぎた一極行動主義に自制を促して説得するとともに、EUで指導的立場にいるフランスやドイツに「アメリカ憎し」のあまり独裁国家・中国に接近し、EU製の高性能兵器を売却してアメリカを牽制させるような、いきすぎたマキャベリズムを、やめさせなければならない。

また、アメリカなどと協力して、ASEAN諸国が中国の衛星国家群として従わせられるような事が起こらないよう配慮するとともに、”世界最大の民主国家”であり、親日国家でもあるインドが、中国やロシアなど上海協力機構側をパートナーに選ぶような過ちをおかさないように説得する必要もあるだろう。

 以上みてきたように、中国と上海協力機構が、国際社会と協調するのであれば、日本を含む自由世界は関与政策を維持し、彼らが軍事力を背景とした危険な冒険主義をとるのであれば、自由世界が結束して抑制政策を取って、彼らの国力を限定させるといったように、相手の出方によって柔軟に政策を使い分けることが肝要である。

これこそ、中国と上海協力機構が、自由主義世界や他の諸国と共存共栄のために協調し、世界の安定と持続的な発展のために責任のある行動を取らせることに寄与するのではないだろうか。

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最初から期待していませんが案の定です。

『中国ルートを優先着工=太平洋送油管で露プーチン大統領が明言』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050907-00000169-jij-int

  • 投稿者: 東京
  • 2005/09/08(木) 02:18:45
  • [編集]

東京さん

>『中国ルートを優先着工=太平洋送油管で露プーチン大統領が明言』

これは、北方領土問題で譲歩しない日本に対する圧力でしょうね。

最近ロシアと距離を置いて反抗姿勢をみせるウクライナに対しても、相場より安い”友好価格”で提供していた石油や天然ガスを「国際価格でなきゃ売らん!」と圧力をかけています。

 でも日本が焦る必要は全く無いと思います。

ロシアは当該油田の輸出先が、パイプラインによって中国向けに限られてしまうと、石油の輸出価格をロシアの有利なように決定するわけにはいきません。

 ロシアとしてはパイプラインを太平洋沿岸まで伸ばして、タンカーで日本かアメリカにも輸出できるようにして、日・米・中に石油買取価格のつりあげ競争をさせたいのがホンネでしょう。

「太平洋ルート中止」ではなくて「中国ルート優先」というメッセージを日本に発したのは、そういう理由だと思います。

 日本としては、「それではせっかく高く売れるかもしれないロシア産原油を、中国に安く買い叩かれて、大損ですよ」とでも言っておけばよいでしょう。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2005/09/08(木) 23:35:44
  • [編集]

くろふねさんへ

この経済問題について具体的に質問します。
防衛費についてのクロフネさんの見解は探しておきますのでもう少しまってください。

第七回の「世界じゅうで自由貿易が維持されることが、日本の国益にとり死活的に重要なのである。」

この事と・・・・・・・・

第八回の「日・米・欧を中心とする自由世界は、まず、中国への投資を抑制して、中国の強大な軍事力を支える経済力の源泉となっている、資金や高度な技術などの流れを抑制し、中国の国力を限定しなければならない。 」

この事は矛盾すると思いますが。
それとも貿易は自由で投資は禁止と言う意味なんですか?

  • 投稿者: じいさん
  • 2006/07/04(火) 12:49:46
  • [編集]

いつも楽しみに拝読させていただいております。
時事通信の記事にこのようなものがあったのですが、

給油継続は「日本の国益」=石破防衛相
<http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2007101300287>

日本の国益と自衛隊の給油活動とアフガニスタンとの関係について解説していただけないでしょうか。

よろしくお願いします。

  • 投稿者: にっしー
  • 2007/10/14(日) 00:19:11
  • [編集]

にっしー さん

>日本の国益と自衛隊の給油活動とアフガニスタンとの関係について解説していただけないでしょうか。



http://gaikoanzenhosyo.blog4.fc2.com/blog-entry-544.html

http://gaikoanzenhosyo.blog4.fc2.com/blog-entry-557.html

このあたりを参考にしてみてください。

結局、インド洋には日本の生命線が走っているわけですから、インド洋の治安維持に日本自らが貢献する意味は非常に大きいと思います。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2007/10/14(日) 22:34:48
  • [編集]

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