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第7回 世界はパクス・シニカとどうつきあうべきか?(その1)

  • 2005/07/29(金) 23:46:40

 前回は、中国と上海協力機構が、その他の世界にどのような影響を与えているかをみてみた。

それでは日本を含む自由主義世界は、彼らとどのようにつきあっていったら良いであろうか。

まずその前に、日本が持つべき国家戦略について確認しておく。

日本は資源に乏しく、貿易によって必要なモノを輸入し、国内で生産された財・サービスを輸出しなければ生きていけない国である。

つまり世界じゅうで自由貿易が維持されることが、日本の国益にとり死活的に重要なのである。

第二次世界大戦は、当時世界に自由貿易体制が確立していなかったために生じた通商戦争だった。 その戦争が日本に破滅をもたらしたという歴史をふまえれば、日本にとって自由貿易の維持が死活問題であることを証明している。

 自由貿易の維持・拡大のためには、できるだけ多くの世界の国の人々が紛争や貧困・抑圧政治から逃れ、豊かさと自由や民主主義といった基本的人権を享受できるような安定した状態が望ましい。

だからといって、独裁国家に民主主義を導入するよう”説教”をたれ、それを拒否する国は、かたっぱしから空爆するようなことは、外交政策として現実的でもなければ効果的でもないし、日本の国益にとって利するところは少ないだろう。

しかし「世界に安定と豊かさと自由民主主義の恩恵を広める」「それによって自由貿易体制を維持・拡大させる」ということを日本が持つべき国家戦略の根本にしっかりとすえて、ブレの無い外交をすることが絶対必要である。

戦後、民主化されて以降の日本でさえ外交において、このようなことが軽視されてきたのではないだろうか。

このような基本戦略をふまえながら、独裁国家が打ち出す内政・外交政策に対応するかたちで、こちらも関与政策と非関与(あるいは封じ込め)政策を使い分けていかなければならない。

以上のことを念頭において、日本と上海協力機構を含む中国との関係について考えてみる。

 これまでの日本の対中政策というのは「まず関与政策ありき」で、北京市民への虐殺がおこった天安門事件後も、中国政府からそのような抑圧政治の反省は無かったにもかかわらず、西側各国に制裁解除を説得してまわり、天皇陛下の訪中をあせるような失策をしてしまった。

最近では、エゴむき出しで世界と衝突をくりかえす中国の実態から目をそらし、「21世紀は中国の時代、勝ち組に乗り遅れるな」「これからは国境を取り払った、国際共同体がトレンド」「EUを見習ってアジアも」といった感情に流されたような分析から、最終的にどういう形態を想定しているのかは知らないが、日本は中国とともに共同体を結成しようと無邪気に言い出すものまでいる。

 たしかに世界では今、”共同体”が流行している。

共同体に理想を見出す人々の中には、共同体内部に”国境が無くなった”ところを見て、「ノーボーダー、ノーカントリーだ」などと単純なあこがれを抱いてしまうような人もいるようだが、共同体加盟国とその他の国の間には国境が厳然と存在し、関税政策上の差別がある。

それは日本の国益上絶対に譲れない自由貿易とは正反対の、保護貿易的なブロック経済成立への危険性を常に秘めている。そこを見失ってしまうのは非常に危うい。

 東アジアは市場としては世界一巨大だが、資源は逆に乏しい。

もし、世界各地に成立した共同体がそれぞれブロック経済化して保護貿易体制へと向かい、各経済ブロックが世界規模で資源・市場の争奪合戦をはじめるようなことが現実となれば、東アジア経済ブロックの命運は絶望的なものになる。

そのような自由貿易体制の崩壊シナリオは、日本にとって悪夢以外の何物でもない。

 戦前の日本は感情的な盲目状態に陥って、ナチス・ドイツを理想化・過大評価し「勝ち組に乗り遅れるな」とばかりに、ユダヤ人迫害などの人権抑圧に目をつぶって日・独・伊三国軍事同盟を結ぶという、取り返しのつかない過ちを犯してしまった。

その結果、世界から日本は誤解をうけてしまい、とてつもないダメージを日本外交に与えたのであった。

そういった歴史を教訓にすれば、筆者は無邪気に”東アジア共同体の理想”に浮かれることはできないのである。

 理想に目がくらんで、その独裁体制や人権抑圧、あるいはダンピングとの強い批判を受けている通貨・通商政策に目をつぶったまま、日本が中国と共同体を結成するのは、あまりにも危険だ。

もちろん、東アジアに共同体は必要無いとも、絶対にそのようなものは結成してはダメだとも言うつもりは無い。

しかし、共同体結成が自由貿易体制と矛盾しないならばともかくとしても、東アジア共同体の結成が、EUをはじめNAFTAといった世界各地の共同体の保護貿易化につながらないよう、日本は細心の注意を払っておかなければならない。

もし、WTOの自由貿易理念の根幹がゆらぐような事態がおこりそうならば、真の国益をふまえた冷静な判断から、日本は東アジア共同体結成から距離を置いて、世界に自由貿易の維持を訴えるような勇気が必要となってこよう。

 まちがっても、感情に流されて中国との東アジア共同体結成をあせり、「日本は中国と同じように、アンフェアーな通貨・通商政策をとる国だ。そして人権を軽視し、抑圧政治に賛同する国だ。」という誤解を世界に与えないようにしなければならない。

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