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第5回 上海協力機構は第二のワルシャワ条約機構となるのか?

  • 2005/07/13(水) 01:09:15

 前回では、冷戦後の自由世界と対立する可能性のある、もしくはすでに対立している二つのグループ、民族・愛国主義グループイスラム原理主義グループをとりあげた。

 しかし二つのグループのうち、イスラム原理主義グループはイランにしろスーダンにしろ、経済力と兵器の開発能力を含めた軍事力の両面でパワーが限定的であり、単独では正面から自由世界に挑戦するのは困難である。

むしろこのグループではこうした国家の協力を得ながら、市民を狙った無差別テロのような非対称戦闘を挑んでくる国際テロ組織の存在の方が、それ以上に切迫した問題であるが、国際テロの問題は別の機会に述べたいと思う。

 より自由世界にとって懸念されるのは、一番目のグループ、つまり社会主義的全体主義国家から偏狭な民族主義・愛国主義的な全体主義国家へと変質したグループである。

冷戦期のユーラシア大陸中央部では、ソ連・インド同盟対中国・パキスタン同盟が鋭く対立する構図だったのは、以前述べたとおりだが、

ソ連崩壊による冷戦の終結に伴って、NATOは大陸を東へとすすんで勢力を拡大し、国力の著しい減衰が露呈したソ連(ロシア)はカザフやウズベクといった中央アジア地域を失い、逆に、改革開放という名の資本主義化で国力を増大させた中国が急速に台頭した。

ロシアは低迷する経済建て直しのために外交政策を転換させ、自国製兵器や石油・天然ガスなどの売却を通じて、これまで対立していた中国と接近していった。

 2001年6月、中国は持続的な経済発展とエネルギー安全保障のため、また中央アジア諸国にいたウイグル人独立運動組織を一掃して”植民地”・ウイグル自治区(東トルキスタン)の分離独立を阻止するため、

96年に発足した上海ファイブ(中・露とウズベキスタンを除く中央アジア3カ国首脳会議)を母体とする、上海協力機構の創設をロシアや中央アジア諸国に呼びかけた。

中国と、チェチェン問題がらみでイスラム原理主義過激派を警戒するロシア、原理主義過激派の国内浸透を防ぎつつ、天然資源を中国に売却することによって経済を立て直したい中央アジア諸国は利害が一致し、

こうして没落したロシアに代わってユーラシア大陸中央部の盟主の座についた中国を中心とした6カ国(中・露とトルクメニスタンをのぞく4ヶ国)が政治・経済・軍事面で協力する上海協力機構がスタートした。

02年10月、上海協力機構による初の合同”反テロ”軍事演習がキルギスと中国との国境付近で行われた。 これ以後、同機構は軍事同盟的性格を強くしてゆく。

03年11月以降、旧ソ連圏のグルジア、ウクライナ、キルギスで一連の”民主革命”が達成されたが、革命には絶えずアメリカの影がちらついていた。

この影響もあったのか、キルギスでの”チューリップ革命”以後、上海協力機構は「特定の仮想敵を想定しない、平和的な非軍事組織」だったはずが、反米の独裁国家同盟の性格を徐々にだがあらわにしてきている。

05年7月に上海協力機構は、加盟国のキルギス・ウズベキスタンからの米軍撤退を要求し、また古くからの中国の同盟国であったパキスタンを準加盟国とした。

驚くべきは、世界最大の民主国家・インドの上海協力機構への準加盟で、アメリカと中国をてんびんにかけて国際社会におけるインドのプレゼンスを増大させようとしているのか、それともインドの古くからの同盟国でありインド軍への主要兵器供給国でもあるロシアからの圧力があったのか、あるいは中国との資源獲得競争に敗北した結果なのかインド側の真意がいまいち読めないが、ともかく、インドはこれまできびしく対立していた中国・パキスタン同盟への接近の兆しを見せている。

 また一見矛盾に満ちているが、「イスラム原理主義過激派組織によるテロ反対」をかかげる中国・ロシアは前述の二つのグループの内の後者、つまりイスラム原理主義国家にも接近している。

特に中国は、油田権益の獲得を狙って、イランやスーダンといった反米イスラム原理主義国家に接近して、中国製兵器の供給や外貨と引き換えに、これらの国に中国国営石油会社を進出させ、獲得した石油のほとんどを国際石油市場をとおさず、中国本土へと直送している。

中国はイランを上海協力機構の準加盟国としたが、世界でも指折りの反米国家を同機構に迎え入れることは、アメリカの神経をさらに逆なでする行為であることは間違い無い。

以上みてきたように、ソ連崩壊以後の20世紀の最後の10年間でロシアのユーラシア大陸中央部での影響力は減退し、

21世紀に入り、それに代わるようにして、中国はみずからを盟主とし、ロシアや中央アジア諸国を石油や天然ガスなどの資源供給国・武器供給国として従えた、上海協力機構体制を急速につくりあげた。

さらに石油供給国としてイラン、中国製兵器の一番の顧客であるパキスタンをこの体制に引き込もうとしている。

ユーラシア大陸における近年の情勢は、米・中・露による新たな”グレートゲーム”の様相を呈しているが、中国は上海協力機構を、かつてソ連を盟主とした反米・反NATO同盟であるワルシャワ条約機構やコメコン(経済相互援助会議)のようなものにするつもりなのだろうか。

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この記事に対するコメント

インド準加盟は アメリカ日本に厳しい経済制裁されてた時だよ。

それにインド投資先の中央アジアの国々が入ってるしな

対テロでは協力するが
本格的な軍事同盟にはならないよ

  • 投稿者: か
  • 2012/06/08(金) 09:22:50
  • [編集]

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