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第23回 中国の外交テクニック(最終回)

  • 2005/06/28(火) 23:58:18

まとめ

 7回にわたって、中国の外交テクニックについてみてきた。

私が中国の外交テクニックを皆さんに紹介したのは、我々日本人が「中国には外交で絶対にかなわない。だから日本がひざまづくしかない」という敗北主義に陥るためではない。

彼らの外交テクニックの特徴を分析するとともに、効果的な対策を立て、日本の対中外交におけるこれまでの失敗を繰り返さないためである。

 中国の外交テクニックに共通する特徴は、人間なら誰でも持ち、自分でコントロールすることが困難な感情を中国側が利用しコントロールすることによって、その人間を中国の意のままにあやつろうとするということがまず第1点目である。

中国側が利用しようとする感情は、罪悪感・同情・感謝の念・依存心・恐怖・名誉欲など様々である。

そのような”技術”が中国で発達した理由は、法が万人の平等・公平さ・正義を何ら保障せず、法を運用する人間の感情次第でどうにでもなる”人治社会”と言われる中国社会の後進性にあるのは間違いないだろう。

 逆にいえば「一衣帯水」「唇失えば歯寒し」「日中友好」などと、一見腹を割って自分達の心や感情をオープンにしたかのように、相手の感情に訴えるようなセリフをいくら連発しても、

中国側指導者・外交官の頭の中は決して一時の感情に流されること無く、常に冷徹に利害・損得の計算をしており、そういったことを絶対相手に悟られないようにしているのである。

中国が重視するのは、決して1人民元にもならないような「日中友好」などといったスローガンではなく、領土・領海・油田権益・経済的利益などといった実利だ。

反日暴動やガス田開発、中国原潜の領海侵犯事件に見られるように、実利が得られるのであれば、1元にもならない”友好”などいとも簡単に捨ててみせるのが中国である。

である以上、中国との交渉で一番大切なことは、合意文書にサインする前に「日本が何を手に入れることが出来るのか?そして何を失うのか?」ということを、感情を排し冷徹に見極めるということである。

同時に「中国が何を手に入れ、何を失うのか」を見つめれば、「日中友好」「一衣帯水」といったタテマエの向こうに、中国側の真の意図が透けて見えてくるのである。

 実際、政治家・外交官から国民にいたるまで日本人が苦手なのは正にこれである。

これまでの日中交渉では、中国側が1元にもならない「日中友好」などといった空虚なコトバを日本側に売りつけ、日本側はそれを喜んで、経済・技術援助といったバカバカしいぐらいの”高いカネ”を出して買いつづけてきた。

いや、それならまだマシな方で、近年では東シナ海の排他的経済水域内の海底資源開発権や、在中国日本公館の治外法権を含む日本の主権さえ中国に売り渡してしまった。

特に日本の中国担当の外交官の多くは、中国側が売りつけてくる空虚なコトバを”高いカネ”を出して買うことこそが「日本が求めるべき最高の国益である」という錯覚にとらわれ、そのような錯覚にとらわれて行動する自分自身をみて、「これぞプロの外交官だ」などと自己陶酔してきたのである。

その結果、中国側が実利を欲しいと思えば、時には意図的に日中関係を悪化させて「”日中友好”が危ういぞ、ほれほれ日本が”高いカネ”を出して買え」と迫ることで、何度でもそれを可能にしてきたのである。 反日暴動しかり、東シナ海のガス田問題しかりである。
 
最近では「日中関係は”政冷経熱”で、日中友好の観点から問題だ」と中国は言い始めている。

これに日本の政界・財界の一部は、見苦しくうろたえて右往左往の大騒ぎとなっているが、”政冷経熱”のいったいどこが問題だというのだろうか?

むしろ”政冷経熱”、これほど日中関係の真実を見事についた言葉はないだろう。

中国の経済発展という実利のためには、日本の投資・技術援助と中国製品の市場としての日本が必要不可欠であり、だからこそ中国の指導者が日中関係の危機をどんなにわめていてみても、中国は経済的に日本から離れることは出来ないのである。

繰り返すが、中国が一番重視するのは実利である。逆にいえばそこが弱点である。 

 コトバだけでは無い、真の友好が欲しいのならば、もうこれまでのような取引に応じてはならない。

日本の経済援助や投資・高度な技術、中国製品の市場の提供といった実利は、中国が日本に与える実利とだけ交換しなければならない。

日本は「日中友好」「一衣帯水」といった空虚なコトバを守るのに汲々とするのではなく、あえて「中国が『日中友好』を破壊したいのならどうぞご自由に」と突き放した上で、

「その代わり中国は日本から実利を得ることは不可能になりますよ」
「日本から実利を得たいならば、歴史問題や靖国問題などで内政干渉し、日本の主権を侵害するべきではありません」

と中国に明言し、日本を尊重しなければ中国に実利は与えないという毅然とした態度を見せる事が、逆説的に日本と中国の間の真の友好関係を守ることになるのである。

相手の見せかけの感情的アプローチに決して流されてはならず、間違っても「中国側の感情に配慮する」という名の自分達の感情を優先させて、国益を失うようなことがあってはならない。

 第2点目は、「力こそ正義」思想の崇拝である。
中国側指導者・外交官は、倫理・道徳や法秩序(国際法も含む)による公平さなどといったものを尊重するような思想はほとんど無い。

このシリーズやにんにく戦争でもふれたように、彼らにとって、中国が有利になるよう相手をねじ伏せ、ひざまづかせる事ができる安保理の拒否権や核兵器を含む軍事力、経済力といった強大なパワーこそ正義である。

それはやはり、彼らが育った「権力やカネで裁判官や警察をどうにでもでき、法の正義が何の意味もなさない人治社会」である中国社会の後進性からくるものであり、中国側に遵法精神や法のもとの平等、倫理・道徳の尊重といったことを期待するのは無意味である。

日本人は「人類みな平等」といったお題目が大好きで、しばしば「日本が法治社会だから外国もそうだ。話せば必ず相手もわかってくれる。 だから相手も必ず法律を守ってくれるはずだ。」などと考えてしまいがちだが、人類は平等でも社会の発展には厳然とした差があることから目をそらすべきではない。

相手が力を崇拝するなら、こちらも力で対抗しなければ、日本と中国の国家間の平等、日本の主権や国民の生命・財産、日本社会における正義さえ、守ることはできないことを忘れてはならないだろう。




高邁な理想も臆病と怠惰に引きずられれば、武装した断固たる邪悪さの敵ではない。

ウインストン・チャーチル

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”中国の外交テクニック”シリーズの参考文献

中国人の交渉術―CIA秘密研究

国際交渉学―交渉行動様式の国際比較

中国との格闘―あるイギリス外交官の回想

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この記事に対するコメント

<中国外相>国連安保理改革「対話深めたい」と歩み寄り姿勢
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051016-00000003-mai-pol

上記の記事を読むと常任理事国入りをエサにした中国のしたたかな外交テクニックのようにしか思えませんが。

  • 投稿者: 東京
  • 2005/10/16(日) 03:10:27
  • [編集]

東京さん

 東京さんの教えてくださったネタで記事を一本書こうと思っていたのですが、小泉首相の靖国参拝で、ブッ飛んでしまいました(苦笑)

今後、中国がどうでてくるかは、まだわからないので、なんか動きが出たら書こうかと思っています。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2005/10/18(火) 22:40:03
  • [編集]

はじめまして。

お説いちいちごもっともで、感心しながら拝読させていただいております。
中国が信ずるのは、まずは力(軍)ついで金です。
わが国の憲法の「諸外国の誠実さ・・」などへとも思わぬ人たちでしょう。
やはり、言うべきことをいい、日本の立場をはっきり伝える、
それでダメなら、物別れでいいんです。困るのはまだまだ中共なのですから。
それにしても、福田氏、森氏など、相変わらず迎合発言が続きますね。困ったものです。

TBをよろしくお願いします。

  • 投稿者: ホームズ
  • 2006/05/28(日) 21:46:03
  • [編集]

ホームズさん

>わが国の憲法の「諸外国の誠実さ・・」などへとも思わぬ人たちでしょう。

中国人の考え方とは正反対かもしれません。

TBのちほどいたします。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2006/05/29(月) 23:41:34
  • [編集]

今頃ですみません

チウゴクにすむものとして面白く読ませてもらいました。

こちらが、もうすこしよく考えてもらおうと、チウゴクのヤミの部分を提示すると、かならず、「どの国にもあること」と相対化してきます。
最初は、中華のプライドが許さないのかともおもっていましたが、本当にそう信じている人もいます。

糞青と呼ばれる青年と話したこともありあますが、中共にたいする悪口ではもりあがれても、拝金主義とかそういった話題では急に中共の味方になってしまうんです。
「それは日本だ。日本は信頼のない社会だ!」と逆切れされました。(日本語3年も勉強して、結論これか・・・とさびしくなりました)

最後に・・・
学生の書く中日友好の作文、読むたびにイライラします。

  • 投稿者: nhatnhan625
  • 2007/06/17(日) 18:23:22
  • [編集]

nhatnhan625さん

>こちらが、もうすこしよく考えてもらおうと、チウゴクのヤミの部分を提示すると、かならず、「どの国にもあること」と相対化してきます。
最初は、中華のプライドが許さないのかともおもっていましたが、本当にそう信じている人もいます。

中国人の多くは、政府のことをあまり信用していませんよね。「上に政策あれば下に対策あり」と言われるぐらいで。

でも、相手が日本となると、とたんに「中国政府の言うことは100%正しい」となってしまいます。

ちょっと考えればおかしいと分かるのになぜ多くの中国人が理解できないのか不思議です。

やはり”低信頼社会”のせいじゃないでしょうか。

  • 投稿者: クロフネ@管理人
  • 2007/06/18(月) 22:05:13
  • [編集]

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