初めていらっしゃった方へ

スポンサーサイト

  • --/--/--(--) --:--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

第21回 中国の外交テクニック(その6)

  • 2005/06/12(日) 14:39:42

7.友好人士―中国とのパイプ(その2)

 それでは次に、中国が相手国内に送り込んだ”友好人士”をどのように利用して、外交交渉を中国にとって有利な方へと導いていくのかを見ていこう。

 例えば、中国とある国の間に深刻な対立が生じたとする。(たとえば中国でおこった排外暴動などを想定してほしい)

そして外交交渉などの場で、その相手国に中国の主張を認めさせることが出来ず、中国の国益が大きく損なわれそうになったとしよう。

そのような状況が起こると、それまで”友好人士”に盛んに届いていた、北京での接待への招待状がパッタリと来なくなる。

国家主席どころか、それまで簡単にアクセスできていた、中国側のヒラの担当者でさえ連絡が取れなくなってしまう。

そのことによって”友好人士”は「何があったと言うのだ? 自分は”中国との太いパイプ”なのに、なぜ北京とコンタクトできないのだ?」と極度の不安にいてもたってもいられなくなる。

そうした、”友好人士”の不安が絶頂期にさしかかったタイミングで、「やっと連絡がとれた」中国の担当者は”友好人士”に向かってこう囁く。

「先生もご存知のように今、中国と先生の国との関係が大変な危機に陥っています。 もちろん中国の主張が正しいのは明白ですが、先生のお力で問題を解決してください。 このままでは○×先生の”中国とのパイプ”としての地位と名声が失われます」

これを聞いた”友好人士”は、みずからの”中国との太いパイプ”としての地位とその評判を守るために、そして再び北京を訪問して豪華な接待を受け、中国のVIPと会談する許可をもらうために自国の政府・国民に対して、中国の主張・立場を一方的に垂れ流し、自国の政策を中国の思い通りに変更させようと死に物狂いになる。

当然そのような活動は”友好人士”が最も得意とする分野で行われる。

彼・彼女が政治家・官僚であれば、直接その国の政策を中国の望みどおりに変更させるだろうし、ジャーナリストであれば、新聞・TVで自国の国民に、中国の主張を疑うこと無き”絶対正義”あるいは”絶対的事実”として報道し「非があるのは自分の国である」とプロパガンダを流すだろう。

学者や教育者などの知識人であれば、学校教育の場や教科書を利用して、中国のプロパガンダを純真でまっさらな子供達の頭に刷り込んだり、本を出版して中国の主張を一般大衆にアピールするだろうし、

財界人ならば、「経済的利益がそこなわれるし、非があるわが国が譲歩すべきだ」と政府に圧力をかけることもできる。

 当然”友好人士”達は、彼らの同胞から「裏切り者」とか「売国奴」と罵られることになるが、深いマインドコントロールを受けているために、

どう見ても自分と中国を非難する者達が、”中国との太いパイプ”という自分の地位・名声を攻撃してそれを奪おうとしている者、自らが心酔する中国政府が言っていた「中国と自国との友好関係を破壊しようとするファシスト・帝国主義反動ども」にしか見えない。

よって「売国奴」と攻撃されればされるほど、外からの客観的な情報をシャットアウトして、一方的に中国の主張を垂れ流し、中国の正当性を擁護する宣伝マシーンと化す。

 これらの活動が功を奏して、中国とその国との国際問題が中国の望みどおりに解決し、その働きぶりが中国によって評価されると、”友好人士”は再び北京の迎賓館の中に足を踏み入れることを許されるのである。

そして”ご褒美”として前回より一層豪華な接待が催されたり、中国VIPとの直接会談の時間・回数が増やされたりする。


 また”友好人士”たちの待遇にあえて差をつけて、誰が一番中国に対して忠実なのか、複数の”友好人士”の間に”忠誠心競争”をあおることによって、なお一層の相手国の分裂を誘い、より効果的に彼らの政策を中国の思い通りの方向へと誘導しようとする。

中国は、ニクソン政権下のキッシンジャー国務長官対シュレシンジャー国防長官、カーター政権下のブレジンスキー大統領補佐官対バンス国務長官、レーガン政権下のアレン大統領補佐官対ヘイグ国務長官というライバル関係を利用し、

片方に接近して中国との蜜月ぶり、”中国の友人”を強調し、それを他方に対する圧力にして中国に対する譲歩を迫った。

(もっとも、彼らの”友好人士”度は、さほど高くは無かったようだが)

 重症の”友好人士”たちがいかに醜悪な存在であったかについて、イギリス外務省の中国専門家でサッチャー首相の外交顧問だった、サー・パーシー・クラドックが彼の回顧録で述べている。ちょっと長いが引用しておく。(カッコ内はクロフネの注)

  ----------------------------------------

 今も活躍している、かなりの数の西側ジャーナリストや”中国専門家”達は、中国が隠そうとする問題にあえて踏み込まず、受入国の中国におもねり、北京に再び足を踏み入れるチャンスが奪われる事を心配していた。(略)

実は、こうした”中国専門家”達による驚くべき曲解もまかりとおっていた。(略)

中国が(一説に三千万人を死に至らしめたという)文化大革命に苦しんでいた1970年代はじめに中国を視察した学者グループは、「人々の生活は新しい芸術と文化によってはるかに豊かになった」「人々の暮らしに活力とユーモア、くつろぎと幸福を発見した」と賞賛した。

ふりかえってみれば(”中国専門家”たちが)自ら買って出て作り上げた妄想の数々は嘲笑の的でしかない。

彼らはスターリンの非道をごまかすために仕組まれた嘘と同様に、恥ずべき作り話の数々を歴史に刻んできたのである。

どれほど過酷な専制国家であろうとも、その体制を擁護する”インテリ”は必ずいるものだという悲しい事実を我々は思い起こさねばならない。

そして中国がどんなに醜い姿をさらそうとも、今なお西側の観客を惑わせ、引き付ける魔力を中国自身が持っているという現実を、我々はもう一度見つめなおさなければならない。


(日本の某新聞も当時「文化大革命によって中国からハエや蚊が一匹もいなくなった」と書いたのは、日本の報道史の恥辱の1ページとなっている)

  ----------------------------------------


 残念ながら、日本において誰が”友好人士”だったかは、証拠をおさえることが難しいため、特定は困難である。

ただ、以下の事実は”友好人士”を考える上で、多くの示唆を我々に与えてくれるだろう。

 中国から「血の友誼でかためた友人」と呼ばれる北朝鮮は、中国の外交テクニックの影響を受けていることは、「雰囲気の操作」で既に述べた。

その北朝鮮は、1968年1月に韓国の大統領府を武装特殊部隊に襲撃させ、朴正熙大統領暗殺をはかるという衝撃の事件を起こす。(青瓦台襲撃事件)

しかし暗殺は失敗し、国際社会における北朝鮮の道義性は大きく失墜した。

この青瓦台襲撃事件をめぐる日本の朝日新聞の当時の報道について、元朝日新聞編集委員の石川巌氏が興味深い記事を書いている。(雑誌”軍事研究”2004年4月号)

当時、朝日の記者であった石川氏は襲撃事件について、”北朝鮮専門家”であった朝日新聞の元先輩記者で、共産党系の日朝協会理事長・原水協副理事長もつとめた、畑中政春氏に取材に行ったという。

すると畑中氏は「石川君、君にはわからんのかね。あの青瓦台襲撃事件はだね、朴正熙の自作自演なのは一目瞭然じゃないかね」と断言し、

こうして後に、北朝鮮の最高指導者・金日成が謝罪することになる青瓦台襲撃事件について、「事件は韓国・朴正熙大統領の自作自演」という何ら根拠の無い恥ずべき妄想が、朝日新聞に堂々と掲載され日本中の家庭に配達されたのであった。

また石川氏は畑中氏についてこうも証言している。

「畑中氏は会うたびに『金日成との会見時間が去年は15分だったがね、今年は30分になったよ』と、そんなことばかり自慢するのだった」

 多くの日本人が、中国の”友好人士”戦術にいとも簡単に篭絡されてきたことは想像に難くない。

その原因のひとつは、日本人の多くが”世界市民”のような空虚なスローガンに踊らされて、世界各国の人々が当然持っている、民族としてのアイデンティティや文化・歴史といった根(ルーツ)の必要最低限度さえ失ってしまい、無味無臭な根無し人間・透明人間を拡大再生産してきたことにある。

真の意味での理想的世界とは、無味無臭無色の人間の集まりといったネガティブなものではなく、いろいろな色・味・においの個性が主張しあい、それらが共存することを許される世界であり、そのような世界をめざすものこそ真の意味での世界市民といえよう。

自称日本人”世界市民”の大きな矛盾は、彼らが大好きな中国人・韓国人が決して無味無臭・無色透明ではなく、世界でもっとも強烈に民族としての”色”を主張していることからも容易に証明できる。

そして中国・韓国のやり方は、自民族の”色”で他民族を容赦無く塗りつぶそうとするものであり、世界市民の考え方とは根本的に相容れないことも、さらなる矛盾点である。

 二番目の理由としては、特に日本の外交官に言えることだが、信仰とさえ言える友人関係への過度の期待である。

確かに友人関係があった方が、その国との関係発展が容易になるのは事実だが、だからといって相手国の指導者・外交官が自国の国益を犠牲にしてまで、日本人指導者・外交官との友人関係を優先させることは無いというのは当たり前の事実である。

(もし友人関係のために自国の国益を損なう者がいたとしたら指導者・外交官失格だし、彼を採用した国家のレベルを疑う)

どんなに自分が相手に対して忠実な友人として振舞っても、相手は決して自国の国益を犠牲にはしない、この事実を常に肝に銘じておかなければ、何度でも”友好人士”戦術にひっかかることになる。

そして日本の外務省員にもかかわらず、「私の将来の夢は、中国の外交官と机を並べて仕事をすることだ」などと寝ぼけたことを言い出す人間を続々と生み出すことになるだろう。

-----------------------------------------

「外国に使いして国を辱めず」という古くからの戒めがある。

任務を終える時「あなたは日本国を代表して、日本の国益を守るために最善をつくした」と言われることができれば、外交官にとってこれに勝る名誉は無い。

松永信雄 元駐米大使


banner_04.jpg

↑管理人が元気になりますので、もっと記事が読みたいという方はポチッとしてください↓
人気blogランキング

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する


・いつもコメント&TBありがとうございます。

アダルト系ブログからの、サイトポリシーに違反したコメント・TBが後を断たないため、受信したコメント・TBを管理人が審査することにしました。

サイトポリシーに違反したものについては予告無く破棄します。

また問題の無いコメント・TBを頂いても表示されるまで少し時間がかかります。 悪しからず御諒承ください。

「管理者にだけ表示を許可する」にチェックを入れると、管理人だけが読める非公開コメントになります。 非公開コメントを下さる方のプライバシーを尊重し、あえてお返事をしておりませんが、「公開コメントでも良いのでレスが欲しい」という方は、非公開コメントにその旨をお書き添えください。
                

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。