遅いよ小泉さん。

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 小泉首相は、今日16日午前の衆議院予算委員会の集中審議で、靖国参拝の意向を示すとともに、

「戦没者の追悼でどのような仕方がいいかは、他の国が干渉すべきでない。靖国神社に参拝してはいけないという理由が分からない」

「中国側は『戦争の反省』を行動に示せというが、日本は戦後60年間、国際社会と協調し、二度と戦争をしないという、その言葉通りの行動によって、戦争の反省を示してきた」

と述べた。

http://headlines.yahoo.co.jp/
hl?a=20050516-00000064-kyodo-pol


 その主張は、いちいちごもっともだが、何故それをもっと早く国際社会なり、中国の胡錦涛主席や韓国のノムヒョン大統領との首脳会談や会談後の記者会見の席で訴えなかったのか、なぜ中国や韓国での反日デモがエスカレートする前にアピールしなかったのかとあきれ果てて声も出ない。

一国の指導者として言説に一貫性がまったくみられず、今のタイミングでこの発言は最悪のものと言える。

そもそも今回の反日暴動事件の経過はこうだった。

韓国、ついで中国が、つくる会の教科書をろくに読みもせず「日本は過去を直視しないし反省もしない。軍国主義の復活だ。」と騒ぎ立てた。
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中国で、日本人や日本大使館・日系企業を襲う暴動が発生。
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小泉首相は、暴動の賠償や謝罪は求めても、”靖国”や”歴史教科書”で何の反論もせず。中国は賠償・謝罪を拒否。
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投資対象・観光地としての中国の信用が失墜し、中国政府が強権を発動してデモ隊を封じ込めた。
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暴動が収束したにもかかわらず、ジャカルタで小泉首相の”謝罪演説”。
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日中首脳会談で、胡主席が小泉首相に中国側の主張を一方的にまくし立てるが、暴動の謝罪も賠償もなし。小泉首相歴史問題で反論せず。これを中国内メディアは、”小泉屈服”と報道。
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中国に遺棄化学兵器処理の援助金増額、韓国にサハリン在住韓国人支援や韓国人の訪日ビザ廃止でアメ玉を与える。

 この間小泉首相は、歴史問題・靖国問題で一切反論せず、ジャカルタで”謝罪演説”をして”降伏文書”にサインしてしまったがために、「日本はまたもや過去を直視せず歴史教科書を歪曲したが、ジャカルタでそのあやまちを認めた」という間違ったイメージを中国や韓国、それに東アジア各国に与えてしまった。

残りの世界、例えば欧米のメディアも「中国の反日暴動は間違い」という論陣を張ってくれたところもあったが、それらメディアでさえ、「日本が過去を反省しないのも問題だが」という前提つきの場合が多く、その誤った前提が欧米でも一人歩きしてしまった感がある。

 そういった状況下でおこった、今回の小泉首相の靖国・歴史問題での中・韓に対する反論と靖国参拝の示唆は、日本のリーダーとして言動に一貫性が全く見られない。

そのような一貫性の無さは、世界に「日本は過去を歪曲したが、ジャカルタでそれを謝罪した。なのにまた過去を歪曲しようとしている」という誤解を与えかねないものだ。

中・韓も「だまされた・裏切られた」と感じるだろう。

そしてそれは、「ひきょうな日本人・汚い日本人」という虚像を作り出し、「日本人だけを狙い撃ちにした暴動」という名の差別を新たに生み出しかねない。

(私は今回の中国での暴動や「ドイツ人は過去を反省しているが、日本人は絶対過去を反省しない」という韓国の主張は、明確な人種差別だと思っている)


小泉首相といい町村外相といい、何故こうも簡単に相手に言質を与え、すぐそれをひっくり返すようなことをするのか。

以前にも言ったが、外交問題の原因が読めない、適切な対策が立てられない、対策を立てても適切なタイミングで実行できないという三重苦の小泉政権には本当に限界を感じる。

小泉さんに町村さん。外務省にいないのなら民間からでもいい、外交のやり方がわからないのなら”軍師”を雇ってくれ。頼む...

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