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第5回 アメリカ、”軍事革命”の勝利

  • 2005/02/16(水) 00:20:17

 イラクのクウェート侵攻という事態に対してアメリカは迅速に動き、国連を通じてイラク軍のクウェートからの即時撤退を求め、最後通牒をつきつけた。

イラクの同盟国・ソ連が調停に動いたがフセインはそれを拒否し、米・英などを中心とする多国籍軍がイラク軍を攻撃した。

 フセインは弾道ミサイルを、今回は全く関係の無いイスラエルに打ちこんで挑発すると共に、この戦争をアメリカやイスラエルの”十字軍”を撃滅するためと位置付けた。

反イスラエルという”アラブの大義”に戦争目的をすりかえた事で、フセインは各国に散らばるパレスチナ難民を中心に、アラブの市民レベルには熱狂的に支持された。

 しかし肝心の戦闘の方は一部のマスコミの予想に反して、ハイテク化されたアメリカ軍を中心とする多国籍軍がイラク軍を圧倒し、あっという間にクウェートから追い出した。

ベトナム戦争で血の犠牲を払って教訓を得たアメリカは、軍の情報化とそれを支えるハイテク化を進めてきた。
その意味で湾岸戦争の完全勝利はベトナム戦争の”トラウマ”からアメリカを完全に立ち直らせる事となった。

その証拠に、これ以後ソマリア内戦やユーゴスラビア・コソボ紛争への介入など国際問題の解決に、アメリカが軍事力を”気軽に”使うようになる。

朝鮮戦争やベトナム戦争の例を挙げるまでもなく、もともとアメリカは軍事力の行使を外交の選択肢のひとつとして持っている国である。

”ベトナムでのトラウマ”を払拭した湾岸戦争以後は、アメリカが立ち直って元に戻ったと言え、ネオコンが登場して突然アメリカが侵略を始めるようになったかのように言う最近の一部の議論は、的外れと言えるだろう。

その後クウェートから撤退するイラク軍を追って、アメリカ軍はイラク領内深くへと破竹の進撃を続けていた。
しかしイラク軍を首都バクダッドに追い詰めながらアメリカ軍は突然進撃を止めてしまう。

その理由については諸説あるが、最も有力と思われるものはフセインを倒せなかったのではなく、わざと倒さなかったという説ではないだろうか。

そもそも、イラクに単一のイラク民族というものは存在しない。

スンニ派アラブ人シーア派アラブ人、そしてイラン系のクルド人などが住む多民族国家、それがイラクの実態である。

もっと言えば、全イラク人口の60%にあたるシーア派アラブ人とその他クルド民族を、わずか人口の30%のスンニ派アラブ人(つまりフセイン・イラク政権)が支配していたのである。

もしアメリカが少数スンニ派のフセイン政権を打倒すれば多数派であるシーア派がイラクを支配するという目が出てくる。
イラクのシーア派アラブ人は同じシーア派を国教とするイランと密接なつながりがある。

(イランがイラク国内のシーア派反政府組織・”イスラム革命最高評議会”を支援していたのは前述のとおり)

また、イラクにはナジャフやカルバラといったシーア派の重要な聖地もあり、イラクがイランの勢力圏・衛星国となるのは願ったりかなったりである。

そうなればサウジやクウェートと、シーア派原理主義国家となったイラクが国境線を接する事になってGCC諸国(湾岸産油国)はイランの前に丸裸となってしまう。

そうならないために、これまで西側諸国はイラクを支援してきたわけで、このようなシナリオは断固として受け入れられない。

フセイン打倒とシーア派の台頭は絶対開けてはならないパンドラの箱だった。だからアメリカはわざとフセインを打倒せずイラク軍を温存したのではないだろうか。

パパ・ブッシュが成し遂げられなかったフセイン打倒をブッシュ・ジュニアが成し遂げるためにイラク戦争をはじめたといった話に説得力があるようには思えない。

 しかし兵力30万人以上・戦車二千両を含むイラク軍(数だけでいえば陸上自衛隊の2倍)を温存させた以上、再び暴発しないよう監視する必要が出てくる。
そのためアメリカはサウジアラビアの基地を中心とした湾岸地域にアメリカ軍を駐留させつづけた。

このことがさらに次の出来事の伏線となってゆく。

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★関連図書―もっと詳しく知りたい方は...
20050523151900.jpg

戦場のIT革命 湾岸戦争データファイル


◆現代戦の様相を一変させ、中国や北朝鮮などソ連型軍事ドクトリンをとる国々を震撼させた、アメリカの”軍事革命”を実戦例をあげて解説。 

現代戦の実態を理解していなければ、適切な安保政策は立てられないが、その意味で安全保障政策の関係者必読の書。 

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