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日本の閉塞感の原因
- 2009/07/31(金) 23:04:44
最近マスメディアで”閉塞感”(へいそくかん)という言葉を良く目にするようになった。
そして”識者”と呼ばれる人達が、「現在の日本を覆っている閉塞感の原因は、自民党出身の首相が2代続けて政権を投げ出したせいだ」などと、したり顔で解説している。
ネットの書きこみなんかを見ても「自民党が国民の年金をどっかに消してしまった」「自民党が800兆円も国の借金をつくってしまった」「だから民主党政権を誕生させるべきだ」と主張する人を見かける。
民主党・自民党のどちらを支持するか以前の話として、これらの主張はいずれも事実ではない。
本当に人間というものは、過去の記憶を自分自身にとって都合の良いものに変えてしまうという習性を持っているなとあきれてしまう。
だいたい今の日本で耳にタコができるほど聞かされる、マスコミを中心とした「首相が政権を投げ出した」批判ほど奇怪な主張もない。
最初に「政権を投げ出した」と批判された安倍元首相について、彼が自分から望んで政権を投げ出したのであれば批判されて当然だと言える。
だが決してそうではなかったことは、神に誓って真実である。
ではなぜ安倍氏が「政権を投げ出した」のか?
国民の多数が自ら望んで、政権を投げ出すように仕向けたからだろう。
つまり年金問題が最大の争点となった2007年の参議院選挙で、国民が安倍氏率いる自民党を敗北させたからだ。
その結果、自民党を中心とした与党が多数を占める衆議院と民主党を中心とした野党が多数を占める参議院とで意見が食い違う、ねじれ状態が生まれた。
衆院と参院でねじれ状態が生まれた場合、意見の食い違いで国会で何も決められず日本がマヒ状態におちいることを防ぐための安全装置が、現在の日本国憲法には初めから用意されていないという重大な欠陥をかかえている。
このため、参院選に敗れた安倍政権は何かをやろうとしてもできなくなってしまった。
だからこそ最終的に退陣に追いこまれたわけで、「政権を投げ出すな!」と批判するなら、07年の参院選で自民党に投票して、安倍首相が政権を投げ出さなくても良いようにすれば良かったのだ。
そもそも「自民党出身の首相が2代続けて政権を投げ出した」と批判する人物に限って、自民党政権を厳しく批判し、1秒でも早く政権を投げ出すことを期待していた人間だったりする。
頭が分裂でもしているのだろうか?
私は自民党・福田政権をまったく支持していなかったが、「福田首相が政権を投げ出した」と批判したことはただの一度もない。
むしろ早く投げ出してくれて清々したくらいだ。
それでも、ネットで書きこまれているように「年金問題の責任は安倍政権にあるのだから自民党が負けて当然だろう」という人がいるかもしれない。
ネットでまだこんなことを言っている人がいるのかとあきれてしまうが、社会保険庁の職員が、年金がどっかに行ってしまうようないい加減な仕事をしていたのは、安倍政権が誕生するはるか何十年も前からの話で、その原因は、親方日の丸体質にどっぷりつかっていた社会保険庁の末端職員の労働組合である自治労に行き着く。
じゃあ自治労は自民党政権を支持していたのかというとまるっきり逆で、自治労は民主党や社民党を支持し、自分たちの仲間を政治家として民主党から立候補させ、自治労の組織票で当選させて国会に送りこんだりしていたわけだ。
安倍政権は公務員制度改革とあわせ、”親方日の丸”体質の社会保険庁を解体・できるかぎり民営化をすすめようとした。
仕事が民間企業並に厳しくなることにビビッて自治労が泣きついたのだろう、彼らの組織票に頼る民主党は安倍政権に反対して、「社会保険庁職員を公務員待遇のままとし、国税庁と一体化して”歳入庁”をつくれ」と年金改革にあくまでも抵抗した。(これは民主党マニフェスト2009でも公約のまま)
よって年金問題を解決したいのならば、やはり07年の参院選で国民は安倍政権を勝たせるべきだったのだ。
しかし勝ったのは、年金をどっかにやってしまった社会保険庁職員が応援する民主党だった。
しかも自治労出身の民主党候補あいはらくみこ氏が比例でトップ当選するというオマケまでついて。
年金をどっかにやってしまった張本人である社会保険庁職員の労働組合・自治労は、「年金問題を社会保険庁職員のせいにするのは不当なバッシング」と主張していた。
「年金がどっかへ行ってしまったのは、年金記録をつける役目の人間のせいではない」
良くもそんなことが言えたものだとあきれかえる。
これぞ親方日の丸体質の公務員だ。
その公務員が応援しているのが民主党なのだ。
消えた年金問題の”A級戦犯”を国政選挙で勝たせてやれば、間違いをおかした人が報われ間違いを正そうとした人が罰せられるのであれば、この日本が行き詰まるのは当然だろう。
これこそ現在の日本を覆う閉塞感の最大の原因だ。
「自民党が800兆円もの借金をつくってしまった」という批判も、大事なことをすっかり忘れている。
巨額の対日貿易赤字に業を煮やしたアメリカは、日本に圧力をかけて1990年に430兆円、94年に630兆円に増額された”公共投資基本計画”を飲ませた。
ここから日本の財政は極度に悪化していったのだが、この時アメリカに譲歩したのは海部政権であり、それを陰から支え自民党幹事長として絶大な権力をふるっていたのが小沢一郎・民主党前代表だった。
「自民党が800兆円もの国債の山をつくった」と批判するなら、「小沢氏のいる民主党だけには投票しちゃいけない」という結論になるのが普通だろう。
批判する相手を間違えている。
ちなみに、このとき一緒にアメリカから要求されたのが”大規模小売店舗法の改正”で、これもしばしば自民党批判のネタにされる。
だがそれを受け入れたのは竹下派の幹部だった小沢幹事長が権力を握っていた時の自民党であって、批判をするならやっぱり民主党の小沢氏に向かって言うべきだろう。
自民党竹下派といえば、小沢幹事長のもとで代議士としてのスタートを切ったのが岡田克也・現民主党幹事長で、岡田氏の実家は言わずと知れたイオン・ジャスコグループ。
大規模スーパーのイオングループといえば大規模小売店舗法改正で最大の恩恵を受けた勝ち組。
週刊朝日が、あの西松建設がイオングループの大規模ショッピングモール建設をいくつも手がけるなどつながりが深いと報じると、民主党の岡田幹事長が週間朝日に抗議するという事件も起こっている。
参考記事
最近しばしば耳にする日本の閉塞感。
その原因の多くは、「誰が政治をやっても同じ」と言って政治を少しでも知ろうと努力することもない我々国民が、間違いを犯した人にごほうびをあげて、間違いを正そうとした人を罰したからである。
努力が報われないのなら、どうして正しいことをしようとする政治家が現れるだろうか?
悪気が無かったとはいえ、多くの国民が道義の無いことをやれば、その国が閉塞状態におちいるのは当然だ。
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関連記事・年金問題が争点らしい
民主党マニフェストの本物って一体どれよ?
- 2009/07/30(木) 23:58:47
民主党の鳩山由紀夫代表は昨日29日、遊説先の熊本県で記者団に対し、27日に発表したばかりの”民主党の政権政策Manifesto2009”について「この間出したのは正式なマニフェストではない。正式なマニフェストは公示日からしか配れない」と述べた。
ハア?
参考記事
民主党のHPに載っているマニフェストにはどこにも”非公式版”とは書いていなかったはずだが。
WEB魚拓はとっていないが、どこかに極小文字で書いてあったのか?
羊頭狗肉じゃあるまいし、国民を馬鹿にしている!
27日に発表した民主党マニフェストを批判された鳩山代表は、翌日宮崎市で行われた街頭演説で、「(マニフェストを)必ず実現すると約束するし、果たせなければ責任を取るのは当たり前だ」と有権者に公約した。
参考記事
日本では「武士に二言はない」と言うが、ここまで大見得を切っておいて今さらいっぺん出したマニフェストを引っ込めて公約文を改変するというのなら、民主党代表の舌の根も乾かぬうちに、もうマニフェストに違反して実現できなかった国民への公約が出てくることになる。
だったら「(マニフェストを)果たせなければ責任を取るのは当たり前だ」という国民への公約に従って、党首自ら責任をとって辞任すべきだ。
鳩山代表は宮崎市での街頭演説でさえ「あれは正式な演説ではない」と言うつもりなのだろうか?
これでは消費者に対して不当表示でインチキ商品を売りつけるようなものだ。
衆院選の投票まであと1ヶ月あるが、今の段階で鳩山民主党がここまでブレブレなのだから、国民としては何を信じて良いかわからなくなる。
民主党にとっては結局、政権を取って日本をどういう国にするかではなく政権を取ること(そして利権をむさぼること)それ自体が目的だから、党首の発言もマニフェストもブレブレにブレまくるのではないか。
当ブログでは民主党のマニフェストをまじめに分析してきたが、もうアホらしくなってきた。
小沢前党首の秘書逮捕をずっとかばい、「小沢党首が辞任すれば自分も責任を取る」と大見得を切ってみせたのが当時の鳩山幹事長だ。
だが鳩山氏は責任を取るどころかブレにブレて民主党の代表に出世してしまい、マスコミもそのことを一斉にスルーしたことが、そもそものボタンの掛け違いであったと思う。
それでも”民主党の政権政策Manifesto2009”を、我々国民の生活がかかっている身近な部分からちょっと突っ込んでおくが、年額31万2000円を支給する子供手当や公立高校無償化、農漁業の戸別補償制度の導入、さらに最低賃金を時給1000円へ引き上げといった”公約”が並んでいる。
それらのことが社会に悪影響を与えずに実現できるのなら良いが、民主党があげている財源は公務員の無駄使い節約・埋蔵金の活用・予算の組替えだけで、まったく地に足がついていない政策というか、実現可能か非常に怪しいものだ。
そして一番問題なのは、次の日本経済をひっぱる産業育成策について何も考えていない点だ。
当ブログでも連載企画”新たなジャパニーズドリームを!”で、非正規労働者でも結婚・子育てができるぐらいの所得引き上げを提案したが、連載記事ではそれを実現するために次の日本経済をひっぱる産業育成策について提案する章に入ってきている。
だが、民主党は景気良くバラまく話はするがその財源は不透明、財源の財源(つまり税をおさめてくれる企業や家計)をどう豊かにしていくかについては、地に足をつけた対策がまったく取られていないのである。
民主党が主張する税金を使って企業や家計を豊かにするというのは”永久機関”か、さもなくばタコが自分の足を食って生きるような話であって、まっとうな産業育成策とは言えない。
民主党が出してきたものは、もはや政権公約・マニフェストとは呼べない無責任なシロモノになっている。
鳩山代表が「この間出したのは正式なマニフェストではない」と発言して始まった今回のゴタゴタ劇で、民主党の未来がすべて見通せてしまった気がする。
ロッキード事件や佐川事件を引き起こした旧田中派-竹下派ラインは自民党でも最も腐敗したモラルの低い派閥だった。
民主党の鳩山代表も小沢前代表も旧田中派-竹下派ラインの出身だが、その事実が全てを物語っている。
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民主党が有権者注目の公約を撤回
- 2009/07/29(水) 00:41:06
民主党のマニフェストが発表された。
私も同党のHPへ行ってマニフェストを読んでみたが、”政策集INDEX2009”で公約とされていたものが、いくつも撤回されていた。
参考記事
当ブログ記事”まさに日本乗っ取り公約”でも厳しく糾弾したが、国立国会図書館に”恒久平和調査局”を設置して過去の日本の”罪”を洗い出し、日本が謝罪と賠償を行って”慰安婦問題”を解決するという主張がカゲもカタチもなくなった。
また「民主党結党時の基本政策として早期に実現する」とした、永住外国人に対する地方参政権付与も撤回された。
もちろん「多重国籍の容認」という主張もマニフェストのどこにも見当たらない。
さらに「靖国神社にはA級戦犯が祭られている」として、靖国神社に代わる新たな非特定宗教の国立追悼施設を建立するという公約も取り下げられた。
これらの政策は憲法改正が必要な、まさに主権を持つ日本の国民と国家の根本を大きく覆すものが含まれている。実施の是非を問うのに国民投票が必須とさえ思える。
よって、民主党が政権選択選挙と主張している今度の衆院選において最重要の争点とし、主権を持つ国民にハッキリと問いかけて、YESかNOか明確に答えてもらわなければならない問題である。
民主党が”政権選択選挙マニフェスト”として出してきたものにこれらの政策がスッポリと抜け落ちていたということは、”恒久平和調査局”を設置、”慰安婦問題”への賠償金二重支払い、永住外国人に対する地方参政権付与と多重国籍の容認、靖国神社に代わる新たな非特定宗教の国立追悼施設建立は、「仮に民主党が政権を取ったとしても政策として実施しません」と国民に約束したわけだ。
参考記事にあるように、民主党の政調幹部は「われわれが選挙で国民に示して約束するのはマニフェストであり、政策集は公約ではない」と、我々有権者に言質も与えている。
民主党がこれらの政策実現を撤回するなら大変結構なことだが、もしマニフェストで国民にやらないと約束したことをやった場合は、国民に対する
重大な裏切りであり、詐欺行為だ。
国民は絶対に許さない。
ただ民主党マニフェストに「人権侵害救済機関の創設」は公約として明記された。
民主党マニフェストの12ページ目、政策各論において、内閣府の外局として人権救済機関を設置するとしているが、これはかつての特高警察の再来ではないのか。
”人権擁護”を大義名分として、民主党政権と違う考え方の人間を思想犯として迫害する暴力装置ではないのか。
麻生政権を「そ~ら見ろ!ブレた、ブレた」と叩いた多くのマスコミは、民主党のブレを「現実的対応」と言葉巧みに言い換えている。
だが民主党のマニフェストを見る限り、まだ現実的対応からは遥かに遠い。
マニフェストを批判された鳩山・民主党代表の「お前に言われる筋合いはない」発言も、政治家としての器の小ささを感じさせ、まったくもって頂けない。
チャーチルは「痛みを感じない体が無いように、批判のない政治があるだろうか」と言っていたと思うが、民主党が政権を取ったら政府を批判する国民に「お前に言われる筋合いはない」と言い返して、内閣府所属の”人権救済機関”を使って牢屋にでもブチ込むつもりだろうか。
「お前に言われる筋合いはない」発言からは、鳩山代表のキャッチフレーズ”友愛”をまったく感じられない。
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新たなジャパニーズドリームを!(その11)
- 2009/07/28(火) 00:40:23
”新たなジャパニーズドリームを!”バックナンバーはこちら。
(その1) (その2) (その3) (その4) (その5)
(その6) (その7) (その8) (その9) (その10)
これから日本が目指すべき国家像や理想とする社会について考える連載企画、”新たなジャパニーズドリームを!”今日はその11回目である。
前回では、近年の日本では知らず知らずのうちに見失われている、「日本という国家や日本企業が営まれる目的とは、物質・精神の両面にわたり日本人1人1人が幸福になることである」というすべての原点に立ち帰るべきこと、そのためには日本企業の経営戦略や政府の産業育成策において、発想の全面的な転換が求められていることを指摘した。
今の日本をおおっている閉塞感は、少なくとも1980年代までは通用していた高度経済成長期の成功体験に多くの日本人が縛られ、時代や国際環境の変化に適切に対応できる、新しい企業戦略・産業育成策を打ち出せていないことに大きな原因があるように思われる。
それでは高度経済成長期と現在とでは、日本経済とそれを取り巻く国際環境はどう変化しているのか、そこから導き出せる新しい企業戦略・産業育成策とはどういうものか考えていきたい。
ところでA.キンドルバーガーやB.クローサーが提唱した国際収支発展段階説をご存知だろうか?
国際収支発展段階説とは、一国の経済が発展・衰退していく過程が国際収支構造の変化となってあらわれるとする説である。
国際収支は、ある国が外国と経済取引を行った結果としてあらわれる数字であり、モノやサービスの輸出入額をあらわすのが(1)貿易サービス収支、
海外への投資にともなう利子・配当金や外国への出稼ぎによる報酬のやり取りをあらわすのが(2)所得収支、
政府による経済援助のやり取り等をあらわすのが(3)経常移転収支である。
(1)+(2)+(3)=経常収支(4)の関係が成り立つ。
また、国内居住者と非居住者の間で行われた資産・負債のやり取りをあらわす(5)資本収支があり、資本収支はお金を海外に投資する額が多ければマイナス(赤字)、海外から入ってくる投資額の方が多ければプラス(黒字)となり、(1)~(4)までとは黒字・赤字が逆であることに注意が必要である。
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一国の国際収支
(4)経常収支
(1)貿易サービス収支(以下、貿サ収支と略)
(2)所得収支
(3)経常移転収支
(5)資本収支
-----------------------------------
国際収支発展段階説では、政府間の経済援助等のやり取りをあらわす(4)経常移転収支を除き、ある国が国外に持つ資産から負債を引いたもの(プラスなら対外純資産・マイナスなら対外純債務)を加えた数字で一国の経済発展段階を見る。
ここをクリック
以下、この図を参照しながら見て行こう。
Ⅰ未成熟な債務国
経済が遅れているために、貿サ収支も所得収支も赤字となる。よって経常収支は赤字。
資本を海外からの借り入れに依存しているため資本収支は黒字となり、対外純資産はマイナスとなる。
典型的な発展途上国のそれである。
ふさわしいと思われる例
トルコ(2006)
経常 -327
貿サ -278
所得 -65
資本 457
(単位 億・米ドル)
特記以外、出典はすべてIMF ”International Financial Statistics 2008.5”による
対外純資産額は不明(データ募集中)
Ⅱ成熟した債務国
経済発展に伴い輸出産業が成長、貿サ収支が黒字に転じるが海外からの資本借り入れの利払いである所得収支の赤字を埋めるには至らない。
よって経常収支は赤字。
相変わらず資本を海外からの借り入れに依存しているため資本収支は黒字となり、対外純資産はマイナスのままである。
例 チェコ (2006)
経常 -45
貿サ 45
所得 -82
資本 54
Ⅲ債務返済国
引き続き経済が発展し、貿サ黒字額が海外からの資本借り入れの利払いである所得収支の赤字を上回るようになる。よって経常収支は初めて黒字へと転換する。
海外から借り入れた資本を返済するため、あるいは資本輸出をはじめるために資本収支は赤字となり、対外純資産のマイナスは減少へと向かう。
例 フィンランド (2005)
経常 69
貿サ 88
所得 -3
資本 -32
Ⅳ未成熟な債権国
経済の高度な発展にともない貿サ黒字が増大、対外投資も増えて資本収支も赤字基調となる。
対外純資産は黒字に転換し、そこから得られる利子や配当金などの受取のため、所得収支も黒字化する。
例 ドイツ(2006)
経常 1507
貿サ 1553
所得 288
資本 -1801
Ⅴ成熟した債権国
人件費や製造コストの上昇等で国際競争力を失うため貿サ収支が赤字に転換するが、巨額の対外資産から得られる利子や配当金などの受取による所得収支の黒字がそれを埋める。
よって経常収支全体はまだ黒字。
成熟した債権国の代表はスイスであろうか。
まだスイスの貿サ収支は赤字になってはいないが、黒字額のほとんどをモノではなくサービス輸出に頼り、黒字額そのものも徐々に減ってきている。
一方で対外資産から得られる所得収支の黒字額が貿サ収支の黒字額を上回るようになった。
スイス(2006)
経常 548
貿サ 282
所得 369
資本 -728
Ⅵ債権取り崩し国
消費の拡大で貿サ収支の赤字が巨額となる一方、所得収支の黒字ではそれを埋めきれなくなる。
よって経常収支は赤字に転換する。
経常収支の赤字をファイナンスするべく、海外からの資本流入に依存するようになるため資本収支も黒字化。
対外資産の額を債務が上回り、対外純資産はマイナスに転落してしまう。
典型例は現在のアメリカ。
アメリカ(2007)
経常 -7386
貿サ -7085
所得 743
資本 6775
中国やブラジルなどは、Ⅲ債務返済国からⅣ未成熟な債権国へ向かっている段階と思われる。
韓国は、Ⅱ成熟した債務国とⅢ債務返済国の間をウロウロしている感じだ。
韓国(2007)
経常 59
貿サ 88
所得 7
資本 62
それでは我が日本はどうなのだろうか。
日本の場合、2005年ごろから貿易サービス収支の黒字を所得収支の黒字額が逆転して以来、貿サ収支黒字は減少傾向、逆に所得収支黒字は増加傾向にある。
日本 2004 2007
経常 1720 2104
貿サ 942 835
所得 857 1385
資本 177 -1911
近年の日本は統計上の数字を見る限り、Ⅳ未成熟な債権国からⅤ成熟した債権国へと向かっている兆候があらわれている。
こうした傾向がこのまま続くのであれば、あまり望ましいこととは言えない。
製造コスト上昇や円高によって日本国内の製造業が国際競争力を徐々に失いつつあるためか、貿易サービス収支の黒字額が減っており、その代わり日本企業が国外へ工場を移転させるなど海外投資を行った結果、所得収支黒字が急増したと分析できるからだ。
おそらく国内にとどまった工場でも、働いている人達は所得の低い非正規労働者が多くなっているのではないか。
このシリーズの第6回目で、製造業を含む日本の第二次産業の就業者数が1992年をピークに現在に至るまで一貫して減少し続けていることを指摘したが、そのことは国際収支統計の数字も裏づけているように思われる。
日本経済が好調だった1980年代までと現在との最大の違いは、製造業の国外脱出と産業空洞化が起こる前か後かという点にあるように思われる。
その裏返しとして、日本企業の投資が増えた東南アジアや中国の急速な発展がある。
よく「日本の製造業は、産業ロボットや金型プレス機といった製造装置や中間部品などの”生もの”をつくる分野で世界一強いから大丈夫だ」という人がいる。
それは事実ではあるものの、しかし統計の数字を見る限り日本の製造業就業者数の減少を食い止めるには至っていない。
やはり製造装置製造などの”川上産業”ではなく、それを使ってテレビなりパソコンなり録画装置なりを大量生産する”川下産業”の方が、多くの労働者の雇用と所得の増大につながるように思われる。
逆にいえば、1985年のプラザ合意以降にはじまった急激な円高によって日本の製造業が続々と海外へ出て行ってしまい、国内に残った企業も製造コストや人件費を徹底的に削ったことが非正社員の低所得労働者を急増させ、現在問題になっている貧富の格差や少子高齢化といったことの原因になったと思われる。
さらに最近では「日本経済は内需を増やせば大丈夫」という人が目立つ。
確かに輸出が不振のときは内需を拡大させて不況を乗り切るしかないし、日本が食料・エネルギー・鉱物資源を自給できる国で、国内で富がグルグル回っている分なら問題はない。
しかし現実はそうでない以上、日本の内需(消費)が増える一方で輸出がおろそかになれば、日本の富は海外の食料・資源輸出国へと流出していくこととなる。
そうなれば当然、貿サ収支は赤字に転換するだろうし、所得収支の黒字でそれを埋めきれなくなれば、経常収支全体も赤字になってしまう。
万が一こうなってしまったら、日本は自分の対外資産を取り崩さないと生きていけない国になってしまうことだろう。
Ⅴ成熟した債権国からⅥ債権取り崩し国への転落である。
Ⅴ成熟した債権国化はⅥ債権取り崩し国転落へとつながる可能性があり、日本はドイツのようにⅣ未成熟な債権国に踏みとどまり続ける必要があるように思われる。
現在の日本はその岐路に立たされているのではないか。
歴史を振り返って見れば、かつて世界覇権を握ったイギリスも18世紀末の産業革命によって世界の工場となったが、19世紀中ごろから始まった重化学工業化(第二次産業革命)の波に乗り遅れ、ドイツやアメリカの製造業に抜かれることになった。
貿易収支は赤字になったが金融・保険といったサービス業や海外資産から得られる収益によって経常収支は黒字だった。
それがイギリスの世界覇権を支えていたが、20世紀前半の二度の世界大戦によって基軸通貨としてのポンドも覇権国家としての地位も失ってしまった。
20世紀後半の覇権国家であり世界の工場はアメリカだった。
だがアメリカの繁栄も1960年代のベトナム戦争敗北で陰りを見せはじめ、70年代には経常収支が赤字化し、80年代には経常収支・貿易収支で大幅な赤字を垂れ流すようになった。
とうとう1989年に対外総資産が対外総負債を下回り、アメリカは純債務国に転落した。
現在、イギリスもアメリカもⅥ債権取り崩し国の段階にあると思われ、そこから抜け出せる兆しは見せていない。
日本を、英米のようにⅥ債権取り崩し国に転落させては絶対にいけない。
次回につづく
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まさに日本乗っ取り公約
- 2009/07/25(土) 00:40:21
民主党が、政権公約の原案となる”政策集INDEX2009”を発表した。
民主党のホームページに行ってもそれらしきものが見当たらなかったので、各種報道に頼ることにするが、思ったとおりというかさらにその上を行ったというか、日本が本当に日本人のものでなくなってしまう”日本乗っ取りマニフェスト”とでも言いたくなるような左翼的政策がこれでもかと並んでいる。
左翼思想にかぶれた者に限って、「もうイデオロギーなんて古い」と話をはぐらかすが、民主党から出てきた政権公約原案ほど左翼イデオロギーにまみれたものはない。
参考記事
政策集INDEX2009の第一ページ目には”戦後諸課題への取り組み”を持ってきたそうだが、民主党は、日本国民のための日本の政党のはずなのにまずここからおかしい。
そこでは国立国会図書館に”恒久平和調査局”を設置して”慰安婦問題”への積極的な取り組みが公約とされている。
民主党は、”元慰安婦”と称する外国人に日本が謝罪と賠償を行う”戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案”を過去10年間にわたって国会に提出し、いずれも否決されてきたという過去を持つ。
選挙が近いから政治に興味が出始めたという人のために”慰安婦問題”をおさらいしておくが、仮に”慰安婦の強制連行”なるものが事実であったとしても、
1965年に日韓両政府が締結した”日韓請求権並びに経済協力協定”において、日本が韓国に5億ドルの”賠償金”を支払うこと(第一条)で、両締約国(日本と韓国のこと)及びその国民(法人を含む)の財産・権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、完全かつ最終的に解決された(第二条第一項)と合意したのである。
そして第二条第三項において、「一方の締約国(たとえば韓国)及びその国民の他方の締約国(たとえば日本)及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前(つまり1965年6月22日以前)に生じた事由に基づくもの(たとえば”慰安婦”への賠償請求)に関しては、いかなる主張もすることができないものとする」と日韓両政府合意の上で定めた。
民主党は”慰安婦”に賠償したがっているが、それは”日韓請求権並びに経済協力協定”という国際条約に対する明確な違反である。
(民主党議員よ、重要な条約の条文ぐらい読め!)
また日本国民全体の財産を預かる日本政府を被告、韓国人慰安婦を原告とすると、日本政府は1965年に”刑”が確定して5億ドルの損害賠償支払いに既に応じているのに、2009年以降、同じ事件について被告が重複して訴えられ、重複して損害賠償を命じられるのであれば、被告の基本的人権をいちじるしく侵害する社会正義にも法的公平さにも欠けた野蛮な復讐劇としか言いようが無い。
この場合の被告が日本政府だから何もやっても良いということにはならない。
日本政府は国民共有の財産であるから、基本的人権の侵害を受けているのは我々日本国民1人1人に他ならないからだ。
本来なら日本人の失業者や低所得労働者への支援にまわせる国民の税金が、詐欺同然に奪われていく。
これを日本乗っ取りと言わずして何と言おうか!
民主党はさらに”恒久平和調査局”を国会図書館に設置してこの野蛮な復讐劇を正当化、国民を洗脳し、思想や表現の自由を侵そうと企図しているとしか思えない。
まるでジョージ・オーウェルの1984年だ。
永住外国人の地方参政権付与も、「民主党結党時の基本政策」として早期に実現するとした。
日本国憲法第15条には「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」とある。
日本国民ではない者に公務員選定の権利を与えることは憲法第15条に対する違反であろう。
それでも永住外国人に地方参政権を付与したいのであれば、憲法第15条を改正して「ただし地方公務員はその限りではない」という一文を付け加えることを、民主党はハッキリと政権公約にすべきだろう。
民主党は多重国籍の容認まで政権公約にかかげるつもりのようだ。
かつてロシアには、ロシアとイスラエルの二重国籍を持つと言われるユダヤ系大富豪(オリガルヒ)が何人もいた。
外国籍を持つユダヤ系オリガルヒが、石油やアルミを生産するロシアの基幹産業を次々と所有したことに危機感を持ったのが、プーチン大統領(当時)だった。
事の善悪は別としてもプーチン政権は脱税などの容疑でユダヤ系オリガルヒを追いつめ、「ロシアの基幹産業を苦労してロシア人の手に取り戻した」のだった。
「民主党に政権交代させないと外国に日本が乗っ取られる」という怪しげな噂を流す人間がたくさんいるが、民主党政権誕生こそ日本が乗っ取られかねない。
だいたい民主党を支持し、社民党の福島瑞穂や辻元清美HPへのオススメリンクを張っている人間が、自分と違う主張をする人間を「売国奴!エセ保守!」と罵っているのだから、ちゃんちゃら可笑しい。
振り込め詐欺はいろんな手口を使うが、最後に「どこそこへお前のお金を振り込め」と要求するから見破ることができる。
日本が乗っ取られるぞ詐欺もさんざんもっともらしいことを言うが、最後に「民主党や社民党にお前の票を”振り込め”」と要求するから簡単に見破れる。
民主党政策集には、「人権侵害救済機関の創設」も盛り込まれている。
これも”恒久平和調査局”と同じで、日本人の思想を取り締まる暴力装置になると国民から強い反対の声があがっているものだ。
”人権侵害救済機関”のメンバーに外国人がなれるのであれば、北朝鮮や中国といった言論・思想統制を行っている独裁国家や、韓国のように民主主義の看板をかかげていても言論弾圧を行っている国にとって不都合な日本人は、片っ端から”人権侵害”のレッテルを貼られて国家から自由権を奪われかねない。
そうなれば、この日本に思想犯が復活することになる。
さらにさらに、「靖国神社にはA級戦犯が祭られている」として、靖国神社に代わる新たな非特定宗教の国立追悼施設建立も主張している。
教科書選定においても「保護者や教員の意見が確実に反映されるよう、学校単位へと採択の範囲を段階的に移行する」としていることと合わせて、日本人の個性・アイデンティティを抹殺するための政策がズラリと並んでいる。
こうした政策が実現されれば、日本の自由や民主主義は大きな打撃を受ける。
日本周辺の独裁国家や極めて未熟な民主国家のような社会に退化してしまい、今よりもっと重苦しい閉塞感に支配されることになるだろう。
中国・北朝鮮・韓国で行われているような自由な言論思想の圧殺・国家による洗脳がこの日本で行われかねない。
このように手法が特アそっくりなのは、民主党の同志でありスポンサーが一体誰であるかを雄弁に物語っている。
憲法で「一部の奉仕者であってはならない」と規定されている公務員である民主党の国会議員が、あからさまに一部の者よりによって外国人に奉仕する政権公約をかかげ実行することは、民主党の存在自体が憲法違反ではないのか。
ちまたでは、「一回民主党にやらせてみよう。ダメだったらまた変えればいいじゃん」という意見もある。
だがダメだったから変えると言っても4年間は長い。それだけあれば日本が壊れるには充分な時間だし、それでは取り返しのつかないことになる。
もし最悪の場合は、訴訟実務に精通した有志や弁護士さんなどが中心となって、たとえばNHK集団提訴方式で、国民に損害を与え自由権を奪った民主党政権を裁判所に訴えることはできないものだろうか。
過ちを悟った多くの日本国民が自由と権利を取り戻す市民革命のため、政府に向かって立ち上がってはくれないものだろうか。
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河野洋平がようやく引退 ほかグローバルインテリジェンス
- 2009/07/23(木) 00:55:02
◆河野洋平がようやく引退
21日に衆議院は解散、40日間におよぶ選挙戦へとなだれ込むこととなったが、その陰で以前から次期衆院選不出馬を表明していた河野洋平も代議士としての地位を失い、政界引退が確定した。
平成5年に”従軍慰安婦”なるものの強制連行を認めた河野談話から、拉致問題解決を遠のかせた北朝鮮への50万t米支援決定、さらに”旧日本軍遺棄化学兵器処理”と称して中国やソ連の兵器処理に日本国民の血税数百億円をタダでくれてやるなど、その悪行ざんまいには今さらながら空いた口がふさがらない。
この”日奸”のおかげで日本国民が失ったものは計り知れない。
彼が崇拝する中国では、売国奴は石像をつくられて千年近くたっても国民から唾を吐きかけられるが、お人よしですぐ許してしまう日本人も、その点だけは中国を見習った方が良いのかもしれない。
◆北朝鮮への国連制裁の中身が固まる
世間は解散総選挙のニュースで持ちきりだが、国連では安保理制裁委員会がまとめた対北朝鮮国連制裁リストの中身が固まった。
これまでアメリカから金融制裁を受けていた核・弾道ミサイル関連の北朝鮮企業が国連全加盟国による制裁対象になった他、核開発にたずさわった北朝鮮要人が渡航禁止制裁の対象者として初めて指定された。
北朝鮮要人を渡航禁止対象者に初めて指定できたことは、中朝関係の悪化が大きいように思われる。
アメリカのクリントン国務長官から「関心を払う価値はない子供」と名指しで非難された北朝鮮だが、国内の経済情勢もかなり厳しくなっていると言われている。
この良い流れを日本がつぶしてしまうことのないように願うばかりだ。
関連記事・北朝鮮が2度目の核実験
◆東シナ海ガス田から中国船撤収か
ASEANプラス3などの会合に出席するため訪タイしている中曽根外相は、東シナ海のガス田”白樺”に中国船が停泊していた問題について中国側に強い懸念を表明した。
これに対し中国の楊外相は「当該ガス田の現状に実質的な変更はない」と釈明したが、その一方で、白樺に停泊していた中国船が撤収したことを日本政府も確認したもようだ。
ソースが毎日と朝日なので事実かどうか慎重にならないといけないが、仮に麻生政権の抗議が効いて中国船が撤収していたというなら、まずは一安心である。
(ところで殺人ギョーザ問題の解明はどうなったのか?)
麻生政権は外交に関しては良くやっていると思うのだが、好意的に報道された試しがほとんどないのが本当に口惜しいものである。
関連記事・◆東シナ海ガス田に不審な中国船出現
◆オバマ大統領の支持率ダウン
これまでアメリカの有権者に圧倒的に支持されてきたオバマ大統領だが、ワシントン・ポスト紙とABCテレビの合同調査によれば、大統領就任以来はじめて支持率が6割を切ったという。
支持率がダウンした最大の原因は、医療保険改革など巨額の財政出動を伴うオバマ政権の政策だと言う。
ちょっと前までニューヨークの株価が調子良く上昇していたときに、安全資産としての投資妙味が薄れた債券からマネーが株などに流れた結果アメリカ国債の金利が上昇、今度は長期金利の上昇が企業の負担となってアメリカの景気回復を阻害するのではないかという懸念から株価が下がったことがあった。
こうした懸念とオバマ政権の経済政策への批判は同じ理由によるものだが、こうなることは民主党出身の大統領を誕生させれば当前の帰結であって「何を今さら」としか言いようが無い。
「政権交代!チェンジ!」で熱狂的にオバマ大統領を祭り上げたあげく、オバマ政権の巨額の財政出動に伴う財政赤字と増税が心配になってくると、「こんなはずじゃなかった」といってブーイング。
どこの国でもそうなのかもしれないが、有権者の行動原理はわけわからん。
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麻生首相が解散を決断
- 2009/07/21(火) 23:29:46
今日21日午前、麻生内閣は閣議を開き、憲法7条に基づく衆議院解散を決定した。
麻生太郎首相はもちろん、すべての閣僚が解散の閣議書に署名した。
皇居で天皇陛下から解散詔書への御署名をいただき、午後の衆議院本会議で議長が詔書を朗読、衆議院は解散された。
第45回となる衆議院選挙は8月18日公示、同30日投開票と決定した。
夜に記者会見に臨んだ麻生首相は、”安心社会”実現のため命をかけて総選挙を戦うと述べた。
参考記事
麻生首相は本日21日、衆議院解散を決断した。
都議選の後、自民党として今後どうすべきなのか様々な意見が出ていたが、
”総大将”が決断した以上、夏の総選挙勝利に向け全力を尽くすしかない。
本会議場で衆議院が解散される直前に開かれた自民党代議士会で、麻生首相と中川(秀)元幹事長が握手を交わしたが、自民党にとって今一番重要なことは、天下分け目の戦いに勝つという目標を達成するため一致団結することだ。
今度の選挙は、自民党にとって本当に厳しいものになるであろうことは今さら言うまでもないだろう。
衆議院解散については何も言うことは無いが、麻生首相が解散を決定しても一部の閣僚が抵抗して閣議書にサインしないかもしれないということが問題になったが、これは国家統治システムとして見過ごすことのできない欠陥だと思う。
日本の行政上の最高指導者は首相で、各閣僚は首相が任命してくれたおかげで内閣の一員になれたのに、首相が主催して行われる閣議では全員一致が原則とされている。
首相と全閣僚の意見が一致していれば何の問題もないが、全員一致であるがために今回のように解散を決断した麻生首相に対して一部の閣僚がそれに抵抗、「閣議書にサインしないぞ」と”脅し”をかけるような事態が起こってしまう。
首相に反旗をひるがえした閣僚がどうしても従わないという場合、一応首相が閣僚を解任してその役職を兼任すれば良いというタテマエにはなっている。
十何人いる閣僚がすべて首相の意見に反対すれば、各閣僚を片っ端から解任して首相がすべて兼務してしまうということも理論上、不可能ではない。
だが、感情に流されやすい日本人の民族性からすれば、閣議書への署名を拒み続け、内閣ひいては日本国家をマヒ状態にさせた閣僚の方がヒーローになってしまうことも有り得るわけで、現実問題として反旗をひるがえしたからといって首相が簡単に閣僚のクビをいくつも切れるというわけではない。
閣僚の解任と新しい閣僚の任命にはそれなりのエネルギーが必要とされ、そのことが首相の指揮・人事権のフリーハンドを奪う牽制球となってしまっている。
閣議が全会一致を原則としていることにより各閣僚に与えられた権力が大きくなりすぎて、無駄に権力が分散されすぎているために首相がリーダーシップを発揮しにくくなっているし、その分、内閣や日本という国家がマヒ状態になりやすいと言える。
無駄に権力が分散されすぎているという点では、衆議院と参議院の出した結論が違うと、とたんに日本の国会がマヒ状態になってしまい、憲法上、それを防ぐ根本的な解決策がなにも用意されていないという問題もまったく同様である。
これまで指摘されてきたように閣議が今もなお、首相を始めとする内閣のメンバーが、事務次官会議の決定を追認するために機械的に花押を署名する場になってしまっているのであれば、それもまた極めて問題だ。
閣議を自由闊達に意見交換できる場とするとともに、意見は違っても最終的には各閣僚が首相の指揮命令に従う(必要とあれば強制的に)というふうに、閣議のシステムを設計しなおすべきだ。
衆院と参院の結論が違った場合は、無条件で衆院の決定を国会全体の意思とするか、思いきって一院制にしてしまうことも急務である。
この問題はどこの党が有利不利ではなく、日本全体の問題であるのだから、次の衆議院選挙の結果がどうであろうとも与野党の協力のもと、すみやかな憲法改正と関連法の整備によって、日本の国家統治システムにひそむ欠陥を必ず修正して欲しい。
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中国が沖ノ鳥島で軍事演習
- 2009/07/18(土) 01:34:31
中国海軍が6月下旬に、日本固有の領土である沖ノ鳥島の北東260km付近の海域で、軍事演習をしていたと報じられている。
中国海軍の駆逐艦1隻・フリゲート艦2隻・補給艦その他2隻からなる中国艦隊は、6月19日に沖縄本島と宮古島の間を通過して太平洋に出た後、22日に沖ノ鳥島付近の海域に到着。
艦載ヘリを飛ばしたり艦艇を急旋回させるなどの演習を行ったという。
中国艦隊は25日に沖縄本島と宮古島の間を再び通過して中国本土へと去っていったとみられている。
参考記事
沖ノ鳥島は以前から日本の領土であったし、戦後の小笠原返還のときも中国から抗議があったという話は聞いたことがない。
だが、改革開放政策によって経済・軍事的パワーが強まった2000年ごろから中国は「沖ノ鳥島は岩であって周囲の海も日本のEEZではない」と急に言い出した。
もともと中国人民解放軍といえば陸軍のことであって、海軍・空軍はそのオマケにすぎなかった。
改革開放以後、急激な軍拡を開始した中国はそれまでの軍事戦略を転換、海軍・空軍の近代化に重心を移し、中国の領土・領海・勢力圏を外に向かって拡大させるという野望をあらわにしていった。
特に、小笠原諸島から西側の海域を日本やアメリカの軍艦が近づけない中国の内海とするためには、日本領土である沖ノ鳥島やそのEEZの存在が邪魔になったわけだ。
だからこそ突然、「沖ノ鳥島は岩であって周囲の海も日本のEEZではない」と言い出したのであるが、1970年代だったであろうか、国連の調査によって海底に石油が眠っていると判明とたん、後だしジャンケンのように「尖閣諸島は中国固有の領土」と主張し出したのと同じパターンである。
中国の卑劣さはまったくもって許しがたい。
先月末にも国連で中国が遠まわしに沖ノ鳥島は日本の島ではないと批判したことは記事で取り上げたばかりだが、ちょうど同じころ中国は沖ノ鳥島に艦隊を派遣して軍事演習を行っていたのだ。
この軍事演習と国連での抗議は連動したものであったということだろう。
中国艦隊が沖縄本島と宮古島の間を通過したことについて、公海部分を通過していた場合は、国際法上少なくとも違法活動とは言えないし、沖ノ鳥島周辺の日本のEEZ内における軍事演習も同様である。
しかし、中国が沖ノ鳥島付近で軍事演習をやる必然性はなく、ましてや中国は沖ノ鳥島を日本の島ではないと主張しているわけで、日本政府として不快感を表明するのは当然だと思う。
”報復”として、黄海の公海部分で海自が軍事演習でもやったらどうだろうか。
近年の中国は、急激な経済成長とともに自身の力を過信して、軍事的にも外交的にも非常に冒険主義的になっている。
”ならず者国家”という表現がピッタリだ。
フィリピン近海まで中国の潜水艦が出没し、アメリカ軍艦艇の曳航ソナーと衝突した事件や、南シナ海の公海上にいたアメリカ調査船に中国軍艦艇が執拗な妨害行為を繰り返す事件が発生したことも記憶に新しい。
また、南シナ海に浮かぶ島々の領有権・海底資源をめぐりフィリピン・マレーシアと対立が深まっていることは以前お伝えした通りだが、最近では、トンキン湾の領海・EEZをめぐってベトナムと衝突し、そのせいかベトナムでは反中感情が高まっているという。
参考記事
南シナ海関連では、インドネシア領ナツナ諸島沖に中国漁船が侵入、70人以上の中国漁民が拿捕され、盗人猛々しいというか中国政府がインドネシア側に抗議するという事件が起こるなど、南シナ海での紛争は拡大の一途をたどっている。
東南アジア諸国は軍事的に見て中国よりかなり劣勢だが、自国の領土・領海を守るために良くがんばっている。
日本も見習うべきだろう。
参考記事
インドネシアといえば、中国によるウイグル人虐殺事件に抗議するデモ隊がジャカルタの中国大使館にも押し寄せた。
デモ隊は「中国の共産主義者は人種差別主義者でファシストだ」というプラカードをかかげていたそうで、これ以上の正論は無い。
参考記事
ドイツやオランダでもウイグル人虐殺事件に対するデモが発生、トルコ政府も事件を「虐殺」としたうえで国際調査団の派遣を中国に要求していることは皆さんも既にご存知だろう。
これに対して、中国国民が世界からの批判を真摯に受け止め、共産党独裁政権を強く非難してくれれば救いがあるのだが、一部の知識人をのぞいだほとんどが「中国への敵意に基づく、いわれなき批判」と考えているようだ。
中国のネット世論では「トルコの犬は1000年前に逃げ出した、ウイグルの豚は逃げ出さず、1000年後に反乱を起こした。消滅させてしまうべきだ」とウイグル民族の浄化をあおる主張や、「まず礼をつくした。今度は兵を動かせ」と”内政干渉”をしたトルコへの軍事的報復を訴える書きこみもなされているという。
参考記事
中国が世界に対して攻撃的になっていることを象徴するニュースはまだある。
サブプライム金融不安によって、世界中の株価が下落したことをチャンスとみた中国の企業は、他国企業の積極的な買収に乗り出している。
最近ペトロチャイナが新日本石油・大阪製油所の株式49%を買収したこともその一例である。
資源を世界に頼る中国は地下資源の安定的な確保のため、今年6月、国営チャイナルコが英豪系資源メジャー・リオティントに2兆円近い額の出資をしようとしたが、オーストラリア国内から「わが国の戦略的資源が中国国営企業の手に渡ってしまう」という反対の声があがり、結局、チャイナルコのリオティント出資の話は頓挫してしまった。
話はこれだけで終わらず、なんと今月9日、突然リオティントの社員がスパイ容疑で中国政府によって逮捕された。
当然のように、チャイナルコの出資を許可しなかったオーストラリア政府とリオティントに対する中国の報復とする見方が出ている。
参考記事
今年3月にはコカ・コーラが、中国の飲料会社の最大手である”中国匯源果汁集団”を買収しようとしたが、中国政府はコカ・コーラによる買収を禁止するという事件が起こったばかりであり、中国は自分がやったことを外国にやられると、報復としてその国の社員をスパイ容疑で逮捕?するというのであれば、ダブルスタンダードも良いところだろう。
いみじくもインドネシアの人々が指摘しているように、人種差別主義者でファシストの中国共産党独裁政権は、まるでナチスと同じ道をたどるように、強大な武力を背景に国内では虐殺事件を起こし、外に対しては他国の領土・領海を奪い、露骨に自らの勢力圏(レーベンスラウム)を拡張しようとしている。
私は10年以上前から、このようなことを繰り返し言ってきたが、事実からひたすら目をそらし、「中国脅威論なんて過去を反省できない右翼のデマ」と言い続けた人間の何と多かったことか。
中国はこれまで「中国の台頭は世界の誰に対しても脅威にならない」と言ってきたが、これまで述べたように今や世界各国にとって最大の脅威となり、しかも図体が大きくなりすぎて誰の手にも負えなくなってきている。
それまで「中国脅威論なんてデマ」と言い続けた外国人は、中国が行ったジェノサイドと侵略行為の共犯者であり、「誰も手だしできなくなるまで中国脅威論をひたすらもみ消す」という共産党政権の戦略通りに動いてくれたわけだ。
これまで「中国脅威論なんてデマ」と主張した日本人よ、何千万人もの中国独裁政権の犠牲者を踏み台にして良い暮らしをする気分はどうだい?
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関連記事・中国が沖ノ鳥島を狙う
関連記事・中国の国家戦略
鳩山代表、非核三原則空洞化を現実的と評価
- 2009/07/16(木) 23:41:56
民主党の鳩山代表は14日の記者会見において、アメリカが核兵器を日本に持ちこむことを認める密約が両国の間であったとされる問題に触れ、これまで日本の国是であった”非核三原則”は有名無実であって、現実にはアメリカの核を日本列島に持ちこんでもOKであったことが”事実”であったという前提にたち、「必要性があったからこそ現実的な対応がなされてきた」と評価した。
鳩山代表はさらに「現実を無視はできないので、(民主党が)政権を取ったら日米でよく協議したい」とし、その上で「(三原則を)守れるなら一番望ましい」と発言、非核三原則政策からの転換に含みを持たせるなど民主党の従来の姿勢とは異なる、かなり踏み込んだ発言を行った。
参考記事
私は民主党を支持していないし、鳩山代表の故人献金疑惑に対する不誠実で木で鼻をくくったような態度もまったくもって頂けないが、是々非々論で言えばこれまで日本が非核三原則を空洞化させてアメリカの核戦力によって自国を守ってきたことは「必要性がある現実的な対応」であったという鳩山氏の指摘には私も同感だし、もし必要性があるならアメリカなどと協議して非核三原則からの全面的な政策転換も将来の選択肢に当然入れるべきだと考えている。
この二点において、鳩山代表の意見に賛成だ。
ところが鳩山代表は北朝鮮の核実験強行後、日本国内で沸き起こった「非核三原則廃止と核武装論」を厳しく批判し、「日本が核武装論などにはまってはいけないし敵基地攻撃論も慎むべき」と発言している。
また2002年6月にも当時の福田康夫官房長官が「法理論的には(核兵器を持っては)いけないとは書いていない」と”非核三原則見直し”発言を行うと、民主党は国会で厳しく追求し、川橋幸子議員が自民党政権に”非核三原則見直し”発言に対する謝罪を要求する騒ぎとなった。
非核三原則が現実を無視した空理空論で、日本を守るためには見直しが必要だというなら大いに結構な話なのだが、それならそれで鳩山代表も民主党も日本の国益を第一に考え、是々非々で自民党政権から出てきた見直し論に賛成・協力するべきだった。
しかしこれまでの民主党がやってきたことは、「政権をとるためなら自分達が内心賛成の政策でも自民党が言うから反対」であって、いかにも姑息だ。
ある民主党幹部は「本心であっても黙っていればいい」と言ったそうだが、鳩山代表が本心を隠したまま総選挙にのぞむよりは、非核三原則見直しを堂々と公約にかかげて国民に信を問うのが憲政の王道だろう。
北朝鮮が日本に核ミサイルの照準をあわせ、中国の共産党独裁政権は日中共同宣言を無視、日本の領海やEEZに軍艦を派遣して武力で威嚇し、国内ではウイグル民族を大虐殺して何の反省も無い。
今ほど総選挙において日本の防衛・安全保障政策を争点とすべき時はない。
この話題に関連して、国際法では各国に沿岸から最大12カイリの領海設定を認めているが、日本政府は非核三原則に違反せずに核を搭載したアメリカ軍艦艇が通過できるよう、宗谷海峡・津軽海峡・対馬海峡東水道・西水道・大隅海峡の日本領海をたったの3カイリに設定して、わざわざ公海部分をつくったという噂があることを以前紹介した。
これが事実であるならば本当に頭が痛くなってくる話なのだが、どういう理由であれ五つの海峡の領海部分が3カイリであるのは事実で、これらの海峡に領海としての日本の主権が及ばないせいで中国の駆逐艦や潜水艦が堂々と津軽海峡や大隈海峡の公海部分を通過して日本に脅威を与える事態となっている。
もし五つの海峡の領海部分を12カイリにして公海部分を無くしてしまえば、中国軍艦艇の海峡通過を日本が無害でないと判断すれば、直ちに退去するよう要求することができる。
核兵器を搭載したアメリカ軍艦艇が、宗谷海峡や津軽海峡などを通過する必要性もほとんどなくなっていることだし、五つの海峡の日本領海部分をすみやかに12カイリと設定しなおすべきである。
さて、北朝鮮関連船舶への貨物検査を可能にする特別措置法案が衆議院を14日通過した。
この特措法は、国連安保理の決議に従った対北朝鮮制裁という国際協力の一環なのだが、民主党は「内心賛成だが自民党が言い出したことなので反対。民主党政権で成立させる」として、参議院での審議・採決を拒否している。
参考記事
日本の国益と国際協力を第一に考えれば特措法成立は急務であり、民主党が「自民党案で成立させるのは気に食わない」と駄々をこねていたのでは、民主党のせいで日本は世界から笑われてしまう。
つまらない意地を捨てて、せめてこの特措法だけでも成立させるべきだ。
前述のように「内心賛成」なら黙聴(ダマテン)を決めこんでいないで、鳩山民主党として非核三原則見直しも総選挙の争点として堂々とかかげるべきである。
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東シナ海ガス田に不審な中国船出現 ほかグローバルインテリジェンス
- 2009/07/15(水) 00:10:59
◆東シナ海ガス田に不審な中国船出現
日中両政府が昨年6月に共同開発することで合意している東シナ海のガス田”白樺”に、ここ数日不審な中国船が停泊していることが分かった。
中国が合意に違反して単独開発を強行している可能性もあり、日本政府は中国側に「重大な懸念」を申し入れた。
中国側は採掘施設の維持・管理に関する作業だと説明したというが、だったら日本政府に事前に一言あってしかるべきで、毎度毎度のことながら、まったくもって不誠実きわまりない。
日中合意に違反していないというなら、日本側の担当者を現場に入れることをすぐさま許可するべきだろう。
今回の中国側によるガス田・白樺への船舶派遣は、数日前から自衛隊の哨戒機によって察知されており、用意周到に準備されたものであるのは明白だ。
12日の都議会選挙で日本の権力構造が一瞬空白状態になることを見越した上での計画的犯行のように思われる。
麻生政権の権力基盤がぐらついたとたん、それまで虎視眈々と狙っていた特定アジア各国がハイエナのように日本の領土・領海に食らいついてくる。
過去同じようなことが起こっており、福田前首相が退陣し、自民党総裁選がスタートした08年9月13日の翌日、四国沖の日本領海を国籍不明の潜水艦が侵犯した。
来るべき解散総選挙の前後に、周辺国が再び日本の権力空白期を狙って、領土・領海を犯すことも考えられる。
自衛隊の皆さんには日本の守りをどうかよろしくお願いしたい。
東シナ海ガス田問題にかてて加えて、中国国有企業が引き起こした殺人ギョーザ事件の日本人被害者への謝罪と賠償も今の今まで一向になされないのはいったいどうしたことか。
中国共産党独裁政権による悪逆非道の数々、本当に許しがたい。
関連記事・失策・失策また失策
◆中国警察がまたしてもウイグル人を射殺
中国政府治安部隊によるウイグル人虐殺や、鉄パイプやスコップなどで武装した漢人住民によるウイグル人住民を対象にした民族浄化的襲撃から1週間以上たったが、またしてもウイグル人の命が奪われた。
中国警察の発表によると、「ウイグル人同士の暴力行為をおさめるため」に警官がウイグル人2人を射殺、残り1人にケガを負わせた。
だが、事件を目撃したという複数の地元ウイグル人はこれを否定、逃げ惑う若いウイグル人男性3人に対し、漢族の警察官が何発も発砲し射殺したという。
中国当局によるとウイグル人同士の暴力行為があったとのことだが、この発表は不自然のように思えるし、漢人警官が逃げ惑う相手をいきなり射殺する必然性もまったく感じられない。
無防備宣言もへったくれもあったものではない。
これもウイグル人を対象にした漢人によるヘイトクライムではないだろうか。
新華社は「射殺されたウイグル人はジハード(聖戦)を叫んでいた」と報じているが、だから早急に消してしまう必要性があったのか。
一方トルコではエルドアン首相が「ウイグル人大虐殺だ」と中国を激しく非難、国内では数千人規模の抗議デモが起こるなど、イスラム世界で反中感情の火が燃え広がりはじめた。
そんな中、アルジェリアを拠点とする”イスラム・マグレブ諸国のアルカーイダ”が中国への報復を呼びかけ始めたと報じられている。
参考記事
中国政府スポークスマンは、中国の安全のためアルカーイダへ対抗措置をとることを発表している。
ここにきてウイグル情勢が一挙に複雑化してきた。
関連記事・漢人、報復の民族浄化
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都議選と優秀な運用長
- 2009/07/14(火) 00:59:48
12日に投開票された東京都議会選挙は、民主党が54と大幅に議席を伸ばして第一党となったが、単独では過半数の64議席に届かなかった。
自民党は改選時より議席を10減らしたが、逆に公明が改選時より1議席伸ばし、自公連立でみれば61議席となる。
最近”蟹工船ブーム”が盛んに喧伝される共産党は5議席を失う大敗。
社民党はまたしても獲得議席ゼロで、有権者にとってもはや存在意義さえないのだろう。
マスコミは一斉に「自民、歴史的大敗」と報じているが、民主は協力関係にある”生活者ネットワーク”と組んでも56議席となり、今後、公明・共産などがどう動くかで都議会運営は大きく左右されることになるのではないか。
参考記事
東京都議会選挙は、微妙な結果となった。
公明が自民とこのまま連立を維持し、共産が民主・ネット側に組しないのであれば、自公連立が徳俵一枚でふんばって民主をうっちゃったということになるが、共産が民主につけば石原都知事は苦しくなるし、都議会情勢の詳細な情報を持っていないので正直どうなるのか私にはわからない。
ただ、都議会で第一党であった自民党がその座からすべり落ちたことは事実で、それについて言えば「自民大敗」という指摘は認めざるをえない。
ところで旧帝国海軍には”運用長”というポストがあった。(海自にもあるはず)
運用長とは緊急時にダメージコントロールを行う責任者で、自分が任されている艦に敵の魚雷や砲弾が当たったら、消火・応急処置・復旧活動の指揮をとって艦のダメージを最小限にとどめるのがお仕事。
軍艦は戦いに出たらいつも無傷というわけにはいかない。
運用長の腕が悪いとその艦は実力をじゅうぶん発揮できず、縁の下の力持ち的な重要なポストと言える。
現在の自民党も、敵の砲弾を受けて一部で火災が起こっているような状況だが、運用長が「敵の砲弾なんかどこにも当たってないよ」と現実から目をそらせたり、間違った応急処置をしてしまうのもいけない。
私は麻生政権を支持しているし、実際”自由と繁栄の弧”を広げるという外交戦略も、安全保障政策もかなりの実績をあげていると言ってよい。
麻生政権によって金融恐慌という最悪の状況も避けられ、日経平均株価も一時的に一万円台を回復するまでになっている。
与謝野(あえて敬称はつけない)を重用するなど内政面で支持できない部分もあるが、麻生政権全体の評価としては支持できる部分の方が上回る。
ところが、多くの有権者の耳にはこうした事実がとどかない。多くの有権者が何かにとり憑かれたようになってしまっている。
福田政権以降、自民党の旧態依然とした利権集団がばっこし始め、その点は自民党も猛反省しなければいけないと思うが、それは鳩山・小沢氏ら自民党旧田中派メンバーをかかえる民主党とて同じなのだが、まるで有権者には自分の見たいと思うものしか見えていないという感じだ。
残念だが、マスコミが大いにバックアップする民主党のネガティブキャンペーンは成功していると言わざるを得ない。
今にはじまったことではないが、プライドがじゃまをしたのか、自民党が民主党へのネガティブキャンペーンをずっと控えてきたのも痛かった。
その結果が都議選とも言えるが、今こそ運用長が適切なダメージコントロールをしなければいけない時もない。
「どうせ民主が政権をとっても長くもって4年」という意見もある。しかし4年もあれば日本丸を沈没させるのに十分すぎる。
見栄もプライドもかなぐり捨てて、次回総選挙で自民党が勝利できるよう、出来る限りのことはするべきだ。
もちろん麻生総裁で来るべき総選挙に勝つというシナリオが完璧だが、先ほど言ったように多くの有権者が何かにとり憑かれたようになっていて、麻生首相の言うことをまったく受け付けない状態になってしまっている。
出来る限りのことをする=最善策を取るということにとって一番の障害は、実現不可能な完璧策にこだわることであって、艦が火災を起こしていて部下が「海水をくみ上げて今すぐ消火を」と進言しているのに、運用長が「消火ボンベを使い果たしたので、港へ帰って消火ボンベを積んでから消火活動を再開する」と完璧策にこだわっていたのでは艦が沈んでしまう。
来週はじめの解散・8月30日投開票が言われているが、民主党の鳩山代表の挑発に乗ってはいけないと思う。
これまで麻生政権を支持する記事をずっとアップしてきた私にとっては書くのもつらい事だが、麻生総裁や安倍晋三氏・中山成彬氏などですみやかに後任総裁を擁立することを第一に検討し、少なくとも新総裁擁立までは解散を待つべきではないだろうか。
その場合、政策的に安心して日本を任せられる人であることが大前提だが、民主党の「政権交代」より有権者にとってインパクトのある”チェンジ”がないと選挙に勝てる可能性は少なくなってしまう。
日本で黒人候補は無理だから、たとえば女性総裁を擁立して「日本史上初の女性首相を誕生させて日本を変えていきましょう」と訴えたらどうだろうか。
これならば集団催眠にかかったような有権者の目を覚ますことができるかもしれない。
自民党が政権をとり続けるかぎり、麻生氏・安倍氏復活の目だって残るだろう。
たとえ勝つ見込みが少なくとも潔く麻生総裁で総選挙にのぞむという考え方もわかるが、選挙の後に引責辞任というかたちで麻生氏が総裁から降りてしまえば何にもならない。
それに1年でも民主党政権が続くというのは恐ろしすぎるシナリオだ。
どちらにしろ難しい決断を強いられるが、被害を最小限にとどめるダメージコントロール策が早急に求められている。
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新たなジャパニーズドリームを!(その10)
- 2009/07/11(土) 01:14:02
”新たなジャパニーズドリームを!”バックナンバーはこちら。
(その1) (その2) (その3) (その4) (その5)
(その6) (その7) (その8) (その9)
これから日本が目指すべき国家像や理想とする社会について考える連載企画、”新たなジャパニーズドリームを!”
前回は、これからの日本にふさわしい雇用・賃金制度の叩き台として私案を提示してみた。
今日はその続きである。
派遣・契約社員・パートタイマー・アルバイトなど非正規労働者の最低賃金を適正な水準まで引き上げて、セーフティネットを構築する必要もある。
横並び意識の強い日本企業の多くは、外国企業も含めたライバルが商品を値下げすると、それに安易に追随してしまう傾向がある。
するとコストダウンのしわ寄せが人件費に向かい、特に若年労働者の賃金が低く抑えられてしまう。
だが、モノには適正価格というものがあるのであって、企業が製造原価を割るような価格で商品を販売し続けることができないように、労働者という”商品”にも原価や適正価格があることを忘れてはならない。
労働者という商品の原価とは、その労働者が結婚して子育てをし、たとえ借家であっても家族が住むための家を確保でき、安定した家族生活を営んでいくのに必要な最低賃金ということになる。
今や総数1800万人、全労働者の3人に1人が非正規労働者といわれる状況である。
すべての労働者が正社員として雇用されるのが望ましいのだろうが、それが無理ならば少なくともパートタイマーや派遣といった非正規労働者の最低賃金を適正価格まで引き上げる必要がある。
前回述べたように日本企業の非正規労働者に対する評価は不当に低いように思われるが、少子高齢化や人口・国内市場の縮小を防ぎ、年金・保険制度や税収の維持のためにも、それらを是正していくべきだ。
これは企業自身の利益にも最終的につながっていく問題である。
非正規労働者であっても正社員同様の失業保険や健康保険・年金などの負担を企業に義務づける法整備を行い、法令違反は厳しく取り締まる。
同じ企業内で同一内容の労働をこなしているのであれば、非正規労働者の1時間当たりの賃金を正社員と同額にすることも、賃金を適正価格へと引き上げることにつながるなら実施すべきだろう。
当然、労働力確保の目的で積極的に外国人移民を受け入れるようなことはしない。
高い専門能力を持ち、多くの資産を日本に持ちこんで会社でも興してくれる外国人なら話は別かもしれないが、物価の安い途上国から移民を受け入れれば国内に賃金デフレを引き起こし、非正規を中心に日本の労働者の賃金が今よりもっと下がっていくのは必定だからだ。
外国人移民は低賃金を我慢しても日本で数年間働いて1千万円ぐらい稼いで帰国すれば故郷に自分の店や工場が持て、結婚し家族を養っていけるだけの生計が得られるから良いが、日本に残されるものは、大量の、結婚も子育てもできないほど低所得になってしまった日本人労働者だ。
長期的な視野にたてば移民受け入れは不利益の方が大きく、それよりも給与・勤務時間など待遇面を魅力あるものにすることで、「自分の労働力をこの条件で企業に売るのは割に合わない」と考える若者を中心とした”我慢しない日本人”に社会参加と、できるかぎり正社員としての就職を促し、潜在的労働力として活用されずに眠っている日本人を掘り起こした方が、少子化・人口減少を防ぐのに役立つ。
以上、これからの日本にふさわしい雇用・賃金制度をつくりあげるための叩き台として、一案を提示してみた。
この案をどうして日本に導入したいと私が考えたのか、一番重要なポイントをおさらいしてみる。
これまで日本企業は、時代にマッチしなくなってもなお「正社員として、一つの組織で長いこと我慢して働き続けた人ほどエライ」という価値観に過剰とも言えるほど重きを置いていたが、そのことが、中高年世代と若者世代、正社員と非正規労働者の間で所得分配のバランスを失わせ、日本社会にさまざまな弊害を及ぼすほど資産格差を大きなものにしてしまった。
よって、正社員の年功序列賃金制を維持するにしても、もっとゆるやかな賃金上昇におさえて、その分セーブされた賃金を能力や会社利益への貢献度の高さを基準にして、若年正社員はもちろん非正規労働者に分配しなおす。
また終身雇用制度から一度でも振り落とされると、そこへの復帰・敗者復活が極めて困難である現状をふまえ、今や日本経済にとって欠くことのできない重要な戦力となっている非正規労働者の能力を正当に評価しつつ、他社正社員・非正規労働者に対する企業の”食わず嫌い”をなくし、転職をより容易にするための客観的な能力評価制度の導入、さらに非正規労働者を正社員として雇いやすくするための暫定的な給与体系の併設を提案した。
それでも正社員として雇用されず、セーフティネットからこぼれ落ちてしまった非正規労働者の賃金を適正価格まで引き上げる必要があり、賃金の価格破壊を引き起こしそれを妨げてしまう移民受け入れ策は決して採用してはならないことを指摘した。
ここまでの話は、主に所得分配のバランスの乱れを修正するための改革案であるが、労働時間と自分の生活・余暇のために使える時間とのバランス(ワークライフバランス)の乱れも早急に是正する必要がある。
ワークライフバランスの乱れが、異性との出会いの減少から少子化に拍車をかけ、さらに労働者自身の過労死・うつ病自殺の原因となるだけでなく、子供世代のフリーターやニートの増加、親殺し・子殺しなど家庭崩壊をまねく最大の要因になっていると思われ、日本社会を構成する最小単位である家族の立てなおしは急務である。
ワークライフバランスの乱れは経済面でも社会に大きな損失を与えている。
ある経済史の本は、中世が現代より経済発展が遅かった理由として、技術の遅れもさることながら、社会に蓄積された富が経済を発展させるための再投資や消費に回らず、権力者が庶民から税として集めた富を金銀・宝石といった形に変えて宝石箱の中に大事にしまっておいたからだと指摘している。
宝石箱の中で死蔵された金銀財宝は、何かを生産して利潤を生み出すこともなければ、消費されて内需を拡大し、庶民の働き口や所得を増大させることもないからだ。
現在、日本の金融資産の80%を保有しているのは若者ではなく50代以上の中高年世代である。
働くことだけが生きがいで、高い給与をもらって巨額の金融資産を現金・預金などの形で死蔵し、ほとんど消費しないで巨額の遺産を残して旅立ってしまう典型的な中高年世代は、童話の”蟻とキリギリス”の世界でなら模範生なのかもしれないが、経済学の法則から見れば悪そのものである。
定時になったらとっとと帰宅して、家庭や地域社会など会社以外のコミュニティとも接点を持ち、定年してからとは言わず元気な今のうちから趣味でも旅行でも消費してもらって、お金をもっている中高年世代から率先して内需をひっぱっていかないと、日本経済が発展していかない。
中高年社員が定時で帰った分、若い正社員や非正規労働者の賃金をアップするとともに、若い正社員も定時で帰宅しやすくなるから、異性との出会い・結婚・子育てに励んでもらう。
サービス残業など過酷な長時間労働が解消されれば、フリーターやニートへ流れる若者も減少して、少子高齢化も防げるかもしれない。
こうした日本社会全体の利益を考えれば、政府・経営者・労働者の三者が協力して、有名無実化している労働基準法が定めた週40時間の法定労働時間の厳守をすべての企業で実現させることが求められる。
一部企業の抜け駆けを許せば、なし崩し的に元通りになってしまうのは明らかで、移行期間をもうけた後に全産業の全企業で一斉に実施することと、違反したら監督官庁が実効性のあるペナルティを与えることも実現のために欠かせない。
ほとんどの経営者ならここまで読んできて、「こんなことをやったら商品を値上げせねばならず、会社が成り立っていかない」と考えるだろうし、「クロフネは社会主義者へ宗旨変えでもしたのか」と思われた方もいるかもしれないが、そうではない。
今の日本は企業戦略や政府の産業育成策において、発想の全面的な転換を求められる時期に差し掛かっていると考えたからだ。
そもそも、日本という国家や日本企業が営まれる目的とは何だろうか?
それは、日本人1人1人が幸福になるためではないのか。
幸福の定義は人によって違うかもしれないが、私が考えるこれからの日本人の幸せのカタチ・新しい”ジャパニーズドリーム”とは以下のとおりだ。
大半の日本人が中流階級に属していて、穏やかな進歩と改革を続ける社会や政治を望み、月曜から金曜まで朝9時から夕方6時まで1日8時間、週40時間まじめに会社で働いたすべての人が、最低限、借家ぐらしであったとしてもお父さんお母さんそして子どもの3人で温かい家庭を築いていけるだけの所得がもらえる社会。
24時間対応の業界に勤めている人は仕方ないとしても、夕方6時にはみんな仕事を終え7時にはそろって家族だんらんの食卓を囲み、親が子供に「今日は学校で面白いことあったかい?」子供が親に「パパ・ママ、お仕事おつかれさま」と会話ができるような、そんな社会。
土・日曜は、家族みんなで一緒に過ごしたり、趣味や自分のための勉強、地域コミュニティへの参加などに使える自由な時間であり、期間をずらして調整するとしても夏には誰もが2週間前後のバカンスがとることができる。
これまでの物質的な豊さは確保しつつ、国民が心の豊さを得るための時間もつくることができる社会。
ある読者さんが指摘なさっていたように、自分の心の居場所がどこかに必ずある社会。
日本のリーダーは日本人が幸福に暮らせる社会を実現するために適切な戦略を立て、それを実現するために日本という国家や日本の企業は営まれていかなければいけない。
一番重要なのはそこだ。
日本人は、メンテナンスフリーで働き続ける産業ロボットではなく、れっきとした生身の人間である。
休息は欠かせないし、恋愛・結婚・子育てといった人間として当たり前の幸福を追いかけるための時間も必要だ。
であるならば、商品をこれぐらい安く売らなければいけないから、労働者の賃金をこれぐらい削らないといけない、サービス残業を月200時間やってもらわないといけない、という今までの常識・発想ではダメだ。
日本の人件費は高いし、もっと法人税が安い外国があるからそこへ行こうと考える日本企業があるなら、自分たちを育ててくれた恩を忘れて日本社会に砂をかけて出ていくような行為であろうし、経営者も”武士の棟梁”としてのノブレス・オブリージュに欠けた考え方ではないだろうか。
そうではなくて、日本人全体の幸福のためには労働者にこれだけの賃金と休暇を保証しないといけないから商品はその製造原価以下では売れない、製造原価にどうやって高い付加価値をつけて、ライバルより高い値段でも世界中のお客さんに商品を買ってもらえるようにするかという、新しい企業戦略・産業育成策を考えて行かねばならない。
シリーズのラストスパートはこれがテーマとなる。
次回へつづく
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漢人、報復の民族浄化
- 2009/07/10(金) 00:57:42
7日の当ブログ記事で取り上げた、中国政府によるウイグル人虐殺事件の続報が入っている。
ウイグル人による大規模な抗議デモの原因となった、広東省韶関市のオモチャ工場で起こった漢人によるウイグル人従業員襲撃事件だが、その原因が判明した。
8日づけ産経新聞朝刊の国際面記事によれば、このオモチャ工場をクビになった漢人労働者がその腹いせに、ウイグル人労働者が漢人の少女二人を強姦したという内容のデマをネットに書きこんでいたという。
この人種差別まるだしの書きこみを鵜呑みにした多くの漢人が、いきなりオモチャ工場のウイグル人労働者を襲撃し、2人を殺害、80人以上を負傷させた。
これがウイグル”自治区”で起こった大規模抗議デモの原因となったわけだが、漢人によるウイグル人を狙い撃ちしたヘイトクライムであるのは誰の目にも明らかであって、ウイグル人が抗議するのも当然すぎる話だ。
どう考えても理はウイグル人市民側にある。
にもかかわらず中国の治安当局はウイグル人デモ隊に実弾を発射、警備車両で群集をなぎ倒すという、信じられない暴挙に出た。
中国政府側は死者150人以上と発表しているが、数百から千人弱の死者を出し、さらに千人以上のウイグル人が当局によって拉致・連行されたという目撃証言もある。
こうなるともはや民族紛争である。
さらに重要な続報としては、ウイグル”自治区”の主都ウルムチで漢人住民数千人が鉄パイプや角材・スコップなどで武装し、「ウイグル族を倒せ」「数はわれわれの方が多い」などと叫びながらウイグル人街を襲撃、店舗や住居を破壊するなどエスニック・クレンジングが行われているという。
参考記事
中国の官営テレビでは、流血した漢人など漢人が被害にあった様子ばかりが一方的に報じられ、そのことがさらに漢人のウイグル人への憎悪をかきたてているようだ。
中国共産党の歴史教育そっくりである。
ウルムチはウイグル人の”都”であるはずなのに、そこから脱出しようとするウイグル人がバスターミナルに殺到しているという。
参考記事
中国人(漢人)は万里の長城を築いて大昔から国境線を明確にしてきた。
現在ウイグル”自治区”と呼ばれる東トルキスタンは、中国人にとって万里の長城の外にある、トルコ系を中心とする異民族の国であった。
それが20世紀中ばの中国共産党による軍事征服後、国策として大量の漢人を植民し、今や主都ウルムチは漢人の方が多く、東トルキスタン全体でも漢人が半数を占めようかという勢いになっている。
漢人はウイグルの大地から石油や天然ガスを掘り出しては中国本土へ送り、権力・富・名誉を漢人が独占する。
共産党独裁政権によって、ウイグル人は植民地の二等国民として生まれながらにして貧困を運命づけられてしまう。
中国共産党独裁政権は人々から言論・思想の自由を奪い、「漢族やウイグル族は決して切り離すことができない”中華民族”という一つの民族である」という洗脳教育を押しつけてきた。
漢人によるウイグル人国家侵略という過去の歴史をぬぐい去り、ウイグル植民地を絶対に手放したくないためだ。
だが、今回の虐殺事件で中国治安当局はあまりに多くのウイグル人を殺しすぎた。
漢人住民も鉄パイプやスコップで武装し、次々とウイグル人街を襲うなど民族浄化に手を出してしまった。
「漢族とウイグル族は”中華民族”という一つの民族である」という虚構がもろくも崩れ去るとともに、ウイグル人たちに決してぬぐい去ることのできない民族の記憶を植え付けてしまった。
まさしくユーゴスラビア型の民族紛争そのものであり、中国の植民地経営は完全に失敗したと言えよう。
日本のネット界を見ていると、「過去に日本人は中国にひどいことをしたんだから、中国に何も言えないよね」とか、「反中のネットウヨは過去を反省して、中国を批判すべきでない」などといった書き込みをする人間がいる。
お前達は人間として血も涙もないのかと言いたいが、もし過去に学べというのであれば、中国のウイグル人虐殺事件を世界の先頭に立って糾弾しなければならないのはまさしく日本であろう。
あのような国が国連安保理で常任理事国として強大な権力を与えられていること自体間違いであって、中国の軍事力・経済力を恐れて世界の誰も”裸の王様”に何も言えないのだとすれば、歴史の退歩であり人類全体にとっての不幸である。
日本はもちろん、人権を何より重視するはずのアメリカ・オバマ政権もEU諸国も他の途上国も、世界が一致団結して裸の王様に「お前は裸だ」と言ってやり、中国のあのような蛮行をすぐさまやめさせるべきだ。
日本では財界を中心に、中国人を念頭に安価な労働力として移民を日本に移植しようと主張する者がいるが、今回の事件を見ればわかるように、中国人は日本人のようにどんな理不尽なことでも我慢するような民族ではない。
理が自分たちにあろうがなかろうが、気に食わなければすぐさま徒党を組んで暴動という手段に訴える。
これをデタラメな民族差別だと思うなら胸に手を当てて考えてみたら良い。
ドライな中国人はチャンスと見れば待遇が良い別の会社への転職をためらわず、一つの企業に忠誠を誓い、我慢して勤め上げるなんて考え方もあまりないから、「中国人従業員の育て損」を経験した日本企業もたくさんあるはずだ。
長野では、聖火リレーにからんで中国人暴徒が日本人市民を襲い、中国人集団に恐れをなした警察が指をくわえて見ているだけだった、という事件が起こったことも記憶に新しい。
中国共産党独裁政権によるウイグル人・チベット人虐殺は、決して対岸の火事ではない。
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関連記事・◆中国、140人以上のウイグル人を虐殺
新たなジャパニーズドリームを!(その9)
- 2009/07/08(水) 00:59:26
”新たなジャパニーズドリームを!”第1回はこちら。
”新たなジャパニーズドリームを!”第2回はこちら。
”新たなジャパニーズドリームを!”第3回はこちら。
”新たなジャパニーズドリームを!”第4回はこちら。
”新たなジャパニーズドリームを!”第5回はこちら。
”新たなジャパニーズドリームを!”第6回はこちら。
”新たなジャパニーズドリームを!”第7回はこちら。
”新たなジャパニーズドリームを!”第8回はこちら。
これから日本が目指すべき国家像や理想とする社会について考える連載企画、”新たなジャパニーズドリームを!”の第9回目である。
前回は、いったん崩壊してしまった終身雇用と年功序列賃金制度がいかに恐ろしいものであるか、それらが成り立つ前提条件が大きく変化してしまった以上、これからの日本にマッチした雇用・賃金制度を新たにつくりあげる必要性について見た。
では、どうすれば良いだろうか。
これまで日本企業は「正社員として、一つの組織で長いこと我慢して働き続けた人ほどエライ」という価値観に過剰とも言えるほど重きを置いていたが、それを是正していく必要があるように思う。
「一つの組織で長いこと我慢して働き続けた人ほどエライのだから、より多くの賃金を与えるべき」という考え方の前提には、「一つの会社で長いこと我慢して仕事を覚えてきたのだから、長くいればいるほどその社員の能力は高くなるに決まっている」という暗黙の了解があるように思われる。
しかし、一つの会社に長くいればいるほど自動的にその人間の能力(会社の利益への貢献度)が高くなるかといえば、必ずしもそうはいえないと思う。
大過なく過ごすことだけに専念してきた世渡り上手ではあるが仕事の能力は低い上司が、年齢が上で先に入社したがゆえに上の役職についているというだけで、「生意気なことを言うな。おのれの分をわきまえろ」と、本当に能力の高い部下を抑えつけているケースもままあるのではないか。
前々回でお話した、日本の部活文化やそのルーツである儒教の「長幼の序」の欠点がまさにそれであるからだ。
こうした年功序列賃金制度における暗黙の了解と現実とのギャップが、日本企業の発展を妨げている部分もあることだろう。
さらに「一つの組織で長いこと我慢して働き続けた人ほどエライ」と考える裏返しとして、日本企業は自分以外の会社で教育を受けた人やその実績をあまり信頼しない傾向がある。
非正規労働者ともなると、その人の能力や実績に対する評価は非常に低いものになってしまう。
だが、例えばあなたが経営者となり自腹を切って年間200万~300万円の人件費を投資してパートタイマーを雇う場合、会社にとって何の利益にもならない、いい加減な仕事を許すだろうか?
実際、雇用形態は正社員ではなくとも仕事内容は正社員とほとんど同じという人も少なくない。
だからこそ企業はバブル崩壊以降、正社員を減らして非正規を増やしたわけだ。
航空業界に勤める知人から聞いた話では、入り口でスーツケースにX線をかける人からカウンターで飛行機の座席をおさえてくれる人、ゲートでチケットをチェックする人から、帰国した客の荷物をターンテーブルでさばいている人まで、お客が日本の空港で見かける従業員は、現場を監督する少数のボス以外は非正規労働者がほとんどだという。
今では、契約社員のパイロットやキャビンアテンダント(昔でいうスチュワーデス)までいるというから驚きだ。
海外の航空会社とまともに価格競争を強いられる日本の航空業界はこうするしかないのだと言う。
非正規労働者が正社員と同じ仕事内容をこなし、同じスキルを持っていたとしても、「正社員として、一つの組織で長いこと我慢して働き続けた人ほどエライ」という価値観がじゃまをして、彼らの能力が正当に評価されない。
社員と同じ仕事をこなしていても非正規労働者であるかぎり、年齢とともに賃金が上がっていくことは無いし、ただでさえ非正規労働者への評価が低いのに、年功序列賃金がネックとなって高齢になるほどますます正社員への転換が困難になっていく。
そのことが低賃金労働者の増加と少子化の原因ともなっている。
これからは「一つの組織で長いこと我慢して働き続けた人ほどエライ」という価値観から、その人の実際の仕事内容を吟味して「企業利益に対する貢献度が高いほどエライ」という方向へ、人事評価の重心をシフトさせていかなくてはならない。
これからの日本にふさわしいと思われる雇用・賃金制度の一案をあげ、叩き台としてみたい。
労働者の年齢が上がるとともに、子供も大きくなって養育費が多くかかるのが普通だから、年齢とともに賃金が上がっていくというのは、まったく道理のないことではない。
だからある程度は年功序列賃金制度を維持する。
だが会社の利益に大きく貢献した人と仕事をサボっている人の賃金が同じだと、従業員の士気と会社の業績に悪影響をおよぼすので、極端な年功序列重視はやめ、その分、従業員の能力や企業利益に対する貢献度に応じてご褒美を上乗せしなければならない。
年功序列賃金制の1階に、その人の能力や企業利益に対する貢献度を給与として上乗せして2階建てとする。
この給与体系をAタイプとして、それとは別に、1階部分は年齢がどんなに上がっても初任給時から変わらず、その人の企業利益に対する貢献度の2階部分だけが変化する(これをBタイプとする)の二つの給与体系を用意することを政府が企業に義務づける。
Bタイプは、企業が非正規労働者を正社員として雇いやすくするための暫定給与体系として設ける。
企業が非正規労働者を正社員として雇う場合は、まずBタイプの給与体系を適用し(企業さえ良ければいきなりAタイプでも結構)、その人の仕事に対する能力・習熟度がAタイプの給与をもらっている正社員と変わらない水準に達した場合、給与体系をBからAへと移行させる。
よって昇格・昇給の要件に、年功序列の色合いが極めて濃い”必要滞留年数”(前回の昇格・昇給より一定期間以上経過しないと次の昇格はないとされる条件)を定めることは禁止する。
政府は、非正規労働者(特に年齢の高い人)を正社員として雇った企業に補助金や税制上の優遇措置をとってバックアップする。
企業が、自分以外の企業における労働者の職務経験・能力を客観的に評価できるシステムの構築も求められる。
正社員・非正規の別なく、労働者がある仕事を一定期間経験したら、その企業は”接客一級””営業三級””レジ打ち一級””企業決算業務二級”などの業務資格を認定する。(虚偽認定には罰則を設ける。資格の賞味期限も設定する)
新たに労働者を雇用しようとする企業は、採用条件として求める資格を明示し、資格を満たした人間の面接を拒否することや、年齢を理由とした不採用を禁じる。
別に政府や地方自治体が、失業者や非正規労働者が無料で訓練を受けられる職業訓練所をつくり、一定水準を満たした人には、企業が認定したのと同じ効力を持つ業務資格を認定する。
以上のような雇用・賃金制度によって、終身雇用制度からこぼれ落ちてしまった人の敗者復活を容易にし、労働者の正社員化をすすめ、低所得労働者を極力減らしていく。
次回へつづく
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中国、140人以上のウイグル人を虐殺 ほかグローバルインテリジェンス
- 2009/07/07(火) 00:28:30
◆中国、140人以上のウイグル人を虐殺
自治区とは名ばかりの中国の植民地・ウイグル”自治区”で5日、ウイグル人による数千人規模のデモが発生し、治安部隊との衝突による大規模暴動に発展した。
中国側は、在外ウイグル人組織である”世界ウイグル会議”が暴動を煽動したと主張しているが、”世界ウイグル会議”側はこれを否定。
逆に、平和的なデモを行っていたウイグル人に治安当局が無差別発砲し、武装警察の車両がウイグル人を十数人をひき殺したという目撃証言があると反論している。
中国の植民地・ウイグル”自治区”で、共産党独裁政権がまたしても虐殺事件を起こした。
百万歩譲ってデモ鎮圧の正当性が中国側にあったとしても、放水等の安全な手段を使えば良いわけで、140人以上の死者を出したことはウイグル人の自由権と生存権を奪う虐殺事件以外のなにものでもない。
このような大規模デモが発生した背景だが、”世界ウイグル会議”も中国政府側も認識は一致している。6月に広東省韶関市のオモチャ工場で起こった、漢人によるウイグル人従業員襲撃事件だ。
この事件は、「漢人女性がウイグル人従業員に暴行を受けた」という真偽不明の噂がネットで流され、オモチャ工場の漢人従業員がウイグル人従業員を無差別襲撃、2名のウイグル人を殺害し81人を負傷させたというものだ。(漢人側の被害は39人負傷)
参考記事
ネットで真偽不明の噂が流され、それを見た漢人が偏狭な漢民族ナショナリズムにかられて他民族を無差別に襲撃するという構図は、2005年に日本の在中公館や日系デパートなどが襲撃された反日暴動と同じである。
反日暴動と同様、真偽不明の噂をもとにウイグル人従業員を「悪者」に仕立てあげて無差別に攻撃するというのは、明らかに人種差別にもとづくヘイトクライムであって決して許されるものではない。
ウイグル人は、漢民族が支配する植民地の二等国民として様々な差別を受け、移動の自由が無く中国本土で低賃金で働かされる農奴ならぬ”工奴”となっている。
中国の核実験場は、中国本土ではなくウイグル人の母なる大地につくられ、放射能汚染でたくさんのウイグル人が亡くなった。
生まれつきの工奴とさせられるのは農村戸籍の漢人とて同じで、国有大企業を支配する独占資本家として工奴をこきつかう共産党独裁政権は、漢人にとっても悪魔そのものである。
内では独占資本家として国有大企業とそこで働く工奴を支配、外ではウイグル・チベット・内モンゴルなど広大な植民地を経営し、強大な軍事力を背景に領土領海をさらに拡大しようとする21世紀に出現した19世紀型帝国主義国家・中国は、世界の脅威としか言いようがない。
関連記事・中国の核実験でウイグル人ら129万人以上が死亡か
◆北朝鮮が弾道ミサイル発射
北朝鮮は4日、江原道・元山ちかくのミサイル発射基地からおよそ450km離れた北東方向の日本海に向けて、7発の弾道ミサイルを相次いで発射した。
ミサイルのうち2・3発は日本列島が射程内に入るノドン弾道ミサイル(射程1300km)で、残りは短距離弾道ミサイル・スカッド(同500km)と見られる。
日本政府は北朝鮮を非難するとともに、安保理の制裁決議1874号に従った、北朝鮮に対する金融制裁措置を閣議了解した。
テポドン2号発射・2度目の核実験に続いて、北朝鮮がまたもや国連決議に違反する挑発行為に出た。
ただ、挑発行為が”スケールダウン”したとも言える。
派手さでいえば何といっても核実験だが、何度もやれば無駄にプルトニウムを消費してしまい、手持ちの実弾が少なくなってしまう。
アラスカやハワイ近海に向かってテポドン2号を打ち上げるのも良いが、カネがかかる。
そこで、”賞味期限切れ”が近いノドンやスカッドを使って、”地味に”日本やアメリカを挑発したのかもしれない。
だが日本の安全保障にとって脅威なのは、固定発射台から打ち上げられるアメリカ向けの長距離弾道ミサイル・テポドンではなく、日本列島を射程に収め、移動式の発射台に載せられているため事前に発見・破壊が困難なノドン中距離ミサイルの方だ。
今回の発射にからんで韓国政府筋が「同じ地点に着弾した」と発言、命中精度が大幅に向上していることを示唆したとされ、日本のマスコミもこぞってその発言を取り上げているが私は疑わしく思う。
スカッドやノドンは10発打って半径数kmの円内に5発が落ちる程度の命中精度しかない。
いくら精度を向上させたといっても、弾道ミサイルという性格からして、誤差数mでのピンポイント攻撃を可能にするには技術的にかなりの困難がつきまとう。
韓国政府筋の言う「同じ地点」とは中国人の「白髪三千丈」みたいなもので、実際は半径数キロの円内のことを指しているのではないか。
しかし、東京の首相官邸めがけてノドンを発射して、山手線の内側のどこかに落ちる程度の低い命中精度であったとしても、ノドンに核弾頭を搭載すればそんなことは関係ないわけで、先ほども言った通り日本の安全保障にとって最大の脅威である。
最近、経団連がようやく武器輸出禁止三原則の見直しを提言したが、 日本の生存に必要最低限の防衛力整備は急務であって、いつまでも「非武装中立」「無防備宣言」なんて寝言を言っていると、ほんとうに日本は滅びかねない。
歴史的に農耕民族であった日本人は理不尽な状況におかれると、「それは人間の力ではどうしようもない天与の条件であり我慢するしかない」と考えてしまう傾向があるように思える。
だが、非武装を定めた憲法九条や専守防衛・非核三原則・武器輸出禁止などというものは、人間が定めたものであって、決して自分たちの力では変えることのできない天与の条件などではない。
日本人の安全と生存のために必要なら、自らの意思でどんどん変えていくべきだ。
我慢には、して良いことと悪いことがある。
関連記事・日本の生存が危うい
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民主党・鳩山代表が告発される ほか グローバルインテリジェンス
- 2009/07/04(土) 01:01:04
◆”鳩山由紀夫を告発する会”が民主党・鳩山代表を告発
民主党・鳩山代表の故人献金疑惑が新たな展開を見せている。
鳩山代表の資金管理団体”友愛政経懇話会”は、1998年から10年の間に6億円近い個人献金を受け取り、その過半が匿名であったことが報じられた。
参考記事
政治資金規正法では、年5万円以下の献金については氏名などの記載が必要ないとされるが、小額に分散した匿名の個人献金が何億円もあるというのは、かなり不自然である。
また、鳩山代表が「自分への個人献金が少ないから(秘書が虚偽記載をした)」という認識を示した先の釈明会見とも矛盾する事実であり、こうした報道が流れるやいなや、鳩山氏は企業・団体献金が集まらない焦りもあって秘書が虚偽記載をやったというふうに発言を急にひるがえし、釈明会見は本当に誠意あるものだったのかという疑惑がますます深まったといえよう。
詳しい説明を今一度国民にすべきではないだろうか。
しかし、鳩山代表は衆議院へ参考人として招致されたが、民主党は拒否するという。
痛くも無い腹をさぐられたくなかったら鳩山代表自身が身の潔白を証明すべく参考人招致に応じれば良いわけで、それを拒否するというのは何かやましいところでもあるのではないかという疑念がふくらむ。
そんななか、”鳩山由紀夫を告発する会”を名乗る団体が、鳩山代表とその秘書らの告発状を東京地検に提出した。
最近〇×を告発する会が流行っている気がするが、これも含めて政局にどう影響を与えるか引き続き注目していきたい。
関連記事・民主党鳩山代表の故人献金疑惑は事実だった
◆中国ネット「武力で尖閣を奪還せよ」
一部マスコミで、防衛省が新しい”防衛計画の大綱”策定にからみ、与那国島に陸上自衛隊部隊の配備を検討していることが報じられている。
冷戦時代の、ソ連の対日侵攻を防ぐことに重点が置かれていたものから、中国の大軍拡と膨張主義をにらんだ南西方面の島嶼防衛に重心を移す防衛戦略転換の一環として、那覇に置かれている陸上自衛隊第一混成団が旅団規模に格上げされるが、それでも尖閣諸島は沖縄本島から遠いため軍事プレゼンスの空白が懸念される。
与那国島に陸自部隊を駐屯させることは日本を侵略しようとする国に対する抑止力向上に寄与すると思われ、私は支持したい。
地元・与那国町も陸自誘致の要望書を防衛省に提出したようだ。
陸上戦力だけでは充分な抑止効果が得られない。
本来なら、下地島への戦闘機配備も早急に検討して欲しいところだが。
これに対して中国のネット界では「武力で叩け」「(日本を)やっつけなければ、中国人のすごさは理解されない」などの意見が殺到しているという。
戦後日本は「周辺国への配慮・配慮・配慮」でやってきたわけだがこのザマだ。
周辺国の日本に対する内政干渉を「配慮」で見逃してきた、その負の遺産が逆に日本を戦争へと引きずりこもうとする。
中国は核ミサイルを搭載した原子力潜水艦を保有し、さらに空母機動部隊の建造まで明言した。
中国は巨大な軍事力を背景に、尖閣諸島ばかりか、沖ノ鳥島とその周囲に広がる広大な経済水域さえ日本から奪おうとしている。
中国の一般市民も歴史の教訓を一向に学んでおらず、戦争という手段に訴えることに何のためらないもない。
「平和を愛し、非武装を貫くアジアの市民」なんて日本の憲法九条教信者の脳内にしか存在しない。
軍拡を続け、他国への領土的野心を隠しもしない世界最大の独裁国家・中国は、世界の脅威である。
関連記事・中国が沖ノ鳥島を狙う
◆イラン抗議デモについて
イランは、イスラム法学者でつくる最高権力機関が認めた考え方を持つ人間しか国の舵取りを任せてもらえないナンチャッテ民主主義国であるが、先月に行われたイラン大統領選挙において、敗北した改革派のムサビ候補とその支持者が「選挙で不正があった」とし、数十万規模と推測される大規模な抗議デモが発生、治安部隊との衝突でこれまで数十人の死者を出し千人以上が拘束されるという惨事にいたった。
現職の大統領で今回の選挙にも勝利したアフマディネジャド氏は、パスダラン(革命防衛隊)の出身で、初当選以来パスダラン関係者がイランの政・経済界に影響力を急拡大させた。
KGB出身のプーチン首相がロシア大統領になったとき、シロビキ(KGBなどの治安・国防関係者グループ)で政権をがっちり固めた事例を連想させる。
イラン・イスラム体制の最高指導者ハメネイ師も、保守強硬派のアフマディネジャド政権を支持している。
アフマディネジャド政権がイランの国際的孤立と経済的な苦境の原因とみた改革派はムサビ候補を押し立てて大統領選にのぞみ、さらにパスダラン関係者が政・経済界に深く浸透したことに危機感を抱いた穏健保守派も改革派を支援、そのため今回の抗議デモがここまで大規模になったようだ。
抗議行動は国外のイラン人移民社会にも広がり、サッカー・ワールドカップ・アジア予選を戦ったイラン代表の選手数人も、改革派のシンボルであるグリーンのリストバンドをつけてプレーした。(残念ながら予選落ちとなってしまった)
東欧や中央アジアで発生したカラー革命を何となく連想するが、イラン改革派はインターネットや動画サイト・ユーチューブなどを駆使して組織的に抗議行動を行うなど、こういっては失礼だがかなり驚かされた。
だが、歴史を振り返ってみればメディア王国あるいはアケメネス朝ペルシャ帝国以来、古くから高度な文明が発達したところであり、当然と言えば当然なのかもしれない。
それに引き換えといっては何だが中国である。
経済的発展度からいえばイランより進んでいるはずなのに、どうして中国ではこのような民主化運動が起こらないのだろうか。
中国人の大多数はイラン人と違って、カネやモノさえ満ち足りれば自由や人権・民主主義なんていらないということなんだろうか?
中国の共産党独裁政権はイランの市民革命騒ぎにビビったのか先手を打って、共産党一党独裁体制を批判した”08憲章”の起草者・劉暁波氏をすぐさま逮捕した。
参考記事
東洋の夜明けは、まだまだ遠いのだろうか?
関連記事・中国の民主化と08憲章
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新たなジャパニーズドリームを!(その8)
- 2009/07/03(金) 00:39:40
”新たなジャパニーズドリームを!”第1回はこちら。
”新たなジャパニーズドリームを!”第2回はこちら。
”新たなジャパニーズドリームを!”第3回はこちら。
”新たなジャパニーズドリームを!”第4回はこちら。
”新たなジャパニーズドリームを!”第5回はこちら。
”新たなジャパニーズドリームを!”第6回はこちら。
”新たなジャパニーズドリームを!”第7回はこちら。
これから日本が目指すべき国家像や理想とする社会について考える連載企画、”新たなジャパニーズドリームを!”
前回は、少なくとも1990年代はじめのバブル崩壊までうまく機能していた終身雇用制度や年功序列賃金のような日本型雇用慣行の実態を深く掘り下げてみた。
それでは現在の日本社会において、終身雇用制度や年功序列賃金が昔と変わらず有効な雇用制度として機能していると言えるのだろうか?
残念ながらNOと言わざるを得ない。
若いときには低賃金や長時間労働・休日出勤を強いられても、一つの組織(会社)に忠誠を誓いそれを我慢しつづける限りその”ご褒美”として定年まで雇ってもらえ、年長者になったあかつきには高い賃金と名誉ある地位が会社から与えられるというのが、そもそも終身雇用制度と年功序列賃金の”お約束”だった。
しかしバブル崩壊以後、日本経済が右肩あがりで高成長・急拡大を続けるようなことはもはや信じられなくなった。
終身雇用の絶対的な保証は無くなり、不景気になればリストラと称して企業は正社員を容赦なく配置転換・解雇するようになっていく。
その企業が丸ごと倒産してしまうというケースもあり、バブル崩壊後、長銀・拓銀・山一證券・そごう百貨店・雪印など大手企業が続々と消えていった。
不景気だけが原因ではなく法令遵守をおろそかにした結果倒産したところもあるが、ともかく大企業といわれるところでも今や安泰ではなくなっている。
企業が雇用を増やす場合でも上下にゆれ動く景気の波に対応できるよう、解雇しやすい派遣などの非正規労働者を増やしている。非正規労働者は正社員のように年齢とともに賃金が急上昇していくことはない。
さらに、年功序列賃金制度は一度でもそこから振り落とされてしまった人には敗者復活が極めて難しいという非常に残酷な一面を持っている。
(終身雇用が前提で、そこからこぼれ落ちる人がいること自体あまり想定されていない制度だから)
たとえば会社倒産などで長期間無職やアルバイトを余儀なくされた45歳の人がいたとして、もしある企業がその人を正社員として採用する場合は、年功序列賃金制度に従って45歳という年齢に応じた高い賃金を支払わなくてはならない。
だから日本企業は新卒採用でもないかぎり常に即戦力を求めるが、長期間無職や非正規労働者であった人への評価は非常に低く、ほとんどの場合採用されない。
よって、いったん崩壊してしまった終身雇用・年功序列賃金制度ほど恐ろしいものはないわけで、今や年齢が高くなればなるほど敗者復活が困難になっていく極めてリスクの高い制度に変貌してしまった。
現代日本の若者にとって、終身雇用制度・年功序列賃金への信頼は確実に下がっている。
実際その企業でずっと我慢してさえいれば、定年まで働けるという保証もこれからどんどん給与と地位が上がっていくという保証もない。
下手をすれば、会社の都合で一方的に終身雇用・年功序列賃金制度から振り落とされてしまう可能性さえある。
現在の日本は、「我慢すれば確実に幸福がやってくる」というこれまでの日本人の美徳(いいかえれば経験則)が通用しない社会状況になっているのだ。
これは非常に重要なポイントであり、このことに気づいている日本人はまだまだ少ないのではないか。
にもかかわらず日本社会の多くの企業で、少なくとも若者にとってはカタチだけとなってしまった年功序列賃金制度は存続しており、低賃金や長時間労働・休日出勤を強いられ続けている。
これでは日本の若者が「あの日本企業はブラック企業」とか「自分はそこに勤める”社畜”」などと言い出すのも無理はない。
若者にとって厳しいこうした雇用情勢が日本人の脱農耕民族化を招いているとも考えられる。我慢しない日本人の登場だ。
フリーターやニートになってしまう人達のきっかけや動機はさまざまであろうが、あえて正社員という道を選ばない人も相当いると思われ、そうした人達が急増した原因は、バブル崩壊後に終身雇用と年功序列賃金制度が実質的に崩壊しているのを見透かして、「将来高い所得や出世が確実に保証されないなら、若いときに低賃金や長時間労働・休日出勤を我慢しても大損ではないか」と考えた結果なのではないだろうか。
もしそうであれば、少なくとも彼らなりに”合理的な判断”をしていると言える。
企業が提示した賃金は、彼らが持つ”労働力という商品”と交換するに値しないほど低いと判断したということだ。
これは商業の民の考え方である。
もっとも商業の民に限らず、人間が自分の利得を最大化しようと行動するのは当たり前の話。
キャベツ1個75円のスーパーに主婦が殺到するのを見て、キャベツ1個を300円で売っているスーパーの店長が「なんでウチに客が来ないんだ」と主婦に怒ってみても仕方がないのと同様、
「ようやく我慢の時が終わった。こんどは自分達が果実を受け取る番だ」と考えている中高年世代が自分達の経験をもとに、フリーターやニートの若者に向かって「我慢と根性が足りないのがいけないんだよ。我慢すれば確実に幸福がやってくるんだから」といっても、もはや説得力をもたない。
現在正社員という道を選んでいる人達も「フリーターよりは安定しているから」という消極的な理由からではないだろうか。
あえて正社員にならない(正社員になれない)人達の受け皿がアルバイトや派遣といった非正規労働者という道しかなく、企業のほうも「景気が悪くなったら雇用調整(解雇)しやすいので便利」ということで非正規労働者の雇用を増やした。
30代以下の若い世代はバブル崩壊以後、日本経済がゆるやかな成長と不景気を交互に繰り返す中で大人になった人達だ。
非正規労働者は、結婚や子育てが困難なほど所得が低く不安定だし、正社員として働いている若者とて一部を除けば決して楽なわけではない。
経済的な安定性や将来への予測可能性が低くなっている以上、多額のローンを組んでマイホームを買うことはもちろん、結婚や子育てといった人間として当たり前の幸福実現さえリスクの高いものになってしまった。
結婚・子育てでお金のかかる若者層がこうした状況にもがいていることが少子化の原因ともなっている。
これでは内需も拡大していかず、企業にとっても決して良いことではない。
その一方で、日本経済が良いときに働き盛りを迎え、年功序列賃金制度の恩恵をしっかりと受けることができた50代以上の世代が、個人金融資産の80%を所有していると言われるのも当然の帰結だろう。(高齢者同士でも資産格差がある問題はここではふれない)
日本の富の配分はうまくいっておらず、若者と中高年の間で大きくバランスが崩れているように思われる。
日本人がまじめに働いても結婚も子育てもできないというのであれば、基本的人権にかかわる問題だと思うのだが、民主党を支持する”連合”に代表される日本の労働組合はほとんど機能していない。
共産党や社民党系の労働組合も同様だ。
既存の労働組合は、組合に加盟する正規労働者の既得権は守ろうとするが、非正規労働者・失業者対策への協力となると自分達の腹が痛むから途端に消極的になる。
それどころか、日本の労働者の雇用や収入の安定とは何の関係も無い、むしろ本来なら失業対策に回せるはずの国民の税金を無駄使いする、「憲法九条死守」「アジア諸国への謝罪と賠償金支払い」といった、くだらないイデオロギー闘争の方が本業になっているありさまだ。
今の日本で”人権”とは、ヤミ専従などで甘い汁を吸う”労働貴族”の利益を守るための方便になり下がっており、本当に人権が保証されるべき人達のところへは届かない。
高度経済成長期にはうまく機能した終身雇用制度や年功序列賃金のような日本型雇用慣行・日本式経営システムであるが、90年代はじめのバブル崩壊以後、成長・拡大する一方の日本経済という、システムが成り立つ前提条件が崩れてしまった結果、日本の現状に合わないものになってしまった。
「日本がうまく行かなくなったのは外国から奴らのやり方を押しつけられたからだ。日本式経営に戻せ」という人がいる。
日本という国や日本人であることを誇りを持つ我々にとっては自尊心をくすぐられ、一見説得力があるように見えるが、いったん崩壊した終身雇用制度や年功序列賃金ほど恐ろしいものはないことは前述の通りだ。
日本の雇用・賃金制度を現在の日本社会にマッチしたものに改良していくことは一刻を争う急務である。
それぞれが目先の短期的な利害にとらわれるのではなく、国民・企業経営者・政府が一致団結して、制度を新しく設計しなおさなければならない。
少子化がすすみ国内市場が縮小すれば、労働者本人のみならず、経営者も政府も誰の得にもならない。
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