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対馬まで侵略の魔の手をのばす韓国

  • 2008/07/29(火) 01:43:02

 狂牛病で国が二つに割れていた韓国が竹島問題をネタにして、まんまと国民の統一に成功している。

それを象徴するような、しかも信じられないようなことが起こっている。

韓国の与野党国会議員50人が共同で”対馬返還要求決議案”を発議し、「対馬も韓国領土であり日本は返還するように」と主張し出した。

参考記事 

 この愚行の下地になったのが、韓国与党・ハンナラ党の許泰烈最高委員による妄言である。

その”根拠”とは「ある遺伝子が対馬住民のほぼ100%韓国人と同じ」「朝鮮王朝初期まで対馬島主を韓国政府が任命していた」であるそうだ。

参考記事 

 日韓双方が参加するネット掲示板でも「対馬は韓国のもの」と妄想を垂れ流す韓国人は前からいた。だが、国会議員による正式な決議となると話は違う。

福田政権はすみやかに李明博に、韓国政府としての真意を照会しなければならない。

そこで「対馬は日本領土である」という公式回答と韓国政府スポークスマンによる韓国マスコミへの公式発表が得られないなら、駐韓大使の無期限召還を含む制裁措置を講じなければならない。


「『対馬は日本のもの』と回答するが、それは秘密にしておいてくれ」と韓国政府がいつものように甘ったれた要請をしてくるかもしれないが、これまたいつものごとく日本側が情に流されてそんなことを受け入れたら、福田首相は子孫に新たな国境紛争の火種を押しつけることになる。

火種がまだ小さいうちに根こそぎ消火しておく必要がある。

 李明博政権が「対馬は日本領であるのは疑い無い」と国民の前で発表して倒れるなら、倒れるが良い。

日本の”識者”のなかには、「ノムヒョンとバックにいる韓国の左翼勢力はクレージーとしかいいようがないが、ハンナラ党のような保守勢力はマトモなのだから日本は協力すべきだ」などと言う人がいたし、

ある外務省幹部も「ノムヒョン政権が倒れて李明博が大統領になった。これでようやくまともな外交ができる」と言ったそうだが、いつになったら日本人は韓国人というものを理解するようになるのかとタメ息が出てくる。

「対馬は韓国のもの」と言い出した連中は、その韓国の保守勢力なのである。

日本人が少なくとも外交分野において、義理と人情という極めてアジア的でウエットな感情をきれいさっぱり捨て去って、冷徹に対処できていれば、特定アジアとの外交問題なんてとっくの昔に片付いている。

いつまで同じところを堂々めぐりするつもりだろうか。私はもう飽きた。

 さて、竹島はもちろん対馬も日本の領土であるのは言うまでも無いが、ここで対馬の歴史をさらっとおさらいしておきたい。多くの日本人は、自分たちの国土とその歴史への関心が低いからである。

 韓国では、古代からの人とモノの流れは朝鮮半島→日本しかないことになっているがそんなことは無い。

縄文時代からすでに倭人(当時の日本列島人)は、九州から朝鮮半島南部に渡っていた。

対馬も含めた九州北部と半島南部は、佐賀県腰岳から産出する黒曜石を使った、一つの石器文化圏だったのである。半島南部からも縄文土器が多数出土しているが、韓国ではほとんど知られていない。

日本列島と半島を行き来する縄文人にとって、対馬は重要な中継地点だった。

 西ではキリストが生まれたころ、つまり弥生時代中~後期になると、日本列島と半島南部にいくつもの小規模なクニができていた。

対馬もそうした小さいクニのひとつであり、中国の正史である三国志・魏志東夷伝・倭人条に対馬国の記述が見える。

始度一海千余里 至対馬国 其大官曰卑狗 副曰卑奴母離。所居絶島 方可四百余里。土地山険 多深林 道路如禽鹿径。有千余戸。無良田 食海物自活 乗船南北市糴。



それによると、対馬の大官を卑狗(ヒコ)といい、副官は卑奴母離(ヒナモリ)といったという。

当時の対馬で話されていた言葉の音に中国人がムリヤリ漢字を当てはめた(それも対馬人を見下して悪い意味の漢字を当てはめた)ものだろうが、ヒコと読むならミマキイリヒコ(崇神天皇の和風諡号)にも見られる”彦”で、立派な大人という意味であろうし、ヒナモリは鄙守、集落の守護職・長(おさ)という意味であろう。

また、魏志・韓伝ではなく倭人伝に対馬の記述があることから、第三者である中国人も対馬を倭人が住む地域と認識していたことがわかる。

 同じく三国志・魏志東夷伝・弁辰(半島東南部)条に、弁辰地域から鉄が産出し、そこで韓人・ワイ人・倭人が鉄を取っていたという記述があるように、当時の朝鮮半島南部は日本列島に住んでいた人たちにとり重要な、鉄の利権がからむ地域であり、倭人が半島南部に多く渡っていた。

当時の鉄は貴重で、インゴットにして貨幣の代わりにもなった。

半島南部地域では、倭人の習俗が韓人に影響を与え、刺青を彫る韓人が多かったという記述が、三国志など中国のいくつかの正史に見える。

 3世紀から4世紀になり、日本や朝鮮半島である程度まとまった広さを持つ古代国家形成の動きが出てくる。

大和朝廷によって日本が一応統一されたのもそのころであるが、十数個のクニに分かれていた半島東部(辰韓)を騎馬民族が征服、新羅がたてられると、倭人が持つ半島の鉄鉱山利権が脅かされたのであろう、倭国と新羅との関係がきわめて険悪なものとなる。

高麗時代に編纂された正史である三国史記・新羅本記には、倭国と新羅の間の熾烈な戦いが記録されている。(韓国ではその内容がほとんど知られていない。漢字が読めないからだろうが)

そこには倭国の兵が新羅に上陸し、その王都・金城(現在の慶州)を何度も包囲攻撃したという記録が残っており、新羅がかなり劣勢だったことがわかる。

例えば新羅・脱解王17年条には、倭国の軍隊が木出島(ウルサン沖の回島か)を占領したとあるし、祇摩王11年条には、倭国が攻めてくるという噂だけで王都がパニックになり、新羅人が先を争って野山に隠れたという記述がある。

于老という新羅の貴族が倭国の外交使節に向かって、倭の大王(天皇)を新羅王の奴隷にしてやるなどと、ぜんぜん笑えないジョークを飛ばしたため外交問題に発展、両国が戦争になったこともあったという。(今も昔も変わらない)

沾解王3年条に、倭国軍によって于老が殺害されたとの記述があるが、これは有名な話だったらしく、日本書紀の神功皇后元年条にも于老の外交的非礼の話が出てくる。

そしてここでも対馬の記述がある。

実聖王7年(西暦408年)条に、新羅側は倭国軍の半島攻撃拠点が
対馬にある
のを知ったとある。

だが新羅はもともと劣勢なうえに、騎馬民族出身だけに水上戦が不得意でどうすることもできなかった。

新羅・儒礼王が、先手を打って倭国を何とか攻められないものかと下問したのだが、舒弗邯(新羅宮廷官位の第一位)の弘権が、我が軍は水上戦に不慣れで倭攻略は無理でございますと諫言したという記述がある。

以上、対馬が古来から日本固有の領土であったことは疑い無く、一度だって半島の支配下に入ったことさえない。

 韓国の国会議員が「朝鮮王朝初期まで対馬島主を韓国政府が任命していた」と言っている。

おそらく嘉吉条約のことを言っているのであろうが、元寇つまりモンゴルと朝鮮半島の連合軍による日本侵略によって、対馬を含む九州北部は大変な損害をこうむった。

勝ちいくさだったとは言え、モンゴルや半島の兵と戦った武士に褒美となる新領地は与えられなかったし、戦費は武士の自腹だった。

困窮した武士たちは朝鮮半島や中国での海賊行為に手を染めていくことになるがそれが倭寇である。そして対馬や松浦・五島列島は倭寇の根拠地となった。

”北虜南倭”と言われるように、中国や朝鮮半島の王朝を衰退させる原因のひとつとなった倭寇。

嘉吉条約には、倭寇の軍事力にさんざん苦しめられた朝鮮が、米の全く取れない対馬に食糧米を与え朝鮮との独占貿易権を認めて収入源を増やせば、倭寇をなくすことができるだろうという、朝鮮側の利益確保の意味あいがあった。元寇の賠償という考え方もできるだろう。

ただ、倭寇に屈して米を与えたと認めるのは朝鮮王朝のメンツにかかわるので、対馬の実力者・宗氏に朝鮮から官位を与えてそれを名目に「米を下賜」し、「朝貢貿易を許可した」のである。

東アジアにおける朝貢貿易とは、朝貢する方(対馬)よりも朝貢される方(朝鮮)が「徳の大きさ」を見せるために気前良くふるまわなければならない。よって朝貢貿易で儲かるのは対馬である。

どちらが実際の立場が上かは明白であろう。

 同じようなことが中国の歴史でも起こっている。セン淵の盟がそれである。

軍事力の弱い宋は、軍事力に勝る騎馬民族がたてた北方の国・遼の脅威を受けていた。

そこで宋と遼の間にセン淵の盟が結ばれ、国境線を現状維持とするかわりに宋が遼に対し、毎年絹20万疋・銀10万両を歳幣として贈与することが約束された。

宋は遼に宝物を貢いで平和を買ったわけだが、実質的な上下関係とは正反対に、名目上は宋が兄、遼が弟とされた。

対馬と朝鮮王朝の関係と全く同じである。

朝貢された方のものというなら、朝貢どころか王子を人質として倭国に送って臣下の礼をとった新羅・百済も日本固有の領土である。実際、人材不毛の地・朝鮮半島なんて、土下座されたっていらないが。竹島と付属の領海・経済水域だけ返せ。

 「対馬住民と韓国人の遺伝子が同じだから」に至ってはワケがわからない。

それが正しいのならば「遺伝子が同じだから韓国は対馬のもの」と主張することだってできる。

「韓国系アメリカ移民の遺伝子が同じだから、韓国はアメリカのもの」でも通用することになる。

近世までの朝鮮半島の古文書はほとんど漢字で書かれているが、現代韓国人は自分の名前ぐらいしか漢字が読めない。

日本で言えば、日本人が明治時代より前の古文書をまったく読めないのと一緒で、韓国人の歴史的知識なんて空想歴史小説も同然でまったくお話にならない。

 韓国側は、前述した三国史記に記述されている于山国こそ竹島(独島)のことと言っているが、とんだ自爆である。

三国史記はすべて漢字で書かれているが、于山国またの名を鬱陵というとハッキリ書かれているのである。

三国史記・新羅本記

智證麻于十三年夏六月条

于山国征服、歳以土宜為貢、于山国、在溟州東海島、或名鬱陵島

う~ん、壮絶な自爆。




 福田政権は、後世に禍根を残さないよう、これ以上の外交的失態は許されない。竹島はもちろん対馬も日本固有の領土であると李明博政権に明言させるべきである。

内閣改造をするなら高村外相・藪中次官を更迭し、もっと日本の国益のことを考えて、しっかりと自己主張できる人物を外交の第一線にすえなくてはいけない。

韓国が対馬侵略の意思をあらわにしたのも、福田政権が学習指導要領に「竹島は日本固有の領土」と明記せず、韓国にいらぬ配慮をしたせいである。

こちらが竹島で一歩引いたから、相手が対馬で一歩踏み出してきたのだ。

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輪転機でさえ無い

  • 2008/07/25(金) 22:34:15

 前回の続き

今日はこのシリーズの最終回、「アメリカが輪転機をまわしてドル紙幣を世界にばらまく」という主張の間違いの二点目について述べていきたい。

今回は安全保障の話題でも、一般の人にとっても非常に重要でありながら知られることも語られることもほとんど無い分野、セキュリティ・プリンティング業界について取り上げる。

 よくアメリカやFRBが輪転機を回してドル紙幣をばらまくという人がいるが、それは間違っている。

世界の紙幣印刷機のおそらく90%以上が輪転機ではなく枚葉機だ。

輪転機・枚葉機

もちろんアメリカ・ドル紙幣を印刷している機械も枚葉機で、スイス・ローザンヌに本社を構えるジオリ社の製品のはずである。

 ”世界に冠たる基軸通貨発行国アメリカ”が、外国から紙幣印刷機を輸入して使っているというのは、ちょっと意外な感じがするかもしれない。

領土・領海・国民の安全を保障するのは兵器であり、たとえ独立国家といえども最先端兵器をおいそれと開発・生産することはできない。

それと同様、一国の国民経済の安全を保障するのが、セキュリティ・プリンティング技術(紙幣や有価証券の製造技術)であり、たとえ独立国家といえども高性能の紙幣印刷機をおいそれと開発・生産できるわけではない。

(将来的に電子マネーが普及して現金が廃れれば、状況は変わるかもしれないが)

外国に偽札を大量にバラまかれたらインフレによってその国の経済が破壊され信用は失われる。

かつてナチスが精巧なポンド紙幣を偽造し、本物と偽モノを見分けることができなかったため、イングランド銀行が紙幣の回収と新紙幣の発行を余儀なくされたことがある。

 世界には200を超える国と地域があるが、そのうち紙幣を自国生産している国は50~60と言われる。

自分で紙幣を製造できない国は、外国の国立紙幣工場に製造を依頼するか、民間の紙幣印刷会社に発注することになる。

よくアメリカ陰謀論者が「アメリカでは民間企業FRBが紙幣を発行している」と大騒ぎするが、実際に世界各国から注文を受けて紙幣を印刷する民間企業がいくつも存在するのである。

その世界最大手が、イギリスのトーマス・デ・ラ・ルー社で、イギリスの旧植民地・保護国を中心にのべ150カ国以上の紙幣製造を手がけたと言っている。

日本に近いところでは、HSBC(ホンコン・シャンハイ・バンキング・コーポレーション)が発行する香港ドル紙幣がここの製品である。

私の手元に1993年発行の香港ドル紙幣があるが、その裏側にTHOMAS DE LA RUE AND COMPANY と製造メーカーが明記してある。

他に代表的なところを拾ってみると、ドイツマルクやモンゴル・ミャンマーなどの紙幣を手がけたギーゼッケ・ウント・デブリエント社(ドイツ)、

フランスフランとフランスの旧植民地各国の紙幣を製造するフランソワ=シャルル・オーベルテュール社、

オランダギルダーとオランダの現・旧植民地、さらにイスラエルシェケル紙幣を印刷するヨハン・エンスヘーデ・エン・ゾーネン社、

(以上3社は現在ユーロ紙幣を製造している)

スイスフラン紙幣を製造するオーレル・フィジリ社などがある。

 しかし国立・民間工場の別なく、紙幣用印刷機まで国産化している国となるともっと少なくなり、その数は10以下ではないか。

この紙幣用印刷機製造の分野は恐るべきモノポリーが進んでいる業界で、紙幣印刷機の世界シェアの80~90%が先ほど述べたスイス・ジオリ社の製品である。

我が日本はどうかと言えば、数少ない例外の方に属す。
日銀券を印刷する機械は、国立印刷局と協力しながら小森コーポレーションが製造している。

日本の紙幣印刷機は先進的な技術を誇り、インド・ロシア・ナイジェリアなどの国立紙幣工場にも輸出されている。

インドルピー紙幣の40%は小森の印刷機で製造されたものだそうだから、皆さんが手にする機会があったら以前より身近に感じられるのではないか。

アナログ時計の分野でもそうだが、信頼性の高い精密機械となると日本かスイスのメーカーということになるのかもしれない。

 ただ、世界シェアの10~20%ぐらいに日本・ドイツ・イギリスなどのメーカーがひしめき合っていて、いかにジオリ社の独壇場であるかがお分かりになるだろう。

(独立行政法人改革が話題になっているが、日本の国立印刷局もどんどん営業して、諸外国からの紙幣受注生産を増やしてはどうだろうか)

実は20世紀いっぱいまでジオリ社は先ほど述べた紙幣印刷会社デ・ラ・ルー社の傘下にあり、紙幣の受注販売を請け負うデ・ラ・ルー社、紙幣印刷機開発・販売のジオリ社、紙幣用インク製造のシクパ社、紙幣用紙製造のポータルス社、原版の彫刻機械製造のミヒャエル・ケンプ社(今は存在しない)をあわせて、”デ・ラ・ルー=ジオリ帝国”に世界のセキュリティ・プリンティング業界は支配されていたようなものだった。

アメリカとソ連がいがみ合う冷戦下にあっても、ジオリの印刷機は米ソ両国に納入されていたほどである。

2001年にジオリ社は、ドイツのケーニッヒ・ウント・バウアー社に買収されたため、デ・ラ・ルー=ジオリ帝国の一角が崩れた形になっているが、それでもデ・ラ・ルー社の影響力はまだまだ大きい。

 ところで、アメリカが紙切れに100ドルと印刷すれば、何も無いところからお金をひねり出して、世界からタダでモノをせしめるように言う人が少なくない。

だが紙幣製造ラインをつくるには巨額の初期投資が必要となる。

紙幣の一般的な製造方法は、まず透かしや金属線をすき込んだ用紙をつくり、そこにドライオフセットと呼ばれる平版印刷の一種で下地模様を印刷する。

その上から福沢諭吉やエリザベス女王などの人物画・銀行名・金額等を多色同時印刷が可能な凹版ザンメル機で印刷し、

さらに財務相・中央銀行総裁のサイン(日本だと印鑑)とシリアルナンバーを専用の印刷機で刷り、最後にホログラム(一万円札の左下についてるピカピカしたやつ)を貼り付けて、規定の大きさに裁断して札束にする。

紙幣印刷機はたった一基で数億円はするシロモノで、ドライオフセットと凹版がセットになった印刷機を紙幣の表の印刷用に一基、裏用に一基、サインとシリアルナンバーを印刷する機械が一基、それに裁断機が必要となるから、紙幣製造ラインを一本つくるだけで10億円前後の費用はかかる。

大きい国はこの製造ラインが一本だけでは到底足りない。最低でも紙幣印刷工場に数本の製造ラインをひいているわけだ。

もちろんこれには用紙やインクの代金や工場用地・建物の費用は含まれていないし、とうぜん技術者の養成・雇用費もかかる。

アメリカの場合、6兆9150億ドルもある預金通貨と準通貨に比べ、FRBなどが発行する現金は7710億ドルしかない。

その現金(紙幣)をつくるのだって、おそらくウン百億円単位の投資が必要であり、FRBが紙切れに100ドルと書けばシニョレッジを稼いで丸儲けといった、お気楽極楽の話ではないのである。

 最後に、アメリカ・ユダヤ陰謀論者の間でまことしやかに語られる、「北朝鮮がつくったとされる偽ドル札スーパーKは、実はCIAがつくった」という話に触れておこう。

結論から言えば、実際にCIAがつくったという証拠があるなら別だが、現時点ではCIAがつくったということを前提にして都合の良い情報ばかりを集めてきた話のように思える。

普通、紙幣はできるだけ難しい技術を使って出来るだけ偽造されないようにつくられるが、ドル紙幣だけはまったく逆のコンセプトによって、できるだけシンプルなデザインを使って誰でも偽札が見分けられるようにつくられている。

民間の印刷技術が進んだ現在、それがまったくの裏目に出てしまっているのだが、そのため90年代のドル紙幣より北朝鮮の紙幣の方がよっぽど難しい技術が使われていた。

陰謀論者は、後進国の北朝鮮が独力で先進国アメリカの紙幣を偽造できっこないと考えているようだが、そんなことはない。

北朝鮮の紙幣には70年代からジオリ系の技術が使われているように見えるが、おそらくリバースエンジニアリングでジオリの印刷技術をこっそりコピーし、紙幣印刷機を生産・改良してきたと推測される。

それぐらいの技術力があるならば、独力でもドル紙幣の偽造は不可能ではないだろう。

今ノドン弾道ミサイルの存在を否定する者はいないが、あれもソ連から手に入れたスカッドミサイルをリバースエンジニアリングでコピー生産して技術力を蓄え、それを土台にしてソ連から教わることなく北朝鮮はスカッドよりも性能が高い新設計のノドン弾道ミサイルを開発・実戦配備してしまったのである。

それと同じことが紙幣印刷機で起こったとしても不思議ではない。

それは間違い無く違法コピーであるが、ジオリ社は北朝鮮を罰することはできないし、表の記録として出てくるわけでもない。

CIAがジオリの印刷機を持っているという話もあるが、北朝鮮に偽札づくりの罪を着せたいのであれば、わざわざ本物の用紙・インクを使ってドル紙幣をつくるような危ない橋を渡る必要はまったくないと思う。

たいてい紙幣も国債もパスポートも国立印刷工場で生産されるものである。

CIAのケースオフィサーやエージェントが必要とする外国のパスポートや身分証明書...おや誰か来たようだ。

 以上、三回シリーズで「アメリカが輪転機をまわしてドル紙幣を世界にばらまいてシニョレッジを荒稼ぎし、タダでモノをゲットしてきた」という主張が様々な意味から間違いであることを解き明かしてきた。

現在の基軸通貨はアメリカ・ドルであり、その前はイギリス・ポンドだった。

ポンドもかつては普通の銀行ならどこでも発行できた時代があったし、その名残は現在のイギリスでも残っている。

(現在イギリスで紙幣を発行しているのは中央銀行であるイングランド銀行だけではない。RBSやアルスター銀行なども一定の制約を受けながら紙幣を発行している)

けっきょく基軸通貨発行国にしろ紙幣発行権のある中央銀行にしろ、早くなったもの勝ち・そうなる実力のある者勝ちであり、それを陰謀だと言うなら「日本を日本人が占領しているのは日本人の陰謀」というのと同じくらい馬鹿げた話である。

文句があるなら世界の誰よりも先に基軸通貨発行国にでも中央銀行にでもなれば良かったのだ。

<了>

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FRBは輪転機を回さない

  • 2008/07/22(火) 22:52:22

 今日は前回のお約束どおり、「アメリカが輪転機をまわしてドル紙幣を世界にばらまく」という主張がどうして二重の意味で間違っているのか、少なくとも不適切な言い方であるのかについてお話したい。

 さて「アメリカが輪転機をまわしてドル紙幣を世界にばらまく」と言う人を、評論家やマスコミ人も含めて良く見かける。

特にアメリカ・ユダヤ陰謀論者は、「ユダヤに支配された」アメリカあるいは民間企業・FRBが「輪転機で紙切れに100ドルと印刷するだけでシニョレッジを稼ぎ、世界からタダでモノを手に入れている」という「驚愕の事実を発見」して敵意をつのらせるわけだが、それは明らかに間違っている。

 ドルに限らず、何も通貨をつくれるのはFRBや日銀・ECBのような中央銀行だけではない。

普通の銀行のような金融機関だってつくれるのである。もちろんシティや三菱UFJが偽札をつくっているわけではない。

たいてい経済学や金融論の教科書の最初の方に、通貨には現金通貨預金通貨の2種類があると書いてある。

現金通貨とは、我々のお財布に入っている紙幣やコインのことであり、これはFRBや日銀などによって発行されているが、では預金通貨とは何か。

預金通貨の代表例は、皆さんの預金通帳に印刷されている預金残高の数字であり、金融機関同士を結ぶオンライン回線やコンピューター上をかけめぐるデジタル信号となって移動するので、目に見えないし触れることもできない。

それでは金融機関はどうやって預金通貨をつくるのか。

三菱UFJでもみずほ銀行でも良いが、あなたが金融機関から100万円お金を借りるとする。

その時あなたの通帳の残高に100万円がプラスされて印刷されるが、この瞬間金融機関はお金をつくったのである。(信用創造)

金融機関は手持ちの現金が100万円増えていなくても、100万円貸すことができる。

それを我々が窓口で現金として引き出せば見たり触ったりすることが可能になるが、預金通貨で何かの支払い(送金)をして残高が100万円差し引かれればそれっきりである。(もちろん100万円の借金を金融機関へ返済しないといけないが)

企業であれば、銀行に約束手形を割り引いてもらって企業の預金残高が増えた瞬間、預金通貨はつくられたことになる。

 では金融機関は好き勝手にお金(預金通貨)をつくって良いのかというとそうではない。

金融機関は、自らが保有する現金よりもはるかに多くの貸し出し(顧客の預金残高)をかかえているのが普通だから、預金者全員が一斉に窓口に来て預金全額を現金にしたいと要求されるとお手上げである。(いわゆる取り付け騒ぎ)

預金者が全員押し寄せなくとも、金融機関が保有する現金よりあまりに多くのお金をつくる(貸し出しをする)と取り付け騒ぎの危険性が高まるので、中央銀行は、各金融機関にある一定の割合での支払い準備金を用意するよう義務を課す。

支払い準備金とは、保有する現金通貨とその金融機関が中央銀行の口座に持っている預け金からなる。

そして、金融機関は顧客の預金残高の何パーセントを支払い準備金として持っていないといけない、逆にいえば支払い準備金の何倍までしかお金をつくってはいけないという義務を負うわけである。

日本の各支払い準備率

ということは、中央銀行がつくる現金通貨より普通の金融機関がつくりだすことができる預金通貨等の方がはるかに多いことが容易に予想できる。

現金・現物決済しかできないド後進国(そんな国いまどきあるのか?)ならいざ知らず、信用経済の発展した先進国であるならば、どこだってそうであろう。

 お金が社会にどれくらい供給されているかを示す指標はいくつかあって難しいのだが、最近の日本の場合M3・マネーストックと呼ばれるものを採用しているようである。(昔はM2+CDだった)

で、預金通貨や準通貨(定期預金や外貨預金)、郵便貯金、農協や信用組合などの預貯金を含めたM3全体は1033兆円もあり、そこから政府・日銀が発行した紙幣やコイン(現金通貨)72兆円を差し引くと、961兆円はだいたい中央銀行・日銀以外がつくったお金と考えても良いと思う。(全てではないかもしれないが)

日銀データ(PDF)

この961兆円は少なくとも日銀が発行した紙幣ではない以上、日銀が輪転機を回してシニョレッジを荒稼ぎしてタダでモノを手に入れたと非難するのは単なる八つあたりである。

アメリカとて同じで、2008年6月末のFRBが発行した紙幣など現金残高が7710億ドル、それに対し預金通貨と準通貨(M2-Currency)だけで6兆9150億ドルもある。

FRBデータ 

流通する通貨の主力をなす7兆ドル近いお金はFRBがつくりだしたドル紙幣では無い以上、「ユダヤが支配する民間企業FRBが輪転機をまわしドルを増やしてシニョレッジ荒稼ぎ」なんて、トンデモ理論のエセ経済学もいいところであることがおわかりいただけたと思う。

 この紙幣・コイン(現金通貨)以外の預金通貨を商業銀行など民間の金融機関がつくっているというところに話を戻すが、景気が良くて銀行からお金を借りる人が多くなると、銀行はついついお金を多くつくりだし(貸し)すぎて、顧客への貸しだし(預金)残高に対する支払い準備の割合が、中央銀行が定めた規定量より少なくなってしまうことがある。

その場合、銀行は金融機関だけが参加できる短期金融市場(インターバンク市場)からお金を借りて支払準備金を積み増し、準備率のパーセンテージを上げなければならない。

だが、お金を借りるといっても大量の紙幣が動くわけではない。

中央銀行にある、お金を貸した方の金融機関の口座残高を減らし、お金を借りた方の金融機関の口座残高がその分増えるよう、中央銀行が操作するだけである。

あるいは中央銀行が民間金融機関が持つ債券(国債など)を買って、その金融機関が中央銀行に持つ口座残高の数字を増やしてやる場合もある。(買いオペ。その逆は売りオペ)

お金を借りようとする金融機関が多ければ、インターバンク市場の金利は上がるし、借り手が少なくてお金がダブつけば金利は下がる。

その金利こそが経済ニュースにひんぱんに出てくる政策金利と言われるもので、中央銀行はお金を供給したり減らしたりして、その金利が政策金利として掲げられた目標値に近づくよう誘導するわけである。

(政策金利:日本0.5% アメリカ2% ユーロ圏4.25%)

日銀の場合、一日の通貨の供給量・吸収量は少ないときで3000億円ぐらい、多いときだと1兆円は動かす。

つまり中央銀行は、政策金利や金融機関の支払い準備率のパーセンテージを上げ下げすることで、お金を増やしたり減らしたりしているのであって、必ずしも中央銀行自らが紙幣を印刷したから増えるわけではない。(支払準備率の上げ下げは日本ではめったに行われない。中国は良く行う)

政策金利や準備率を上げればお金の量が減る方向へ圧力がかかり、それらを下げれば、お金は増える方向へ圧力がかかる。

政策金利の上げ下げは、中央銀行における会議で決められるが(日本=金融政策決定会合 アメリカ=FOMC EU=ECB政策理事会)、中央銀行が自分勝手にお金を増やしたり減らしたりすることは出来ず、アメリカの場合でも経済の動向を見ながら、アメリカ国民が選んだ議会によって承認されたFRB議長が数人の理事で構成される会議を取り仕切って決めるわけである。

国民が見ているなかで経済の実情を無視した政策を中央銀行がとれば、経済全体が大混乱に陥ってしまう。

だから「正にお金を増やす目的のためだけにお金を増やす」ようなことは出来ないし、FRBの株主が通貨量を決めているわけでもない。

これで「ユダヤに支配された民間企業FRBが勝手に紙幣を刷ってお金をひねり出し、タダで世界からモノを買った」うんぬんなんて馬鹿げた都市伝説の一種だということがお分かりいただけたと思う。

少なくとも先進国では、お金の大部分は中央銀行が紙幣を刷ったから増えたわけではないし、よってそれでシニョレッジを稼いでいるわけでもない。インフレや対外支払いの問題があるから、中央銀行が勝手に通貨の量を増やすこともできない。

紙幣を刷るからお金が増えるというよりも、民間の金融機関などがつくった預金通貨が増えたことによって、それを現金として引き出そうとする人の割合も増えるから、それに対応するために中央銀行が紙幣を多めに用意するといった方が実態に近いのではないか。

政府が国債を発行し中央銀行に直接引きうけさせ、中央銀行が紙幣を刷ってその国債を買えば、紙幣を刷って通貨が増えることになるが、そんなバカなことをするまっとうな先進国なぞ無いし、そもそも法律で禁じられているところがほとんどだろう。

もしそんなことをやる国があるとしたら、インフレ率が200万%を超えるハイパーインフレ国ジンバブエぐらいか。

いや、すっかり忘れていた。あの韓国ならやるな。

韓銀の高位関係者「韓銀には紙幣の発行といった手段があるため、為替市場への介入財源は無限」

http://www.chosunonline.com/article/20041122000063



これが韓国銀行(韓国の中央銀行)の幹部の発言というから私には信じられない。韓国の大学の経済学のレベルを疑う。

韓国の金融システムを先進国レベルのそれと思い込んでいると大変な目にあうだろう。

ノムヒョンが「私は韓国を東アジアの金融ハブにする」とか言っていたが、奴にしては面白いジョークだったと思う。おっと話がそれた。

 だいたい紙幣を刷ってシニョレッジを稼ぐのがユダヤの陰謀だというなら、イラン人がイランの商業銀行にお金(イラン・リアルの預金通貨)をつくって(貸して)もらい、それを窓口で引き出してアメリカドルに両替し、アメリカにおいてイラン人がそのドル紙幣で買い物をしたら、イランは何も無いところからお金をひねり出し、アメリカからタダでドルとモノを手に入れてしまったことになる。

とんだユダヤの陰謀もあったものである。

日本の主婦が100万円の証拠金に10倍のレバレッジをかけて1000万円相当のドルをアメリカから手に入れたら、これもユダヤの陰謀か?

 これが「アメリカが、FRBが輪転機をまわしてドル紙幣を世界にばらまいている」という主張が間違っている理由の一点目である。

ここまでは別に新自由主義経済学がどうだらとか関係無く、ふつうの経済学士程度の知識だと思うのだが、あの程度のトンデモ理論エセ経済学に引っかかる人が多いのには驚かされる。

ちょうどうちのコメント欄でも、アメリカ・ユダヤ陰謀論者が程度の低さをさらけ出しているが、彼らが貧富の格差の下でそれに不満を覚えるならば、その原因はグローバリゼーションうんぬんよりも経済とお金に対する知識のあまりの低さにあるのではないか。

そして経済の知識が低いからこそ、アメリカ・ユダヤ陰謀論者のエセ経済学にひっかかるのではないだろうか。

(何らかの事情で四年生大学に行けなかった人も、このエントリーを読んでわからないところは自分で調べて理解できるようになれば、レジャーのためだけに大学に行った人なんか問題にならなくなると思う。しかもウチは学費が
タダ<笑>)

あるアメリカ陰謀論者が「これから増やすべきは人民元資産」と言っていたが、その言葉どおりに上海総合指数が6000ポイントあたりで中国株や香港の本土株に投資して、バブルがはじけて2600ポイントに暴落した今、うまいことハメこまれてしまった日本人はどれくらいいるのだろう。

話が予想外に長くなったので、「アメリカが輪転機をまわして~」の二つ目の間違いについては最終回で触れよう。

つづく

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輪転機を回してドルをばらまく?

  • 2008/07/18(金) 22:18:27

 サブプライム問題に端を発した世界の金融不安がなかなかおさまらない。

問題の深刻化を防ぐため、アメリカ政府はフレディマックやファニーメイといった住宅金融機関への支援に乗り出そうとしている。

 産経新聞で「経済がわかれば世界がわかる」と題して、世界の政治経済問題に関するコラムを精力的に執筆していらっしゃる方がいる。

有益な情報・考察も多々あるので私もなるべく欠かさず読んでいるのだが、気になるのが「サブプライム問題も原油価格の高騰も、経済の悪いことはなんでもかんでもアメリカが悪い」的論調である。

特に「アメリカが基軸通貨発行国の特典を生かし、輪転機をまわしてドル紙幣を世界にばらまく」のが、お気に召さないようである。

まだ安倍政権が元気だったころ私のブログにも、多くの人が主張していて説得力があるように見せかけたいのか同一人物がハンドルネームを複数使い分け、しかも非公開コメントにして「にわかに信じられないのもわかる。でもアメリカがドル紙幣を印刷してシニョレッジ(通貨発行益)を荒稼ぎし、世界からタダでモノを手に入れているのは、間違い無くユダヤ金融資本の陰謀」みたいなことをしつこく書きこんでくる人がいて辟易させられたことがある。

 しかし世界を一つの国、その国の通貨を現在の基軸通貨ドル、ドルを発行する中央銀行がアメリカだと仮定すると、商品やサービスの生産が増加し、世界の経済が順調に発展していくためには、それに応じた量の通貨を供給してやらないといけない。でなれけば世界はデフレ不況になってしまう。

特に冷戦が崩壊したことによってグローバリゼーションがより進展し、ロシアや中国・インドのように社会主義をやっていた国々が世界経済に新たに組み込まれたことで、世界全体の商品やサービスの生産高は劇的に増大した。

そこでアメリカがドルをばらまいて(供給して)世界中からモノを買ったからこそ2003年ごろから始まった、長期低迷で苦しんでいた日本を含む東アジア工業国やインド・ロシア・ブラジルなどの新興国の経済成長があったのであり、にもかかわらず「世界経済の諸悪の根源は、ドル紙幣をばら撒くアメリカ」というのであれば冷静さを欠いた議論だと思う。

 かつてイェール大学の経済学教授ロバート・トリフィン氏が基軸通貨ドルと世界経済がかかえる矛盾として、”トリフィンのジレンマ”という説をとなえたことがあるのはご存知の方もおられるだろう。

トリフィンのジレンマとは、

世界経済が順調に拡大していくためには、それに応じて基軸通貨ドルの供給も増やしてやらないといけない。―(1)
だがそれは基軸通貨国アメリカによる世界へのドル垂れ流しに他ならず、アメリカの国際収支赤字が深刻になればドルの信認は失われ、ドル垂れ流しは持続可能ではなくなる。―(2)
そうなれば世界経済の発展は流動性(ドル)不足によって制限されるという深刻なジレンマをかかえる。

簡単に言うとこうだろうか。

そのジレンマを解消し、基軸通貨ドルを補完する狙いで1969年にできたのが、アメリカが事実上支配するIMFにつくらせたSDR(特別引出権)である。

で、現在の世界経済を見ると”トリフィンのジレンマ”の(1)は正しかったのであり、サブプライム禍がきっかけで今度は(2)の問題があらわになったように思える。

 世界を一つの国に例えた先ほどの話に戻すと、流通する通貨ドルが増大し、経済発展によって中国・インド・ブラジル・ロシアなどの開発が始まった田舎(新興国)で需要が増えれば、副作用としてその国(世界全体)が経済過熱によるインフレになって、石油などのエネルギーや鉱物資源・穀物などの商品価格が上昇し、土地や住宅・株などの資産インフレが起こってくるのも別段驚くような話ではない。

そうしたインフレへの期待が、石油や金などのコモディティ相場や土地・住宅市場へ投機資金を流入させるのも自然な話である。(石油が1バレル=80ドルを超えたあたりから腹が立って、市況ニュースを聞くのも嫌になったが)

経済が過熱し、資産インフレが行きすぎれば当然調整が来る。(市場経済が万能だというつもりはないが)

それがアメリカ住宅市場のバブル崩壊であり、住宅を担保にしたローンは不良債権化した。いわゆるサブプライム問題である。

こういう景気循環とバブルの発生は、オランダのチューリップ投機やイギリスの南海泡沫事件なんかを見てもわかるように、どこの国だって起こることであろう。

日本だって「いつか来た道」である。

 だったら世界の中央銀行たるアメリカがユル過ぎる金融政策をとったことが悪いんじゃないのという意見もあるかもしれない。

これだけ双子の赤字を垂れ流しているにもかかわらず、アメリカの長期金利がそれほど上がらないのはナゾと一時期言われていたが、であるならば、自国の輸出競争力を落としたくがないために、アメリカに頼まれもしないのにせっせと人民元を売ってドルを買いそれでアメリカに証券投資をし、金利を上げないことによって持続的なドル垂れ流し・中国製品購入をアシストしてきた中国のような国の責任も問われてしかるべきではないだろうか。

中国が己の経済発展のために大量の商品というデフレを輸出し、代金のドルでアメリカにお金を貸しつづけてきたことと、アメリカが中国を含む世界からお金を借りてドルと購買力を垂れ流してきたことは、バランスシート上で対になっていることである。

最近まで、アメリカ経済がドル垂れ流しの罰を受けて低迷しても、中国やインドなどの新興国の内需が日本や世界の経済をひっぱるから大丈夫というデカップリング論というのがあり、私は懐疑的であったのだが、このバランスシートを見ればやはりデカップリング論は机上の空論であったように思う。

また、大量のドル準備を抱え、低金利政策を長く続けて世界に低コストで流動性を供給してきた日本も、世界の流動性ジャブジャブとまったくの無関係ではないだろう。

 アメリカのFRBは、サブプライム問題というアルコール中毒に苦しむ自国経済に、だましだましお酒(お金)を供給してやることで、どうにかこうにかソフトランディングをはかろうとしているように見える。

いくらアル中だからといって、いきなりお酒を全部取り上げると患者が禁断症状を起こしてショック死(金融恐慌発生)しかねないので、バーナンキFRB議長も苦渋の選択ではないか。

「アメリカは輪転機をまわして何も無いところからドルをひねり出してそれをばらまいている」と非難する人は多いのだが、何も無いところからお金をひねり出せる管理通貨制度だからこそ何とか世界経済が持ちこたえているのであって、もし今の今まで管理通貨制度ではなく金本位制が続いていたら、とっくの昔にサブプライム問題発の世界恐慌になって、世界中の銀行や会社がバタバタと倒産し街に失業者があふれかえっていたと思う。

これまで述べてきたことからも同意していただけると思うのだが、完璧なシステムではないにせよ、何も無いところからお金をひねり出せる管理通貨制度と不換紙幣というのは、これによって貴金属の生産量に関わらずお金の量を比較的自由に調節するのを可能にした、人類の偉大な発明品のひとつだと私は思っているのだが、それを「紙幣を印刷してシニョレッジを稼ぐのはけしからん」だの「それはアメリカの陰謀・ユダヤの陰謀」とか言う人がけっこういて驚かされる。

そうした人たちがしきりに言う「アメリカが輪転機をまわしてドル紙幣を世界にばらまく」うんぬんといった話も、二重の意味で間違っている。

「本当に経済のことわかっているのか?」と大変疑問に思うし、もしかしたらジョークで言っているのかもしれないが、少なくとも経済学を勉強したことが無い人に誤解を与えかねない言い方である。

 そこで次回は、「アメリカが輪転機をまわしてドル紙幣を世界にばらまく」うんぬんがどうして二重の意味で間違っているのか、お話したい。


つづく

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竹島記述は中途ハンパ

  • 2008/07/15(火) 23:57:00

 文部科学省は14日、「我が国と韓国の間に竹島をめぐって主張に相違がある」などと記載した中学校の新しい学習指導要領の解説書を公表した。

新しい学習指導要領に竹島問題の記述が見送られるという最悪の事態は避けられたが、韓国への”配慮”のため「我が国の固有の領土」「韓国による不法占拠」の明記はされなかった。中途ハンパな印象はいなめない。

文科省は、新しい学習指導要領の解説書に「我が国が正当に主張している立場に基づいて」という記述があることを踏まえ、子供たちに竹島問題の理解を深めさせる学習指導の前提にすると説明しているようだ。

竹島問題で「我が国が正当に主張している立場」というのはもちろん、日本政府・外務省の公式見解である「竹島は我が国固有の領土」「韓国による竹島不法占拠」であるから、その二つが教育の現場でちゃんと教えられるよう、文科省の指導力に期待したい。

他方、韓国への配慮をしつこく求め、敵を利し国を二分させ、外交を混乱させた高村外相と藪中次官の解任を福田首相に要求する。そうでなければ保守勢力の福田政権離れはどんどん加速するであろう。

 これに対して韓国は、対日報復として駐日大使を帰国させることを決定した。

こちらは痛くも痒くもないし永久に帰ってこなくとも良い。どうせ恥も外聞もなくしばらくたったらこっそり帰ってくるのだろうが。

韓国の反日というのは、たいした覚悟もない甘ったれた小学生の家出のようなものであるのは、韓国ウオッチャーなら良くご存知だろう。

たとえるなら「オモチャを買ってくれない親(日本)は許せない。こんな家出てってやる。でも晩ごはんは食べに帰ってくるからな」といったようなものである。

そんなバカはほうっておけば良いものを、慌てふためいてオモチャを買ってやろうとする人間が日本にいるから、甘ったれた小学生が今の今まで、のさばって来たわけだ。

私は、アジア文化に根強く存在するこういった部分、甘ったれたネポティスムというか極めて腐敗したグダグダのただれた人間関係を良しとする文化が大嫌いである。

 北朝鮮による拉致問題や核問題で韓国の協力がいるから、竹島問題で配慮が必要なのだと外務省は主張しているが、日本人が自らの領土・国家を失って何が拉致問題・核問題の解決か。

拉致や核の解決のために日本の国土を外国に放棄するなど本末転倒であり、それならば韓国の協力なぞいらない。

拉致問題にしても、日本に自分の力で解決するという意志も意気地も無いから「アメリカに頼ろう、韓国に頼って解決しよう、そのために竹島を譲ってもしょうがないや」という安直な発想が出てくるのであり、だから一事が万事、拉致問題ひとつ解決できないのである。

日本が一刻も早くまっとうな諜報機関を作り、機密費で在日をオルグするとか、韓国に頼らずともやれることはいくらでもある。

韓国が窮地に陥って、いつものように恥も外聞も無く日本に救いを求めてきたときに、拉致被害者の情報など、バーター取引としてこちらが欲しいものを手に入れることだってできる。

今の外務省は近視眼的にもほどがある。何を取り何を捨てるのが国益なのかを判断する最低限の能力さえ無いようだ。

(竹島を侵略した報復として日韓通貨スワップ協定を一方的に破棄、日本の金融市場から韓国の金融機関を締め出す金融制裁の発動、さらに「韓国ウオンが近々大暴落しますよ」と世界のハゲタカさんたちにどこからともなくささやく声が聞こえ、どこかの通貨当局がエベレストのようにそびえ立つウオンショート・ドルロングのポジションを積み上げて韓国がデフォルトにおちいって大変困っていらっしゃるときにこそ”要請”はするものである)

 私は、李明博もいずれメッキがはげるだろうと思っていたが、こうも早いとは想定外だった。

8月15日という韓国にとって二番目に大きい反日イベント(一番目は3月1日)をちょうど一ヶ月後に控えたタイミングで竹島問題という反日ネタを仕込み、狂牛病デマが原因で巻き起こった韓国民の憎悪の矛先を日本にそらそうというのであろうか。

最近”ある外務省幹部”の「ノムヒョン退陣で日韓関係は必ず良くなる。李明博政権とはまともに付き合える」とか、「メドベージェフは法律家出身だから北方領土問題も期待できる」といった発言を産経新聞紙上で良く見かける。
 
この”外務省幹部”が高村外相なのか藪中次官なのかはわからないが、こういった非常にうかつな発言から、その人物が独り善がりで自分勝手な先入観に基づいて、拙速かつ誤った判断を繰り返しているように思える。

北朝鮮の口約束だけで制裁の一部解除を表明してアメリカの対北テロ国家指定解除表明を誘発してしまった件も、うかつとしか言いようがない。

「外交に向かないのは、法律家・道徳家そして狂信者である」と言われるが、独り善がりで自分勝手な先入観に基づく拙速な判断で失敗を繰り返し、間違ってもそれを修正しようとしない狂信者が外務省の舵取りをしているとしか思えない。

 最後に民主党の小沢党首が、「日本の領土だと言うのなら、日韓でやる(話し合う)べきだ。そしてちゃんと歴史的なことをお互いに検証して、いずれどっちかに決めなきゃいかんでしょう」と述べている。

参考記事 

「竹島を日本の領土だと言うなら」「どっちかに決めなきゃ」なんて他人事のようなことを言う人物に、日本の国益は守れないし、首相になる資格もない。

小沢首相誕生だったら「竹島は日本固有の領土」と教科書に明記するなんてできないでしょ。

そもそも日本側が長年にわたって韓国人に冷静な話し合いとか科学的・論理的な歴史検証を求めてきたのに、それが一向に通じないから現在のような状況になっているわけで、小沢氏の発言は「パンがなければケーキを食べれば良いじゃないの」と言っているようなものだ。

問題は、そもそも小麦(韓国人に冷静な議論や科学的・論理的な歴史検証をする文化)がないから起こっているのである。

これほど正反対の日本人と韓国人について、小沢氏は「顔かたちが似ているから考え方も似ている。韓国人はキムチを良く食べる日本人」ぐらいにしか思っていないのではないだろうか。

韓国文化というものをもっと良く勉強してもらうために小沢氏に参考資料を提示しておく。

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雑誌”諸君!”2006年4月号

韓国人「自己絶対正義」の心理構造-

櫻井よしこ

以前、呉善花さんと話していたら、「櫻井さん、あなたの話し方では絶対ダメよ」と言われました。
「とにかく相手より大きな声と尊大な態度、相手より大げさ形容詞と身振り手振りで非難しないと、韓国では論争に勝てない」と(笑)

古田博司(筑波大大学院教授)

例えば意見が対立しますね。日本側の研究者が「資料をご覧になってください」と言うと、韓国側は立ち上がって、「韓国に対する愛情はないのかーっ!」と、怒鳴る(哀)

関川夏央 (作家)
「ない!」と答えてはいけないのですか(笑)。

古田
さらに「資料を見てくれ」と言い返すと、「資料はそうだけれど」とブツブツ呟いて、再び「研究者としての良心はあるのかーっ!」と始まるのです。               

関川
歴史の実証的研究では韓国に勝ち目はないでしょう。事実よりも自分の願望というか、「かくあるべき歴史の物語」を優先させるようですから。

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やはり小沢・民主党党首の発言は「パンがないならケーキ」である。

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関連記事・韓国次期政権は期待できるか?

自民も民主もダメとなると...

  • 2008/07/11(金) 20:58:01

 洞爺湖サミットが終わった。

地球温暖化対策や原油・穀物価格の高騰対策で、強制力がなくどれほど実効性があるのかはっきりしない努力目標が掲げられたのが、微々たる成果だったろうか。

「人の嫌がることはしない」サミット議長の福田首相は、中国によるチベット人虐殺問題も取り上げなかったし、メドベージェフ大統領との日露首脳会談でも、北方領土問題の解決を真剣に迫ったとはいえない。

ロシアの警備艇に日本人漁民が射殺されても福田政権は謝罪も賠償も要求しないが、海上保安庁の巡視艇と台湾遊漁船が衝突すれば、あわてふためいて謝罪し賠償まですると表明する。

議長国権限で、北朝鮮による日本人拉致問題が首脳宣言に盛り込まれはしたが、ブッシュ政権が北へのテロ支援国家指定解除を表明してしまった今となっては「覆水盆に返らず」。

北朝鮮からの「再調査をする」という口約束だけで、福田政権は高らかに「北朝鮮制裁を一部解除する」と表明してしまい、テロ国家指定解除の”免罪符”を必死に探していたヒル・ライスの国務省コンビにつけ込むスキを与えてしまった。

参考記事 

 ところで福田政権と外務省が「今までとは違う」と確信したという、北朝鮮による拉致問題再調査はいったいぜんたい何時になったら行われるのか?

再調査が行われ拉致被害者の無条件帰国が保証された段階で、町村官房長官による制裁の一部解除表明が出たというならまだ話はわかる。

だが、再調査が行われてもいないのに福田政権が嬉々として制裁解除を表明し、アメリカの対北テロ国家指定解除表明まで後押しして、あげくの果てに「やっぱり再調査は行われませんでした。北朝鮮にだまされてしまいました。国民の皆さん、ごめんなさい」で済むと思っているのだろうか?

もしそんな子供だましの手に引っかかったのであれば、福田政権の外交スタッフの知能発達段階は3歳児レベルがいいところだ。

たいした埋め合わせにもならないが責任をとって高村外相・藪中外務次官は「自らのクビを差し出す」べきである。

 外交に向かないのは法律家・狂信者そして道徳家と言われる。

「相手の嫌がることはしない」というのは道徳家的には正しいのかもしれないが、北朝鮮による日本人拉致という外交問題に関するかぎり、もっともひどい悪に他ならない。

中国による殺人ギョーザ製造問題、東シナ海海底資源盗掘問題・韓国の竹島侵略・ロシアの北方領土不法占拠と日本人漁師射殺事件などもまったく同じだ。

 いや福田首相は道徳家でさえないのかもしれない。

福田首相(171cm)はメドベージェフ大統領(162cm)より身長が高いと言って喜んでいると報道されているが、仮にも国家指導者についての、あまりに幼稚かつ、くっだらない話題に言葉を失う。

こんな当たり前のことを書かねばならないのかとウンザリするが、人間の価値は身長の高低で決まるものではない。

たいへん残念なことだがプーチン前大統領(168cm)の方が、福田首相より国家指導者として100万倍有能だということは、その手法の道徳的善悪は別として、現在のロシアの経済発展と国際的存在感の大きさから見れば明白であろう。

日本には「ウドの大木」という言葉があることも付け加えておく。

 それでは野党・民主党が頼れるのかというとそうではないところが日本の有権者にとって悲劇中の悲劇。

日本でも有数の日教組(教職員の組合)王国として知られる大分県で、教育委員会の幹部が一件あたり数十万円から百万円を超える金品を受け取り、その見返りとして教員採用・昇進試験で手心を加えていたという、日本の教育界を震撼させる驚愕の汚職事件が発覚した。

平成19年度の大分県小学校教員採用試験では、ワイロを支払っていない一般受験者を減点して合格点をとっていた10人を不合格にする一方、大分教育委員会幹部の口利きのあった受験者の点数を水増しして15人を合格させるという、おそるべき腐敗が蔓延していた。

参考記事 

大分の教育委員会と教職員組合は長年、教職員人事などで事前協議をつづけ、教育委員会幹部に教職員組合出身者が含まれるなど、きわめて不透明な癒着構造が指摘されている。

こうした問題は大分に限らず、教育委員会と教職員組合がグルになって、カネとコネで採用・昇進が決まるという教育界の腐敗体質は日本全国に存在するのではないかと専門家は言う。

参考記事 

 民主党は、輿石東参院議員会長(元山梨県教組委員長)・佐藤泰介議員(元愛知県教組委員長・日朝友好議員連盟)・神本美恵子議員(元福岡県教組女性部長・在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の法的地位向上を推進する議員連盟)・那谷屋正義議員(元横浜市教組書記長・在日韓国人~推進する議員連盟)・水岡俊一議員(元兵庫県教組書記次長・在日韓国人~推進する議員連盟)がいることからもわかるように、教職員組合の組織票を頼りにし、教職員の利益を実現するために存在する政党といって良い。

前述のように教職員みずから民主党の政治家にもなっている。


年金問題で不祥事を連発した社会保険庁職員と今回汚職事件が発覚した教職員、この2種類の地方公務員は(全員ではないにしても)極めて腐敗した日本のガンであるが、そのどちらも民主党と一心同体で歩んできたのである。

民主党は、霞ヶ関の中央官僚を叩いて行政改革に熱心なイメージを国民に植え付けようとする一方で、叩いて弱らせた中央から地方への権限と財源の委譲を訴えている。

だがそれが実現した暁には、日本全国に地方公務員の楽園が出現し、全国の自治体で腐敗と財政破綻が続出、ワイロを支払った市民だけが、地方公務員から優遇され、われわれが都道府県民税そして市町村民税をいくら支払っても、ぜんぶ地方公務員に吸い取られて、財政破綻した夕張市のようにろくな行政サービスを受けられないといった事態になりかねない。

自民党も民主党も(もちろん社民・公明・共産も)、国民が心から信頼できる政党とは夢にも思えない。

福田政権にしろ小沢民主党にしろ、安倍政権を包囲殲滅した多数派マスコミがその誤りを認めたくないがために失政とスキャンダルをスルーして守ってやり、その”生命維持装置”によって奇跡的に生き長らえているにすぎない。

 なかには真剣に国益を考え動いている政治家もいるのだが、そういう人たちもそろそろ自民党・民主党という穢れた看板を掲げ、有権者から白眼視されていることの危うさに気づくべきだろう。

自民党ひとつとっても、安倍氏・麻生氏に代表される国益を真剣に考えている政治家が、「拉致被害者を北朝鮮に帰してやれ」と主張する加藤紘一のような、拉致犯罪の共犯者にかぎりなく等しい人物と同居するなど、まったくもって異常としか言えない。

「国益を真剣に考えている勢力と売国勢力とがはっきり分かれてしまえば、売国勢力の暴走に歯止めがかからなくなる。それはリスクが高い」という主張にも一理あるが、

逆に、現在の失政につぐ失政の原因がいったいどの勢力にあるのか、本当に国家・国民の利益を考えているのは誰なのか、一般の有権者からしてみれば極めてわかりにくく、その弊害の方がはるかに大きいと思う。

国を守る者と国を売る者の旗色を鮮明にし、純粋培養した売国勢力にあえて国民が注目する前で大失敗させてみるということも、長い目でみれば日本のためになるのではないか。

戦わなければ何も得られないし、リスクをかけずに大きなことも成し遂げられないと思う。

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竹島問題明記、悩む必要ないでしょ

  • 2008/07/07(月) 23:06:11

 文部科学省が、新しい学習指導要領の中学校社会科の解説書に「竹島は我が国固有の領土」と明記する方針をしめしたところ、韓国政府がこれを妨害する工作を日本の政・官界にしかけ、日本政府は対応に悩んでいるという。

参考記事 

 というか、日本政府が何かを悩む必要はまったく無いし、細かい解説もいらない。

新しい学習指導要領だけでなく永遠に「竹島は我が国固有の領土」と、粛々と明記し続ければ良いし、この問題においては文部科学省が全面的に正しい。

外務省は文科省に「日韓関係が悪化するからやめろ」などと言っているようだが、いつから日本国外務省は韓国外交通商部の出張所になった?

日本領土を侵略し、ケンカを売ってきた相手との関係なんかいらない。

安倍首相・麻生外相コンビが「おまえらはケンカの仕方を知らない」と言いながら、外務官僚のケツをひっぱたいて国連安保理を舞台に決議を通し北朝鮮を締め上げていった、あのころからそんなに月日は経っていないはずなのに、今の体たらくは一体なんだろう。

少なくとも30年、外務省が退化した感じだ。

 李明博政権は、左翼が扇動した大規模反政府デモで苦境に立たされ、竹島という”反日麻薬”の誘惑に勝てなくなってきたこともあるのだろう。

「李明博は左翼政権より組しやすいから(私は必ずしもそうは思わないが)、李のメンツを立ててここは日本が譲歩すべきだ」とか、もっともらしいことを言う”識者”が必ずと言って良いほど出てくるが、たとえそうであったとしても李政権が長く持ったところでたかだか5年、その次の政権が再び日本に”外交戦争”をふっかけてくる可能性は依然として高い。

しかし日本が今回譲歩をして、新しい学習指導要領に「竹島は我が国固有の領土」と明記しなければ、その事実は永久に残る。

「”日本の友人”である胡燿邦が失脚しそうだから」といって譲歩し、胡のメンツをたてるために中曽根首相が靖国参拝を控えたのだが、結局胡は失脚、中国の内政干渉を許して日本国首相が靖国参拝を控えたという事実だけが残ったという、中曽根政権の外交における大失態を思い起こさずにはいられない。

 「事なかれ」で済まそうとして、福田政権がいらぬ譲歩をした結果、事態がますます悪化して「事なかれ」からもどんどん遠ざかっているという良い例が、台湾遊漁船と海保巡視艇との接触沈没事件だ。

日本の主権を守るべく、巡視艇が当然のように公務を執行した結果にもかかわらず、”事なかれ第一”の福田政権が海保に謝罪させ、台湾に間違ったメッセージを送ってしまった。

その結果がこのザマである。

参考記事 

中国が東シナ海における日本の排他的経済水域への侵略を開始したときも、まず海洋調査船が日本の海にやってきて、その海底調査活動を日本政府が「やっかいごとを背負い込むのはまっぴら」とばかりに放置すると、いつのまにか石油・天然ガスを海底から掘り出す中国の海上基地が建設され、それに日本が抗議すると「日本が中国の言うことを聞かないなら軍艦を出して戦争する」と脅迫してくる、という順番だった。

せめて福田政権が、竹島問題を今よりもっとこじらせて将来の世代に重荷を押し付けるようなことをしないよう祈るが。

 殺人ギョーザ問題・温暖化対策問題・クラスター爆弾廃棄問題・日本人拉致問題・対北朝鮮テロ国家指定解除問題・台湾遊漁船侵入問題・北方領土置き去り問題などなど、東・西・南・北と日本を取り囲むすべての国に無意味な譲歩を繰り返し、将来の外交紛争の火種をまいてまわる福田政権。

こんどの新しい学習指導要領における竹島記述問題もそれに加わるのだろうか。

こりゃスーシーホー(四喜和)で外交的大失態のダブル役満だ。

 もっとも当の福田首相は国家指導者としての能力に決定的に欠け、誰にかけているのかは知らないが携帯電話片手に「どっちが正しいの」と聞いてまわっているそうだ。

となれば小泉・安倍両政権下で死にかかった官主導政治というゾンビが蘇る。

官僚の頂点にして、戦後長らく影の首相と呼ばれた内閣官房副長官ポストに現在ついているのは、二橋正弘氏である。

この人物は小泉政権下でも内閣官房副長官をつとめており、中国が仕掛けたハニートラップにひっかかったことが原因で起こった上海日本領事館員自殺事件を事なかれで済ますために、小泉首相の耳に入れることなくもみ消そうとしたと報道された、いわくつきの人物である。

当然のように安倍首相の時代になって、二橋氏は内閣官房副長官職を
”クビ”になるわけだが、左翼マスコミの集中砲火と自治労公務員の”自爆テロ”によって安倍政権が倒れた後、親中派の福田首相がわざわざ官邸に連れ戻したのである。

これで福田政権による、外交的大失態のダブル役満も納得だ。

福田首相が腹話術人形なら、腹話術師が二橋副長官といったところか。

1億3000万日本国民は、二橋氏の顔を良く覚えておいたほうが良いだろう。

 それにしても、対北朝鮮テロ支援国家指定解除問題で、現在の日本政府・外務省は水面下でそれを阻止すべく外交努力を行っているのだろうか。

もしアメリカが日本の国民感情に逆らってでも対北テロ支援国家指定解除をするというのであれば、バーター取引として、日本の次期戦闘機にアメリカ製のF-22ラプター戦闘機輸出を許可してくれるよう求めるべきである。

転んでもタダでは起きない、タフな外交姿勢が日本にほしいのだが。

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プロローグ・あなた自身を責めないで

  • 2008/07/04(金) 15:00:57

 あなたがまだ子供だったころ、この国の歴史をはじめて知ったとき、ショックを受けたことがありませんか?

「自分の国が”侵略国”だった」

「自分は”侵略国の悪い人間”として生まれてしまった」

この国の歴史を知って、あなたは大きく動揺し、深く傷ついた経験がないでしょうか。

 もしそうなら日本人のあなたに質問します。

「あなたは侵略戦争に賛成して、兵隊として侵略戦争に参加したことがありますか?」

「その時に外国人を殺したことがありますか?」

もしその答えが「いいえ」であるならば、過去の歴史のせいで自分自身を責めないでください。自分で自分を傷つけないでください。

人は自分がやってしまった間違い、その時に防ぐことができたかもしれない間違いについてのみ、反省したり後悔したり自責の念にかられたりすることが許されるのです。

 それでも、あなたが生まれる前のできごとについてあなたを激しく責め、あなたを傷つけ、反省を求めてくる人たちがいるかもしれません。

あなたが侵略戦争を防ぐことができたのに防がなかったのであれば、責められてもしょうがないのかもしれません。

しかし世界の誰も、自分が生まれる前のできごとが起こるのを防ぐことはできません。

だから、世界の誰もできないことをできなかったからといって、自分を責める必要はありませんし、世界の誰もそのことであなたを責める資格はないのです。

だから、過去の歴史のせいで決して自分自身を責めないでください。傷つけないでください。

 ところが不幸なことに、これまでほんとうに多くの日本人が、そうする必要も義務もないのに自分自身を責め続けてきました。

「自分の国が”侵略国”だった」「自分は”侵略国の悪い人間”として生まれてしまった」ということに驚き、動揺し、傷ついて、「なんとかしなければいけない」と必死にもがいた結果、ついに悲しい悲しい行動をとる人たちがでてしまいました。

その人たちは、自分の国の悪口を外国に大声で言いふらすことで、自分が”侵略国の悪い人間”ではない、”侵略国の悪い人間”とは無関係であることを必死になって証明しようとしたのです。

ほんとうにあったことを「あった」と言うのは当然です。

しかし、その人たちは日本の悪口をたくさん言えば言うほど、その悪口がひどいものであればあるほど自分が”侵略国の悪い人間”ではない、”侵略国の悪い人間”とは関係無い人間であることが証明されるとかたく信じこんでしまい、あったかなかったかハッキリしないことまで全部あったことにして、外国に向かって大声で日本の悪口を言い続けています。

もっとひどい場合には、無かったことをあったことにするウソをついてまで自分の国の悪口をいう人もいます。

たぶん、自分が”侵略国の悪い人間”ではない、”侵略国の悪い人間”とは関係無い人間であることを証明するには、そうするのが一番効果があると考えているのでしょう。

なぜなら一番ひどい悪口は、無かったことをあったことにするウソなのですから。

 でも良く考えてみてください。

あなたの大切な友達やお父さん・お母さん・兄弟姉妹が住む日本の悪口を外国に向かって大声で言いふらし、あなたの知らないどこかの日本人に
”侵略国の悪い人間”の罪をなすりつけて「自分だけ助かろう」とするなんて、これほど悲しい言葉の使い方はありませんし、これほどずるくて汚い生き方もありません。

そもそも、過去の歴史のせいであなた自身を責める必要は無いのです。

だから、人としてそんな悲しいこと、ずるいことは決してしないでください。

知らないどこかの日本の人に、不幸のボールをパスするようなことはやめてください。

もしそんな悲しいこと・ずるいことを言う人がいても決して耳をかたむけないでください。


 そしてもっともっと自分自身を好きになってください。

世界のどこにも完璧で絶対に失敗しない人なんていません。

自分で自分を嫌っている人を、自分で自分の悪口を言う人を、どうして他の人が好きになってくれるでしょうか?

自分を好きになることができたらそれと同じくらい、こんどはあなたの大切な友達やお父さん・お母さん・兄弟姉妹、みんなが住む街やまわりの自然を好きになってください。大切にしてください。

それと同じくらいこの日本を好きになってあげてください。

 ここまで読んできたら、あなたの心の奥に深く深く刺さっていたトゲは、すっかり消えてなくなっているはずです。

心の傷がすっかりなおったあなたは、まわりの世界がこれまで見えていたものとは、まったく違っていることに気づくのではないでしょうか。

もし、あなたのまわりに同じ心の傷をかかえている人がいたら、悲しい悲しいことを言う人がいたら、過去の歴史のことで自分自身を責めないで、自分自身を傷つけないで、と言ってあげてください。

この文章を使って、心の奥に深く深く突き刺さったトゲを抜いてあげてください。

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秋葉原の惨劇と兵隊の使い捨て(その2)

  • 2008/07/01(火) 00:27:36

前回のつづき

 それではどうしたら良いか。

まず何より国家は国民の幸福のために存在するのであり、「皆(国家)は一人(国民)のために。一人(国民)は皆(国家)のために」という良き国家・良き国民の基本に立ち帰ることである。

日本の指導者が靖国に参拝して国のために献身した者を大切にする、日本政府が北朝鮮に拉致された国民を是が非でも取り返し、奴らに罪を償わせるというのは言うまでもない。

 国民の幸福を第一に考えると、さまざまな面で日本社会はバランスが崩れすぎている。

特に国民の仕事(ワーク)と生活(ライフ)のバランスが悪すぎるのではないか。

もともと労働にその時間のほとんどを取られている結果、家族団らんや子供のしつけの中心に父親がいない。

家に沢山お金を入れて何不自由ない生活をさせてやっているのに、どうしてそれが問題なのかという父親もいるかもしれない。

だが、お金で家族同士の絆や相互理解を買うことはできない。それには時間と手間ひまをかけることが欠かせない。

家族がバラバラに生活する結果、親とさえうまくコミュニケーションがとれない孤独な子供が増える。

人間社会の最小単位は家族であり、家族関係がうまくいかなければ社会とうまくやることも難しくなる

人間は群れで生活する生き物であり、家庭や社会から孤立して一人クヨクヨ考えていてもロクなことは無い。

秋葉原無差別殺人事件の犯人のおそるべきネガティブ思考にもそれは表れている。

 さらに、社会全体における仕事量と所得の分配のバランスも悪い。

大蔵省・日銀の政策の失敗でバブル経済が崩壊して長期不況が起こるとそれまでの終身雇用が崩壊、企業はいわゆるリストラを敢行して正社員の雇用を減らす一方、数少ない人員でそれまでの仕事を回すようになった。

極端な例を出せば、片や所得はそれなりにあるが、左に過労死、右にうつ病自殺という谷の間を綱渡りしながら猛烈に働き続けるなかなか家に帰れない正社員と、会社から声がかかった時だけ働く、家族を持つのさえ厳しいほど低所得の派遣社員。

もちろん猛烈に働いても家族が持てないというパートタイマー・アルバイターも沢山いることだろう。

世代間の格差も大きく、高度経済成長期に働きざかりを迎えて資産を形成し、日本の金融資産の大半を所有する、子育ても終わってあまり消費する必要の無い高齢者に富が集中する一方、結婚・子育てなど本来消費を増やさなければならない青年層は失われた10年の影響をモロに受け、バブル崩壊以後の長期不況や雇用の減少・所得の伸び悩みの影響で状況は楽でない。

それが少子高齢化・内需の伸び悩みに影響している。

 さらに言えば、これまで日本の隣に中国という巨大なデフレの塊があり、日本一国ではデフレ不況をどうすることもできなかった。

デフレ不況で苦しむ中、日本企業の競争力を支えてきたのが他ならぬ派遣社員・パートタイマー・アルバイターなどの低賃金労働者であり、企業側もそれをじゅうじゅう承知の上で雇用してきたのに、やれ「負け組」だの「生産性やスキルが低い」だの「ちゃらんぽらんで不真面目な若者たち」だのと叩かれて「兵隊の使い捨て」にされたのでは、どんなに温和な日本人だってキレるだろう。

(私は、非正社員のなかにも自分の仕事に誇りを持っている真面目な労働者はいくらでもいると思っているし、犯罪を起こす人がいくらでもいることからもわかるように「社長だから・正社員だからみんな真面目だ」とは思わない。

彼ら非正社員労働者がいるおかげで今の物価が形成されているのであり、大げさに言えば、「フリーターはけしからん連中だ」ということで彼らすべてを正社員化して所得を上げ社会保険を負担すれば、
GSでレギュラーガソリンを入れたらリッター400円になったとか、ファーストフード店のハンバーガーが一個800円とか、ファミレスでちょっと食事をしたら一人5000円オーバーなんてことになるかもしれない)

 今の日本に求められるのは社会の最小単位である家族の立て直しであり、そのためには、まずお父さんを家庭に返すというところからはじめなければならない。

せめて夜7時の食卓を家族みんなで囲んで、子供と「今日は学校で何か楽しいことがあったか?」というような会話ができるようにしたい。

(お父さんを家庭に返せばそれで終わりではない。そこからが始まりである)

その際に参考になるのはワークシェアリングという考え方で、ぶっちゃけて言えば、たとえば求職者が3人の国があったとして、そこの雇用は正社員2人分しかなかったとする。

当然1人が確実に失業することになるが、その人は所得も無く家族も持てず、かなり高い確率で犯罪者となる可能性があり、その犯罪によって普通に働いている2人の生活と安全が脅かされかねない。

ただその国が価値観の多様化した先進国だったとすると、正社員のうちの1人が「多少所得が低くなっても良いので、自分の趣味や奥さん・子供と一緒に過ごすのに時間を使いたい」という希望を持つようになったりする。

そこでその人を週3~4日だけ働くパートタイム労働者になってもらい、失業していた人をパートタイマーとして雇用して残りの3~4日を働いてもらう。

これで求職者3人すべてに雇用と所得を与えて社会全体の利益と安全につなげようというのが、ワークシェアリングという考え方の根本にあるものだ。

ワークシェアリングで有名なオランダでは、週3~4日ぐらいしか出てこないパートタイム管理職(日本で言うと係長クラス)が存在していたり、夫婦両方がパートタイマーであっても子供1人が育てられるぐらいの所得が保証されているという。

 家族を立て直す、父親を家庭に返すというところに話を戻すと、日本人というのは他人のことが気になってしょうがない性格で自分1人が突出するのを極度に嫌うし、横並びで一斉にやらないと改革が骨抜きになりかねない。

そこで改革のラフスケッチとしては、

まず、大企業から中小企業まで横並びで、労働基準法の週40時間労働を厳守させて父親を家庭に返してやる。それについて一切の抜け道を許さず違反した企業には厳罰を与える。

それで労働力が足りなくなった場合は、正社員のサービス残業という名のタダ働きで埋めるのではなく、パートタイム労働者で補う。(正社員ならなお良い)その場合、国・自治体は税制や社会保険制度上の優遇措置を講じてインセンティブを与える。

パートタイマーであっても夫婦が共働きをすれば、子供を育て家庭を築けるぐらいの所得や社会保険制度を国や企業が保証する。

父親を家庭に返して家族を立て直し、若者層の所得を上げ購買力をつけるために、商品や各種サービスの価格上昇や、夜7時以降や土日にお店や会社が閉まってしまう等の不便(公共交通機関や飲食店など一部業種をのぞく)を理解し許容する。

若者の所得水準に下降圧力を加える外国人労働者の積極的受け入れ策は取らない。
(ますます秋葉原のような事件が起こりかねない)

日本の金融資産が高齢者に集中していることは先ほど述べたが、彼らを含めた富裕層や高額所得層それに儲かっている企業に累進的に課税して、所得は低いが、これから家庭を築き子育てをしていこうとしている若者層に厚く分配する。

低所得層ほど負担が重くなり、内需に縮小圧力を加える消費税は最低でも現状維持。
「欧州が20%前後だから日本もそれくらいにしないといけない」といった、白人猿マネ主義のようなバカな主張に惑わされてはいけない。



 以上、日本立て直しのラフスケッチを提案してみたが、国・雇用者・労働者・消費者など日本全体の理解と協力がないと実現は不可能だろう。

特に雇用者・経営者は自社の利益のみならず、天下国家のことも考えて欲しい。

自社の利益を極大化するために兵隊(労働者)を使い捨てにすれば、そのしっぺ返しは必ず自分たちに振りかかってくることは、購買力の低い非正規社員の増加で、観光旅行や自家用車など各方面の日本市場が縮小し販売不振につながっていることからも明らかではないだろうか。

もちろん秋葉原のような事件の発生も憂慮すべきことだ。

もしこれまで述べたような改革が実現すれば、物価上昇や利便性の低下などいくつか”デメリット”はあるものの、父親を家庭に返してやることで日本の家族を立て直し、若者に家族を持てるぐらいの雇用と所得そして将来への希望を与えることで秋葉原のような凄惨な事件の発生を防ぎ、正社員の父親に消費のための時間を与え、非正社員の若者にも子供のために必要な物を買えるようにしてやれば、消費が増え内需が拡大して日本経済の発展にも寄与する一方、少子化を防ぐこともできるかもしれない。

 秋葉原の事件は、日本が先進国となったことで1990年代ぐらいには制度疲労を起こして通用しなくなった、欧米に追いつけ追い越せでやってきた高度経済成長期の社会システムが未だに社会の各方面で存続し、「日本が欧米に追いついて一応は先進国となった。じゃあこれからどういう社会を理想として追求していくか、本当の豊かさとは何なのか」ということを日本社会全体が真剣に考え行動してこなかったという事実を、あらためて日本人全員に突きつけたと思う。

(繰り返すが、「だから秋葉原の犯人はゆがんだ社会の被害者だ」みたいな世迷言を言うつもりはさらさらない)

今の日本のどうしようもない行き詰まり感は、これまでの日本社会の慣行を守れなくなったからではなく、福田政権以降、本当の意味で豊かな新しい日本社会建設へ一歩を踏み出す動きが完全に無くなったことが原因ではないだろうか。

 ただ、前述した改革案のベースにあるのはやはり競争原理である。

競争原理をベースにしつつ、所得と労働が偏りすぎず競争原理がうまく働くよう少しだけ手を加えてやるというのが本意である。

「成功へのチャンスの平等」は支持するが、「結果の平等」は支持しない。

濃密に働いて高額所得者となる正社員と、家族と過ごす時間や趣味・生きがいを大切にしたいから、あえて所得が低くなってもパートタイマーを選ぶという人の共存を許す社会である。

日本人が他者との違いを認め、他人のことが気になってしょうがなく他人と同じでなければ不安でしょうがないという日本人ひとりひとりの性格・考え方を変えていく必要もあろう。

だいたい勝ち組・負け組なんて馬鹿げた考え方は、「すべての人間が同じ価値観を持っているからたった一つのモノサシで幸・不幸は比較できる」という誤った前提がなければ生まれないだろう)

そりゃ、”敗者”をつくらないように「いっせいのせ」で皆で一緒にゴールする社会の方が筆者もどれだけ楽か知れない。

しかしそれをやったら日本社会全体がダメになる。政治・経済・外交・軍事・文化・スポーツありとあらゆる分野でこの国は競争力を失い外国に食われてしまう。

共産主義の二大聖地であったロシアも中国も、「結果の平等を保証」した共産主義なぞとうの昔に捨てさって、日本よりひどい弱肉強食の社会になっている。

資本主義の問題点は恩恵の分配の不平等にあり、共産主義の問題点は不幸の平等な分配にある。

そのどちらがマシかは今さら言うまでも無い。

<了>

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 世界各地のお祭りは、五穀豊穣やコミュニティの安寧を祈願するだけでなく、たいてい若者の出会いの場となっている場合が多い。

しかし、日本の場合(特に都会で)は家族はもちろん地域コミュニティも機能せず、そうしたお見合いシステムも失われたように思える。

そこで日本各地にムダに充実している公民館や文化センターといったハコを、金曜土曜の夜あたりにナンパしたい若者とナンパされたい若者に開放したらどうだろうか。

駅前などで警察に追っ払われながら歌ったりダンスしたりしているアマチュア・アーチストにも来てもらい、自己表現の場を提供するとともに雰囲気づくりに協力してもらう。

軽い飲食ができるとなお良い。

まあ、自治体のエライ人に「不純異性交遊の温床だわ。キーッ!」と言われそうだが。

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