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大悪を避けるため小悪を許容する
- 2007/09/27(木) 22:26:45
自民党総裁選での勝利を受け、福田政権が発足した。
あわせて新しい自民党四役も発表されたが、中国女の香水臭を漂わせる人間が自民党の要職につき、それが国政へ悪影響をおよぼさないか、非常に懸念される。
これから福田首相がどういった舵取りを見せるかわからないが、これまでの彼の言動から将来を予測する限りでは、あまり希望が持てない。
総裁選では、麻生さんが大健闘を見せて希望が残ったし、己の損得勘定より、政策と国益を考えて麻生さんを選んだ、ほんとうの政治家・真の代議士が、この日本にまだまだ残っていたことは大変嬉しかった。
だが、安倍政権が倒れ、麻生さんが総裁選に勝てなかったことで、保守政権の系譜がいったん断絶し、これから日本は非常に危ない橋を渡ることになる可能性が高いことは、否定しがたい事実だと思う。
(戦後長く続いたリベラル政治の復活という意味では、改革退行・保守復活なのかもしれないが)
どうして保守政権の系譜が断絶の危機を迎えるようなことになってしまったのか。
安倍さんが、左翼メディアや野党・官界から、まるで魔女裁判のように、つるしあげを食らっていたこともある。
だが、保守を自称しながら安倍さんを背中から斬りつけるような人が決して少なくなく、保守が分裂していた影響もあったのではないか。
私は、小泉さん・安倍さん・麻生さんと政策面で100%一致するわけではないが、このお三方は、だいだい支持できる範囲内のリーダーである。
ただ麻生さんだけは、総裁選に臨む場合に自民党内の権力基盤が磐石とは言えず、勝負はゲタをはくまでわからないと思っていた。
このブログでは、理性を持って「大悪を避けるために小悪を許容する」ということの大切さを繰り返して述べてきた。
人間というのは、いつもいつも最善と最悪の二つの選択肢から将来を選べるわけではない。
将棋で言えば「王手飛車取り」をかけられた時のように、どちらの道を選択しても悪というケースも珍しくないのである。
この場合、「大悪を避けるために小悪を許容する」ということを当てはめれば、将棋では王様を取られると負けが確定するわけだから、敗北という大悪を避けるためには、王様を先に逃がしてやらなければならないし、その結果、飛車を取られてしまうという小悪を許容しなければならない。
いっぺんに王様も飛車も逃がしてやるわけにはいかないからである。
それが冷静な判断というものだ。
麻生さんが総裁選で負けてしまって売国政権が誕生するという大悪を避けるために、100%自分の思い通りにならなくとも、安倍さんを応援して保守政権が断絶しないようにするという小悪を受け入れるべきだと強く信じてきたから、このブログでは、感情的な安倍バッシングは一切やらなかったわけだ。
(もっとも、それが小悪だとは思わないが)
ところが保守の中には、感情にひきずられて視野が非常に狭くなっている人たちがいて、彼らは保守を自称しながら小泉・安倍の両氏を懸命にひきずりおろそうとしてきた。
そうした人たちの望んだ通り、安倍さんはひきずりおろされた。
その結果どうなったか?
先の将棋の例で言えば、反小泉・安倍の自称保守がやったことというのは、飛車を取られるのが悔しいからといって王様より先に飛車を逃がしたわけだ。
冷静な判断より自分の感情を優先させた結果、敵に王様を取られてゲームオーバー。
「ヘボ将棋、王より飛車を可愛がり」なんて良く言ったもんだ。
あるいは、そんなことは重々承知で、はじめから保守政権を断絶させるための工作員だったのかもしれない。
また、反小泉・安倍の自称保守というのは、反米保守とほぼ重なっているように見えるが、それとて同じ事。
反米保守の中には、「日本がアメリカにガツンとやってやることこそ、中国・北朝鮮・韓国に対する説得力を生むのだ」なんて言う人もいるが、そんなたわけた話は無いわけで、私が特定アジアの指導者だったら、アメリカの核の傘から離れた日本なんて全然怖くないから、「もっとネチネチいじめてやれ」と指示するが。
GDP世界第二位の豊かな国で、「アメリカ反対」をとなえる自由のある現在の日本が、百歩譲って反米保守の言うように「アメリカの植民地」であったとしても、もし現在の状態のまま日米同盟から離れたら、たちまち数百発の核ミサイルを持つ中国に飲み込まれかねない。
そうなったら、反米保守も含めて「中国反対」なんて言う自由は無くなる。
宗主国・中国に反対する主張をのせたブログなんかたちまちつぶされるだろう。
日米同盟を継続して民主国家としてやっていくことと、独裁国家・中国に飲み込まれてその属国になること、どっちが小悪でどっちが大悪なのかは、火を見るより明らかである。
安倍氏ひきずりおろし運動がどんな結果を招いたか、誰の目にも明らかになった今、祖国日本の行く末を心配している読者の皆さんに心からお願いしたいが、これまで反小泉・反安倍・反米をかかげていた”自称保守”、理性を持って「大悪を避けるために小悪を許容する」ことが出来ない”保守”の人たちの言うことは、もう支持しないで欲しい。
保守勢力の分断をはかりたい成りすまし保守の工作員もまぎれているかもしれない。
人間というのは、誰でも欲望というものを持っているから、同じような記事を読んでいくうちに、もっと過激なものを求めていく習性がある。
反安倍・反米の”自称保守”は、もともと感情的な傾向があるから、そういう読者の心のスキマに入っていくのがうまい。
「攘夷だ!アメリカを打ちのめせ!」「アメリカのポチ、小泉・安倍は売国奴!」といった具合に、アクセル全開で読者をあおると、読んでいる方も痛快だから、どうしても熱狂的に支持する人が出てくる。
もっともらしいアメリカ陰謀論・ユダヤ陰謀論をからめてきて、落とされてしまう人もいる。(これについては、日を改めて取り上げたい)
アクセルだけではなくて、ときにはブレーキを踏んで、「理性と冷静な判断力を失うな」と警告するのが、責任ある保守なのではないかと思うが、「アクセル全開は快感」の暗黒面に落ちてしまった側から見ると、「腰抜けの売国奴」にしか見えない。
アクセル全開で読者をあおり、安倍氏ひきずりおろしが実現したとたん、日本がガケからまっさかさまに落ちそうになっていることに気づくわけである。
そして「福田はダメだ」なんて今の今になって言い出す。
年金問題を解決するためといって民主党に投票した国民の行動を「壮大な自殺点」と言ったが、「保守政治のため」と言って安倍氏をひきずりおろそうとしてきた”自称保守”のやったことも同じことだった。
理性を持って「大悪を避けるために小悪を許容する」ということの大切さを読者の皆さんに繰り返し訴えるとともに、感情に流されて、きわめて狭い視野でしかモノが見えない”自称保守”の言うことに、耳を貸すのはもうやめて下さることを切に願っている。
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私が、参院選は国民によるオウンゴールだったと書いたら、「じゃあ、どこに入れれば良いのか? 民主党がダメだったら、入れるとこがないじゃないか」とコメントしてきた人がいた。
先の参院選で、民主党に投票してしまった多数の国民も、「大悪を避けるために小悪を許容する」ことが出来なかった典型だと思う。
古い自民党が復活したり、新しい経世会・小沢民主党政権が誕生して、日本が失われた十年をもういっぺん繰り返すことにつながるとすれば、それはあってはならない大悪であり、それと比べれば、安倍政権閣僚の政治資金収支報告書の金額があわないなんてことは小悪にすぎない。
しかし多数の国民は、小悪を許容できずに、大悪を選択してしまったように思う。
その結果、民主党が躍進して年金問題の”A級戦犯”・自治労の代表がトップ当選し、自民党の改革路線の行く末にも暗雲が垂れ込めている。
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ワシントンポスト紙などアメリカのリベラル派新聞が、テロ特措法の延長が困難になって、ようやくアメリカの国益に与えるマイナス面を悟ったのか、安倍首相を叩いていたが、
そもそも慰安婦問題で安倍首相を叩き、安倍政権の権力基盤を弱めてきたのは、あんたらワシントンポストやNYTだったことをすっかり忘れている。
リベラルというのは、国境を超えてもアホというか、アマチュアというか。
慰安婦問題で安倍政権をかばわなかったホワイトハウス・国務省なんかも、今さら慌てて、国連で日本への感謝決議を出しても遅すぎる。
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日本のピンチに便所のドア?
- 2007/09/25(火) 22:47:21
今日は突然、昔の話から。
戦前の陸軍参謀総長といえば、陸軍の作戦立案とその実施の責任者であったわけだが、太平洋戦争がまさに開始されるという時の参謀総長は、杉山元・大将だった。
よりによって日本の命運を左右するという大ピンチの時に、どうしてこの人がこんな要職についていたのだろうかと思う。
杉山参謀総長は、米領フィリピンを攻略する第14軍を指揮する本間雅晴中将、オランダ領東インド(インドネシア)を攻略する第16軍の今村均中将、英領マレーシア・シンガポールを攻略する第25軍を指揮する山下奉文中将を呼んで、太平洋戦争の作戦計画を説明した。
それは、「開戦から20日で香港攻略を完了し、フィリピンのマニラを50日、シンガポールを100日、オランダ領東インドのジャワ島を150日で占領せよ」というものだった。
ところが相手が上官だったにもかかわらず、本間雅晴第14軍司令官は「相手があることだから、50日と期限を切られても困る」と反論した。
杉山参謀総長は、これを聞いてフグのように顔をプーッとふくらませたが、何も言い返すことができなかったという。
杉山参謀総長のいる部屋から三人が出ると、今村・山下の両中将は「よくぞ言ってくれた」と本間中将の肩をたたいたそうだ。
本間中将が言うことはまったくの正論で、軍事学で”攻者三倍の原則”というものがあるが、実は本間中将が指揮する第14軍の兵力7万に対し、フィリピンを守備するアメリカ軍の兵力は、それよりも多い12万以上だった。
三倍どころか、相手より少ない兵力でマニラを50日以内に陥落させろとは、どういった根拠のもとにはじき出された作戦日数だったのか、参謀本部は敵味方の戦力分析をちゃんとやったのか、という疑問が残る。
(ジャワ攻略の第16軍3万に対し、守るオランダ軍8万、マレー攻略の第25軍とイギリス軍は双方10万で互角だった)
だが、作戦はそのまま実施された。
で、「香港を20日、マニラを50日、シンガポールを100日...」という日数は、昔のカレンダーに当てはめてみると謎がとけるぞという人がいて、
12月の10日前後に開戦するとして、20日後の元旦までに香港を、マニラは2/11の紀元節、シンガポールは3/21の春季皇霊祭、ジャワは4/29の天長節までに落とせということではないか、という説があるのだが、どちらにしろ軍事的合理性があやふやであることには変わりがない。
しかし日本の政界・官界では、本間中将のように正論を吐くマトモな人は得てして出世しないわけで、東京の大本営の命令で、フィリピン攻略中の第14軍から精鋭師団を引き抜かれ、当然のように苦戦しだすと、その責任を取らされる形で、本間中将は予備役に回され左遷されてしまう。
(大本営の命令は、口答えした本間中将への仕返しだったとの説も)
第16軍の今村司令官も、占領後のインドネシア統治ですぐれた手腕を見せるのだが、大本営から「やり方が生ぬるい」と批判され、東京から視察に来た杉山参謀総長からも注意を受けて、最終的にラバウルに飛ばされてしまう。
(今村中将は、飛ばされた先のラバウルを自給自足が可能な要塞とし、アメリカ軍はその難攻不落さゆえに避けて通っていった)
杉山参謀総長は、軍部でもあまり評判が良くない人だったようで、「グズ元」などとありがたくないあだ名をつけられていたのだが、またの名を”便所のドア”とも言った。
その心は「どちらでも、強く押した方に開く」で、ごねられ続けると結局相手の言うことを聞いてしまうところから、ついたあだ名だった。
”便所のドア”ではないがどういうわけか、少なくとも日本では、確固とした戦略・哲学・信念を持たず、周りの意見や場の空気に流されてしまうタイプの人間が、「調整能力・実務能力が高い」「無事これ名馬」とか言われて出世していく。
他人と衝突するリスクをおかしても自己表現して、強いリーダーシップで組織をグイグイ引っ張っていく人よりも、マージャンで言えば、安全パイを振り続け、一回ぐらいしか上がれなかったが、誰にも振りこまなかったおかげで2位だった、みたいな人が出世競争に生き残り、日本が大ピンチの時に限って、指導者として要職についていたりするのである。
だが自分で責任とリスクをしょって決断するという訓練を積んでこなかったことが多いせいか、ピンチの時に役立たずになってしまうか、パニックのような決断を下してしまうこともある。
これはいったい何なのだろう。
戦前のエリート養成機関である陸軍大学校は、主に参謀を養成する教育をしていた。
司令官が、遠くを見渡して広い視野でもって戦略的決断をする”望遠鏡”だとすれば、参謀は、自分の得意な専門分野を生かして司令官の判断材料を準備し、司令官を補佐するいわば”顕微鏡”だと思うのだが、陸軍大学校は”顕微鏡”を養成するカリキュラムが中心だった。
このことは当時から問題視されていて、改革の動きもあったが結局、中途半端に終わってしまった。
”顕微鏡”は何台集めても”望遠鏡”にはなり得ないにもかかわらず、参謀が暴走して”望遠鏡”になろうとした幕僚統帥にもつながり、そのことが戦前の日本を迷走させた原因の一つなのではないかと思う。
東條英機首相も、望遠鏡というよりは”偉大な顕微鏡”だったのではないか。
戦後の日本で言えば、政治家が”望遠鏡”、官僚は”顕微鏡”だと思うが、宮澤喜一元首相のやった事や事務方の官房副長官が”影の首相”なんて呼ばれたことなんかを見ると、やっぱり”顕微鏡”一辺倒の悪癖は直らなかったのではないか。
それでも珍しく望遠鏡タイプの指導者が日本にあらわれると、嫉妬心からか「出る杭は叩け」とばかりにつぶされる。
永田鉄山中将は斬殺され、小泉元首相は「独裁者」と呼ばれてさんざん叩かれたが耐えぬき、安倍前首相はメディア・スクラムに押しつぶされた。
結局、日本のリーダーは”便所のドア”の方が、御簾の後ろから政治を動かしたい元老たちにとっても、「うまく行けばやったもの勝ち。失敗したら俺知らない」で好き勝手やりたい中堅幹部にとっても都合が良い。
だから”便所のドア”が「調整能力・実務能力が高い」「無事これ名馬」とか言われて重宝され、出世していくのだろう。
欧米などに軍がネット攻撃を繰り返し、世界覇権奪取への野望を隠そうともしない中国が台頭し、核を持った北朝鮮は、韓国をまるで属国のように振りまわし、その韓国も北の尖兵となって反日を強めている。
現在の日本は、戦後最大のピンチを迎えていると痛感するのだが、23日の総裁選で、日本のリーダーとして自民党が選んだのは、福田康夫氏であった。
国難の折、福田氏が外交でも内政でもさんざん国を誤らせてきた”便所のドア”ではないことを祈るばかりだが...。
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外科手術と福田元官房長官
- 2007/09/22(土) 00:19:38
今月の中旬ごろから、イスラエルがシリアの核関連施設を”外科手術”で取り除いたのではないかというニュースが流れていたが、どうやらそれは本当だったようだ。
イスラエルの右派政党・リクードの党首で、首相もつとめたことがあるベンヤミン・ネタニヤフ氏が、イスラエル空軍機がシリアを空爆したことについて、
「私は最初からこの件に関与していたし、支持した」とうっかり発言し、政府や軍部からいっせいに非難を浴びている。
参考記事
イスラエルの外科手術は、ブッシュ政権も事前に知っていたという報道もある。
参考記事
イスラエルがシリアを空爆したとなれば、それは核兵器関連施設だった可能性が著しく高い。
大量破壊兵器関連だったとしても、弾道ミサイルや化学兵器なら、もう何年も前からシリアは保有しているはずだから「何を今さら」だし、通常兵器工場であれば、イスラエルがそんな危ない橋を渡る必要が無い。
ところで、戦後の日本では、軍人が指導者になることはまず無いが、イスラエルでは珍しくない。
うっかり口をすべらせて叩かれているネタニヤフ元首相と言えば、1976年に起こったエンテベ奇襲作戦に参加したエリート軍人だった。
アラブゲリラ・PFLPが、多数のユダヤ人が乗った旅客機をハイジャックし、アフリカのウガンダにあるエンテベ空港に着陸させた。
ウガンダは当時、ヒトラーを崇拝する反ユダヤ主義の独裁者・アミンが統治する国だったからだ。
ハイジャック犯は、逮捕されている同僚50人の釈放を求めたが、イスラエルの答えは”サンダーボルト作戦”だった。
前回話した、どこかのヘタレ国家とは正反対である。
この作戦を指揮したのが、ベンヤミン・ネタニヤフ元首相の兄、ヨナタン・ネタニヤフ中佐で、作戦中に戦死している。
ネタニヤフ元首相は単なるタカ派政治家ではなく、実戦をくぐりぬけて来た
”外科手術”の専門家だから、イスラエル軍によるシリア空爆について、何かしらのアドバイスをしていたのだろう。
イスラエルによる”外科手術”と言えば、1981年、イラクの核施設を空爆で破壊したバビロン作戦が有名だ。
この時、イラクに原子炉を売却したのはフランスで、現地でフランス人技術者が何人も働いていたのだが、空爆の犠牲者のほとんどはイラク人だった。
実は、フランスの情報機関がイスラエルによる空爆を事前に察知して、自国の技術者たちを引き揚げさせたという話がある。
そして空爆当日、イラクの核施設にいて犠牲になってしまった、たった1人のフランス人は、イスラエルの協力者だったとも。
ここでイスラエルのシリア空爆に話を戻すが、イスラエル・シリア双方とも、空爆直後から微妙に言葉を濁してきた。
空爆をやったイスラエルはもちろんのこと、シリアも核開発を認めたくないから事実をそのまま発表できないし、すぐさま報復しなければ、国民や他のアラブ諸国から「アラブの恥」と言われかねないが、今のシリア軍ではイスラエル軍にはかなわないため、板ばさみとなってしまうからだ。
だが、部外者であるはずの北朝鮮外務省は11日、「ただの領空侵犯事件」のはずだったのに、「非常に危険な挑発であり、シリアの主権に対する侵害で地域の平和と安保に脅威となる行為だ」とムキになってイスラエルを非難した。
http://www.chosunonline.com/article/20070917000001
これは、イスラエルの空爆を事前に察知できず、北朝鮮の核兵器技術者が巻き添えを食って、多数の犠牲者を出したことに対する非難だったのではないだろうか。
でなければ、北朝鮮がイスラエルをムキになって非難する理由が無い。
アメリカが六カ国協議で、北朝鮮にズルズルと譲歩しているのは、北朝鮮がイランやシリアなどテロ支援国家に、核兵器関連技術を売らないようにするためもあるのではないかと思うが、北朝鮮が、ヒズボラやハマスとつながっているシリアに核技術を売っていたとなると、アメリカの協議に臨む大前提が崩れると思うのだが、どうするつもりだろうか。
北朝鮮はシリアやイランに大量破壊兵器を売ったばかりか、多数の日本人を拉致・殺害した、まぎれもないテロ国家なのだが、自民党総裁選をあらそう麻生太郎幹事長と福田康夫元官房長官が、その北朝鮮に対する外交をめぐって、激しくやりあった。
参考記事
福田氏は、拉致被害者や家族の皆さんに、非常に冷淡だったと言われるが、麻生氏に「あなたは拉致被害者5人が帰国した際、北朝鮮との約束通り、被害者を北朝鮮に戻すべきだと主張したのではないか?」と指摘されると、気色ばんでそれを否定した。
福田氏は、麻生氏の「誇れる国」という持論に反対して「自虐史観と切り捨ててしまうことが問題ではないか」とも述べたようだが、なぜマゾヒストのような歪んだ心をいつまでも日本人が持ちつづけなければならないのだろうか?
拉致問題が一向に解決しないのも、自虐史観というマゾヒスト的思想が最大の原因であろうに。
ところで福田氏が、北朝鮮籍の男性が経営するパチンコ店から寄付金を受けていたことが発覚した。
参考記事
アメリカでもノーマン・シューという中国系の外国人から、ヒラリー・クリントンやオバマなど民主党の有力者が多額の献金を受け取っていたことが発覚し、大問題になっているが、日本でも、外国人や外国法人、また主な構成員が外国人の団体・組織の寄付を受けた場合、3年以下の禁固などが課される違法行為である。
もう時効が成立しているが、福田氏の事務所は「これから返す予定」などとぬけぬけと言っている。
朝鮮総連系団体の顧問もつとめていたという北朝鮮人から寄付金を受けていたという事実と、「対話と圧力」に反対していた田中均外務審議官に同調するなど、福田氏がこれまで北朝鮮に対してとってきた姿勢とを考え合わせると、私は福田氏に対して、祖国・日本への忠誠心を疑わざるを得ない。
そのような人物に、国の舵取りを任せることはできない。
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日韓談合外交の復活は許されない
- 2007/09/19(水) 22:28:29
前回では、韓国・中国・北朝鮮の儒教文化圏の人たちの問題行動の原因が、しつけの無さにあるのではないかということを見てきた。
それでは、そうした人たちが集まってつくられた国がどういった動きを見せるのか、日本がそれに対してどう対応してきたのか振りかえる。
さて、日韓議連代表団との接見で韓国のノムヒョンが珍しく弱音を吐いたそうである。以下ノムヒョンの発言の要旨
自分は(就任直後の訪日で)もう過去の問題には触れない、日本の戦争責任は問わないと約束したが、それが国内的に批判を受け、時間が経つにつれて容易なことではないと分かった。
自分は間違っていたと思うようになった。過去を言わないと日本の首脳たちは靖国神社に行き、過去が生き返ってくる。なかなか簡単に対応できる問題ではないと感じた。
それで政府内でも余裕が持てなくなり、世論や与党内とも対立するなど非常に難しい問題になり、思うようにいかなかった。日韓関係が一番難しかった
参考記事
本当にノムヒョンが最初から過去を問わないという方針を持っていたかは定かではないが、韓国政府が長い年月をかけた洗脳的歴史教育で、情緒・感情のおもむくままに動く反日世論という怪物を育て、ノムヒョンが告白したように、その怪物が暴走し、今や大統領でさえコントロールできないというのは事実である。
やはり韓国は、モンスターペアレントのような国なのである。
地政学的に見て、ソ連・中国・北朝鮮という敵国に囲まれた戦後の韓国が日本と決定的に対立すれば、それは亡国を意味した。
韓国民が感情のおもむくままに、政府に反日政策を要求したとしても、それが実施されれば、罰を受けるのは韓国民自身であり、罰を受ければ、結果的に韓国民がちゃんとしつけられ、韓国が少しは大人の国になるはずだったのだが、実際はそうならなかった。
それは何故か。
宮澤喜一・元首相に代表されるような戦後日本の指導者たち・”叱れない指導者たち”が、モンスターペアレントである韓国を極限まで甘やかしてきたからである。
それはノムヒョンの発言「過去を言わないと日本の首脳たちは靖国神社に行き、過去が生き返ってくる」という部分に凝縮されている。
韓国の歴代指導者が過去がらみでどんな無理難題をふっかけても、日本側が「日韓摩擦の解決のため、日本はまだまだ我慢しなければいけない」(宮澤氏の口癖)と言って、戦没者慰霊や歴史問題で無制限に譲歩し、それが「どんな無理難題をふっかけても、最後に日本が譲歩する」という間違った確信を韓国側に抱かせることとなってしまった。
ノムヒョンが告白したように、間違った確信をもとに韓国は永遠に過去を言い続けるし、だから永遠に過去の問題が解決されないのである。
韓国というモンスターペアレントがさんざんムチャしても、ここまでやってこれたのは、日本という叱れない先生がいたからである。
別に、私が韓国人を憎悪していてこう言っているのではない。
そうしたことは日韓双方にとって不幸だから、勇気を持って言うのである。
「日韓外交の甘えの構造」をもっと深く掘り下げて見てみる。
日韓外交と対照的なのが、タリバンの韓国人誘拐事件だった。
アフガニスタンでタリバンに韓国人が拉致された問題では、ノムヒョン政権の度重なる醜態は、まさに国際社会の恥さらしだった。
ここ1年ぐらいの間にソマリア・ナイジェリアなどで武装勢力による韓国人誘拐事件が何件か起きているが、そのたびに韓国は気前良く身代金を払って事件を”解決”してきた。
これによって、世界のヤミ社会では「韓国人はヘタレ」という評価が定着し、それがアフガンでの韓国人を狙い撃ちにした大量拉致事件につながったのではないかと思うが、ノムヒョンの対応は武装勢力の期待を裏切らないものだった。
人質解放の条件として、アフガンからの韓国軍撤退を要求するタリバンに対し、事件発生からたった1日後にノムヒョンは「韓国軍の年内撤退」を公約、アフガン政府に逮捕された仲間を釈放するようタリバンが要求すると、ノムヒョンはタリバンの言ったとおりにするようカルザイ・アフガン首相に圧力をかけ、アフガン政府と彼らを支援するアメリカを困惑させた。
とうとうタリバンのスポークスマンから「韓国人拉致は成功した」と勝利宣言が出る始末で、これは「拉致をまたやる」と言っているに等しい。
ドイツやカナダなど国際社会から、テロリストに安々と屈した”ヘタレ韓国”に冷ややかな視線が向けられたのは当然のことだった。
ノムヒョン政権は、日本人を誘拐したアルカイダに毅然とした態度を貫き、国際社会との連携を崩さなかった日本の小泉政権とはまさに正反対のヘタレだった。
こういうヘタレとだけは、同盟を結びたくないものである。
参考記事
韓国は、タリバン(や中国)が相手だとこうもヘタレなのに、日本に対しては何故ああも強硬で反日原理主義的なのか?
別に韓国側は、はじめから勝算があって反日をやっているわけではないし、たとえ国を滅ぼしても反日を貫徹するという覚悟とプライドがあるわけでもない。
(そんな覚悟があるなら、人質をとって韓国を脅迫したタリバンに対しても毅然と出来たはずである)
実のところ韓国は「いけるところまで反日をやって、これ以上ダメだとなったら、その時は日本に助けてもらえば良いや」と思っているのである。
日本人には全く理解不能な「甘ったれもここに極まれり」という情緒・感情論だが、彼らにとっては当然のことである。
韓国人の多くは、韓国人の祖先が移住して日本という国をつくり、天皇家の先祖も韓国人であるというヨタ話を大まじめに信じているからで、意識的あるいは無意識に「韓国が優秀な兄、日本は血のつながった出来の悪い弟」だと思っている。
だから儒教的な情緒・感情で動く韓国人からすれば、「兄が困ったら弟が助けるのは当然」であるし、「兄である韓国が日本をつくってやった」のだから、「日本のものは俺のもの」となる。
韓国が1997年に通貨危機で国家破産に直面したときも、それまでさんざん反日政策をしてきたのに、大統領自ら東京までノコノコやってきて、「ドルを貸してくれ」と言って、恥とも思わないのが韓国文化・儒教文化というものである。
日本人の私からすれば、不倶戴天の敵に助けを請うほど恥知らずなことは無いと思うが、彼らにはそんな武士道・騎士道的誇りは、もとから持ち合わせていない。
(ここからも「武士の起源は韓国」というのがウソだとわかろうというもの)
そして「のど元過ぎれば熱さ忘れる」の言葉そのまんまに、経済危機が去った後、強烈な反日政策にいそしんでいるのが現在だ。
韓国側は「いけるところまで反日をやってやれ」でここまで来たし、小泉政権登場前の日本の指導者たちは「日韓摩擦を解消するため韓国の嫌がることはしてはいけない」と言って底無しに譲歩してきた。
だから、韓国自身が大人にならないかぎり、反日が終わることは永遠に無いのである。つまり無限ループというわけだ。
ノムヒョンが正直に告白しているように、支持率が落ちた韓国の政治家の特効薬として、反日政策ほど効き目があるものは無い。
よって反日という麻薬がやめられない。
ノムヒョンは歴代大統領の中で、もっとも”反日麻薬”の誘惑に弱かった人物の一人と断言できる。
韓国が子供でいる限り、日本からずっと甘やかしてもらえるのだから、韓国民が「大人になろう」と努力するインセンティブは働かない。
かくして韓国は大人にならない。だから甘ったれた反日が終わらない。
「いけるところまで反日をやれ。どうせ最後は弟の日本が譲歩するし、もしそれがダメでも、やっぱり最後に弟が兄を見放すわけがないよ」と思っている韓国と、
「日韓摩擦を解消するため」と言いながら、それが一向に解決しなくても「韓国の嫌がることはしてはいけない」と言って韓国に底無しに譲歩して、結果的に国を売り、甘ったれの極みのような韓国の期待している通りに行動してきた日本の指導者・官僚たち。
これを名づけるなら談合外交であり、スキャンダルである。
この談合外交のおかげで苦しんできたのは、一人カヤの外におっ放り出された日本国民だけである。
それは、日本海で韓国の水上警察に銃撃され、韓国漁船に漁場を荒され続ける漁民たちであり、いわれなき罪をかぶせられ、納めた税金から韓国への賠償金を貢がされる市民である。
しつけの習慣が無い儒教文化を持ち、感情・情緒でしか動けない韓国の反日政策を本当にやめさせるにはどうすれば良いか。
もう何度も言ってきたことだが、「悪いことは悪い、ダメなものはダメ」と言って罰を与え、誰かが韓国世論をしつけることである。
ノムヒョンが告白したように、それを韓国の大統領が出来ないとすれば、日本がやるしかない。
私は国家と国家は平等だと思っているから、本来、「日本が外国をしつける」みたいなことは言いたくない。
だが、韓国の大統領自身が国民を統治できないと告白しているのであり、暴走する韓国の被害者はたいてい日本なのである。
さらに、ノムヒョンが「日韓関係は一番難しかった」とどうして吐露したのか?
それはノムヒョン政権と同時期に存在した小泉・安倍の両政権が、戦後はじめて韓国を甘やかさなかった政権だったからである。(それでもまだ甘いと思うが)
「いけるところまで反日をやれ。どうせ最後は日本が譲歩するし、これ以上ダメだとなったら、その時は日本に助けてもらえば良いや」という韓国側の甘ったれた期待がはじめて裏切られ、ノムヒョン自身どうして良いかわからなくなって戸惑っていたわけだ。
ノムヒョンの告白を見れば、日本がなすべきことはすべて書いてあるのである。
ところが、自民党の福田康夫氏は、この期におよんで「外国の嫌がることはすべきではない」「靖国神社へは参拝しない」みたいな事を言っている。
福田氏は、甘ったれのヘタレ国家・韓国をもういっぺん甘やかすというのだろうか。
彼のこれまでの言動は、日本外交の最高責任者である首相としてまったくふさわしくないと言わざるを得ない。
ここにきて福田氏は、小泉改革を絶賛しているようだが、それならば彼が、小泉外交改革の成果である靖国参拝を継続するのは義務だとさえ思うが。

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しつけの無い儒教文化
- 2007/09/18(火) 23:25:12
韓国・中国・北朝鮮の儒教文化3ヶ国は、なぜ国際社会で問題ばかり起こすのか?
その原因を突き詰めていくと、最終的には「子供をしつけるという習慣の無さ」に行きつくのではないかと思う。
前述の儒教文化3ヶ国には、儒教的な男尊女卑、長幼の序列はあっても、本当の意味でのしつけがあるのか、極めて疑問である。
むしろ、子供が動物としての本能のままに好き勝手やるのを許してやり、無制限に甘やかすことが、親の愛情なのだと勘違いしているように思える。
近世の朝鮮半島文化研究の古典とも言うべき、シャルル・ダレ著”朝鮮事情”(1874年)から引用してみる。
大人が不断の怒りを笑ってすませるから、子供達はほとんど懲罰をうけることもなく成長し、成長した後は男も女も見さかいの無いほどの怒りを絶え間無く爆発させるようになる。
彼らは怒りっぽいがそれと同程度に復讐心に満ちている。敵対する者に復讐することができるのなら自分が罰せられることなどかれらにとってはなんでもない。
一般に彼らは欲深いと同時に無駄遣いも多く金を持てばあますところ無く使ってしまう。
これは19世紀の朝鮮人を観察したフランス人宣教師の記録だが、現在の韓国人をレポートしたものと言われても、何らおかしくはない。
ところで私は、おしめが濡れるということは子供の発達の上で重要だと思っている。
おしめが濡れて気持ち悪いからこそ、赤ちゃんは本能のままに垂れ流してはいけないんだなということを、ゆっくりと学習していくんじゃないかと思うのだが、中国人の赤ちゃんの場合、お尻の部分がパックリ割れたズボンをはいているのを良く見かける。
何故ああなっているかと言えば、赤ちゃんがもよおしたら、道の真中だろうがデパート・バスの中だろうが、本能のまま垂れ流しにするためである。
(日本人で、「あれのおかげで中国の子供はトイレトレーニングを覚えるのが早いのだ」と言う人もいるらしいが、街のいたるところで一人で垂れ流すことができるようになると言う意味では正しいが、トイレ限定でやるという本来の意味とは違うのではないか)
中・韓・朝の儒教文化国の人たちのように、本当の意味でのしつけを受けず、本能のまま生きる赤ん坊が、そのまんま大人になったらどうなるか?
自分が正しかろうが悪かろうが、本能のおもむくままに要求し続け、それを受け入れてもらえなかった場合は、恨(ハン)だの何だの言いながら相手を逆恨みし、あたり構わずわめき散らすことになる。
人材が欲しければ、外国人を誘拐して連れてくる。
目の前に魅力的な異性がいれば、すぐさま飛びかかる。
列の最後に並ぶのがかったるいから、一番前に割り込みしてへっちゃら。
自分がカネもうけ出来るなら、毒入り食品をつくって売っても、外国の商品を違法コピーしても、何とも思わない。
動物としての感情・情緒のまま行動し、それが許されてしまうのが、韓国・中国などの儒教文化国であり、それが国際社会で問題を引き起こす、最大の原因なのである。
日本でも、子供を極限まで甘やかし、子供と一緒になって職員室に怒鳴り込んでくる”モンスターペアレント”が近年問題になり始めているが、中・韓・朝の儒教文化国の人たちは、ほとんどがモンスターペアレントだと思えば良いのではないだろうか。
中・韓・朝の儒教文化国の人たちの問題行動を、社会主義や「日本人が昔悪い事をしたこと」のせいにする日本人がいるが、それは間違っていると思うし、こうしたことを指摘すると「差別だ!蔑視だ!」とヒステリーを起こす日本人もいるが、事実から目をそむけても何の問題の解決にもならないと思う。
ましてや、”論語”や”孟子”を読みすぎた日本人が、「中国や韓国など儒教文化の国では庶民にまで礼儀が行き届いているんだ」などという自分勝手な妄想を抱くと痛い目を見るだろう。
つづく

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関連記事・”左翼”を解剖する(その1)
代議士としての誇りを問う!
- 2007/09/14(金) 23:30:16
安倍首相の辞任に伴う自民党総裁選が今日、告示された。
麻生太郎幹事長と福田康夫元官房長官が出馬を表明し、両者の一騎打ちとなりそうだが、津島・古賀・山崎・谷垣・二階の各派閥が支持に傾いている福田氏が有利との見方が強い。
参考記事
「年金問題を解決するため」に、国民が安倍政権にNOをつきつけて、あげくの果てに、五年間の年金未納問題で官房長官を辞任した福田康夫氏が日本の首相になるとすれば、いったい何の冗談だろうか。
戦後長らく続いてきた日本の政治システムは、国民の利益はそっちのけで、内政は政・官・財の癒着と派閥による談合政治、外交は、中国・韓国・北朝鮮が左と言えば左へフラフラ、アメリカが右と言えば右へフラフラ、という日本人の典型とも言える、みんなで決めて誰も責任を取らない、主体性のカケラも無いものであった。
それこそが戦後レジームの実態であり、それを構造改革でぶっ壊したのが小泉政権、改革を継承したのが安倍政権だった。
だが自民党内では、改革をすすめる安倍首相と、戦後レジームのおかげでこれまで甘い蜜を吸ってきた反改革派・守旧派(=反安倍派)とが、いぜんとして暗闘を続けていた。
こうした状況で、国民の多くは先の参議院選で「改革のために安倍政権にお灸を据える」といって安倍政権にNOをつきつけた。
左手で自民党内の敵と戦いながら右手で改革をしている安倍さんに、国民が罰を与えれば、安倍さんがコケるのを手ぐすね引いて待っていた守旧派が、派閥政治・談合政治の手法を使って復活するのは、当たり前のことである。
福田氏が以前からおっしゃっていたことを政策として実現させようとするのであれば、それは反改革・守旧的なものになるだろう。 そのリベラル的傾向から宮澤喜一氏とウリ二つのように私には見える。
戦後の日本をロケットに例えるならば、戦後まもなく点火された一段目のロケットエンジン”戦後レジーム”は、高度経済成長期には勢い良く燃えて、日本を高く高く打ち上げた。
だがロケットの一段目は、1980年代にはさすがに燃料が残り少なくなり、バブルという最後の輝きが終わると、ハッキリと衰えが見え始めた。
この危機的状況に、日本というロケットを操縦するリーダーが速やかにロケットの一段目を切り離して、二段目に点火すれば良かったのだが、マニュアル至上主義のリーダー、当時の宮澤喜一首相は、ロケットの一段目という前例・マニュアルにいつまでもしがみついて、それを切り離すことが出来なかった。
宮澤氏が失脚する原因となったリクルート事件は、政・官・財の癒着の象徴のような出来事だった。
当然、日本というロケットも勢いが無くなり、長期低空飛行に入る。それが”失われた十年”だった。
しかし、誰も予想しなかった操縦士が現われる。小泉純一郎その人である。
この新しい操縦士は、「古い自民党(=ロケットの一段目)をぶっ壊す」と言って、政・官・財の癒着構造と派閥政治を打破し、中・韓・朝の特定アジアとの談合外交もやめ、靖国神社に参拝した。
小泉氏は、一段目のロケットエンジン”戦後レジーム”を何の未練も無く切り離し、ロケットの二段目に点火してみせたのだ。
再び日本は勢いを取り戻し、経済はゆるやかだが、しっかりと成長し、戦後最長とも言われる好景気となった。海外の投資家も日本のマーケットに戻り、株価は2003年の7000円台を底に、07年には18000円台にまでなった。
小泉氏を引き継いだ安倍政権も、点火したばかりの二段目エンジンがもっと強く燃えるよう、官の反発を覚悟で、公務員制度改革や歳出削減に着手した。
だが、一段目のロケット”戦後レジーム”でおいしい思いをしてきた連中は、それが面白くなかった。
彼らは、ロケットの一段目を切り離そうとした小泉氏を猛烈に攻撃していたが、こんどは安倍氏に矛先を向け、とうとう日本というロケットの操縦室から追い出した。
そして愚かにも、ロケットの二段目エンジンの停止スイッチを押して、いったんは切り離した、すっかり消えかかっている一段目のロケット「戦後レジーム」にワイヤーをひっかけ、それをたぐり寄せて、再び本体に連結しようとしているのである。
もしそれが実現すれば、国民を乗せた日本というロケットは墜落するしかない。
とっくに消えかかっている一段目のロケット”戦後レジーム”にワイヤーをひっかけ、それをたぐり寄せようとしている愚か者、
それが、朝日・毎日・読売などの大手マスコミと、政・官・財の癒着構造のうち、官の労組に応援された民主党、福田氏を支持している派閥政治の濁りが恋しい自民党内の守旧派の各派閥である。
いや、今よくよく思い出してみれば、看板こそ民主党に変えているが、小沢氏や鳩山氏は、一段目のロケットが燃えていたときに、利権誘導で大活躍した経世会(田中派)の政治家だったではないか。
そして、安倍さんを操縦席から追い出すのに手を貸したのは、まぎれもなく、「改革のため安倍さんにお灸を据える」とかなんとか言いながら民主党に票を入れるという、壮大な自殺点を演じた多くの国民である。
みんながちょっとずつ我慢すれば、日本というロケットは順調に飛行を続けたはずなのに、
マスコミの「安倍のせいでみんなの年金が無くなった、ワーキングプアが生まれた」というウソにまんまと乗せられて、嫉妬(しっと)に狂った国民は「自分さえ助かれば」とばかりに、とっくに消えかかっている一段目のロケット”戦後レジーム”が恋しくてたまらない連中に、それをたぐり寄せるワイヤーを手渡してやったのである。
(年金問題は昭和30年代から始まっているし、ワーキングプアは、一段目のロケットがバブルの崩壊で消えかかり、日本が失速したから生まれたんだろうが)
みんなが乗った日本というロケットは、そのせいで墜落するかもしれないというのに。日本が墜落すれば、自分だけ助かろうとしてもムダである。
これで総裁選で麻生さんが勝てなければ、反特定アジアをかかげる保守を自称しながら、安倍氏をひきずりおろすことを願っていた人たちも同罪である。
民主党に票を入れた多くの国民も、自称保守なのに安倍氏を叩いていた連中も、「大悪を避けるためには小悪を許容する」という大人の理性を持たないから、「小悪の反対がいつも善であるとは限らない」という真理にもかかわらず、「小悪を避けるために大悪を選ぶ」ようなことをしてしまうのである。
参院選は国民による壮大な自殺点だったと思うし、安倍政権が倒れたのは、「悪貨が良貨を駆逐した」結果だと思う。
だからといって自民党が、いったん切り離した一段ロケットに未練たらたらで、それをたぐり寄せるようなことをしてはいけない。
小泉氏が切り離した時点で、もはや誰も後戻りはできないのであって、新しく点火した二段ロケットとともに、日本は上昇していくしかないのである。
自民党は、マスコミに煽動された国民の誤解を解き、「それにもかかわらず」と言って、改革の継続とその支援を訴えていかなくてはいけない。
これで自民党が二十世紀の談合政治・派閥政治に戻るなら、参院選の国民の自殺点に続いて、こんどは自民党の自殺点である。
自民党内は、空気が読めていないようだが、いまさら談合政治・派閥政治の復活なんて、国民の大部分は見たくもない。
多くの国民がそう仕向けたのが皮肉だが、もしカビの生えた談合政治・派閥政治が復活するなら、有権者から見放されるだろう。
それは自民党の自殺点である。
そもそも、国民を善導すべき代議士・政治家がそんな体たらくで良いのだろうか。良いわけが無い。
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森さんは、国民の空気が読めていないのではないか。
ところで小泉さん、ルビコン川を渡るのはいつでしょうか。
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安倍首相が退陣を表明
- 2007/09/13(木) 00:28:39
12日、安倍首相が退陣を表明した。
参考記事
一報を聞いたときは、予想外のことに驚くとともに、「国難の折、それでは無責任ではないか、ちゃんとした後継者への”引継ぎ”は済んでいるのか?」とも思ったが、
その後、与謝野官房長官が記者会見で安倍さんの健康不安についてほのめかしており、それが事実であるならば、首相の激務に耐えられないというのであればやむをえない。
参考記事
残された者で、冷静に、慌てず騒がず、立て直しをはかるしかないだろう。
以前にも言ったが、たった一度でうまくいった改革などありはしないわけで、これから何度もゆり戻しがあるだろうが、日本の真の独立を達成するためには、たぬまぬ努力を続けていかなければならない。
日本人は気が短くて淡白で、ちょっとうまく行かないとすぐあきらめてしまう傾向があるが、それではいけない。
失敗には二通りあって、最初から間違っていることをやってしまう場合と、方向性は正しいのに、うまく行かないからといって途中で止めてしまう場合である。
「年金問題の解決のため、安倍政権を支持しない」という自殺点をやらかした大部分の国民は、その後者だった。
安倍政権は、戦後レジームからの脱却の扉を開いたという点で、大きな意義のあった政権だったと思う。
それだけに、戦後の日本で甘い蜜を吸ってきた既得権層から激しい反撃を受け、厳しい戦いを強いられてきた。
最後は、既得権層のプロパガンダに誘導された多くの国民から、いわれの無い非難も受けていた。
今は安倍さんに、心から「お疲れ様でした」と言いたい。
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戦って敗れた者は再び立ち上がるが、戦わずに逃げた者はそこで終わる。
ウインストン・チャーチル
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小沢さんの国連中心主義で戦争に巻き込まれる日本
- 2007/09/10(月) 22:34:15
11月に迫ったテロ特別措置法の延長が、政局の焦点となりつつある。
参議院で過半数をしめる民主党の小沢党首は、延長拒否の姿勢を明確に打ち出した。
インド洋にいる海上自衛隊の補給艦が、アフガニスタンの治安維持にあたっている各国艦艇に給油などを行っているが、テロ特措法が延長されなければ、撤退を余儀なくされることとなる。
それを懸念する、アメリカ・ドイツ・パキスタンなど国際社会から、日本の国際協力の継続を要請する声が相次いだ。
私は「特定アジアの言ったとおりにしないと、日本が孤立する」というデマには怒りをおぼえることもしばしばだが、それこそアジアの大切な友人であるアフガニスタンの人々を見捨てて、いま国際協力の輪から逃げ出すことは、本当に日本の孤立につながりかねないことだと思う。
1979年に起こった左翼独裁国家・ソビエトの侵略のせいで、内戦状態となったアフガニスタンは破綻した国家となってしまった。(すべての人がよく覚えておくべきである)
貧困と治安の乱れがアフガニスタンをテロリストの温床にしてしまったのだった。
しかし、2002年に初の民主的な選挙が実施されカルザイ政権が誕生したのだが、イラクと同じように政権の軍事力の弱さが災いして、なかなか治安維持がままならず、タリバンの復活などあまり情勢は芳しくない。
アフガニスタンがもう一度破綻国家となって、テロリストの輸出基地となれば、「日本はトンズラすれば自分だけ安全だ」ということにはならない。
安全保障はビリヤードみたいなもので、どこかの玉が戦争というキューで弾かれれば、次々と玉突き状態になって、最後には日本という玉に跳ね返ってくるのである。
にもかかわらず、外交・安保オンチの小沢党首は、テロ特措法延長に反対しているわけだが、小沢党首をはじめ民主党など左翼勢力とその支持者たちは、アフガニスタン問題とイラク戦争がまったく区別がついていないように思える。
以下の表は、自衛隊の補給艦がインド洋で給油した艦艇の国籍と回数だが、イラク戦争開戦に猛烈に反対した、フランス・ドイツの艦艇も含まれている。(フランスは三番目に多く補給を受けている)
つまり両国とも、新生アフガニスタンを助けることとイラク戦争は別、と考えていることを表している。
カナダ 43回
フランス 83回
ドイツ 27回
ギリシア 10回
イタリア 39回
オランダ 11回
ニュージーランド 15回
パキスタン 119回
スペイン 10回
イギリス 27回
アメリカ 343回
ソース
給油活動の様子。
他の国は戦闘艦艇へ補給がなされているが、アメリカ軍とイギリス軍への補給シーンでは、自衛隊の補給艦からアメリカ・イギリスの補給艦へ給油がなされている。たぶん日本世論への配慮だろう。
自衛隊の補給艦が洋上を外国の艦艇と併走しながら給油しているが、高速で併走しながら安全確実に補給を行うにはそれなりのレベルが必要であり、どこの国の海軍でも出来るというわけではない。
日本の貢献が評価されている理由の一つである。
テロ特措法の延長に反対する勢力は「暴力で民主国家は守れない」とも言っているようだが、加藤紘一議員の自宅が焼かれ反民主的なテロにあった時、最後に何が彼を守ったのか?
犯人を逮捕した警察という暴力装置である。
警察が無ければテロが野放しになってしまう。
民主国家を守るにも暴力が必要悪だというのが真理である。
選挙によってようやく成立した新生アフガニスタンをみんなで助け、二度と破綻国家にしないよう努めるのは、国際社会のコンセンサスと言えると思う。
そのために国連安保理決議1386号にしたがってアフガニスタンに国際治安支援部隊(ISAF)が派遣されているのであり、自衛隊はそれを助けているわけだ。
アメリカ側は否定しているが、イラク戦争に参加しているアメリカ軍にも一部給油しているんじゃないかと反論する人もいる。
百万歩譲ってそれが事実だったとしても、給油活動が延長されなければ、アフガニスタンの治安のために働いている各国艦艇への給油までもが出来なくなってしまう。
自衛隊の給油活動が延長されないとすれば、日本の国益にも計り知れない打撃を与えかねない。
さらに冷静に考えてみると、民主党や小沢党首を支持する”国連中心主義者”たちが、アフガニスタンにおけるISAFの活動を助けている自衛隊の給油活動に反対していることは、彼らの主張にまるっきり矛盾していると言わざるを得ない。
先ほど言ったように、ISAFは国連安保理決議1386号にしたがってアフガニスタンで活動しているわけである。
国連中心主義を唱えるならば、国連安保理の判断と決議を尊重して、ISAFの活動を助けている自衛隊に賛成してしかるべきなのに、逆に反対するのだからワケがわからない。
日本の国連中心主義者たちは、「日米同盟があるから日本が戦争に巻き込まれる」と主張する反米主義者と重なっており、だから「国連軍が中心となるべき」と主張しているようだが、これまた矛盾に満ち満ちている。
アフガニスタンのテロリストに”海軍”は無いから、インド洋上の海上自衛隊がテロリストと交戦する可能性は限りなくゼロに近い。
ところが、国連中心主義の小沢党首が主張するように、たとえ後方支援であったとしてもISAFに協力するため陸上自衛隊を派遣すれば、アフガニスタンのテロリストと陸上自衛隊が交戦状態になる可能性が高まる。
つまり「日本が戦争に巻き込まれる」可能性が格段に高まるわけで、「日米同盟を破棄して国連中心主義にすれば、日本は戦争に巻き込まれずに済む」と主張する、国連中心主義者の度し難い矛盾と安保オンチぶりが露呈することになる。
戦争とは、戦争を熟知した者が起こすというより、戦争に無知な外交・安保オンチが起こすものだと思う。
さて、小沢党首はどうするのか?
ご自分と民主党の政権担当能力の無さを認めて前言を撤回するのか? あくまで陸上自衛隊をアフガニスタンへ送り込むのか?
国際社会のアフガニスタン支援の輪から日本を脱退させようとしている小沢党首を見ていると、左翼が大嫌いな、戦前の国際連盟からさっそうと退場して日本を孤立させた、あの松岡外相にダブって仕方が無い。
高村防衛相は、テロ特措法延長を通すためなら民主党の要求は何でも飲むみたいなことを言っているが、「言葉が命」の政治家・交渉者として最低だと思う。
交渉する前から手の内のカードを全部さらけ出してどうするおつもりなのか?
むしろ小沢・民主党の狙いどおり、テロ特措法を延長させないで、ISAFに自衛隊を派遣させたらどうだろうか。
そして「安倍政権としては絶対に受け入れられないが、参院選の結果こうなってしまった。これから起こることはすべて民主党と小沢党首に責任がある。国民の皆さんよく覚えておいてほしい」と宣言するのである。
これで給油活動撤退で国際社会から非難を受け、慌ててアフガンに派遣した自衛隊とテロリストとの間で交戦でも起これば、さすがに能天気な国民もいっぺんに目が醒めるのではないだろうか。
売文マスコミの「姫のトラ退治」だの「バンソーコー大臣」だのといった幼稚なフレーズに踊らされて、「ダメな自民党へお灸」などと言いながら、外交オンチ・安全保障オンチの左翼政党に投票するとどうなるのか、国民への良いレッスンになるだろう。
失敗の責任を自分に押し付けられないように、ちゃんと責任をとるべき人のところへ持っていくのも政治家に必須の才能だ。
この記事を書こうと思ったのは、安倍首相のこの発言からだが、何でもかんでも自分でしょいこんでしまうのは、まじめすぎる安倍さんの悪いところだし、どういう理由であれ、こういうことを軽々しく言ってはいけないと思う。

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捕虜はとらない?
- 2007/09/07(金) 23:49:04
安倍政権の「政治とカネ」をめぐる問題が、依然くすぶっている。
辞任した遠藤農水相に続き、鴨下一郎・環境相や上川陽子・少子化担当相らの問題が持ち上がっている。
もっとも政府は、鴨下氏や上川氏の問題について、「事務的なミス」としている。
参考記事
この他に、自民党の丹羽雄哉元厚相や二階派でも、似たような話が続々と出てきている。
私は、与野党にかぎらず、ほとんどの政治家がスネに傷の一つや二つはあるのではないかと思っている。ぶってぶって不倫疑惑やら賭けゴルフ疑惑も含めてだ。
しかし、こうも自民党の議員ばかりがヤリ玉にあげられるのは異常と言わざるを得ない。
この日本で一番情報を持っているのは官僚だろうが、そこから与党議員の
”傷”についての情報が続々と外部に漏れて、大手マスコミがこぞってそれを取り上げているのだろうか。
(大手マスコミも、最初からアンチ安部政権だった朝日・毎日に加え、もと共産主義者が会長をやっている某保守系新聞社グループまでアンチ安部に転換したようだ)
遠藤農水相の辞任問題も、当の農水省が平成16年の段階で不正を把握していたにもかかわらず、これを放置、官邸にも情報を上げなかった。
こうしたこともあってか、遠藤氏は身体検査をすり抜け、安倍改造内閣の農水相に就任した直後に、絶妙のタイミングでスキャンダル情報が出てくるのだから、まったく出来すぎた話だ。
参考記事
もし続発する”与党スキャンダル”の情報源が官僚からだとしたら、これはいったいどういうことだろうか?
安部改造内閣で、官僚とのパイプが太く、消費税率を積極的に上げていって財政健全化をめざしたい財務省の考えに近い、与謝野馨氏を官房長官に据えたということは、安部首相から官僚への「参りました」という”停戦要請”ではないかと私は見た。
だが、一向に収まらない与党スキャンダルさわぎは、「捕虜は取らない。安倍政権は皆殺しだ」という官僚からの返答なのだろうか?
権力闘争というのは「やるか、やられるか」だから、官僚側がそういった動きに出るのも不思議なことではない。
話がいきなり飛ぶようだが、アメリカ軍はなぜ世界最強なのか?
適切な表現ではないかもしれないが「勝てる戦いしか仕掛けない」からである。
戦いが起こる前に、敵についての情報を貪欲に収集して隅々まで分析し、敵より高い戦闘力を持つ兵隊を戦場に配置し、戦いの最前線に、弾薬はもちろんアイスクリームまで届くような万全の補給体制をしき、やれば八割がた勝利が確実なように準備してから、実際に戦いを仕掛けるのである。
日本の右派でも、戦略ではなく感情で動いてしまうヴァンガードの人たちは、「相手が自分より強いからといって、戦いから逃げるのはひきょうだ」といった考えに陥りがちだが、「能否ヲ超越シ、国運ヲ賭シテ断行スベシ」(できるかどうかなんてぶっ飛ばせ、国の命運を賭けて断固やるべし)で、国を滅ぼしてしまったのが昭和初期の軍人官僚たちである。
私は当然、「勝てる戦いしか仕掛けない」派であるし、やるなら八割がた勝てるよう万全の準備をする。
それをひきょうだとは思わない。そうしたことも実力のうちである
三国干渉を耐え忍び、日露戦争で雪辱を果たした明治の指導者たちは、本当にえらかったと思う。
さて、安倍政権が公務員制度改革に乗り出した時、やれば八割がた勝利が確実なように準備してから、戦いを仕掛けたのだと思っていたが、実際は違ったのかもしれない。
官僚の利権にメスを入れれば、当然のことながら激しい反撃が予想される。
敵を圧倒する戦力を配置し、味方の弱点を敵につかれないよう、守りもいっそう固めなくてはならないが、どうだったのだろうか。
今から言っても仕方のないことだから、これ以上の言及は避ける。
もちろん安倍さんが感情で動いていたとも思わない。
戦後レジームからの脱却という改革は、日本の真の独立のためには絶対に必要だし、これですべてが終わりではないのだから、こうした経験を財産にして、次へ向かって自信を持って前進をすれば良いだけだ。
挫折することなく、改革が一回だけで完成した例なんかないんじゃないかと思う。
上記のリンク先の記事にあるように、遠藤農水相の辞任に伴って、小林芳雄・農水事務次官も辞任した。
農水省が、遠藤農水相辞任の原因となった不正受給を把握しながら放置し、首相官邸にも報告していなかったことから厳しい批判を浴びたためと見られる。
これは一石二鳥いや三鳥の良い手かもしれない。
今後、スキャンダルで大臣・長官など”政”が辞任した省庁は、連帯責任として”官”の次官や局長もクビにすると決めれば、情報がどこから漏れているのかの、貴重なヒントにもなりそうだ。
安倍政権は、問題が起こっても内部で抱え込みがちで、国民への”ほうれんそう”(報告・連絡・相談)ができていない。
もっと積極的に国民を味方につけるべき。
ともかく、権力闘争というのは「やるか、やられるか」である。
-----------------------------------------
日朝・国交正常化交渉がひとまず終わったが、そこで出てきた、よど号事件のハイジャック犯引渡しうんぬんというのは、北朝鮮がしかけたワナじゃないだろうか。
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危うい二大政党原理主義
- 2007/09/06(木) 00:52:57
参議院選挙の直前あたりから、日本全体におかしな空気が漂いはじめている。
それは”二大政党原理主義”とでも言えば良いのか、「とにもかくにも二大政党制をつくるのが絶対正義で、今は何が何でも政権交替するのが正しい」という感情論である。
こうした空気を敏感に嗅ぎ取った野党の中には、「こんどだけはウチに投票してみませんか」といったアプローチを、有権者に向けてやっているところもあった。
だが、政権選択というのは、かかげられた理念と実施された政策によって判断されるものであって、「もう○×党は飽きたから、こんどは別のところにやらせてみるか」といった軽薄な感情論でやってはならない。
「五年間、白い車に乗って飽きたから、今度の車検前に下取りに出して、流行の赤い車に乗り換えるか」とか、「この服もう飽きたから捨ててしまって、マスコミが取り上げているブランド服を買おう」といったようなファッションの話とは全く別物である。
ちなみに、ファッション(流行)とファシズム・ファッショ(全体主義)の語源はどちらも古代ローマ時代の儀式に使う棒の束”fasces”で、この束は”団結”を意味していて、イタリアの独裁政党・ファシスト党のシンボルであった。
そこからファシズム・ファッショという言葉が生まれた。
今の日本で流れている「まず二大政党制ありき!政権交替ありき!」という流行が、画一的で原理主義的な色彩を帯びているのもその意味では当然のことだと思うし、だからこそそれを政治に持ち込むのは危険なのである。
「いや、安倍政権なんてろくでも無いことばかりで、良いことを一つもしないじゃないか」と思われる人もたくさんいることだろう。
「まず二大政党制ありき!政権交替ありき!」という流行をつくり出している主力はマスコミであるが、その報道姿勢は、まさに画一化されたファッションだった。
つまり、安倍政権と自民党のスキャンダルだけを取り上げ、野党のスキャンダルはなるべく取り上げないことで、国民が「安倍政権と自民党はろくなことしない」という印象を持つよう情報が操作され、それが「まず二大政党制ありき!政権交替ありき!」というファッションを日本社会に広めていくことになったのである。
マスコミが取り上げるものだけが国民から非難を受けるスキャンダルとなり、取り上げられないものはほとんど話題にもならないのが今の日本のファッションである。
その例ならいくつもあげられる。
参院選の争点は年金問題とされたが、民主党が年金問題の”A級戦犯”・自治労の代表を候補者に立てるという大スキャンダルは、マスコミに全くと言って良いほど取り上げられなかった。
驚いたことに、そのA級戦犯は参院選でトップ当選してしまったのだ。
政治とカネの問題にしても、民主党の小沢一郎党首の十億円不動産所有問題や、民主党の角田義一前参院議長が外国人から不正な献金を受けていた疑惑などは、ほとんど取り上げられず、松岡・赤城の両農林水産大臣の問題だけがクローズアップされた。
選挙が終わってからも、こうしたファッションは強まるばかり。
自民党の小林温参院議員が4日、選挙違反事件にからんで辞職したばかりだが、民主党・牧山ひろえ議員の選挙法違反告白さわぎや、小沢党首の政策秘書も関わっているとされている、同じ民主党の青木愛議員の選挙法違反事件についても、議員辞職どころか今はほとんど問題にされていない。
遠藤農相の倫理を問うて辞任させるならば、某週刊誌に写真つきですっぱ抜かれた、「姫のトラ退治」でおなじみ民主党・姫井由美子参院議員の不倫疑惑や、”さくらパパ”こと民主党の横峯良郎参院議員の賭けゴルフ・愛人問題も、厳しく問われ辞職もあってしかるべきだろう。
自民党のスキャンダルの時は「安倍政権に大きな痛手。衆院解散も間近か」と大騒ぎしているマスコミ各社に限って、姫井・横峯問題で「小沢民主党、政権奪取に大きな痛手」と嬉々として大騒ぎしないのはどういうわけだろうか。
マスコミが取り上げるものだけが国民から非難を受けるスキャンダルとなり、「まず二大政党制ありき!政権交替ありき!」というファッションがつくり出され、その恐るべき空気に呑まれた国民が、二大政党原理主義者として洗脳されていく。
私のブログにも、「民主党が特別左に偏ってるようには見えないのですが・・・そんなに安倍晋三はいい仕事していましたか?」「自民党が参議院で負けてよかったんじゃないでしょうか?」と言う人がやって来たが、熱病にでもやられた感じで、ほとんど対話不可能だった。
私が、年金問題の”A級戦犯”は自治労で、民主党は自治労の代表を候補者に立てていることや、安倍政権が社保庁の解体や公務員制度改革をやろうとして、公務員から反発を受けていることを口を酸っぱくして説明しても、まったく耳に入らないといった風で、
「今回の選挙は、自民党が負けて良かった、民主党はそんなに後ろ向きとは思っていない」の一点張りだった。
「政策論争を大事にすれば二大政党によって自民、民主ともに悪いところは自然と無くなっていくんじゃないでしょうか。」というコメントを残して去っていったが、やはり「二大政党制ありき」という原理主義思想ではないだろうか。
確かに、政権交替可能な二大政党制があれば良いとは思う。
しかし、与党が正しいことをしているのに、「まず二大政党制ありき!政権交替ありき!」というファッションで野党に投票するというのは間違っているし、本末転倒である。
再三述べてきたように、少なくとも年金問題や公務員制度改革で「小さな政府」をめざした安倍政権の行動は正しかった。
だが、正しいことをやっても参院選挙に負けた。
前述の方は「安倍政権は選挙に負けたからこそ、改革しか道が無くなったんだと思います」とコメントしたが、まったくの逆だ。
選挙に負け安倍政権の権力基盤が弱くなれば、反改革派が強くなり改革は後退するしかない。
そして実際にそうなりつつある。
「まず二大政党制ありき!政権交替ありき!」というファッションに流されてしまった多くの人たちが、安倍政権がやったこととか、民主党が出しているマニフェストをじっくりと比較検討して結論を出したとはとうてい思えない。
悪貨が良貨を駆逐したのである。
日本人というのは論理的思考が苦手な人も多く、情緒・感情的なまわりの空気に流されて、ドッと地すべり的に動いてしまうところがあると思う。
いつまでも日本人がそんなことではいけないわけで、マスコミの言うことがいつも正しいわけでも、公平な情報を流しているわけでも無い、TVや新聞の言うことを丸のみするのではなく、取捨選択しなければならないんだという、メディア・リテラシーを身につけなければならない。
政治に、ファッションもファッショもいらない。
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日本では「保守派・右派こそファシズムである」といった情報操作も散見されるが、メディアを総動員して画一的な情報を垂れ流すようなことはしていない。
少なくとも私は、論理的に説明できないことは主張しないし、民主主義を否定したことも無い。
ファシズム的手法を使うのは、むしろ左だと思う。
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将軍さまの心変わり?と日本外交のあり方
- 2007/09/03(月) 23:38:07
六ヶ国協議の日朝国交正常化作業部会が、今週水曜日から二日間の予定で、モンゴルで開かれる。
これを意識してか、政府首脳から「日朝間の過去の清算」に関する発言がにわかに出てきている。
先月2日に開催されたASEAN地域フォーラムで、麻生・前外相が「日朝関係を進展させるため、拉致問題とともに、北朝鮮が強い関心を有している不幸な過去の清算に積極的に取り組む」と発言し、
28日には安倍首相も「不幸な過去の清算をして日朝正常化を行っていくとの平壌宣言にのっとって交渉を進めたい」と述べたと報じられ、北朝鮮の宋日昊・国交正常化交渉担当大使が「評価する」とコメントしている。
町村・新外相も北朝鮮水害への人道支援について”前向き”な発言をしている。
参考記事
参考記事
こういった発言がどういう意図のもとになされたものかはわからない。
しかし、私は間違ったメッセージをアメリカや北朝鮮に発信してしまうことになるのではないかと懸念する。
1972年のニクソン訪中は、日本に大変なショックを与えたが、これによって日本は完全なパニックになってしまった。
あわてふためいた日本は、パニック状態のまま中国との外交交渉を行い、あれよあれよという間にアメリカを追い越して日中国交正常化を達成してしまった。(アメリカが米中国交正常化を果たすのは日本の7年後)
拙速な外交交渉のために、台湾問題に関して、日本はアメリカよりも厳しい制限を受け入れてしまったのだった。東シナ海の問題もボタンの掛け違いはここから始まった。
このような失敗の教訓から日本人は学ばなければならないと思う。
現在、核開発問題についての交渉で「進展があった」とされ、アメリカと北朝鮮の関係は好転しつつある。
だからといって日本がパニックになってはいけないわけで、ここで日本が対北朝鮮援助解禁のような姿勢を見せてしまうと、北朝鮮が誤解するだけでなく、アメリカも「テロ支援国家指定や各種制裁措置を解除しても、もう日本は反対しないのかな?」と誤解してしまいかねない。
もし水害に対する人道支援をやるにしても、いらぬ誤解を受けぬよう、あくまでもお付き合い程度にしておくべきだろう。
さて、昨年10月の核実験後、金正日が「米朝関係を正常化し韓国以上に親密な米国のパートナーになる」といった内容のメッセージをブッシュ政権に送り、そこから米朝関係が急速に動き出したわけだが、北の”将軍さま”にどういった心境の変化があったのだろうか。
それは本人にしか分からないが、私なりに推測してみる。
いつもの強硬姿勢からは想像がつかないが、北朝鮮は大きな弱点をかかえている。
日本の場合、選挙などによって平和裏に権力の委譲が行われるが、北朝鮮のような非常に原始的な政治制度を持つ国の場合、そうはいかない。
マックス・ヴェーバーが述べているように、血によって遺伝すると信じられている指導者のカリスマ性こそが、北朝鮮という国を支配する正当性を支えているのである。
「麦わら帽子から兵隊を出し、地面を縮めて数歩で数百キロを瞬間移動して、日本軍をやっつけた」という”歴史的事実”を持つ”抗日パルチザンの英雄”にして北朝鮮の”建国者”、”百戦百勝の鋼鉄の霊将”と崇拝された”元帥さま”こと、金日成の血を引いているからこそ金正日が北朝鮮を支配する正当性があるわけである。(少なくともあの国では)
どんなに優秀であってもどんなにがんばっても、カリスマの血を引いていない者は、大将か次帥どまり。元帥にはなれない。
そうした軍部の首脳たちは、例え気に食わなくとも、軍歴も無い金正日を「将軍さま」と呼んでヨイショしなくてはならないのである。
もし金日成の血統が絶えたとしたら、北朝鮮に権力の空白ができて大混乱に陥る可能性がある。
だから金正日は飛行機に乗らないし、二回目の首脳会談でも東京やソウルには来ない。
しかも、今年で65歳になった”将軍さま”に残された時間は少ない。 糖尿病や心臓病など爆弾もかかえている。
自分の血を引き継ぐ後継者である正哲・正雲の兄弟もまだ20代で、アメリカや中国の向こうをはって、独裁国家・北朝鮮を切り盛りしていく経験も能力も全然足りない。
”将軍さま”亡き後、正哲・正雲の兄弟が一人前になるまで有力な後見人をつけるにしても、暗殺の危機を何度か乗り越えた経験を持ち、「人に使われるのが大嫌い、自分が一番でなくては気が済まない」という朝鮮人のメンタリティーを一番良く知っているはずの金正日としては、「息子が幽閉・暗殺され、他人に王朝を簒奪されるのではないか」という不安がぬぐいきれない。
アメリカ軍の精密誘導兵器による暗殺を恐れ、一年の大半を地方にある豪華別荘(招待所と呼ばれる)を転々とする生活を繰り返し、別荘から別荘に移動するにも、アメリカの監視を恐れて、深夜から早朝にかけての高速移動を余儀なくされる。
しかも全国の別荘の所在地は、今や偵察衛星の発達によってバレバレである。
今年の初夏に金正日健康悪化説が流れたが、案外本当だったのかもしれない。
ここ一、二年の間に金正日は、大病と大手術を経験して自分に残された時間が少ないことを悟り、息子娘を引き連れて、アメリカ軍の目を恐れて別荘を転々とする生活に限界を感じたのかもしれない。
「自分の目の黒いうちに、米朝和解と国交正常化にこぎつけて、国際環境を整えて外交の難易度を下げてやれば、国家指導者としての経験が足りない息子に独裁権力が委譲されても、何とかやっていけるだろう。後は下克上さえ気をつければ」、そんな”親心”が、最近の米朝接近の理由なのではないだろうか。
まあ、本当のところは”将軍さま”しか知らないのだけれども、やはり近年のアメリカや日本の強硬姿勢が北朝鮮を交渉のテーブルにつかせることになったのではないかと思う。
日本としては、こうした北朝鮮の弱点も頭に入れて、ど~んと構えた外交をすれば良いのであって、うろたえたりパニックになる必要は全く無い。
北朝鮮が、日本国民の対北朝鮮感情を気にしていることもある。
ピョンヤンに上納金をおさめる在日系企業や朝鮮総連の活動にとって、日本世論の動向というのは大きな影響を及ぼす。
だからこそ、金正日は拉致事件の存在を認めて謝罪したのだが、北朝鮮側は蓮池さん夫妻や曽我さんの帰国に条件をつけ、蓮池さんや曽我さんのお子さんの帰国を小出しにしたために、日本の世論はかえって反発し、北の外交戦術は大失敗に終わった。
横田めぐみさんのニセ遺骨を出したことが、その大失敗の上塗りとなった。
北の最高指導者が謝罪したのだから、すっきりと全員の帰国を無条件で認めれば良かったのに、ぐだぐだと中途半端に外交カード化したものだから、日本国民の目には「極めて不誠実」と映ったわけだ。
将軍さまは気づいてないかもしれないが、韓国・ノムヒョン政権が正義のヒーロー気取りで、慰安婦や竹島・日本海呼称問題で「日本人よ土下座しろ」と声高に叫び続けているが、これも結局、日本人に朝鮮・韓国嫌いを劇的に増やしただけで、拉致問題交渉に臨んだ北朝鮮の足を引っ張っているだけだった。
いまだに帰れない日本人拉致被害者の方々は、たぶん金正日の子供たちの日本語教師なんかを務め、朝鮮労働党の”塀の中”を知りすぎてしまった人たちだと思う。
こういった人たちがどうやったら日本に帰れるのか、知恵を絞るべきだし、日本も拉致問題の進展の具体例を明示して、その中にこれを加えるべき。
決して「北が再調査に着手すると約束したこと」は拉致問題の進展ではない。
再度くりかえすが、日本があわてたりパニックになる必要は無い。
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このエントリーが書き終わりそうになったとき、こんなニュースが飛びこんできた。北のディスインフォメーションなのか、米朝密約をばらしちゃったのかは知らないが。
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