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米中が宇宙空間で軍事衝突! ほか グローバルインテリジェンス

  • 2006/09/28(木) 00:27:38

◆米中が宇宙空間で軍事衝突! 

 中国軍が地球をまわるアメリカの軍事衛星に、レーザー光線で攻撃をしかけたという。アメリカの軍事専門紙ディフェンス・ニュースが伝えた。

それによると、光学カメラ偵察衛星”キーホール”やレーダー偵察衛星”ラクロス”の目つぶしを狙って、中国軍がレーザー光線を発射したらしい。

なお、被害がどの程度かは不明。

 国家の領空というのは、大気圏内までとされているはずで、いくら中国の上空を通過したからといって、宇宙空間にあるアメリカの偵察衛星をレーザー光線で攻撃するというのは、中国側に問題があるのではないだろうか。

何年か前に、南シナ海を飛行するアメリカの電子偵察機が、それを追っ払おうとして中国から飛んできた戦闘機と空中衝突したことがあったが、あれもアメリカの主張どおり、公海上を飛んでいる限りはアメリカの偵察機に問題はないはず。

何で中国人はこのようなことでヒステリー状態になるのかまったく不可解だ。

ましてや中国軍こそ、沖縄近海に電子偵察機を飛ばしているのだから、例によって例のごとくダブル・スタンダード。

こういうアンフェアーなことを平気でやる国が、世界で力を持つとどんなことになるか、考えるだけでもゾッとする。

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◆北野駐米公使がアメリカの左派学者に反論 (27日づけ産経朝刊3面)

 8月17日づけワシントンポスト紙に掲載されたリベラル系学者ジョン・アイケンベリー教授の論文”日本の歴史問題”に対し、北野充駐米公使の反論が今月22日づけのインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙に掲載されたという。

アイケンベリー論文は「軍国主義の過去を解消できないために、中国・韓国の抗議を引き起こし、日本は国際的に孤立した」 「アメリカの同盟相手として日本はふさわしくなく、日米同盟の将来も再考すべき」という内容。

これに対し北野公使は「もし一方が満足でなければ他方が悪いとする、つまり中・韓が苦情を言うかぎり日本が悪いに決まっているというのは誤った考え」「歴代首相は数え切れないほど謝罪してきたし、小泉首相も靖国参拝のたびに過去の正当化を否定し、不戦を誓っている」 「日本は民主主義と人権の擁護に揺らぎがない」 「日米同盟は過去数十年にわたってアジアの平和と繁栄に寄与してきた。日本の隣国の気分を害さないために日米同盟を再考するというのは馬鹿げている」と反論した。

 北野公使の反論は全くの正論。いつもいつも北野公使は非常に良い仕事をしている。  国益を最優先する外交官の存在は、国民の一人として非常に頼もしく思う。

最近アメリカで、韓国あるいは中国ロビーとアメリカ国内のリベラル勢力が結託して反日活動を活発化させてきている。

韓国のネタである慰安婦問題で、特に怪しい動きが強まっている。

安倍首相も麻生外相も、新政権が発足したばかりでバタバタしていて大変な時だとは思うが、こういう不安定な権力の過渡期を狙って敵も活動を活発化させてくるわけで、注意を怠らず着実に対抗策を打ち出して欲しい。

関連記事・韓国の謀略と慰安婦問題

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◆胡錦涛指導部の攻勢に上海閥が大打撃 

 中国共産党は25日、上海の社会保険基金の不正流用に関与したとして、上海市のトップである陳良宇書記を解任したと発表した。また、同事件にからんで黄菊副首相の家族も軟禁状態にあるという。

中国共産党の指導者なんて多かれ少なかれ汚職に手を染めているだろうから、これは政敵打倒の手段と見たほうが良いだろう。

今回の事件で上海閥が大打撃をこうむったのは間違いなく、胡主席と共青団グループが権力闘争で大きくリードしたということか。 さて六中総会がどうなるか。

賈慶林氏あたりも首すじがスースーしているかもしれない。

関連記事・中国の権力闘争と対日外交の変化


◆中国が泣きをいれる 

 中国外交部の秦剛・報道官は26日の定例記者会見で「日中関係改善のために中国は並々ならぬ努力をしており、日本に理解してもらいたい」と述べた。

確かに、反日原理主義者の江沢民ひきいる上海閥をつぶすのに並々ならぬ努力をしている。

だが、いまごろそんな”泣き”を入れてくるぐらいなら、最初から歴史教育などの内政干渉や靖国問題という名の宗教戦争を日本に仕掛けるなっての。

>「日中関係がどんな方向に向かって進んでいけば良いかと聞かれれば、『歴史を鑑(かがみ)として、未来に向かう』という精神と(日中共同声明、日中平和友好条約、日中共同宣言の)3つの政治文書に依拠すべきだと考えている」

相互内政干渉を禁じた、日中共同声明・日中平和友好条約・日中共同宣言の3つの政治文書の約束を中国が踏みにじったのが、最近の日中外交摩擦の原因。

靖国・歴史教育などの内政干渉権を中国が要求する限り、日中関係の正常化はムリ。 もうキッパリあきらめよ


◆ノムヒョン「衛星打ち上げで地球征服した気分」

さすがクレージーな帝国主義者。

>「世界何位、数カ国のうちのひとつ、と考えただけで感激だが、植民地から解放された国では唯一。」

これは妄想。 偵察衛星は中国・台湾・インドがすでに保有。通信衛星ならもっと。

ノムヒョンの大統領執務室には、デッカイ地球儀があって、「ウリナラは世界四強国家。いずれは世界征服するニダ」とか言って不気味な笑みを毎晩浮かべているんじゃないか。

関連記事・韓国は帝国主義国家である

関連記事・盧武鉉のクレージーな歴史認識


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去りゆく小泉政権に思う

  • 2006/09/27(水) 00:47:58

 自民党の安倍新総裁が、昨日の首相指名選挙で賛成多数により第90代首相に選出され、安倍内閣が発足した。

私が気になる外務大臣ポストは、”ケンカの仕方を知る男”こと麻生太郎氏が留任した。 新首相をはじめ安倍内閣の皆さんには、あらためて日本の舵取りをしっかりとお願いしたい。

安倍政権についてはこれから書くこともあろうから、今日は、去りゆく小泉政権について思うところを述べたい。

 2001年に小泉政権が発足した当初は、正直ここまで長期政権になるとは思わなかったし、ここまで日本が変わるとも思わなかった。

これまでの日本は、政策よりも派閥の論理で内閣の人事が決められがちで、そうした政治家の政策の弱さを官僚に頼ることで補おうとし、そこに官僚がつけこんで民主主義のルール違反すれすれで、超然主義的に日本の政策が決められ実行され、そのシステムを利権目当ての財界がバックアップするという、いわゆる政・官・財の癒着システムが支配してきた。

官僚は首相経験者も含めて政界に多くの人材を送り込んできたから、官・官・財の癒着システムだったといっても過言ではないかもしれない。

このシステムは戦後日本の高度成長期にはそれなりに機能したと言えるが、80年代にもなれば、制度疲労のヒビがそこかしこに入っているのは誰の目にも明らかだった。

そして92年、官僚出身首相率いる宮澤政権下で、リクルート事件の汚職スキャンダルの記憶も新しいまま佐川急便事件が起こり、政・官・財の癒着システムがどうしようもないぐらいに限界を迎えていた。

 これに対して、政治に関心がないとさんざん言われていた国民もちゃんと
”お灸を据えた”。 翌93年の総選挙で細川連立政権が誕生し、「永遠の与党」と思われていた自民党は敗北を喫し下野した。

ただ細川連立政権は、思想信条がバラバラの雑多な寄せ集め集団で、小沢氏ひきいる新生党と社会党などが反目し、当然のことながら自民党を割って出た新生党有力者を除いて、政権担当能力もまったく未熟だった。

94年6月に羽田内閣が総辞職すると、小沢氏の手法に反発する社会・さきがけ両党は自民党に連立相手をくら替えし、自・社・さきがけによる村山連立政権が誕生する。

これによって国民に”お灸を据えられた”はずの自民党は、反省も国民の信頼を回復する努力もなく政権に返り咲いた。

国民によって与えられた日本の構造改革のチャンスは、首相ポストに目がくらんだ社会党の裏切りによって失われ、自民党の族議員は息を吹き返した。

このあたりから日本は”失われた十年”に突入したのではないかと私は思っている。


内政では、14兆円規模の財政出動による景気回復策の失敗に不良債権処理の先延ばし、外交では日本の土下座外交を決定づけたともいえる村山談話発表に、イタリアサミットで体調を崩した村山首相が不用意にも「オリーブオイルに当たった」と発言し、イタリアのオリーブ農家から「オリーブオイルはイタリアが世界に誇る健康食品だ!」と大ブーイングを浴びるという失態のおまけまでついた。

この政権のやることなすこと全てが悪かったとは言わないが、社会党は戦後日本憲政史に残る、最低最悪の政治屋集団だったと思っている。

96年に橋本政権が誕生し、用済みになった村山氏と社会党は予定通りポイ捨てにされ、まさに間抜けなピエロだった。

 この後、橋本・小渕・森の各政権でも改革が叫ばれ、このとき手をつけられたものはその後の小泉構造改革へとつながっていくのだが、このころの短命政権は、自民党の古いしがらみを引きずっていたために内政・外交政策の諸改革が不充分で、特に土下座外交についてはほとんど手付かずのままだった。

 そしていよいよ小泉政権の登場となるわけだが、人事や首相個人の発言でのいわゆる”サプライズ”や、争点をひとつに絞ってそれに反対する”抵抗勢力”を明確にする、ワンフレーズ・ポリティックス&劇場型政治で、国民に複雑な政治をわかりやすくし、なおかつ興味を持たせた功績は大きい。

そのことによって、三位一体の改革という政・官・財の癒着システム打破をしやすくしたことに、小泉氏の政治手法の特徴があった。

ワンフレーズ・ポリティックスについては、ヒトラーの再来と批判されたりもしたが、チャーチルも「演説に、欲張っていくつもの論点を入れても聴衆は理解できない。しかし、ひとつの論点を様々な角度からこれでもかこれでもかと論じるのはやってよい」と言っているとおり、演説の基本と言えるものだ。

つい論点を欲張って記事を書いてしまう私には耳が痛い。

ともかく小泉氏に特徴的な政治手法によって、郵政事業や道路関係四公団の民営化・特殊法人改革が前進することになる。

外交においても、首相による靖国参拝を復活させることで中国・韓国など特定アジアに対する土下座外交打破の第一歩を踏み出し、ピョンヤンへ乗り込んで拉致被害者を一部取り返した。そして日米同盟関係をかつてないほどに強固なものとしたのである。

好調な世界経済の追い風にも乗り、マイナス成長から日本経済を引き上げ、マーケットの信頼も得て株価も上昇した。

 もちろん、小泉政権はすべてがバラ色だったわけではない。

 小泉前首相自身、「政策に弱いのではないか」「これでは丸投げではないか」などと指摘されたし、”サプライズ人事”で田中真紀子氏を外相に据えたことによって、外交面で少なからぬ悪影響を残した。

2004年のサッカー・アジアカップ中国大会の時の反日暴動もそうだったのだが、昨年中国全土で発生した大暴動のときは、動揺が外交にもあらわれて腰が定まらずフラフラしていた。

そのときは、当ブログでも「小泉政権はもう限界」とさえ言ったこともあった。

しかし政権の終盤にかけて、小泉氏の権力基盤が磐石のものとなったことで、外交も内政もブレが無くなりしっかりしたように思う。

 まだまだ改革が不十分なところ、小泉政権が積み残してしまったところもある。過ちもあったかもしれない。

いったん動き出した物体は慣性の法則が働くので、同じ方向に動くかぎりたいした力はいらない。 だが動いている物体の方向転換をする場合、最初に一番力が必要になる。

小泉政権は、日本という図体のデカイ国を方向転換するために必要とされる、大きな力を最初に与えたという意味で、非常に大きな意義があった。

もちろん、方向転換した日本の新しい針路は「普通のことが普通にできる国」だ。


口で言うのはやさしいが、日本が普通の国になるのを望まない中国・韓国や、政・官・財の癒着システムの甘い蜜が恋しい国内勢力といった強い慣性の法則のパワーを打ち破るほどの強いパワーを発揮した小泉前首相の実行力とそれにともなう苦労・心労は並大抵のものではなかったと思う。

 まことに僭越ながら私が小泉政権に点数をつけることが許されるならば、75~80点はあげたい。

私は特定の政治家を100%絶賛することはしないが、逆に完璧でなければ全く評価しない、自分の望む政策を100%実施してくれなければ売国奴といった狭い見方にも陥りたくない。

政治家が実行した政策を是々非々で評価するのが成熟した大人というものではないだろうか。

「継続は力なり」で小泉前首相が開始した改革を次の政権が継続しなければ意味がなくなるので、安倍政権にはしっかりとやってほしいと思う。

というわけで、国民のひとりとしてクロフネは、小泉純一郎氏に心からの「ありがとう」を言いたい。

そして、ひとまずゆっくりと心身を休めて5年間に蓄積した疲労を癒したあとに、再びご活躍されることを願っている。


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韓国の謀略と慰安婦問題

  • 2006/09/25(月) 23:55:57

 週刊新潮の9月28日号に、韓国のスパイ組織・国家情報院が、安倍新総裁にまつわるスキャンダルがないか、あちこちをかぎまわっているという記事が載っていた。

それが事実であるならば、スキャンダルをネタに韓国は日本の新首相へのゆすりたかりをやろうというわけで、日本への強い憎しみを抱いているノムヒョンのやりそうなことである。

この記事を読んで、日本の政権交代を機に韓国が新しい工作を仕掛けてきているのかなと思ったが、そこで今までのモヤモヤがすっきりと晴れたような気がした。

それは、最近になって唐突に再燃してきた慰安婦問題である。

 最近まで、いわゆる慰安婦問題というのは、少なくとも韓国以外ではほとんど話題になっていないし、関連した大きなイベントがあるわけでもなかった。

ところが、9月13日にアメリカ議会下院の国際関係委員会で、日本の従軍慰安婦動員関連決議が採択されたのは皆さんもご存知だろう。

決議案の大まかな内容は、慰安婦は日本政府によって組織的に強制連行されたものとし、その”事実”を若者に教育すべきであるというものだ。

先ごろ訪米したノムヒョンは、ブッシュ大統領にこの”慰安婦決議”の採択に感謝の意を表明し、日本の歴史歪曲について、米韓で共闘するよう訴えかけた。

引用記事 

アメリカ議会下院の国際関係委員会における日本への評価は決して厳しいものばかりではなく、首脳同士の信頼や強固な同盟関係によって過去最高ともいえる状態となった良好な日米関係を反映して、日本に対して高い評価を示す議員も少なくない。

だが、かなり唐突に”慰安婦決議”が韓国の主張そのままに採択されたことについては憂慮すべきだし、油断してはいけないと思う。

米下院の国際関係委員会の委員長であるヘンリー・ハイド議員は、TBSのおかげですっかり有名になったが、ハイド氏の補佐官にデニス・ハルピンという人物がいるのはあまり知られていない。

彼は、韓国に20年の滞在歴を持つ、日本で言えば”コリア・スクール”のアメリカ外交官だった。彼の夫人も韓国人で、夫人や韓国人の友人を通して、韓国政府による反日洗脳教育の強い影響を受けていると思われる。

ハルピン氏は昨年、「日本は過去の歴史をきちんと謝罪しない限り、安保理常任理事国になることができない」 「アメリカは日本との同盟関係を英国並に(強化)することはできない」「靖国に設置された戦犯の位牌を撤去せよ」と発言した。

「靖国神社に位牌がある」というのは、神道と儒教・仏教の区別ができない韓国人に特有の誤りである。 その他の発言もそうだが、この部分に私は韓国のカゲを強く感じる。

http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=63706&servcode=200§code=200

 さらに民主党のエバンス議員らが中心となって、慰安婦問題に関する対日非難決議を来月までに米下院本会議で採択するべく動き出したという。

これにはアメリカの韓国人系反日団体慰安婦問題ワシントン連合が協力しているという。

引用記事 

アメリカにおける韓国の反日運動に呼応するように、ノムヒョンの支持母体であるウリ党も韓国内で慰安婦問題をもう一度もりあげようと動きだしている。
まもなく何かニュースが出てくるだろう。

 ところで前述の”慰安婦問題ワシントン連合”は中国にも人脈があると言われている。(この団体はNHKや朝日を巻き込んだ例の戦犯法廷ともからんでいる) 

中国の胡錦涛政権は現在、社会の安定のため反日暴動を極力押さえる方針だと見られ、8月15日の小泉首相の靖国参拝直後も、反日暴動を完全に封じ込めた。

しかし最近になって、中国国内でも反日運動が再燃しつつある。

今月19日には、瀋陽や成都で反日デモがあったし、最近話題になっている日本に関係する食品・化粧品の有害指定によって、中国市民がP&Gの中国支店に殺到するという事件が発生している。

まもなくノムヒョンは中国を訪問するが、そこで日本の歴史問題における中韓協力が話し合われるという観測も出ている。おそらくブッシュ大統領に働きかけたのと同様のことを言うつもりだろう。

引用記事 

引用記事 

引用記事 

このような動きは、胡指導部の対日政策とは逆行しているように感じられ、何か別の力が働いて、日中が衝突するよう火種をまいているように思えてならない。

 こうした一連のニュースがバラバラに私の頭にひっかかっていたのだが、韓国のスパイ機関が安倍新総裁のスキャンダルをかぎまわっているという記事を読んで、点と点がつながったような気がしたのである。

私は確たる証拠もないのに、ある国あるいは、ある民族・ある秘密結社が世界を動かしていて、世界で起こる事件は彼らの謀略の結果であり、すべての事件はそれで説明できるのだという、○×陰謀論を支持しないけれども、個々の独立国家が、外国を陥れるために工作をすることはあると思っている。

 前述の一連の事件について、それらがすべて韓国政府によって起こされたという証拠はない。

だが、それら事件の発生によって最も利益を得るのは誰かということを考えると、最後に韓国のノムヒョン政権というところに行き当たるとは思わないだろうか。

これまで見てきたように、部分部分では明らかに韓国は動いている。

 ノムヒョン政権は、ここ数年の夜郎自大外交によって、まったく孤立してしまっている。

日本との関係は、中国とは違って靖国・慰安婦など歴史問題で一切譲歩しないという反日原理主義をかかげたことから暗礁に乗り上げたままだし、中国とは、陸上では東北工程・白頭山がらみの国境紛争、海上では、韓国が”離於島”と呼ぶ東シナ海に存在する暗礁をめぐって、経済水域紛争をかかえてギクシャクしている。

アメリカとも、ノムヒョンの”バランサー理論”に基づく”自主国防”によって、対北朝鮮政策の大きな相違や在韓米軍再編問題をめぐる意見の食い違いで、スキマ風が吹いている。

ここで日本を陥れることができれば、韓国はこの苦境から脱出することができるかもしれない、と考えても不思議ではない。

つまり、良好な日米関係のせいでアメリカにおいて鎮火しつつある慰安婦問題をもう一度もりあげて日米関係を炎上させ、中国人の反日感情を煽って日本と中国を戦わせれば、中国は韓国を味方に引き入れるために中韓間の領土・領海紛争で譲歩するかもしれないし、何よりも憎くてしょうがない日本を孤立させることができる、と考えても不思議ではないだろう。

これは以前にも言ったことだが、昨年発生した中国全土での反日大暴動も、日中間で大きな外交摩擦もなく、さしたる前触れもなく突然大規模に起こった。

しかし中国で反日大暴動が起こった前の月に、ノムヒョンが日本に対し「外交戦争」を宣言していた。

ここでも韓国とノムヒョンの影がちらつくのである。

 もし本当に韓国のノムヒョンが、日本に対して「未来志向を」と言いながら陰でコソコソ動いて、日本の破滅を願って墓穴を掘っているのであれば、韓国をその穴に突き落としてやるべきだと思う。 

日中外交紛争と反日暴動の発生というのは、社会の安定を第一に考える中国にとって明らかに脅威だ。この点においては、日中の利害が一致するし、アメリカとて本格的な日中衝突を望んでいない。

だから、日本と中国が”一時休戦”をしてアメリカにも協力を仰いで、日米中の情報機関同士が協力をして韓国が何をやっているのか探ったらどうだろうか。

 それで本当に韓国が日本の破滅を願って墓穴を掘るべく動いていたのなら、日本が軍事力を使う必要はまったくない。

今はやりの表現をつかうなら、日・米・中は”賢者だけがわかる方法”を使って、半島南部を李朝時代の生活水準まで戻してやるべきである。

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関連記事・韓国と、どうつきあっていくべきか?(その5)

関連記事・◆中国が対日経済報復か?

韓国が日本攻撃能力を持つ巡航ミサイルを開発 ほか グローバルインテリジェンス

  • 2006/09/22(金) 23:14:17

◆韓国が日本攻撃能力を持つ巡航ミサイルを開発 

 以前お伝えした韓国の巡航ミサイルだが、開発は成功したようだ。

射程は500kmで”天竜”と名づけられ、韓国が新たに配備する予定の潜水艦に搭載されるとのこと。

これで韓国の領海内から発射しても、九州から大阪あたりまでを含む西日本一帯が韓国の巡航ミサイルの射程内に入ることになる。

韓国では、この巡航ミサイルが対北朝鮮用であるかのように報道されているが、韓国軍当局がこの巡航ミサイルの射程を、北朝鮮の領土を二倍以上飛び越えてしまう1000kmまで延ばすことを表明していることから、この巡航ミサイルの仮想敵に日本が含まれているのは明白である。

また、射程500kmのままでも、日本海に潜伏した潜水艦から発射されれば東京を狙うことも可能になる。

これによって韓国は強力な敵地攻撃能力を持つことになるが、テポドン騒ぎの時に日本で敵地攻撃能力を持つべきかどうかが議論になった。

韓国は「日本は軍国主義の本性を表した!」と狂ったようにわめきちらしたが、例によって韓国自身が”軍国主義の本性”である敵地攻撃能力を持つことについては一切スルーである。

朝日新聞や民主党など、日本が敵地攻撃能力を持つことに反対した勢力が、韓国が巡航ミサイルを放棄して敵地攻撃能力を持たないよう批判するのは義務でさえあると思うが、どうするつもりか。

 私が以前から再三懸念を表明していたように、中国・韓国・ロシア・台湾と巡航ミサイルを保有する国に日本はぐるりと取り囲まれ、北朝鮮も射程1000kmの弾道ミサイル・ノドンを保有し、日本に脅威を与えている。

何度も繰り返しているとおり、東アジアにおいて、巡航ミサイルはもはや特別な兵器でもなんでもないのであって、失われた軍事バランスを回復するために、日本も一刻も早く巡航ミサイルを開発し配備すべきである。

敵に打ち込まれてから開発に乗り出しても遅すぎる。

日本国内でそれに反対する人間の話は、彼らが中・韓・露などを説得して巡航ミサイルの配備を中止させることができたら聞いてやる。

 理由は言わなくてもわかると思うが、日本政府・公安当局者は、首相官邸や防衛庁庁舎・基地など戦略目標を写真撮影している不審な人物がいたら、すぐさま取り調べること。

関連記事・韓国が敵地攻撃能力の獲得に躍起

関連記事・再度、独立独歩の精神を要求する!



◆中国が対日経済報復か? 

 日本政府が農作物の残留農薬規制いわゆる”ポジティブリスト”を制定したことによって、基準以上の残留農薬が含まれている中国産の農作物の日本への輸入ができなくなった。

それからしばらくたって、どういうわけか日本に関係する食品や化粧品が中国当局によって次々と「有害物質が含まれていて危険」と認定され始めた。

日本から輸入された魚介類や食用油・みそ・化粧品などが続々と”有害指定”され、販売中止を命じられている。

なかには、アメリカ企業P&G傘下の日本法人・マックスファクターの化粧品や、中国企業が製造した寿司まで、手当たりしだいに中国当局から有害指定されている。

まさに「日本憎けりゃ袈裟まで憎い」といった感じだが、台湾当局の検査では、マックスファクターの化粧品から基準以上の有害物質は検出されなかったという。

 このニュースどこかで聞いたなと思ったら、韓国で起こった寄生虫入りキムチ事件と経過が途中まで同じである。

昨年10月、韓国で中国産キムチに寄生虫が混入しているのが発見され、韓国内で中国批判が高まると、中国は「韓国マスコミの過剰反応」と逆ギレ、翌11月には、中国当局が報復ぎみに韓国産キムチに寄生虫が混入していると突然発表した。

このときは、本当に寄生虫が出てきたものだから韓国産キムチは日本・中国市場でも打撃を受けてしまったという、ベタベタのジョークのような展開となったのだった。

他にも、反日感情が高まると中国で販売されたソニーのデジカメに”不良品”が突然発見されたりする。

 それはともかく、厚生労働省は中国に「データを提出してくれ」と要請しているようだが、はっきり言って警察が泥棒に「次に忍び込む家はどこですか?教えてください」と聞くようなもの。(日本政府はそろいもそろって、中国が出すデータは正しいと信じている性善説主義者ばかり)

そうじゃなくて、中国当局から”有害指定”された食品なり化粧品と全く同じものを企業から提供してもらって厚生労働省自ら検査し、その結果を発表するべきだ。 公平さ・客観性を失わないために外国の調査機関に依頼してもいい。

それでもし何の問題も無かったら、「中国は非関税障壁で日本製品を不当に排除しようとしているアンフェアーな国だ」と、遠慮会釈なく日本政府が中国政府を厳しく批判し、WTOでもなんでも訴えるべき。

日本政府が中国製輸入品の検査をさらに強化して”報復”するものいいだろう。


中国は毎年日本から巨額の貿易黒字を稼いでいる。 つまり日本は中国の”お得意様”なのだから、どちらが立場が上か体で覚えさせるのである。

 実は、アメリカのコダックも中国で消費者から続々と訴えられている最中で、トヨタの広告だったと思うが、「獅子がトヨタ車に頭を下げる表現があったが、獅子は中国の象徴であって中国人を侮辱するものだ!謝罪しろ!」みたいな、く~だらない抗議ざたが何度も起きるのが中国という国である。

中国にしろ韓国にしろ儒教文化圏で、一番のあこがれの職業は何といっても”被害者”だろう。

「ああ、私はあいつにあんなヒドイことされた、こんなヒドイことされた。
皆さん同情してください。かわいそうな私にお金を恵んでください。相手から賠償金が取れるよう応援してください!」で気分壮快! 楽して食っていかれるというわけだ。

中国の消費者や監督官庁に馬鹿げたインネンをつけられるリスクを考えれば、「十数億の巨大市場である中国は金の山」なんてのは幻想ではないだろうか。

「日本の過去を償うために、わが社は中国に骨をうずめるつもりで、中国の繁栄のために貢献する!」と息巻く社長さんもいると聞くが、そういうおバカさんは本当に中国で骨をうずめてもらうとして、こういうたぐいの市場は、いつでも足抜けできるようにしておいて、ウマミが無くなったら、さっさと投資を引き上げるのが賢明だろう。

関連記事・犬の調教


◆ロシア・サハリン油田開発で続々とトラブル

 欧米のスーパーメジャーや日本企業が参加して開発をすすめていたサハリン州の油田開発が、プーチン政権から開発許可を取り消され、苦境に陥っている。

ロイヤル・ダッチ・シェルと三井物産、三菱商事が組んで開発がすすめられていたサハリン2が、「環境対策にきちんと取り組んでいない」として許可を取り消された。

さらにエクソンモービルが開発しているサハリン1も、プーチン政権から圧力がかけられている。

 記事にもあるように、プーチン政権がサハリン油田開発に横槍を入れてきたのは、今までの契約通りに開発をすすめて原油を輸出しても、もうけが少ないからだろう。

現在の契約は、原油が1バレル20ドル前後と安かった90年代に締結されたものだそうで、産油国側の立場が現在ほど強くは無かった。(現在は1バレル60ドル。一時は約78ドルまでいった)

だからこれまでの契約をご破算にしてプーチン政権に有利な、新しい契約を結びたいというのが本音で、環境破壊うんぬんは、それを隠すための便利な大義名分としてもってきたものだろう。

実際、脱税や不正な株式取得といった大義名分をかかげて、プーチン政権はロシア国内のオリガルヒ(政商)を続々とつぶし、彼らから大手石油企業を奪い取って、プーチン政権が支配するロスネフチやガスプロムといった、国策エネルギー企業にくっつけた。

これによってロシア・エネルギー産業の大半を支配下に入れたプーチン政権は、原油・天然ガスなどを戦略的武器として使うことで、ロシアを再び世界を動かす大国にのし上げようとしているのである。

 いったん結んだ契約を気に入らないからといって、ご破算にしようとするあたり、典型的な低信頼社会型の人間の行動で、つくづくロシアは欧州ではなくアジア国家だと思う。

こんなデタラメなことをやっているから、ロシアはエネルギー・資源産業以外パッとしなくて、工業力で中国に追い抜かれたのである。

以前、「日本がロシアにエネルギー供給の多くを頼るのは危険」といったが、今回の事件でその言葉の意味がわかったのではないだろうか。

「サハリンは東南アジアより近いから、安定的にエネルギーが供給できる」って言っていた人間は、今ごろどんな顔をしているのやら。

関連記事・ロシアにエネルギー依存は危険


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安倍新総裁誕生

  • 2006/09/21(木) 00:32:55

 昨日おこなわれた自民党総裁選挙は、安倍官房長官が有効となった702票のうち66%にあたる464票を獲得して、自民党第21代総裁に選出された。

麻生外相は136票を取り2位、谷垣財務相は102票で3位だった。

25日に幹事長・総務会長・政調会長の党3役、26日に組閣人事が決定し、安倍内閣が発足する予定である。

 日本の新しい首相となる安倍氏には、「日本の舵取りをよろしく頼みます」という事とともに、ひとつだけ私からのお願いを言っておきたい。

安倍氏も重々承知のことと思うし、今さら言うまでもないことなのだが、それは、小泉政権からはじまった、「日本が独立国家として当たり前のことを当たり前にできる」ようになるための改革を、ブレなく継続していってほしいということである。

これまでの日本は、政策よりも派閥の論理で内閣の人事が決められがちで、そうした政治家の政策の弱さを官僚に頼ることで補おうとし、そこに官僚がつけこんで民主主義のルール違反すれすれで、超然主義的に日本の政策が決められ実行され、そのシステムを利権目当ての財界がバックアップするという、いわゆる政・官・財の癒着システムが支配してきた。

そのために、内政・外交政策ともに「ことなかれ原理主義」に陥り、特にこのブログで取り扱っている外交で言えば、中国・韓国・アメリカなど外国に対して「外交で何か問題が起こったら日本が相手に譲ることで解決しよう、とにもかくにも、”ことなかれ”で行こう」という、”ことなかれ外交”につながり、独立国家として当たり前のことを当たり前にできない状態が続いていた。

その最大の犠牲者が、北朝鮮による日本人拉致被害者とその家族の方々である。

 ”ことなかれ外交”に代表される、誰が意志決定をし誰が責任をとるのか極めて不明確なオールドジャパン体制を”ぶっこわした”のは小泉首相であった。

もちろん日本の内外の”抵抗勢力”の苛烈な逆襲に時にはフラついたこともあったし、まだまだ改革が足らないところもあるが、新しい日本の建設に向かって歩み出したその功績は非常に大きいと思う。

安倍新首相にも、この改革を是が非でも継続していってほしいし、「独立国家として当たり前のことを当たり前にできる日本」を着実につくりあげていってほしい。

そして、国力を充実させ競争力を高め、日本が弱肉強食の国際社会で生き残れるよう、全力を尽くしていただきたい。


 それに対して強力な抵抗勢力が存在する。

日本がつまずくことを常に願い、「独立国家として当たり前のことを当たり前にできない日本」を強く望む、中国・韓国・北朝鮮の周辺国と、それを日本国内から応援するサポーター。

あるいは、たとえ日本の国力を衰退させ国民全体の利益が失われても、自分が所属する派閥・省・局・課あるいは自分個人の利益を最優先させる勢力などである。

安倍首相は、このような抵抗勢力の逆襲を常にはねのけ、並はずれた強い意志をもって日本の舵取りをしていかなければならない。

 そのためには、優秀な”参謀”を脇において、その政策を取り入れるにしても、最後は安倍首相自らが決断してトップダウンで政策を断固実行していくことが欠かせない。

新しい内閣も、安倍首相と政策が一致していてその政策を実行する能力のある人たちによって「まず政策ありき」で固める必要がある。

ベクトル(政策)が大きく違う人が同じ内閣にいれば、それだけ内閣の政策実行力に不安が出てくるし、首相と違う意見の人の話は、別に内閣の外でも聞くことができるのではないか。

官邸の政策に官僚を確実に従わせるための策もしっかりと打たなければならない。

 日本が弱肉強食の国際社会で生き残るためには、国力を常に充実させなければならず、そのためには日本経済が強く安定していることが第一だ。

現在、日本の財政の累積赤字が頭の痛い問題になっている。

確かにその問題は真剣に取り組まなくてはならないのだが、企業や家計など国民経済が健全で、しっかりと税収が上がり、日本国民だけで国債を引き受ける能力がある内は、まだ何とかなるのではないだろうか。

それよりも、財政再建のために重税をかけて日本経済を冷え込ませ、財政均衡化したころには、日本経済がボロボロになって経済規模がすっかり縮小していたということの方が怖いような気がする。

財政再建のためどうしても増税しなければならないというのであればやむをえないが、以前言ったとおり、消費税率アップで財政を再建するのは反対である。

逆累進性の問題がある消費税率アップは、庶民の家計に与える影響が大きく、富裕層と貧困層の極端な二極分化につながれば、日本経済に良くない影響を与えるからだ。

やはり財政再建のための増税が必要なら直接税によってやるべきだと思うし、毎日100円200円の商品を買いつづける大量の中間庶民層が購買力を失えば、経済がうまく回らなくなるのではないか。

だから富裕層・資産家のノブレス・オブリージュ(高貴な地位にいる者・めぐまれた者が負うべき義務)と愛国心に期待することにして、庶民層より富裕層への増税となっても腹を立てないでほしい。

ともかく今は、「最近税収が好調だから歳出を増やそう」というバカタレを排除して徹底した無駄な歳出削減を実施し、好調な税収はすみやかに国債償還にまわすことで、財政再建を進めなければならない。

 以上が、私から安倍新首相へのお願いだが、最後に余談を。

小泉首相の任期途中から退任にむけて、世界経済が順調に成長し、日本を含めた世界の株価もおおむね右肩あがりだった。 その意味では非常にラッキーだったのかもしれない。(日本の経済回復と株価上昇は自分の実力だよと怒られるかもしれないが<笑>)

だが、好調だったアメリカ経済に変化の兆しがうかがえるし、原油相場の風向きも変わりそうな気配がある。

アメリカ経済の好不調はEU圏や中国・インドなど世界全体の経済に影響を与えるし、原油や各種金属などコモディティ相場の動向は、中東産油国はもちろん、ロシア・ブラジル・オーストラリアなどの資源国の経済に関係してくる。

日本経済は世界経済とはまったく別に動いているわけではないので、そうした世界経済のリスクを十分考慮に入れて、安倍新首相は財政再建を含めた日本の経済政策をたてる必要があると思う。


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関連記事・格差社会と税制改革(最終回)

日本と特定アジアとの歴史認識摩擦の本質

  • 2006/09/19(火) 23:45:04

 最近、中国政府が情報統制をいっそう強め始めた。

まず、外国の通信社が中国国内で記事などを配信する場合、国営通信社である新華社から許可を受けなければならないとした法規を今月10日から施行した。
中国にとって”健全なニュース”を促進するためという。

引用記事 

さらに13日には、中国共産党政府が報道機関の管理強化などを盛り込んだ”国家文化発展計画綱領”を公布、「メディアは世論を正確に導き、党と国民のマウスピースの役割を確保しなければならない」と強調した。

引用記事 

言論・思想統制はネット空間にまで及び、中国公安当局がネット上の320以上の”違法サイト”とネットコラムを閉鎖し15000の有害情報を削除したと発表した。

本丸のネットコラムだけを閉鎖すると露骨な言論統制となるから、それをカモフラージュするために”違法サイト”とセットで閉鎖したのだろう。

引用記事 

 中国共産党政府が、国民に対して強い影響力を持つ教育や報道機関をコントロールすることによって、中国国民の言論の自由を奪い、思想を操ってきたことは、何度もふれた。

それは、中国と同じ独裁国家である北朝鮮でも状況は変わらない。

1980年代後半まで軍国主義政権が支配し、民主化されてまだ十数年しか経っていない韓国も、歴史教育分野においては政府が直接介入を続けた影響が強く残っており、現職の大統領が自分を批判する新聞の影響力を減じるために、あからさまに動くようなところも依然なおっていない。

 日本と中国や韓国との歴史認識問題を考えるとき、この問題が民主主義国家である日本と、儒教的権威主義あるいは儒教的独裁主義国家とでも言うべき中国・韓国・北朝鮮との摩擦なのだという理解が、まだまだ足りないと思う。

それは日本においても世界においてもである。

 日本は言論・思想の自由が認められた民主主義国家であり、当然、さまざまな価値観が共存する社会である。

日本人の歴史認識の中には、「靖国神社へ首相は行くべきではない」とか「竹島は韓国のもので良いではないか」といった、祖国日本より中国や韓国の主張を支持するものが、政治家や企業家・マスコミ人から一般市民にまで存在する。

さまざまな歴史認識や価値観が存在していることは、日本社会が最低限の健全さを失っていないことの証拠といえるが、現在、儒教的独裁主義国家であるか、つい最近までそうであった中国・韓国・北朝鮮では、そのような社会の健全さは存在していない。

(以後、便宜的に、この三カ国を”儒教的独裁主義国家群”と呼ぶことにする)

中国では、共産党政府が教育・マスコミを支配して、中国政府が正しいと考える歴史観以外の思想を持つ中国国民が出現しないよう、ありとあらゆる努力が払われている。

それでも、中国政府が正しいと考える歴史認識とは反対のことを言ったらどうなるか?

たとえば「日本の首相は靖国神社へ行くべきだ」といったことを中国の政治家が言ったら、たちまち公職を追われるだろう。

北朝鮮で、金日成がムギワラ帽子から兵隊を出して日本軍を打ち破ったとする、抗日パルチザンの歴史を否定する者がいたら、強制収容所行きなのは間違いない。

民主主義が未発達な韓国でも、ある有名な芸能人が「殴り殺される覚悟」で歴史問題において日本を支持し、仕事場から「追放された」ために、自らの主張を撤回するといった事態が起こっている。

 このように、言論・思想の自由が保証されない中国・韓国・北朝鮮の儒教的独裁主義国家群では、歴史とは事実に立脚したものかということより、第一に政府や独裁政党の方針に沿った”理想的な歴史”であるかどうかのほうが重要なのである。

儒教的独裁主義国家群における理想的歴史とは、「わが国は歴史上一度も他国を侵略していない徳の高い国だ」とか、「わが民族は周辺の民族より優れていて周辺民族に高い文化を教えてやった」とか、「わが政府・わが党・わが首領は外国の侵略者を追い払った英雄なのだ」といった、ある種の目的を持って国民に植え付けられるプロパガンダである。

また、儒教的独裁主義国家群においては、民主主義が存在しないか発達が非常に遅れているために、国民は、政府や独裁政党がコントロールする教育やマスコミの情報を何の疑いもなく、いとも簡単に信じ込んでしまう。

いわゆるメディア・リテラシーが決定的に低いのである。

だから、儒教的独裁主義国家群が得意とする、国民の情緒・感情に訴えかけるような自民族優越主義プロパガンダ(教育・報道)に、きわめて煽動されやすい。

こうしたことが原因で、中国・韓国・北朝鮮の儒教的独裁主義国家からは、「自分の国はいつも正しい。ウソつきで間違っているのは常に日本だ」という国民ばかりが生み出され、

「自分の国の政府や党のかかげる歴史認識は絶対に正しいことになっているけれども、二つの国の議論を比べると相手国のほうが正しいように思える」という人がほとんど出現しないのである。

強い権力を持つ政府や党によって情報・思想をコントロールされ、物事を論理的に考え、価値観の違う相手を尊重して議論するような経験を積むことが許されない、中国・韓国・北朝鮮の国民。

これでは日本と中国・韓国などの歴史認識摩擦が、いつになっても解決するわけがない。

さまざまな価値観・歴史観の共存を許すということができないし、それを許せば独裁主義・権威主義の根底が揺らいでしまう中国・韓国・北朝鮮の儒教的独裁主義国家群は、複数の価値観・歴史観が共存している民主主義国家・日本に対して、常に圧力をかけ戦いを挑まなければならないのである。 

 以上の点をふまえれば、日本と中国・韓国・北朝鮮の歴史認識摩擦の本質は、民主主義と独裁主義あるいは権威主義という二つの体制の摩擦であるということがおわかりいただけると思う。

 もし日本と中国・韓国・北朝鮮の歴史認識摩擦を解消させたいのであれば、中国や北朝鮮の民主化を達成し、国民に言論・思想の自由を認めることが、最低限必要になるだろう。

もちろん韓国の例を見ればわかるように、それは最初の一歩であって、メディア・リテラシーの問題も含めて、感情的な自民族優越主義にのせられずに物事を論理的に考えるような国民の成熟がなければ意味がない。

だが、素質のある者を選抜して少数のエリートを養成するのならともかく、国民のレベルを全体的に底上げするというのは、より困難で時間のかかるものだ。

 日本だけでなく、中国・韓国・北朝鮮といった儒教的独裁主義国家群にも、異なった価値観・歴史観の共存を許す本当の民主主義が広がれば、歴史認識摩擦が深刻なものにはならないはずだ。

それが実現されることを願っているが、いったい何時のことになるだろうか。



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アメリカは日本を見殺しにするか?

  • 2006/09/15(金) 22:19:46

 最近、各種雑誌やネットで、日本は核武装すべきか否かについての話題が、ちらほら出ている。

それについてはひとまず脇に置いておくとして、核武装賛成派の主張の前提には「日本はアメリカの核の傘に入っているが、たとえば日本と核保有国である中国が争いになったとき、アメリカが中国の核によってワシントンやニューヨークを犠牲にしてまで、東京を守ってくれるだろうか? いや、それは相当疑わしい」というのがあって、「だから日本は独自に核武装すべきなのだ」という結論に至っているようである。

かつてフランスのド・ゴール大統領も「アメリカがワシントンやニューヨークを犠牲にしてまで、パリやボンをモスクワの核から守ることはあり得ない」と言って、独自核保有の道へと進んだ前例を思い出す。

 私は、前述のような議論には少し疑問がある。

確かにイザという時、アメリカが自国の犠牲をかえりみず、核兵器で日本を100%守ってくれるということは、誰にも保証できない。

だがアメリカは、日本を含めた同盟国を自国の都合だけで簡単に見捨てたり見殺しにしたりということは、できないと思う。

中国なり北朝鮮なりが日本に対して、「言うことをきかなければ核を使用する」と恫喝してきて、日米安保条約によってアメリカが間に割って入ってきたとき、中国・北朝鮮が「日本をかばうならアメリカに核を落とす」と言ったとする。

ここで、アメリカが日本を見捨てて核の傘の提供を中止することを恐れる人がいるのだろうが、もし実際にアメリカがそのような行動をとったら世界中がパニックになるのではないだろうか。

「核保有国が非核保有国に対し、核兵器で恫喝する」ということも衝撃だが、「核保有国が核の恫喝を恐れて、非核保有の同盟国への核の傘提供を拒否して、さっさと見捨てる」ということはさらなる衝撃だからだ。

そんなことが起こったら、現在の世界の安全保障体制を根底からひっくり返すような大事件で、世界はハチの巣をつついたような大騒ぎになる。

核から身を守るのに自国しか頼れないとなったら、世界のある程度の経済力を持つ国々はみんな核武装に走るだろう。

核兵器が発明されて60年、初歩的なものなら核兵器製造はそれほど難しいものではなくなってるし、ネットで検索すれば、核兵器のしくみについていくらでも出てくる時代である。

あらたに核保有国となった国が、友好関係にある非核国に、核兵器の製造技術や核兵器そのものを供与することも、大っぴらに行われるかもしれない。

こうなったら核を保有する国連常任理事国が、他国の核武装を阻止しようとしても、もはや誰も言うことを聞かないだろうし、説得力も持たない。

世界各国が普通に核兵器を保有するような事態が現実のものとなれば、テロ組織の手に核兵器が渡るという可能性がいっそう高まる。

そのような世界は、こうやって文章にしただけでも恐ろしいものだ。

特にアメリカにとっては悪夢のような世界である。

冷戦期には、アメリカの核兵器による報復を恐れて、あえてアメリカに核を使おうとするような国は無かった。 つまり核による抑止力が働いたわけだが、死を恐れない自爆テロリストをかかえるテロ組織に、核抑止力など通じない。

だから悪夢なのである。

ここで始めの話に戻るが、以上の点から考えて、中国なり北朝鮮なりが核兵器で日本を恫喝したとき、アメリカが中・朝の核を恐れて日本を簡単に見捨てたり見殺しにしたりすることはできないと思う。

もしアメリカが非核保有の同盟国を見殺しにする場合は、相当の覚悟が必要になるだろう。

 さらに言えば、米ソ冷戦真っ盛りだった時代ならいざ知らず現在の世界では、アメリカの圧倒的な核戦力に挑戦できる独立国家がちょっと見当たらない。

先日のテポドン騒ぎのとき、ロシアが保有する”オコ”および”プログナツ13”という弾道ミサイルの発射を探知する三機の早期警戒衛星のうち一機が作動しておらず、ロシア近海に発射されてはじめて北朝鮮の弾道ミサイルが打ち込まれたことを知ったという報道があったことからもわかるように、ロシアの核戦力は、”盾”も”矛”も相当ガタガタになっていることが予想される。

猛スピードで通常兵器の軍拡をすすめる中国でも、おそらく早期警戒衛星すら無いみたいだし、アメリカの核戦力に対抗できるまでにはいっていない。

西太平洋をパトロールしているであろう、アメリカの核ミサイル搭載原子力潜水艦に対して、中国や北朝鮮は対抗手段を持たない。

当分の間は、アメリカを少なくとも核兵器で恫喝しようとするような独立国家は現れないだろうし、将来的には、日米が共同開発しているミサイル防衛システムの完成度が高まることになる。

もし中国・北朝鮮が「日本をかばうならアメリカに核を落とす」と言ったとしても、アメリカが慌てず騒がず「やれるもんならやってみな」という態度をとり続ける限り、アメリカの圧倒的な核による報復力を恐れて、中・朝が日本に核を先制使用するような可能性はかなり低いと思う。

 では話をまとめると、日本を見殺しにすることで世界の核拡散が進んでしまうというアメリカにとってのリスクは、日本に核の傘を提供しつづけることによって負うリスクよりはるかに大きいし、アメリカが日米同盟が強固であることを世界にアピールし続ける限り、アメリカを核で恫喝したり、日本を核で先制攻撃するような独立国家が現れる可能性は低いだろうというのが私の考えである。

だから、今のところ日本が核武装する必要は無いとは思うが、外交・安保というのは何がおこるかわからない、100%確実ということの無い世界であるので、

繰り返し言っているように、スタンドオフ空対地ミサイルや巡航ミサイルなどのいわゆる”敵地攻撃能力”の整備は今すぐにでも必要だし、独立国家に欠かせない目であり耳である、情報機関や偵察衛星の拡充も力をいれなければならないと思う。


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中国の空気が読めない左翼

  • 2006/09/13(水) 23:49:58

 ヘルシンキで行われたアジア欧州会議(ASEM)において、小泉首相と中国の温家宝首相が会場内で談笑し握手したことがニュース等で報じられていたが、その様子を中国政府の公式カメラマンが撮影していて、中国政府から「日本の首相との握手の写真を撮ったので、ASEMホームページに掲載してほしい」とフィンランド政府に写真提供があり、その写真が掲載されたという。

引用記事 

ASEMホームページ 

 中国政府にとって靖国参拝を繰り返す、にっくき敵のはずの小泉首相と温首相が握手している写真なぞ、本来ならこの世に存在してはならないものだろう。

それをわざわざ中国政府の御用カメラマンが撮影して、フィンランド政府にHPにのせてくれるよう提出するということは、やはり「靖国問題という宗教戦争の泥沼から脱出したい」という中国の胡錦涛・中央政府のメッセージとみたほうが良いだろう。

別の側面では、小泉首相は敬意を払うべき中国の強敵という意味で、北京から一人前の独立国家の指導者と認められたとも言える。

 そもそも宗教というのは心の問題だけにこれという正解がない。

だから、ある宗教を信じる人たちが別の宗教を信じる人たちに、相手の思想を否定するような攻撃をしかければ、最後の一人になるまで殺し合うような原理主義どうしの、終わりの無い宗教戦争にエスカレートするのは容易なことである。

そうしたことをふまえれば、絶対にこちらから相手に宗教戦争をしかけてはいけないのは自明の理であって、もしそのような愚かなことをすれば、終わりのない底無し沼の戦いにはまりこんでいくだけである。

 だが中国は、特に筋金入りの反日原理主義者であった江沢民政権以後、その愚かな宗教戦争を靖国問題という形で日本にしかけてしまった。

そして次の胡錦涛政権になっても、それを引き継いでしまった。

中国がなぜそのような愚かなことをしてしまったのかといえば、「中国こそ世界の中心かつ唯一の文明国で、日本は中国文明をコピーしてきた愚かな蛮族なのだから、文明人である中国人は愚かな日本人に何が正しいか教えてやらなければならない」という人種差別的な中華思想の存在

また、「第二次大戦の戦勝国民である中国人は、敗戦国民である日本人を完全に叩きのめして絶対服従させて、完全勝利しなければならない」というトータルビクトリーという考え方にとりつかれたことが大きな原因だった。

 靖国問題が発生した原因はこのように大半は中国に問題があったからなのだが、日本側に問題が全くなかったとは言いきれない。

靖国問題の発生は、外交における”抑止の破綻”だったとも言えるからだ。

”抑止の破綻”といった場合、A国が「今となりのB国に侵略戦争をしかければ、問題が解決できるのではないか。 幸い、となりのB国はわがA国より軍事力が弱いし」と考えて、実際にA国がB国に侵略戦争をしかけたときに「B国の抑止が破綻した」というふうに使う。

靖国問題の場合、これまで中国との間で外交摩擦が発生すると日本の政治家や外交官は、ことの是非を棚上げにして、ともかく日本が譲歩して中国の要求を受け入れることで、外交摩擦を解消しようとする傾向が強かった。

そうした日本の行動パターンが、中国側に「今、日本に靖国問題という宗教戦争をしかければ、内政も外交もうまくいくのではないか。幸い、日本はわが中国より外交力が弱くて、中国が強く出れば日本は必ず譲歩するから」と考えさせる原因のひとつとなって、実際に中国は日本に靖国問題という宗教戦争をしかけてしまったのだった。

ところが中国の思惑は大きく外れ、日本側が激しく中国に抵抗し、終わりの無い泥沼の戦いになってしまった。

(歴史上、侵略戦争が起こりそれが失敗する過程は、大抵このパターンである)

これまで日本の対中外交を主導してきた旧宏地会系の宮沢喜一氏や加藤紘一氏に代表される政治家や、チャイナスクールに代表される一部の外交官たちの軽率な行動が、日本外交の抑止を破綻させ、中国の”外交侵略”を誘ったのだった。

 その間、内政では胡主席率いる中央執行部がコントロールできないような反日大暴動が発生し、外では、中国が一番恐れている”中国脅威論”が巻き起こって、中国自身が深く傷ついた。

それに加えて、江沢民の強い影響を受けている上海閥や人民解放軍内の反日原理主義者とのからみもあって、振り上げたこぶしを下げるに下げられず、靖国問題は中国外交の自由を奪う、手かせ足かせとなっている。
 
 胡錦涛政権もいい加減、中国が靖国問題という宗教戦争を仕掛けたことのバカバカしさ不毛さを悟っただろうし、強気な顔の裏側では、もうカンベンしてほしいというのが、偽らざるホンネなのではないか。

私は、東アジアのライバル大国同士として、日本と中国はこれからも火花を散らしながらやっていくことになると思うが、少なくとも靖国問題という宗教戦争は、日中外交の正面からフェードアウトするよう中国が誘導する可能性はあると思う。

胡政権が倒れたり影響力を失って、またぞろ反日原理主義が強くなれば別の話だが、少なくとも今は、そうした兆候が北京からうかがえる。

 ところが、この中国の空気がまったく読めていないのが、日本国内の左翼思想の強い影響を受けた一部の政治家・マスコミ・学者たちである。

毎日や朝日新聞などに代表されるこの勢力は、相変わらず「小泉首相が靖国神社へ参拝したからアジア外交がうまくいかない、中国が怒っているので日中関係が停滞したままだ」と叫んでいる。

しつこく訂正を求めるが、少なくとも外交関係がギクシャクしているのは、中・韓の二カ国とだけであってアジア全体とではない。 その原因も宗教戦争をしかけてきた相手がわにある。(北朝鮮とは正式な外交関係がない)

引用記事 


この勢力は、「靖国反対!靖国反対!」と大騒ぎすれば、中国のためになると真剣に思ってやっているのだろうが、

子分が「日本で軍国主義が復活しようとしていますぜ、軍靴の音が聞こえますぜ!」と親分に報告したら、例えウンザリしていても親分の面子というものがあるから、北京政府は「日本は軍国主義の過去を反省して靖国参拝を止めよ!」と言わざるを得なくなる。

だから日本の左翼勢力も親分である中国の空気を読み、靖国問題で大騒ぎするのをやめて、中国をそっとしておいてやることで、面子を守るための逃げ道をつくってやればいいのに、頭が悪いのかシグナルのわずかな違いによって中国の空気を読むということができない。

まあ、そんな連中を利用して、日本の世論を操作しようとしてきた中国の自業自得とも言えるが。


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9.11テロから5年に思う

  • 2006/09/12(火) 23:56:57

 きのう11日で3千人近くの犠牲者を出した、あの米中枢同時テロから丸5年を迎えた。

いかなる理由であれ、市民を無差別に狙ったテロに反対するとともに、犠牲となられた方々のご冥福をお祈りしたい。

 9.11テロから5年ということで、全米各地で追悼式典が開かれ、日本のマスコミが一斉にそれを報じていたが、それに関連して私が思ったことについてお話したい。

まず最初に、9.11テロとその後に起こったイラク戦争に対する日本のマスコミの報道ぶりについてである。

日本のほとんどのマスコミは、アメリカはいきなりイラクに戦争を仕掛けたかのように報じ、「大量破壊兵器はなかったのだからイラク戦争は100%間違った戦争であり、大規模テロの防止策にもならない」というような論調であった。

しかし、日本のマスコミがすっかり忘れていることは、アメリカはイラクに国連による大量破壊兵器の査察を受けるよう再三要請していたという事実だ。

イラクのフセイン政権も、痛くもない腹を探られたくなかったら、さっさと国連査察を受ければよかったのであって、それで大量破壊兵器が出てこなかったら、アメリカとて戦争に訴えることはなかったかもしれない。

だがフセイン政権は国連査察を拒否し、「イラクは大量破壊兵器を持っているから国連査察を拒否しているのではないか」と疑心暗鬼になったアメリカが、「期限までに国連査察を受けなければ戦争も辞さない」と言って、それでもフセイン政権が拒否したために最終的に戦争になったのである。

 日本のマスコミがスルーしていることの二点目は、結局、大量破壊兵器がなかったのだから、イラク戦争は間違いだったということは私も認めるけれども、イラク戦争がもし起こらずに、あのままフセイン政権が続いていたら、イラク国民はバラ色の幸福な生活ができたのか?ということだ。

この点、日本のほとんどのマスコミが素で無知なのか意図的にスルーしているのか知らないが、フセインによるバース党独裁政権は、フセイン一族を筆頭とする少数派のスンニ派部族が、多数派のシーア派住民やクルド人を強権支配するという構図になっていて、

フセイン独裁政権の支配に反対するシーア派やクルド人住民に対しては、拷問や大虐殺などの深刻な人権侵害が行われていた。

しかもフセイン独裁政権が情報をコントロールしていたために、なかなかそういう悲劇が日本を含む国際社会に知られることがなかった。

日本のマスコミが望むようにイラク戦争が無かったとしたら、フセイン独裁政権が続く限り一切その責任を問われることはなかっただろう。 それで果たしてイラク国民はバラ色の幸福な生活ができたと言えるのだろうか。

 ところが、イラク戦争によってフセイン独裁体制が倒れ、これまで抑圧されてきたシーア派部族やクルド人住民に参政権など基本的人権が与えられることとなった。

これによってイラク初の選挙が行われて、イラク新政府はシーア派やクルド人が大きな影響力を持つ政府となった。

それまでの政治的特権を奪われ、これまで虐殺などを行った相手であるシーア派などからの復讐を恐れるスンニ派は、シーア派主導のイラク新政府に反発し、スンニ派対シーア派でテロ合戦を始めてしまった。

今までイラク国民が一度も民主主義を経験したことがなかったことが原因だろう。 民主主義はある程度国民が成熟していなければ、うまく機能しない。

イラク新政府を支援するアメリカは、何とか新政府を軌道に乗せるためにテロ組織を壊滅すべく、戦闘を続けているが、これにイラク国外から流入したアルカイダのような国際テロ組織が、アメリカ軍やイラク新政府などを狙ってテロをするなど、情勢は複雑になっている。

しかし日本の一部マスコミは、悪いアメリカ占領軍VSそれに反対して自由を求めるイラク人というような、きわめて不正確かつ単純化した構図で、イラクの現状についての日本国民の印象を操作しているように思える。

そして「イラク戦争は間違っている。アメリカ軍がイラクから撤退すれば万事うまくいくんだ」という風に、日本の世論を誘導したがっているように見えて仕方が無い。

私は、もしアメリカがイラク新政府が自治能力を持つ前に手を引いたら、スンニ派対シーア派にクルド人なども加わって、テロや武力衝突がエスカレートする可能性は高いと思う。

そして行き着く先は、内戦からアフガニスタンやソマリアのような破綻国家化である。

イラクが破綻国家となれば、将来を悲観した人たちが続出してテロリストへ次々と転向して世界へ飛び出すといった悪夢のような事態が現実となろう。

 外交面においても、フセイン独裁政権は、隣国イランに侵攻した1980年のイラン・イラク戦争や、90年のクウェート侵攻など二つの侵略戦争を起こして、侵略された方の国民のみならず、巨額の戦費負担によって自国民も苦しめた。

日本のマスコミが望むようにイラク戦争が無かったとしたら、やっぱりフセイン独裁政権は一切その責任を問われることはなかっただろう。

侵略戦争については執拗に反省を求める日本マスコミの習性からすれば、私にはひどい矛盾に思える。

 イラク問題について考えると、私は人間と森の関係と良く似ていると思う。

自然保護の観点からすれば、人間が手をつけていない原生林は、手をつけずにそのまま放っておくのが一番よい。

だが木を切り倒すなど、いったん人間が森に手をつけてしまったら、下草を刈ったり枝を剪定したり木を間引いたりして、手入れをしてやらなければ、健康な森にはならないそうだ。

この場合「自然保護のために人間が森に手を入れてはいけない」というのは、誰しもが陥りやすい間違いということになる。

 イラクに関しても、フセイン独裁政権という原生林に手をつけなければ、そのまま放っておくべきだったのかもしれない。

だが、いったん手をつけてしまった以上、イラクという森が健康を回復するためには、下草を刈ったり木を間引いたりして、国際社会が手入れをしてやらなければならないと思う。

「自然保護のためにイラクという森に二度と手を触れてはならない」というのは一見正しいように聞こえるけれども、やっぱり間違いではないだろうか。

イラク警察や国軍を強化することでテロ組織を取り締まったり、各宗派に「協力と和解をすすめることが全イラク人の利益になる」と説得することで、イラク国内の治安状況を早く安定させ、もともと豊富にある石油資源を生かして収入を増やし、宗派・民族の別なくイラク国民に富の分配ができるようになれば、イラクのみならず世界全体の利益になる。

それを実現させるための道は、相当困難なのは事実なのだが。

その点、「報復は何も生まない。戦争や軍隊が無くなって、みんなが愛の歌を歌えば、世界は平和になる」といったような空想に逃げ込んだほうがはるかに簡単だし、それだけにその空想は人間を魅了する魔力を持っているので、人がラブ&ピースの暗黒面に落ちるのも簡単である。(あえて魔力といいたい)

しかし私は、日本のマスコミ界に充満しているそのような空想が、責任ある主張だとは決して思えない。

昔「TVばかり見ていると馬鹿になる」と親から言われたものだが、最近のTVニュースを見ていると本当に馬鹿になると思う。


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祝 H2Aロケット打ち上げ成功!

  • 2006/09/12(火) 01:01:15

 最近、おめでたいことが続いていて非常に気分が良い。

11日・午後1時35分、宇宙航空研究開発機構は、鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Aロケット10号機の打ち上げに成功した。

このロケットによって打ち上げられたのは、内閣衛星情報センターが運用する情報収集衛星だ。

情報収集衛星には二種類あり、今回打ち上げられたのは光学カメラを搭載したタイプで、分解能は1mと言われている。

分解能の数字が、カメラが地上の物体を識別できる最小の大きさで、数字が小さいほど鮮明な写真が撮れる。

既に打ち上げられたものとあわせて二機体制となった。

もう一種類は、合成開口レーダー(SAR)を搭載したタイプで、光学カメラでは、撮影したい場所に雲がかかっていたり夜間だったりした場合あまり役に立たないので、二種類の情報収集衛星を保有しているわけである。

地上が悪天候や夜間でも撮影できる強みを持つSARであるが、分解能が3mと言われており、光学カメラのように鮮明な画像が得られないことと、影が映らないので物体の高さがわからないところが難点である。

現在一機が地球の周りを回っており、来年の2月までにもう一機を打ち上げ、日本の情報収集衛星は全部で四機体制とする予定だ。

情報収集衛星二機で、地球上の任意の地点を一日一回撮影することが可能になり、光学カメラ衛星ではそれが達成されることになる。

今後数週間から数ヶ月の試験運用を経て衛星が順調に機能すれば、内閣衛星情報センターによって本格運用が始められる予定である。

引用記事 

 日本が情報収集衛星を持つことについて、さっそく「衛星の性能が低い」とか「宇宙空間の軍事利用ではないか」といった批判が出ているようだ。

よく引き合いに出されるアメリカの光学カメラ搭載の偵察衛星”キーホール”シリーズだが、最新型のKH-12と呼ばれるものは、打ち上げ重量18t・分解能10cmと言われているオバケ衛星で、現在五機を運用、

レーダー衛星の”ラクロス”も打ち上げ重量14.5t・分解能90cmと言われており三機が地球を回っているらしい。

それらと、打ち上げ重量1t前後の情報収集衛星とを比べるのはちょっとかわいそうだ。

商業衛星のクイックバードも分解能60cmを誇るが、外国の衛星は軍事・民間の双方とも、その国の政府によってどこを撮影するか、写真の解像度をどれくらいにするかといった面で、規制を受ける可能性がある。

その点、日本が自前で衛星を持てば、地球のどこを撮影するか日本政府の判断で自由にできる。 ここに、日本が独自で衛星を持つ意味がある。

 それに日本の偵察衛星三機体制というのは、量としてはぶっちぎりでトップを走るアメリカに次ぐ規模である。

質でも、フランスが主体となってスペイン・ベルギーなどと共同運用している光学カメラ搭載の偵察衛星・ヘリオス2Aの分解能40~60cmにはかなわないものの、1mという情報収集衛星のカタログスペックはそれほど悪くない。

もっともカタログスペックどおりの性能が得られていないという噂があるのは事実で、そのあたりの改善点も含めて、次に打ち上げる光学カメラ搭載の情報収集衛星は、打ち上げ重量5t以下・分解能20~30cmぐらいを目指すことはできないものだろうか。

カメラ大国であり機械をコンパクトにまとめることに長けた日本の技術力とプライドに期待したい。

各国の偵察衛星

■アメリカ

キーホール(光学)×5  分解能10cm
ラクロス(レーダー)×3 分解能90cm

■日本

光学 ×2 同1m
レーダー ×1 同3m

■フランス

ヘリオス1A(光学)×1 同1m
ヘリオス2A(光学)×1 同40~60cm

*スペイン・イタリア・ベルギーと共同運用

■中国

ZY2 ×2? (光学) 同2m以下
JB5 ×1 (レーダー) 同数m?

■ロシア

Araks ×1? (光学) 同2m

ロシアは数週間飛びつづける内に写真を撮影し、そのフィルムをカプセルに入れて地球へ投下するタイプの偵察衛星を使っているので、常時地球を回っている衛星は少ない。中国もこのタイプを使用。

ちなみにこのタイプの偵察衛星・KobaltMで分解能1mという話もある。


■イギリス

TopSat1 ×1 (光学) 同2.5m 実験衛星

イギリスはアメリカから情報提供を受けていると思われる

■イスラエル

Ofeq5 ×1 (光学) 80cm~1m

■インド

TES ×1 (光学) 1m

■台湾

ロクサット2 ×1 (光学) 2m

■韓国

アリラン2 ×1 (光学) 1m


データは推定値。 衛星の設計寿命を超えて運用されているものもあるので、上記以外の古い偵察衛星が飛んでいたり、上記の衛星の内で既に飛んでいなかったりするものもあるかもしれない。




 次に、宇宙の軍事利用ではないかといった批判であるが、むしろ軍事力行使を避けて外交交渉で問題を解決するという場合にこそ、偵察衛星を使って精度の高い情報を集める必要があると思う。

こちらが相手についての正確な情報を持っていて、それを外交交渉に生かすことで、日本と他国の武力衝突を未然に防ぐようなケースは十分ある。

逆にこちらが相手国のことを何も知らず、いきなりドカンとやられたら、日本としても武力を使って対応しなければならないケースが出てくるだろう。

だから、日本のような国こそ、偵察衛星は必要だと思う。

宇宙の軍事利用ではないかといった批判を避けるために、情報収集衛星をわざわざ商業衛星と同じくらいの分解能に落とすのであれば、馬鹿げているといわざるを得ない。

 また、日本の主力ロケット”H2A”の4回連続の成功と信頼性の向上も大きかった。

今後はH2Aに大きな技術的変更は加えずに、打ち上げの連続成功を積み上げていって、H2Aを”枯れた技術”にすることが重要だと思う。

ロシアのソユーズ・ロケットにしろ、ロシアの弾道ミサイル技術をもとにした中国のロケット・長征シリーズにしろ、技術自体は使い古されたもの(つまり枯れた技術)で、その分打ち上げ成功率が高かった。

H2Aは、ロシアや中国のロケットより推進剤などの点で進歩していると思われるが、これから何十機も打ち上げて経験を積んで、完全にこの技術を日本の手の内におさめてしまう必要がある。

十分わかっていることとは思うが、欲張って次から次へと新しい技術をH2Aに盛り込んで、打ち上げ失敗を繰り返すようなことが無いことを望む。

 今後は、高い経費をかけて打ち上げた情報収集衛星を日本政府がどう使うかということが、ポイントになってくる。

衛星が集めた情報を分析するエキスパートの養成が重要になるし、政府首脳が国際情勢をふまえ、今、日本としてどういう情報が必要か戦略的に考えて、内閣衛星情報センターに注文を出さなくては意味がない。

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中国の東北工程が過激に

  • 2006/09/08(金) 18:22:46

 中国が国家レベルですすめてきたプロジェクト”東北工程”が、いっそう過激になってきた。

これに対して韓国の与野党政治家たちが、ノ・ムヒョン政権のあまりの無為無策ぶりに、いきりたっている。

東北工程とはぶっちゃけて言えば、中国東北地方にかつて存在した高句麗・渤海といった古代国家の領域は「中国不可分の領土」であり、「高句麗人・渤海人は中華民族の一部」とする中国政府のつくりだしたイデオロギーを、東北地方の漢族・朝鮮族など各民族に植え付けるためのプロジェクトのことである。

韓国の中央日報が伝えるところでは、中国政府・国務院傘下の社会科学院辺彊史地研究センター・ホームページに一年も前から、渤海国史など中国東北地方の歴史についての論文27編中、18編の要約が公開されているという。

問題の渤海国史では「渤海建国の主導勢力は高句麗人ではなく靺鞨族であり、(建国者である)大祚栄は初期靺鞨を正式国号で採択した」として、渤海国が唐の統治圏の地方民族政権にすぎなかったという主張をかかげているという。

これに対して、野党ハンナラ党のカン・ジェソプ代表は「ノ・ムヒョン政権が自主を主張する政府なのに、なぜ中国には一言もいえないのか」と批判。

与党ウリ党からもキム・グンテ議長が「東北工程で北東アジアの未来に黒雲がたちこめる」と述べた上で「歴史の歪曲はまた別の形態の侵略行為であり、歴史の歪曲と共同繁栄は両立することができない」と声をあげ、キム・ハンギル院内代表も「中国が特別な目的で歴史を書き換えるなら、中国は日本の歴史教科書の歪曲を責める資格はない」と主張した。

http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=79593&servcode=200§code=200

http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=79636&servcode=200§code=200

 東北工程自体、以前からよく知られたものだし、このブログでも取り上げたので今さら驚きはしないが、韓国側がいきりたっているいくつかの論文の中で、”箕子と箕子朝鮮研究”については私もたまげてしまった。

その内容とは「箕子は中国の哲学者と同時に政治家」とし「箕子朝鮮によって衛満朝鮮が、衛満朝鮮によって漢4郡、高句麗、渤海の歴史が初めて存在できた」というもので、朝鮮半島に最初に国家を樹立して、朝鮮半島国家の礎を築いたのは中国人であるとはっきりと主張したからだ。

記事にあるように、これに対して韓国側は「漢江流域まで事実上は古代中国の領土であり、したがって古代中国の歴史に含めなければならないという話だ」と、”中国の露骨な野心”に強い警戒感を示している。

 ここで朝鮮半島の歴史をふりかえっておくと、韓国側の歴史では紀元前2333年だったか、檀君という人が朝鮮という国を建国して1500年以上生きて統治したということになっているが、もちろんそれは伝説であるし、檀君が実在したという証拠もない。

北朝鮮の平壌郊外にコンクリート製の”檀君陵”があるが、まじめに信じている北朝鮮人たちを除いてはギャグである。

一方中国の歴史書では、紀元前11世紀ごろに、周の武王が殷を滅ぼしたときに、殷の王族である箕子が朝鮮王に封じられたという記録があり、その人物が前述した論文に出てくる箕子であり、その人物がたてた国が箕子朝鮮である。

箕子の子孫が約40代続いた後の紀元前195年、中国戦国時代の王朝・燕の人である衛満が箕子朝鮮王朝を乗っ取り、新たに衛氏朝鮮をたてたとされる。

箕子も衛満も、実在の人物かどうかわかっていない。

だが、朝鮮半島のこの時代の地層から、中国の影響を受けた銅鏡や、燕で使われていた銅銭や鉄器が発見されているので、朝鮮半島に古代国家が成立する過程で、古代中国人の強い影響があったと思われる。

紀元前108年には、漢の武帝が衛氏朝鮮を征服、楽浪郡など四郡を設置した。
そこから約400年間、朝鮮半島は歴代中華王朝の植民地となり、卑弥呼など倭国(日本)の王たちが使節を派遣することになる。

朝鮮半島の歴史がはっきりするのはここからで、数々の遺物から前漢の武帝による朝鮮征服やその後の統治は事実といってほぼ間違いない。

 それでは、東北工程で問題になっている高句麗はそのころどうなっていたかというと、高句麗を建国することになる扶余人は、現在の中国東北地方に住んでおり、中華王朝が支配する朝鮮半島とはあまり関係が無かった。

扶余人の中でも高句麗を建国することになるグループは中国遼寧省・桓仁という地域を中心に半農半牧の生活をし、紀元前1世紀ごろ国をつくったらしい。

その後、中国では後漢・魏呉蜀の三国時代とすすみ、晋が久しぶりに中国統一王朝になるが、紀元後3世紀に晋で内乱が生じ、周辺の遊牧騎馬民族が晋になだれ込んで激動の五胡十六国時代をむかえることになる。

そのとき、高句麗を含む扶余人も一緒に華北に侵入したらしいのだが、騎馬民族のひとつ鮮卑人の慕容氏が華北に前燕という国をたて、扶余人は中国への道を阻まれた。

(この前燕こそ高句麗最強の敵で、のちに一旦、国を滅ぼされることになる)

これによって扶余人は進路を西から南へ転換、中国・晋王朝の植民地であった楽浪郡を313年滅ぼし、高句麗は朝鮮半島北部に領土を広げた。 扶余人の一部はさらに半島を南下し百済を建国したものと思われる。

このあたりから高句麗はようやく朝鮮半島と本格的にかかわってくるのだが、それでも都は依然として現在の中国吉林省集安にある丸都城であり、有名な広開土王の碑文や墳墓もここにある。

平壌を中心とする黄海に面した平野部は、植民地時代から続いて中国人系貴族がおさえていたらしい。

そして342年には前燕が高句麗に侵攻し首都・丸都城は陥落、高句麗王の母や妻を連行した上、略奪のかぎりをつくす。 都から命からがら逃れた高句麗第16代・故国原王は前燕の都へ赴き、高句麗が前燕の臣下となることを誓い、人質を返還してもらう。

342年の出来事は、南北朝鮮人のほとんどが知らないはずだ。 歴史教科書で教えられていない。 「高句麗の歴史は常に南北朝鮮人にとって誇らしいものでなければならない」と考えられているからではないか。

朝鮮半島の黄海に面した平野部をおさえていた中国人系貴族は、その後ゆっくりと高句麗の支配下にとりこまれていくのだが、この中国系貴族が高句麗の発展に大きく関わってくる。

そうした中国系貴族の代表が、黄海に面した半島平野部に散在する壁画古墳の主たちで、黄海南道にある有名な安岳3号墳の壁画の主人公・
イ冬寿や、平安南道にある徳興里古墳の主で、姓は不明で名は鎮とだけわかっている人物である。

(イ冬 でひとつの漢字)

イ冬寿は、中国の歴史書・資治通鑑にもその名がみえる前燕の武将で司馬(参謀長)の要職にあった。後に高句麗に亡命。安岳3号墳の墓誌にその名が刻まれている。

彼は中国(漢)人か、漢化した鮮卑人と思われる。



安岳3号墳の壁画 イ冬寿

このへんも、韓国ではまったく教えられていないので、安岳3号墳の壁画に描かれている人は生粋の高句麗人であると韓国人の99%が信じていると思うし、

北朝鮮ではこの壁画の人物は前述の故国原王だと言っているが、安岳3号墳の墓誌にあった東晋の永和13年(西暦357年)という銘と故国原王の没年である371年とはあわないので、お話にならない。

そもそも高句麗の壁画古墳は、中国山東省あたりの壁画古墳の様式を受け継いでいて、高句麗本来の古墳の様式ではない。

こういったことが南北朝鮮でほとんど知られていないのも、高句麗人は南北朝鮮人の祖先であり、だからこそ高句麗は高句麗人によってのみ建設され発展しなければならないといった、歴史における”朝鮮民族優越主義”が原因なのだろう。

この歴史における”朝鮮民族優越主義”が、韓国人のナショナリズムを刺激して、「高句麗や渤海のあった中国東北地方も、韓民族が取り戻さなければならない故地だ」という主張につながっていくわけだ。

 とまあ、ちょっとマニアックな話となったが、中国の歴史書や考古学的発掘の成果から推測される高句麗の歴史をたどってみた。

私の独自の考えも混じっているので、歴史学会の公式見解とは違う部分もあることをお断りしておくが、今のところ私が一番可能性が高いと考える説を紹介してみた。

 ここまで辛抱強くお読みになった方にはわかるだろうが、高句麗の発展には中国人の強い影響があったし、現に高句麗の都であった丸都城が中国・吉林省集安にある以上、高句麗の重要な遺跡や遺物の大半が中国の手の内にある。

北朝鮮といえども、中国の東北工程に対抗するのは難しいし、ましてや韓国にとっては、国境から遠く離れたところで行われる中国の工作を、指をくわえて見ていることしかできない。

いや、これまでノ・ムヒョン政権は中国に恐れおののいて、はじめから正面からの対決を避けてきたように見える。

強引に押してみて相手が反抗しないと見ると、さらに強く踏み込んでくるのが中国というものである。

高句麗や渤海ではあきたらず、今度は箕子朝鮮までもちだしてきた。
それが韓国側の言うように、「漢江流域まで事実上は古代中国の領土であり、したがって古代中国の歴史に含めなければならない」と主張するためのものかはわからない。

だが、北朝鮮が中国の経済的属国になりつつある今、中国が北朝鮮を自らの一省としてしまっても、中朝国境にまたがって居住する朝鮮人から反発が出ないようにするための布石なのかもしれない。

中華思想による領土拡張主義に底知れぬ恐ろしさを感じる。

ノ・ムヒョン政権は、極めて感情的な反日原理主義をかかげ国民を煽り、海軍・空軍力を強化して南への防御体制を固め、不毛の岩の塊である竹島を守ろうとしているが、その一方で陸軍力の相対的弱化を招き、中国による東北工程に対して全くの無力だ。

歴史分野で日本に対抗するために、中・韓同盟をむすんだにもかかわらず。

私には、不毛の島ひとつより、人が居住できて天然資源もある半島北部の方がより重要に思えるのだが、ノ・ムヒョンはそうではないらしい。

ノ・ムヒョンの、あまりの”高等戦術”に全く恐れ入るほかない。

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関連記事・韓国の背後で蠢く中国

奉祝、親王さまご誕生!!

  • 2006/09/07(木) 01:03:04

 奉祝、皇孫(すめみま)生(あ)れませり。

今日は、大方の政治系ブログがこの話題なのではないだろうか。

 秋篠宮妃紀子さまは、6日午前8時27分、東京・南麻布の愛育病院で、親王さまをご出産された。 親王さまは体重2558グラム、身長48.8センチで、紀子さま親王さまともに大変お健やかという。

親王さまは、秋篠宮ご夫妻の三人目のお子さまで、1965年11月の秋篠宮さま以来、約41年ぶりの親王さまご誕生となった。

紀子さまが、元気なお子さまをご出産なされただけでも大変おめでたいニュースなのだが、男のお子さま、親王さまご誕生ということで、なおいっそうおめでたい晴れ晴れとしたニュースとなった。

皇室典範では、親王さまの皇位継承順位は皇太子さま、秋篠宮さまに次ぐ第3位となる。

 親王さまご誕生のニュースは、日本だけでなく海外でも速報として伝えられたようだ。

フランスのAFP、イギリスのロイター、ドイツのDPA通信などが「将来の天皇が誕生した」と一斉に報じ、アメリカCNNは人気アンカーのウォルフ・ブリッツァー氏が「おめでとうございました」と述べたそうだ。

引用記事 

引用記事 

 古事記・日本書紀などの伝説では2600年以上、考古学的調査の結果からみても1700年以上は続いているであろうと私には思われる、世界最古のロイヤルファミリーである日本の皇室。

それだけでも奇跡的というか、日本人にとってかけがえのない財産だが、皇室はこれまでずっと男子継承という伝統を守ってきた。

その伝統が守られることとなったのだから、喜びも倍増以上である。

 紀子さまのご懐妊報道以来、当ブログではあえてこの話題を一切避けてきた。

それは、この話題を取り上げればどうしても親王さまご誕生への期待という話になってしまうし、親王さまご誕生への期待を世論に向けて煽ることは、紀子さまや皇室に無用のプレッシャーを与えてしまうことになるからだ。

その後、紀子さまのお子さまの性別がわかる時期になっても、その話が一切出てこなかったことから、私は次のお子さまは、男子つまり親王さまだと確信した。

なぜなら、性別が判明して次のお子さまが女子つまり内親王さまだったら、秋篠宮ご夫妻にご報告した上で、国民にすぐさま発表したほうが、紀子さまに無用なプレッシャーがかからない。

しかしそうではなかったことから、秋篠宮ご夫妻はご存知でも国民に知らせなかったということは、親王さまではないかと予測したのである。

だからなおのこと、この話題を避けてきた。

 ところが、私の予測はハズレのようである。

報道によれば、秋篠宮ご夫妻はご出産されるまで、どちらかご存知なかったようだ。 病院の医師たちも、ほとんどが知らされていなかったと聞いて、ちょっと驚いてしまった。

 ともかく今日は理屈抜きで、おめでたい。
久しぶりに列島に明るいニュースがかけめぐったと思う。

天皇皇后両陛下、秋篠宮両殿下、本当におめでとうございます。

親王さまの健やかなご成長を心よりお祈りいたします。



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竹島海域の海洋調査を速やかにすすめよ!

  • 2006/09/06(水) 01:05:13

 4日から2日間の日程で行われていた、日本と韓国との第6回排他的経済水域(EEZ)境界画定交渉が決裂した。

外務省の小松一郎国際法局長が首席代表を務めた日本側は、日本のEEZの基点として竹島を主張し、韓国外交通商部の朴喜権・条約局長が首席代表を務める韓国側は、以前は韓国のEEZの基点を鬱陵島としていたのを竹島に移動させ、日本と韓国の中間線を、竹島と島根県の隠岐諸島との間とすると主張した。

日本側はこれに対抗して、東シナ海の日本のEEZ基点を鳥島に変更すると主張し、東シナ海における韓国側のEEZ水域を狭めることを狙った。

さらに日本側は、日韓が主張するEEZが重複している海域での海洋調査について、実施する際は、お互いに相手国へ通報することを提案し、毎年、夏から秋にかけて竹島周辺海域で放射能調査を行っていることを説明した。

だが、韓国側は日本側の主張にことごとく反発したもようで、交渉は物別れに終わった。

6日からは谷内外務次官が訪韓して”日韓戦略対話”が行われるが、そこで継続協議となる見通しだ。

引用記事 

引用記事 

 今回の交渉は、今年4月に日本が竹島海域で海洋調査を計画し、調査船を準備までしたが、これに韓国が狂ったようにエキサイトし竹島の守りを固めたため、谷内次官が訪韓して急遽開かれた交渉の結果、決まったものだ。

その時の交渉では、日本が海洋調査をひとまず中止するかわりに、韓国側は、6月の国際会議で竹島周辺の海底地形に韓国名をつけるための申請をしないこと、適切な時期に日韓EEZ交渉を再開させることの二点を約束した。

日本側の海洋調査計画は、韓国が、日本からの抗議を無視して竹島周辺でたびたび海洋調査をしていることと、国際会議で竹島周辺の海底地形に韓国名を申請しようとしたことへの、対抗手段の意味合いがあったものと思われる。

日本が海洋調査を中止した見返りとしての韓国の約束はどうやら守られたようだ。

当初は一部の韓国マスコミが、「韓国側は交渉において、6月の国際会議で韓国名を申請するのを断念するとは言っていない」と報じていたが、断念させられた事が悔しい韓国マスコミの希望的観測だったのかもしれない。

ただ、4月にアップした記事にも書いたとおり、この二つの見返りは日本としては”もうけ”が少なすぎた。

竹島はまぎれもなく日本固有の領土なのだから、韓国にたとえ拿捕されても海洋調査を行うべきだったし、その方が日本として先手が打て、しかも問題が大きくなればなるほど竹島問題が領土紛争として世界から注目される。

そうなれば、韓国が「独島(竹島)は、領土紛争なき韓国固有の領土」と主張するという手が使えなくなるし、世界が注目すればするほど、韓国のデタラメさを宣伝しやすくなる。

確かに今回EEZ交渉が行われたことは、韓国が竹島問題が領土紛争であると認めたとも言え、日本側にとっては得点となったかもしれないが、やはり世界に与えるインパクトが小さい。

4月の日韓合意は、根本的な問題を先送りしただけだったように思う。

 そうこうしているうちに、今年の7月、北朝鮮によるテポドン騒ぎのドサクサにまぎれて、日本の再三の抗議を無視して韓国は海洋調査を強行した。

韓国の反発に配慮して、4月に日本が海洋調査をとりあえず中止したにもかかわらずだ。

韓国がこの問題で主導権を取り返したいと考えたのだろうが、それでも日本は拿捕せず、竹島周辺海域に侵入した韓国海洋調査船にぴったりと巡視船をはりつけて、抗議メッセージを無線などで伝えるだけにとどめたようである。

9月になって、ようやく北朝鮮のテポドン騒ぎもおさまり、今回の日韓交渉となったわけだが、交渉はやっぱり平行線をたどり決裂した。

 こうなったら、竹島周辺で日本も放射能調査なり海洋調査なりを速やかに実施するしかない。

7月に強行された韓国の海洋調査に対し、日本はバカ正直にも国連海洋法条約を守り、韓国の調査船に指一本触れなかった。

だったら、そのアドバンテージを生かすべきだ。

日本が竹島周辺に調査船を送っても、国連海洋法条約では韓国にそれを拿捕する法的根拠はない。

韓国が拿捕しなければ、日本にとって必要不可欠な海洋データがとれ、既成事実もつくることができるし、血迷った韓国が拿捕すれば、国際法違反として韓国を非難する国際的キャンペーンをはることができる。

(日本が調査を行う場合は、調査船の航行記録を明確な科学的データとして残しておかないと、後で韓国側を非難するときの根拠がなくなるから注意が必要だが)

 今まで、日本政府・外務省は竹島問題を穏便に解決しようとしすぎた。

それに”話し合い原理主義者”ばかりで、実力行使で竹島問題を解決する覚悟は無いくせに、話し合い解決のために世界へ根回しもしないという、話し合いでも実力行使でも両方とも中途半端というのが、日本の特徴だった。

今後は、日本による竹島領有権の根拠と韓国側の主張の矛盾を指摘した、理論武装のためのテンプレートをつくって、それをもとに政府首脳が演説をしたり、政府でパンフレットをつくったりして、日本国民や世界各国によく宣伝し、世界を日本の味方につける形で竹島問題の解決をはかるべきだと思う。


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関連記事・韓国調査船が竹島近海に今日にも接近か

関連記事・竹島海洋調査は一応決着か?

ノムヒョンが安倍”新首相”に首脳会談をオファー?

  • 2006/09/05(火) 01:02:08

 小泉首相の靖国参拝から半月がたった。

左翼マスコミや一部の政治家は、相変わらず「首相の靖国参拝で大きな打撃を受けた、日本のアジア外交を立て直せ」という主張を垂れ流している。

あれから半月たったが、世界にこれといった変化はみられず、靖国反対派の期待とは裏腹に、首相の靖国参拝が原因で日本が世界から孤立する兆しは全くみえない。

「中国で靖国参拝に反対する暴動は起こりませんでした」とマスコミが驚いたように報道する始末である。

読売とギャラップ社などが共同で実施した「アジア7か国世論調査」も興味深い。 その結果は、「首相の靖国参拝でアジア外交は大きな打撃を受ける」「これによって日本はアジアで孤立する」という主張とは全く逆だった。

インド・インドネシア・マレーシア・タイ・ベトナムのアジア諸国で、「日本との関係が良い」と答えた人がどこも90%前後に達した。「日本を信頼できる」と答えた人も75%を下らなかった。

「日本は世界に良い影響を与えているか」という質問では、YESが8割を超えた。 人道復興支援のための自衛隊海外派遣に賛成かについても、賛成が反対を上回った。

日本の首相の靖国神社参拝を「構わない」と答えた人は、インドネシアを除いて反対を上回っている。

なお世論調査で韓国だけが、自衛隊の海外派遣や靖国参拝にNOが多かった。

引用記事 

 調査は今年の8月15日以前に行われたものだが、これまで小泉首相が繰り返し靖国神社を参拝しても、インド・東南アジア諸国の大半の人が「日本との関係が良い」「日本を信頼できる」と答えており、

靖国参拝反対派の言う「日本はアジアで孤立する」のアジア、「日本に軍国主義が復活した」とデマを飛ばして日本に内政干渉するような非常識なアジアとは、世界でたった三カ国、中国・韓国・北朝鮮のいわゆる特定アジアだけだったということが、しつこいほど裏付けられたわけだ。

 その特定アジア三カ国でも中国は、北京指導部の面子のため、あるいは軍部・江沢民が影響力をもつ上海閥など反日原理主義者の手前、いったん振り上げた拳をどこへ下ろすか、その落としどころに苦慮しているといった感じで、

日本との実利関係を破壊しないように、これまでの過剰な日本叩きを控え、むしろ小泉首相の8月15日参拝のダメージを北京指導部が必死になってコントロールしていたようだった。

こうなってくると冷静に周囲を見渡してみれば、本当に孤立しているのは、靖国神社の存在そのものに反対して反日原理主義に血道をあげ、アメリカともギクシャクしている韓国のノ・ムヒョン政権だけといった状況だ。

 そんな中、産経・東京新聞・共同通信など複数のマスコミが、次期首相の最有力候補である安倍晋三官房長官に対して、ノ・ムヒョン政権が複数のルートを使って、首相になった際の日韓首脳会談実施を打診していたことがわかったと報じている。

引用記事 

 ノ・ムヒョン政権はすぐさまこれを否定したので、どこまで本当かはわからない。

それでも、日本に不毛な”宗教戦争”をしかけ、外交の底無し沼にはまり込んでいる韓国に、現在の苦境を脱出するための道を見つけ出したいと内心思っている人間はいるだろう。

それはノ・ムヒョンやバン・ギムン外相自身かもしれないし、滅茶苦茶な外交を繰り返す”アマチュア大統領”による”NGO政府”、ノ・ムヒョン政権に見切りをつけた韓国外務省や国軍の文官・武官が勝手に動いているのかもしれない。

 だが、この状況で日本が焦って日韓首脳会談に応じる必要は全くない。
記事にあるように「日韓首脳会談に慎重」というのが本当なら、安倍氏周辺の判断は正しい。

まず先ほども言ったように、日本と特定アジア三カ国を除く世界との関係は何の問題も存在せず、日本としては断然有利な状況である。 日中関係も実利面では全く影響を受けていない。

このような情勢下、日中・日韓首脳会談があるかないかといった象徴的な話は気休め程度の問題であって、気休めのために日本が国益を失う必要は全くない。

ここで無意味な譲歩をすれば、これまでの苦労が水の泡になる。

 次に日韓首脳会談があるとすれば、靖国神社に参拝する日本の首相と、それを受け入れて日本への内政干渉を一切止めた韓国大統領との会談でなければならず、そうでないなら、日韓首脳会談がなくても日本は一向にかまわない。 

韓国側が金輪際、靖国問題について一切触れないと確約するなら、ただ会って、差し障りのない話をして笑顔で握手して帰ってくるという象徴的な意味での日韓首脳会談を、来年の参議院選挙の前に一回ぐらいやっても良いかもしれないが。

韓国や中国は「安倍氏が首相になれば、靖国参拝は止めるのではないか」という淡い、最後の望みをかけているフシがあるが、日本としても相手に間違ったメッセージを与えないように、「安倍首相が誕生しても靖国参拝は継続します。だからもうあきらめなさい」という明確なメッセージを伝達すべきだと思う。

安倍氏がそれを韓国などにリークされたくなければ、日韓首脳会談を控えたほうが無難かもしれない。

 これに関連して、日本政府内の一部の人間が「今、孤立しているのは韓国だけですよ」と一生懸命ソウルにささやいて、日韓関係正常化に動いていると産経が報じている。

「和をもって尊しとなす」の日本人は、「他人ともめる」ということに本当に堪え性が無いなとつくづく思う。

日本に正当性があって、しかも国際情勢的に絶対有利という状況なのだから、韓国が「悪うございました、日韓関係を修復しましょう」と言ってくるまで、デーンと構えていれば良いのであって、今後、日韓で交渉をやるつもりなら、そうしてこそ交渉を有利に進められるというものだ。

こちらが焦っているように韓国に誤解されては、後々面倒になるだけである。

韓国のバン外相は「日韓間の伝統的な友好関係を考慮するならば」と発言しているが、靖国問題・歴史教科書問題・竹島問題など事あるごとに、「日本は過去を反省していない」「日本が軍国主義の本性をあらわした」と叫んで、さんざん韓国が日本の横っ面をビンタしてきた状況で、よくこんな寝ぼけたことが言えるなと思う。

引用記事 

日本と韓国の間には、伝統的な友好関係が存在したことなど一度も無かったのであって、もし存在したとすれば、韓国によるサギのような手ひどい裏切りの連続であった。

現在、日韓で戦略対話というのをやっているが、この名称もやめるべき。
日本と韓国は戦略的パートナーでは決してない。

こんなところからも、日本政府・外務省は韓国に対し、自らの怒りのメッセージを正しく伝達するということに失敗しているのではないかと思う。

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関連記事・韓国と、どうつきあっていくべきか?(その2)

IMF改革と財務省の新・大アジア主義

  • 2006/09/02(土) 00:47:41

 国際通貨基金(IMF)で31日、中国・韓国・トルコ・メキシコのクォータ(出資割当額)を引き上げることが内定した。 9月にシンガポールで行われるIMF総会で正式決定される予定だ。

クォータの引き上げ幅は、上記4カ国合計でIMF加盟国全体の出資総額(3170億ドル)の1.8%(57億ドル)となるもようだ。

引用記事 

 IMFとは、世界各国と経済政策・通貨政策について対話を行ったり、国際収支の悪化した国に金融支援をしたりする国際機関のことで、現在の加盟国数は184カ国である。

記事に出てきたクォータとは、IMFが経済危機に陥った国にお金を貸す時の原資となるもので、加盟国がIMFから融資を受ける際も、クォータの額によって借り入れ限度額が決まる。

クォータの額はその国の経済力などで決まり、25%まではSDR(特別引出権)またはドル・ユーロ・円などの信頼性のある通貨で、残りは自国通貨で払い込むことになる。

 また、IMFの意思決定機関における各加盟国の投票権の大きさもクォータで決まるという特徴がある。 加盟各国は基礎投票権250票に加え、クォータの額10万SDRごとに追加投票権1票が与えられる仕組みとなっている。

わかりやすく言えば、国連総会では各国が平等に1票ずつしか投票権を持たないが、IMFでは各国が供出したクォータの額によって持っている票数が異なるということだ。

最大の票数を持つのはアメリカで約37万票(全票数の17.1%)、2位は約13万票(6.1%)の日本。 中国は約6万票(2.9%)で韓国は約1万3千票(0.06%)、最小はパラオの281票(0.013%)となる。

ということは、今回IMFが中国や韓国のクォータを引き上げれば、IMFにおける中国や韓国の発言権が大きくなるということである。 今日の記事のポイントはこの点にある。

IMFクォータについての詳細

 中国や韓国などアジアの発言権が実際の経済力に比べて小さすぎるとして、IMFや先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の場で盛んに働きかけていたのは、他でもない谷垣財務大臣ひきいる財務省閥の面々である。

引用記事 

谷垣財務大臣ひきいる財務省閥が、戦前の”大アジア主義”の焼き直しのような思想を強く持っていることについては、以前の記事で取り上げたとおりだが、

欧米の影響力が強いIMFで、日本が中・韓を助けてアジアの影響力を拡大させようとする、財務省閥の”新・大アジア主義”の影がここでもちらついている。

当然、「靖国問題などでギクシャクしている対中・対韓外交を立て直すべきだ」と主張する谷垣財相としても、ここで日本が中・韓のためにがんばって汗をかけば、中・韓が日本を好きになってくれて日本の対アジア外交が上手くいくようになるだろうという思惑もあるのではないか。

 確かに、世界経済に占める中国の経済力の大きさからすれば、IMFにおける中国の発言権は小さいと思う。

しかし、人民元を市場メカニズムに任せるのではなく中国政府が人為的にコントロールし、どんなに対米貿易黒字を積み上げても人民元の対ドルレートがごくわずかしか切り上がらないようにするという近隣窮乏化政策をとるアンフェアーな中国のIMFにおける発言権を大きくしてやることは、極めて危険ではないだろうか。

アメリカはIMFに、世界の為替市場がバランスのとれたものとなるよう監視する役目を強化してもらいたいと考えているはずだが、中国が人民元相場をコントロールして近隣窮乏化政策をとっていることについて、IMFが中国に注意を与えようとしても、IMF内で中国の発言力が高まってしまえば、結局IMFは中国に何も言えなくなってしまうのではないかという強い危惧を私は持っている。

もしかしたら、IMF内で中国に責任あるポジションを与えることで、中国が人民元相場をコントロールして近隣窮乏化政策をとるような無責任なことをやめさせようと考えているのかもしれないが、それは楽観的過ぎると思う。

中国は国連安保理で常任理事国という責任あるポジションについているが、国際社会が、核開発や大量破壊兵器の保有をすすめるイランや北朝鮮に対して制裁をしようとすると、決まってそれを妨害するのは責任あるポジションについているはずの中国である。

むしろ中国は、北朝鮮やイランに武器を供給する無責任極まりない国なのであって、国際機関で中国に責任あるポジションを与えれば、中国は無謀なことはしないだろうという中国性善説を信じる人はナイーブ過ぎる。


中国のIMFクォータを引き上げる代わりに、中国が人民元を完全変動相場制に移行させるという確実な約束をするのであれば、話は別だけれども。

本来ならIMFで2番目に発言力のある日本がイニシアチブをとって、中国に対して人民元相場の人為的コントロールをやめよというメッセージをIMF全体として出させる方向へ持っていかなければならないのではないか。

 また、日本と中国・韓国との二国間関係からしても疑問だ。

IMFにおける中国の立場は世界経済における中国のポジションを正しく反映していないという主張はわかるが、だったら国連における日本の立場は、日本の国力の世界に占めるポジションや国連への貢献度を正しく反映しているとはとても言えない。

そこで国連安保理改革の話が出たわけだが、中国・韓国はそんなことは一切お構いなしに日本の常任理事国入りを全力で叩きつぶしにきたのである。

国連で中・韓に煮え湯を飲まされた当の日本が、どういうわけでIMFにおける中・韓の発言力・影響力の向上に、先頭を切って汗を流さなければならないのか?


日本がIMFにおける中・韓の発言力・影響力の向上を実現するかわりに、中・韓が日本の常任理事国入りを実現させるというバーター取引でもあるのなら話は別だが、そうではあるまい。

 谷垣財相と財務官僚の面々は普段新聞も読まないからこうしたこともわからないのか? それとも素で抜けているのか?

中国の東シナ海ガス田開発によって日本の国益が損なわれているというのに、財務省管轄下の国際協力銀行が中国の東シナ海ガス田開発に融資するという、あの大失態が再び脳裏によみがえる。

 財務省が現在やっていることは、日本全体の外交政策とまったく整合性を欠いているし、フェアーな人民元為替相場の形成に役立つのか大変疑問だ。

財務省は日本の政府内政府として、自分勝手に”新・大アジア主義”に突っ走っているようにみえる。

その姿は、戦前の政府内政府として好き勝手やっていた軍部や、軍部内軍部として、あたかも野に放った虎のようだった関東軍とダブって仕方がない。

財務省の”新・大アジア主義”には要注意だと思う。

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小泉首相の中央アジア歴訪

  • 2006/09/01(金) 01:01:37

 小泉首相は、中央アジアのカザフスタン・ウズベキスタン歴訪を終えて30日帰国した。

日本はカザフスタンと原子力関連のエネルギー協力で合意、ウズベキスタンともウラン鉱石・石油・天然ガスの日本への供給等で情報交換することで合意した。

引用記事 

引用記事 

 小泉首相の退任が間近に迫っている状況での、中央アジア歴訪はどちらかというと象徴的な意味あいが強くなってしまうのではないかと思われるが、それを差し引いても日本の最高指導者が中央アジアを訪問したという意義は大きいと思う。

なんでも、日本の首相のカザフスタン・ウズベキスタン訪問はこれが初めて!ということで、ソ連崩壊以降、両国の大統領は何度か訪日しているはずだが、日本の首相が答礼訪問を一切サボっていたとは驚くばかりである。

天然資源に恵まれた中央アジアのような、日本にとって重要な国々からのラブコールを無視して失礼なことを続けていたツケが今になって日本に降りかかってきているわけで、

90年代以降の歴代政権に、外交戦略という思想がほとんど無かったことが良くわかるし、そうしたことを注意すべき立場にある外務省はいったい何をしていたのであろうかと腹立たしくさえ思う。

外務省内に「日本の首相はアメリカと中国と韓国それにサミット会場を訪れるルーチンワークをこなしていれば間違いない」というマニュアルでもあったのだろうか。

 日本が中央アジア戦略に出遅れてしまった原因は外交戦略の欠如の他に、日本外務省の”ロシアへの配慮”があったのではないかと思う。

「またもや”配慮”か!」といった感じだが、旧ソ連を構成していた中央アジア諸国は、それまで事実上ロシアの植民地であった。

ロシアのナワバリである中央アジア諸国に日本が接近すれば、日本はロシアに嫌われてしまって、怒ったロシアは日本に北方領土を返してくれなくなる。
だからロシアに配慮して中央アジアに手を出さなければロシアは日本に好感を持つだろうという論理である。

新聞など各種報道を見ていると、日本と中央アジア各国との外交ニュースが報じられるたびに、ある”外交関係者”が「中央アジアとの関係強化のためにはロシアの意向は無視できない」みたいなことを盛んにコメントするので、「ロシアに配慮して今まで中央アジアに手を出さなかった」という推測は大きく外れていないのではないか。

 だが今になってみれば、外務省の対ロシア外交も対中央アジア外交も、完全に失敗だったことは明らか。

上海協力機構結成によって中央アジア諸国はロシア・中国の強い影響下にあり、しかも北方領土返還のメドは全く立っていないどころか、ますます遠のいている現状である。

90年代はじめのソ連崩壊直後が、北方領土問題を解決し中央アジア諸国と関係を強化する絶好のチャンスだったのだが、日本はこの千載一遇のチャンスを両方とも逃してしまった。

こういうことは、たとえロシアからニラまれてもやっておくべきで、外国から嫌われるのをビクビク恐れていては、友好国などつくれやしない。
「誰にも嫌われていないという人には、親友と呼べる友もいない」である。

だが小泉政権前期までの日本外交は「誰にも嫌われない」ということを最大目標にしていたから、むべなるかなであるが。

 ともかく遅すぎたとはいえ、まだ完全に手遅れというわけではないから、ロシア・中国に嫌われてもどんどん中央アジア諸国との関係強化に動くべきである。

中央アジア諸国から日本が石油を輸入するとなると、中国・ロシアを迂回して大回りとなってしまうかもしれないが、石油をタンカーで輸送する場合の経費は、液化が必要な天然ガスと比べるとかなり安いはずである。

今後、核開発をやめようとしないイランが制裁を受けるようなことがあれば、イラン産原油の輸入ができなくなるかも知れず、たとえ大回りになっても中央アジアからコーカサスを通るパイプラインで運ばれた原油をトルコの地中海沿いの港・ジェイハンから船積みして調達できれば、日本としても大いに助かるだろう。

よって、日本がカザフスタンやウズベキスタン・トルクメニスタンといった中央アジア諸国との関係強化でエネルギーを得ようとする場合、アゼルバイジャンやグルジアといったコーカサス諸国との関係強化もセットで考えなければならない。

ここでも私に、日本の首相や外相がアゼルバイジャンやグルジアを訪問したという記憶が無いのだが私の記憶違いだろうか、それとも政府・外務省の無策怠慢だろうか。

 また、これは以前にも提案したが、日本が中央アジア諸国と関係強化をはかる場合、トルコと協力して進めたらどうだろうかと思う。

イラン系のタジク人を除くと、カザフ・ウズベク・キルギス・トルクメン人はすべてトルコ系で、トルコと中央アジアの人々は親戚関係にあり、コーカサスのアゼルバイジャン人もトルコ系だからだ。

つまりトルコに”親戚”と日本の仲を取り持ってもらうのである。

トルコには先ほども言ったように、中央アジア産の原油が通るパイプラインがあり、そうした観点からも中央アジア諸国との資源外交強化とトルコ・コーカサス諸国との関係強化はセットで考えなければならない。

幸いトルコは世界屈指の親日国家であるので、日本としてもこのチャンスを逃す手は無い。

詳しい解説は省略するが、アゼルバイジャンとグルジア・アルメニアにトルコを加えた対コーカサス外交を考える場合、トルコ人とアゼルバイジャン人の両トルコ系民族とアルメニア人は不倶戴天の敵同士の関係にあるということは、基礎中の基礎知識である。

まさか知らないなんてことは無いと思うが、政府・外務省には念のためダメ押ししておく。

 エネルギー資源の供給地を分散するためにも、中央アジア・コーカサスにトルコを加えた地域は、日本にとって大変重要である。

日本は、アメリカやEU諸国それにNATOなどと協力しながら、政治・経済・安保など様々な分野での関係強化をはかるべきだ。

小泉首相に続いて次期首相や外相も中央アジアやコーカサス諸国をどんどん訪れてほしいし、これまでのようにただ援助をばら撒くのではなくて、これらの国々へ日本からの投資や貿易が増えるような政策をすみやかに実行してほしい。


ロシアや中国の新聞から嫉妬されるような記事を書かれて、はじめて日本の中央アジア外交は上手くいったと言えるのではないだろうか。


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