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韓国が麻生外相のクビを狙う?

  • 2005/11/30(水) 23:24:43

 戦前・戦中に日本軍に徴兵されたり、日本企業に徴用されて死亡した朝鮮半島出身者の遺骨返還をめぐる第三回日韓当局者協議がソウルで開かれたが、そこで韓国側は福岡県内の旧麻生鉱業に対する関連調査と資料の提出を求めた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051130-00000017-nnp-int

 旧麻生鉱業とは麻生太郎・現外相の父で、衆院議員だった麻生太賀吉氏が経営していた会社だ。

何故ここにきて韓国政府が、旧麻生鉱業を狙い撃ちにして資料の提出を求めたかと言えば、もう察しの良い方はお気づきだろう。

旧麻生鉱業の”非人道的な犯罪”を掘り起こして全世界に公表し、その旧麻生鉱業の社長だった麻生太賀吉氏の血をひく麻生太郎外相を「悪魔の子孫」「犯罪者の末裔」と騒ぎ立てて、麻生外相の失脚と政治生命の断絶を狙ったものである可能性は極めて高い。

つまり、中国・韓国が必死になって麻生外相をひざまづかせようとしているにもかかわらず、それが現時点で困難なため、韓国は”父親がおかした犯罪”をネタに麻生外相の”クビ”を取ってやろうというのだろう。

 以前、「自民党の安倍晋三氏や中川昭一氏がNHKに圧力をかけたために番組内容を改変させられ、報道の自由が奪われた」と朝日新聞が”誤報”を流したことがあった。

問題は今も解決されていないが、左翼リベラルの代表的新聞・朝日と、朝日関係者と怪しげな左翼団体とのつながり、さらに左翼団体の背後でちらつく北朝鮮の影、といった構図を見れば、この”誤報事件”で最大の利益をこうむるのが誰か一目瞭然だ。

 安倍・中川両氏は北朝鮮への経済制裁を唱える最強硬派だ。そして経済制裁をされて一番打撃を受けるのは北朝鮮である。 仮に安倍・中川両氏が失脚すれば経済制裁発動は遠のき、北朝鮮が最大の利益をこうむる。

とすれば、日本国内の左翼団体や左翼マスコミに影響力を行使し、安倍・中川両氏のクビを北朝鮮が取りにいったと考えれば点と点がつながり、すんなりと合点がいく。
 
 北も南も同じ民族。血は争えないもので、こういう悪どい事には本当に知恵が良く回る。

数百年も前から、朝鮮半島の李氏朝鮮王朝では、宮廷貴族たちが敵対派閥の貴族たちを血祭りに上げるため、「(敵対派閥の)誰それが、国王陛下のお命を狙っている」というウソを流し、そのおかげで無実の人間が何人も死刑になったものだ。

そうした韓流の伝統はいまだ健在のようだ。ただ残念ながら、おつむの出来は日本のほうが更に1枚上手のようだが。

 韓国や北朝鮮がいまだにこんな子供だましのような手を使ってくる原因のひとつが、過去に何度も繰り返されてきた日本政府要人の”舌禍事件”だ。

具体例をあげれば、平成7年に「日韓併合で日本は悪い事もしたが良い事もした」と発言した江藤総務庁長官に対して(言っている事はまぎれもなく事実だが)韓国が日本に対する内政干渉を堂々と敢行して江藤長官の辞任を要求、

日本政府は「問題を穏便に解決する」という方針で韓国の内政干渉をやすやすと許し、発言が正しいのか間違っているのか一切吟味することなく、江藤長官に詰め腹を切らせた。

江藤長官の辞任をみた当時の韓国大統領・金泳三は、自分の”鶴の一声”で日本の閣僚のクビが飛んだことに有頂天となって、反日の盟友・中国の江沢民主席と江藤長官のクビが飛んだ当日の平成7年11月13日に会談、「日本のポルジャンモリ(でたらめ根性)を叩きのめしてやる」とまで言い放った。

 発言の内容が事実かそうでないか、正しいか間違っているかといった事が一切検討されること無く、日本の要人の発言が、中国や韓国政府が国民に行っている洗脳的歴史教育の”絶対的正義”とちょっとでも食い違うのであれば、魔女狩りのように日本の要人のクビが飛ぶ、などといった馬鹿げたことが、つい十年前まではまかり通っていたのだ。

 韓国も北朝鮮もそして中国も、この”蜜の味”が今でも忘れられないのである。 そのために、日本国内の左翼勢力に影響力を行使したり、旧麻生鉱業の歴史を掘り起こしたりして、「あの甘い夢よ、もう一度!」を狙っているのだ。

(だから夢も希望も無いということを、彼らに思い知らせてやらなければいけない)

そんな子供だましが今でも通用すると思っているのだから、中・朝・韓もおめでたいものだが。

 それもこれも、いとも簡単に外国の内政干渉を許し、閣僚の人事権という独立国家としての不可侵の権利を外国に売り渡すという、これまでの日本政府の外交の失策が招いたことだ。

ありもしない従軍慰安婦の”強制連行”を認め、”近隣諸国条項”で日本の歴史教育への中・韓の介入を事実上許可し、”日本軍遺棄毒ガス兵器問題”では、中国から理不尽なほど巨額の処理費用の要求を飲んだ事も、すべてにおいて、自民党・宏池会系の実力者である宮澤喜一・河野洋平・加藤紘一の三氏いずれかが必ず関係していた。

(そういえば、日本が単独招致に失敗して韓国に半分開催権を奪われた、2002年サッカー・ワールドカップの日本の招致活動を政治面から指導していたのは、”ワールドカップ日本招致国会議員連盟会長”の宮澤喜一氏だったっけ。

結局2002年W杯で、多くの日本人が”韓国の真のすがた”を知ることとなるのだが。)

 こうした積年の日本外交の失敗のツケがめぐりめぐって、あの戦争とは何の関係も無い多くの若者を含む日本国民に、大変な損害と苦痛を与えている。

 しかし、日本の状況もここ数年で激変した。

インターネットやブログの普及で、朝日や毎日など左翼マスコミが情報を独占してコントロールする事も不可能になり、日本国民が自分の手で、正確な情報を手に入れることが出来るようになった。

”愚民化政策”をとっている中・朝・韓とは違って、左翼のプロパガンダによって国民が一斉に躍らされるようなことは、日本社会において無くなりつつある。

 「靖国で騒いでいるのは中・韓だけ」といった、十年前なら辞任必至の麻生外相の言葉が日本社会でほとんどスルーされていることが、それを証明している。

また、「実は韓国への賠償問題は、韓国同意の上で日韓基本条約で解決済みだった」という事実も、ネット界では常識となりつつある。

「今までの”歴史カード”が日本に通用しない」それに焦った中国は、”日本軍の遺棄兵器処理”という新たなカードを日本人をひざまづかせるために持ち出してきている。 そして韓国が新しい切り札として期待しているのが”徴用という名の強制連行”である。

(徴用とは日本系・韓国系・台湾系を問わず、当時の日本国民がほぼ等しく持っていた”権利と義務”の内の”義務”であって、決して韓国系だけを狙い撃ちにした犯罪ではない。
 また、これについても日韓基本条約で解決済みだ。)

 しかし、容易に屈しない麻生外相のクビを取るために、韓国も姑息な手段を使って謀略活動を始めたのだろうが、よくもこんな卑劣な手段を取れるものだと思う。

クロフネは韓国の外交を”バーチャル外交”、あるいは”格闘ゲーム外交”と名付けている。

 TVゲームの一種に、TV画面の中の人物を自分がコントロールして、敵に蹴りを入れたりぶん殴ったりする”格闘ゲーム”というものがある。

これだと、自分は敵をボッコボコにしても、逆に自分が反撃を食らって、本当に殴られたり蹴られたりして、痛みを感じたり鼻血を出したりする事は絶対無い。

「だから自分は相手を殴るのは当然の権利だが、自分は絶対殴られない」とカンチガイして、リアルな実生活で他人に殴りかかれば相手に殴り返されボッコボコにされて、痛みを感じたり骨折したりして大変な事になるだろう。

この大カンチガイ野郎こそ、韓国そのものではないだろうか。

汚い策略で韓国や北朝鮮を批判する日本の閣僚のクビを飛ばそうとしたり、
歴史問題で、韓国の言う”日本の良心派勢力”(たいては左翼リベラルの人たち)に支援をして、日本人の右派と左派を戦わせて日本社会の分裂と”内戦状態”をつくり出し、それによって日本の衰退を狙ったり、
在日韓国・朝鮮人の参政権を要求して日本の政治を外部からコントロールしようとしたり、
国際社会で日本の名誉を傷つけるデマを流したりして、韓国は日本にたびたび殴りかかっている。

しかし、双方の腕っぷしの強さを比べれば日本のほうが勝っているのだから(つまり日本のほうが韓国より国力が数倍上ということ)、痛烈な反撃を食らい、ボッコボコに蹴りを入れられ殴られて鼻血を出してぶっ倒れるのは、当然力の弱い自分たち韓国のほうであり、「だから相手に殴りかかるのは止めよう」と考えるのが正常な人間というものである。

 しかし現在まで韓国が日本にやってきた、見え透いた数々の謀略は「日本から反撃のゲンコツが絶対飛んでこない。そんなこと想像も出来ない。」「韓国人がどんなに日本人を恨んでも、日本人が韓国人を恨むことは絶対無い」と決め付けた上で、やっているとしか思えないのである。

にんにく戦争でもふれたが、韓国政府の人間というのは自分が実際に殴られてみなければ、「他人にケンカを売って歩くとどうなるか?」という事がわからない人たちだ、とつくづく思う。

 クロフネは韓国がこれまでやってきた、あるいはこれからやろうとしている謀略の数々は、日本社会の破壊を企図した、戦争にも等しい敵対行為だろうと思う。

こうした韓国の敵対行為に対して、「日本は韓国の謀略行為は一切許さない。」というメッセージを発信するために、日本は韓国への断固とした厳しい報復措置を発動すべきだ。


 韓国もしたたかに日本から殴られれば、「これは格闘ゲームの画面の中のバーチャルな世界で起こっていることではなく、ケンカを売って歩くなんてバカなことをすれば、相手に殴られて鼻血も出るし骨折もするという、リアルな世界で起きていることなのだ」ということを思い知るだろう。

一見遠回りのように見えても、それこそが正常な二国間関係構築のために役立つのである。


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”反米原理主義者”を解剖する

  • 2005/11/29(火) 01:01:54

 最近ブログ界で、「とにかくアメリカのやることは何でも気に食わない」という”反米原理主義”の動きが一部でみられる。

彼らの意見の代表的なところを拾ってみると、

「超大国・アメリカのごう慢なやり方が気に食わない」
「アメリカは日本に”年次改革要望書”を押し付けて滅亡させようと狙っている。郵政民営化はその第一歩だ。だから同盟国としてふさわしくない。」
「アメリカは膨大な債務・人種差別・貧困など様々な問題を抱えており、もうダメだ。 だから民主主義も限界にきている。」

といったところになるだろうか。

 その”反米原理主義者”たちは「日本を滅亡させようと企んでいるアメリカと同盟関係を結ぶ小泉政権」をひたすらバッシングする方向へと必然的に進んでいくようだ。

「アメリカにただひたすら追従する”売国小泉政権”は、もう終わっている。」
「その小泉政権を誕生させた国民の大多数は真実の見えないバカだ。」
といった具合に。

いや、”小泉バッシング”が先で”反米原理主義”が後からついてきたのかもしれないが。

 そして彼らの行きつく結論は、「日本は日米同盟を捨てて、自立した誇り高き国になるべきだ」というタイプと「日本は日米同盟を捨てて、中国や韓国などと共に東アジア共同体を結成すべきだ」というタイプ、

あるいは、クロフネには矛盾に満ちているように見えて仕方がないのだが、その両者が混合したタイプの三つに分かれるように見うけられる。 また「打倒小泉政権」という主張では、三者は共通している。

 私はこのような考え方にどうしても賛成できない。 むしろ日本の自主独立が損なわれ、日本固有の伝統・文化も危機に瀕するだろうと考える。

 この問題をつきつめていけば「内政・外交双方をふくめて、日本にとって最良の政策をどうやって選択するか?」ということに行きつくと思う。

クロフネの政策選択のやり方は、「100%ベストとは言えなくても、現時点でとりうる政策のうちで最もベターなものを選択すべき」というものである。
場合によっては「最悪の事態を避けるために小悪を受け入れる」という事もありうる。

フランスの外交官、ジュール・カンボンが言っている通り、それが理性というものだろう。

 しかし”反米原理主義者”たちに共通するのは「100%ベストではない政策はとるべきではない」といった非常に潔癖症的で近視眼的な考え方ではないだろうか。 その結果として「70%は嫌い、30%も欠点がある。」と言って、40%の政策を選択してしまっているように思える。

その40%が「誇り高き自主独立」とか「中国と共同体を結成する」といった選択肢である。

 私は「”反米原理主義”の人たちは”理想の同盟国”というものを、いったいどのように考えているのだろうか?」といった疑問を抱かざるを得ない。
 
彼らは”理想の同盟国”を、「日本の主張には何でも賛成してくれ、日本が困ったら経済・軍事など各方面でボランティアのように無償で助けてくれる国」とでも考えているのだろうか?

もしそうだとしたら、何という甘ったれたナイーブな人たちなんだろうか。

 そんな都合の良い国は、この地球上に存在しやしない。アメリカはボランティアでは無いし、中国・韓国はもっと違う。

 それではクロフネが、日本の同盟国・アメリカをどう見ているかといえば、

アメリカとて独立国なのだから彼らが考える国益のために動く。

アメリカの国益とは、政治・経済・軍事などあらゆる分野での”世界唯一の超大国”としての地位を守る事であり、それに挑戦するものは容赦なくつぶす。

当然同盟国としての日本もアメリカの国益に協力してもらうし、対米協力というギブがあるから核の傘をはじめとするテイクがある。

対米協力というギブの中には、できる限りアメリカ企業・投資家が儲けやすいような形に日本経済が変化して欲しいというものも含まれているだろう。

以上のような話は共和党政権下の場合で、民主党が政権を握ると「日米同盟を意図的に軽視して米中関係を優先させるようになる」といった、日米同盟を含む対アジア政策に変化が生ずる可能性が高い。

といった具合だ。

 アメリカはボランティアでもなければ、理想の国でもないが、それに対して別段驚きはしない。

世界のすべての独立国は、自らの国益(つまり自分のエゴ)のために外交を行っているのであって、たとえ外国と同盟関係を結ぶ時でも、それが自らの国益のため、つまり彼らなりの打算と欲得があってのことであるのは明白だからだ。

世界最小の国の一つ、サンマリノだって世界最強の経済力と軍事力を持てば、それに応じた対日外交を始めるだろう。

 もちろん日本政府・外務省の中には「アメリカにハイハイと言って付いて行けば、ともかく間違いはないんだ。」と考える人たちがいて、彼らにも困ったものだとは思うが、だからといって「日米同盟を破棄せよ。脱米だ!」といった極論には私は走らない。

 日本も独立国なのだから日米同盟を維持しつつも、アメリカに主張すべき所は主張して「これ以上は譲れない」というところを示せばいいだけである。

そして日米同盟の維持がアメリカの国益にもつながっていることをよく説明し、日本の国益のためにアメリカの持つパワーを賢く”利用”させてもらえればそれでいい。

(これまで宮澤喜一・河野洋平両氏のような”譲歩原理主義者”の自民党・旧宏池会系の実力者が、中国・韓国に対して「おっしゃる事はごもっともです!」とひたすら従ってきた事が中・韓の”既得権益”となって、現在の日本との外交摩擦の原因となっているが、

彼らがアメリカに対しても同様に、日本として「これ以上は譲れない」というところを示さず、「ごもっともです!」とただひたすら譲歩を重ねてきた事が、「日本は強く叩けば必ず譲歩する」という確信をアメリカに抱かせてしまい、それが現在までの日米関係に存在する諸問題の根源となっている。

プラザ合意以後の急速な円高と、その後のバブル経済をふくらましつづけた時の経済政策の責任者が誰かを考えれば一目瞭然だろう。

対中・韓・朝だけでなく対米関係も含めて、近年における日本の外交政策の失敗の諸悪の根源は、自民党・宏池会の連中である)

 しかし”反米原理主義”に陥るような人たちは、”アメリカのエゴ”に今さらながら驚愕して、動揺して、あげくのはてに錯乱しているように見受けられる。

そして出た結論の一つが「日本は日米同盟を捨てて、自立した誇り高き国になるべきだ」といったものだ。

「日本は日米同盟を捨てて、”自立した誇り高き国”になる」その心意気や良しとするが、じゃあ現実問題として、どうやってそれを実現していくのか?

”脱米”を主張するからにはアメリカと本気でケンカする覚悟は出来ているものと見なすが、まず安全保障はどうする? 

アメリカの”核の傘”から離脱するなら、アメリカを含む他の核保有国に恫喝された時に備えなければならないが、国民や国際社会の反発を覚悟して独自核保有の道へと突き進むというのだろうか?

次に日本が経済活動をしていくのに必要な石油などのエネルギーや天然資源の調達をどうする?  日本自身が権益を持っている世界の油田は、日本が必要とする石油量の半分にもはるかに満たないはずだが。 それに日本まで資源を運ぶシーレーンの防衛を日本自身でやるというのか?

そして日本で生み出された商品・サービスをアメリカ以外のどこに売る?
中国?じょうだんじゃない、中国自身の国内消費の落ち込みによって、行き場を失った中国産工業製品の輸出ドライブに拍車がかかり、対米黒字が膨らむ一方だというのに。

 「現時点で”脱米・自主独立”政策を求める」というのは、「補給が受けられない戦場で戦争をおっぱじめる」ようなものだ。 その結果は日本の自滅以外ないだろう。

 アメリカと距離を取った外交をしているフランスは独自の核戦力と海外権益を守る空母艦隊を保有しているし、”ダッソー”をはじめとする軍需産業をかかえ、ある程度自前でフランス軍に最新兵器を供給できる。

また石油メジャーのひとつ”トタル”が全世界において石油権益の確保につとめ、それでもエネルギーの海外依存度を減らすために、先進国では異例なほど原子力にエネルギーを頼っている。

ロシアも巨大な核戦力と自前の軍需産業、そして石油・天然ガスの豊富なエネルギー資源を持っている。 だから両国とも、ある程度はアメリカとケンカができるわけだ。

 クロフネも「日本の自主独立」という選択肢を100%排除するわけではないが、それをやるには重いコストや痛みを伴うし、長期に及ぶ国家戦略に基づく準備が必要になり、現時点においては現実的な政策ではない。 今日明日からはじめられるという政策ではないのである。

だから「自主独立のコスト」と「日米同盟維持のコスト」を天びんにかけた場合、私は後者をとる。 「アメリカ・アズ・ナンバーワン」なんてくれてやれ、安いものだ。

もし前者の政策を取るのであれば、日本は長期にわたる準備と多大なコストをかけて”補給線の確保”に全力で努力しなければならないだろう。

 ”自主独立”を主張する人たちは、自称も含めて”ガチガチの右翼”といったタイプの人が多いようだが、戦前の日本を破滅へと導いた軍部の”軍人官僚”の発想と驚くほど似ている。

これについては別の機会にでもふれよう。

 それではもう一つの結論、つまり「日本は日米同盟を捨てて、中国や韓国などと共に東アジア共同体を結成すべきだ」というものだが、まったくの論外。

自分の分を確保するだけで手一杯の中国が、日本のためにエネルギー資源の面倒をみる事なんてできないし、日本で生産された商品やサービスの消費市場としてまったく不充分であるのは前に述べた通り。

さらに中国(東アジア共同体といってもいいが)とアメリカがまともにケンカすれば、軍事的にも経済的にも中国の敗北は目に見えている。

それは中国自身が経済的にアメリカ市場(EU市場にも)とアメリカからの投資に大きく頼っているからで、アメリカから貿易摩擦で叩かれるたびに、アメリカ製航空機を派手に大量発注して「アメリカ様のご機嫌を取っている」という事実が全てをあらわしている。

江沢民政権時代、中国政府がアメリカに発注した中国政府専用機のボーイング767に、盗聴器がしかけられていた事が発覚して大騒ぎになったのだが(CIAがやったらしい)、江沢民が怒り狂う軍部を押さえて”盗聴問題”を一切不問とし、屈辱的な対米屈従政策をとったのも、「今アメリカとまともにケンカしたら中国に勝ち目は無い」と見たからだ。

アメリカの電子偵察機と中国軍戦闘機が空中衝突したときも、中国のパイロットが”戦死”したにもかかわらず、江沢民はいきり立つ軍部をおさえてアメリカの「ベリーソーリー」という公式声明で、手打ちとせざるを得なかった。

 このように、強い相手には滅法弱い中国と日本が同盟を組んで、アメリカと決定的に対立したとき「日本を差し出せば中国は許してやる」とアメリカが要求したらどうなるか、と”東アジア共同体派”の人たちは考えた事があるのだろうか?

その場合、喜び勇んで中国は日本を差し出すだろう。打算と欲得にまみれた中国が日本のために体を張ってボランティアで犠牲になってくれるような事は有り得ない。

 そして何よりも日本が中国に庇護を求めた瞬間、「中国の核の傘に入りたければ、尖閣諸島の割譲と沖縄近海までの海底資源は全て中国のものと認めろ。 また、これ以後永久に政治家の靖国参拝は認めないし、中国政府が同意した歴史教科書しか使わせない。 さらに中国を批判する国内マスコミ・インターネットサイトやブログは全て閉鎖だ」という中国の要求を日本は飲まざるを得なくなる。

この中国の要求によって「正義の一等アジア人種たる中国人の国・中共」と、「悪魔の子孫である二等アジア人種日本人の国・日本」という、日本にとって屈辱的な国際秩序が固定化される。 これが亡国でなくて何であるというのか?

「中国産キムチに寄生虫が入っていたのは、大騒ぎした韓国マスコミが悪い。だから韓国マスコミを黙らせろ!」と要求されてそれを飲んだ韓国こそ、誤った選択をした結果導かれるだろう、将来の日本の姿だ。

あるいは、アメリカ軍の基地を撤収させたとたん、スプラトリー(南沙)諸島に領有していた島を中国に侵攻されて一方的に軍事占領された挙句、「中国は平和的な話し合いでこの問題を解決することを願っている(でも軍事占領した島を返還するとは口が裂けても言わない)」と言われて、泣き寝入りをせざるを得なかったフィリピン(あるいはベトナム)も、そうだ。

 ”脱米と中・韓との共同体”を主張する人たちは、感情的になってアメリカをあまりに嫌悪しすぎたために、アメリカの良さから一切目をつぶり、中・韓の良いところだけをクローズアップして、「人種差別にもとづく反日」という醜悪な部分から目をそらそうとする”保守”(保守と呼んで良いのかも疑問だが)と、中国・韓国を”理想の外国”としてひたすら盲目的に崇拝する左翼(リベラル系と共産主義者)に分けられるようだ。

 GHQの占領が終わってから現在まで、少なくともアメリカは日本の言論・思想の自由を認めてきた。
 
アメリカ政府や大統領が表向き公式に日本の歴史教育に異議を唱えてきた事は無いし、首相が靖国に参拝しても日米首脳会談を拒否してまでそれを阻止しようとした事は今の今までなかったはずだ。

たとえ民主党政権であっても、「内政干渉はしない」という最低限のモラルは守っていた。

それに民主党が間違った対日政策を取っても議会の共和党が反対するし、政権交代によって共和党が対日政策を修正するという、自浄能力がアメリカにはある。

 しかし、中・韓それに北朝鮮は違う。 

日本の独立国家としての尊厳を無視し、歴史教育や参政権など各種問題で内政干渉を繰り返し、日本を力ずくでねじ伏せようとしてきた。 彼らと手を組んでその庇護下に入れば、間違い無く日本の自主独立と固有の文化は失われるだろう。

しかも中国・北朝鮮は最悪の独裁国家で、韓国も偏狭な自民族優越主義に取りつかれた妄想狂だ。

参政権の無い中国と北朝鮮の国民は政府の狂った反日政策を是正する手段を一切持たず、情報統制による愚民化政策によって一緒になって踊らされる始末で、韓国国民も今のところ彼らと大差はない。 彼らに自浄能力など期待するほうがマヌケと言うものだ。


はっきり言って日本の同盟相手としては最悪の部類であり、世界から「日本は中・韓・朝の同類」と見られたら日本もオシマイである。

 左翼リベラルは別としても、こういった考え方をする人たちは、「アメリカと対立したから、ナチス・ドイツやムッソリーニのイタリアと組もう」という戦前の松岡外相の発想と似ている。 松岡外相も日本を破滅へと引きずり込んだ人間のひとりである。 

彼は「日本が強大なナチと組めば、アメリカも日本の重要性を認識して、対米関係が好転するだろう」と踏んだのだが、結果的に「日本もナチのような犯罪者と同類」とアメリカに見なされて、日本とナチにイタリアを全部ひっくるめて、アメリカにコテンパンに叩きのめされたのである。

自民党の加藤紘一氏が「日本が中国と組めば、アメリカは日本の重要性を見なおして、日米関係もうまくいくのだ」と主張しているらしいが、松岡外相の発想と酷似しているように見えないだろうか?

これについても別の機会があればふれたい。

 また彼らすべてに共通する”アンチ小泉自民党政権”なのだが、じゃあ現在の選択肢として、小泉自民党政権よりましな政権がどこにあるというのだろうか?

自民党内の宏池会の流れをくむ親中派や民主党は、「靖国反対、歴史教育における中・韓介入賛成派」であるし、社民や共産は論外。

私は小泉政権が100%完璧だとは思わないが、かといって小泉政権よりマシな選択肢があるとも思えない。

 「アメリカの民主主義が行き詰まっている」という人にも民主主義は完璧だとは思わないが、じゃあそれよりましな政体とはいったい何だというのだ?
いまさら独裁政治への回帰じゃあるまい?

 クロフネは日米同盟という選択肢や同盟国・アメリカを100%完璧なものだとは決して見ていない。

しかし、仮に同盟国のアメリカを70%とするなら、「70%のアメリカには30%も欠点がある。だから自主独立という40%の政策を選択すべき」だとか、ましてや「20%の中国との共同体結成という選択をするべき」といった”反米原理主義者”の主張が正気の沙汰とは思えない。

「100%でないからと言って、何も選択せず前進もしない」というのは自らを金縛りにしてマヒ状態にするようなものだし、「70%が嫌だからといって、40%を選ぶ」というのは最悪の選択だ。

こういった者たちが日本の政策決定に関与すれば、日本は破滅と亡国の坂道を転がり落ちていくこと必至である。 歴史がそれを証明している。

このブログの読者さんには、十二分に「100%主義のワナ」には気をつけてほしい。


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「北朝鮮外交はこうやるんだよ」とアメリカ

  • 2005/11/25(金) 23:57:19

日本が北朝鮮に貸し付けた569億円がパー?

 アメリカ・クリントン民主党前政権と北朝鮮との合意によって、北朝鮮が核兵器開発を放棄するかわりに、日本・アメリカ・韓国などが共同でKEDOという組織をつくり、

KEDOを経由して援助することで北朝鮮に原子力発電所を建設するというプロジェクトが発足したのだが、北朝鮮がその合意を裏切って核開発をかげで進めてとうとう核兵器を完成させてしまったのは、皆さんご存知の事だろうと思う。

 北朝鮮の合意違反に対して、当然KEDOによる原子力発電所建設は中断され、最近の6カ国協議でKEDOの廃止が事実上決まった。

 安倍官房長官は「北朝鮮に日本が貸し付けた金の返済を求めるべきだ」とおっしゃったが、まったく同感だ。

一部マスコミは「どうせ戻ってこないよ、打つ手無しだ。」といった具合にあきらめムードだし、塩崎外務副大臣は「どれだけ返ってくるかわからない」と弱気だが、とんでもないことだ。 (今後の返還交渉にひびくから塩崎副大臣には気をつけて発言して頂きたい)

 この国民の税金から出た569億円は何としてでも取り返さなければならない。

北朝鮮が返還を拒否するなら、在日本の北朝鮮資産があれば差し押さえる、あるいは北朝鮮の債権債務を引き継ぐであろう、南北統一後の”統一朝鮮政府”に請求するなど、いくらでも打つ手はあるだろう。

それにこの569億円は日本の新たな対北朝鮮外交カードでもある。それをあっさりと手放すなんて許されることではない。 この外交カードを有効に使って圧力をかけ、拉致問題・核問題を解決に導かなければならない。

 それにしても巨額の援助をしてまんまとだまされて北朝鮮の核兵器開発を許すとは、クリントン民主党政権のバカさ加減にもまったくあきれるものだ。

それにおつきあいして569億円もだまし取られる日本も日本。
これが田中均氏のいう”緻密な戦略に基づく柔軟な外交”の結果らしいが、

拉致被害者の大半は依然日本に帰ってこられず、北朝鮮の核武装を許し、挙句の果てに569億円もだまし取られるとは、

外務省で対北朝鮮外交を主導していた田中均氏のあまりにみごとな高等戦略に、国民もあきれ果てて開いた口がふさがらない。



「北朝鮮外交はこうやるんだ」とアメリカ

 アメリカ政府は6カ国協議でいっこうに誠実な態度をみせない北朝鮮に対して、マネーロンダリングやニセドル札製造、麻薬密輸などの違法行為の拠点になっているとして、マカオの銀行”バンコ・デルタ・アジア”に対し、アメリカの銀行との取引を禁止するなどの経済制裁を発動した。

アメリカからの経済制裁に対して、北朝鮮政府は大慌てでアメリカに政府高官を派遣して、核問題も交渉内容に含めてアメリカに制裁解除を求めるようだ。

 クロフネは、「北朝鮮が一向に反省しないのだから、一刻も早く経済制裁せよ!」と口をすっぱくして言ってきた

それは、経済制裁したあとに北朝鮮が「経済制裁をやめろ!」と言ってくる可能性が高いから、その時に「経済制裁を止めて欲しかったら、拉致被害者を即時無条件で返せ。そのための交渉のテーブルにつけ。」といった具合に主張すれば、日本が交渉の主導権を握ることができるからである。

 しかし、今の今まで日本政府・外務省は経済制裁をせず、ただひたすら北朝鮮に「交渉のテーブルについてください。」と”要請”するだけで、時間のムダ使いを繰り返してきた。

そしてやっとの事で、ふんぞり返ったごう慢な態度の北朝鮮から「日本の外交官がピョンヤンまでのこのこやって来るなら会ってやってもいいだろう。」とか「北京でなら会ってやらないこともない。」と”ありがた~い返事”をもらって、

外務省の担当官が喜び勇んで行ってみれば、「めぐみさんの遺骨のニセモノ」というガラクタを渡されたり、「拉致問題は解決済み。それより日韓併合の賠償金をよこせ!」と言われて、すごすごと帰ってくるだけだった。

 またマスコミや北朝鮮問題専門家と呼ばれる人たちの間でも、「経済制裁は効果がないからやってもムダ」とか「経済制裁をやって北朝鮮を怒らせたらどうする?」とか「経済制裁をやるのは感情的な行為であって日本は冷静になるべきだ」など、始めから経済制裁反対ありきの、それこそ感情論が少なくなかった。

 しかし今回アメリカは、6カ国協議でグダグダ言って核兵器開発を一向に止めない北朝鮮に対して、ためらうことなく経済制裁を発動し

日本のように平身低頭して「問題の解決のために交渉のテーブルについてください」とアメリカが北朝鮮に頼むまでも無く、あわてた北朝鮮の方から「経済制裁解除のために交渉してください」と言ってきたのである。

交渉場所が北朝鮮にとって不利なアメリカ国内であってもだ。

北朝鮮は重要な交渉の開催場所にこだわる。 ピョンヤンか、最低でも北朝鮮の重要な同盟国である中国の首都・北京以外はなかなか譲らない)

 アメリカは経済制裁をダシにして、制裁解除に核兵器開発問題もリンクさせて交渉する気だろう。

クロフネが口をすっぱくして言っている通り、日本はなぜ経済制裁をダシに、制裁解除と拉致問題をリンクさせて交渉しないのだろうか。

アメリカ政府・国務省の外交レッスンでも受けてみたらどうですか? 日本政府・外務省のみなさん。

関連記事・6カ国協議に対して、日本が持つべき心構え


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最近の気になるニュースから(11/24)

  • 2005/11/24(木) 00:24:52

北方領土で展開無くプーチン大統領帰国

 プーチン大統領の久しぶりの来日にもかかわらず、領土問題で何の進展も無いまま日露首脳会談が終わったようだ。

一部のマスコミは、領土問題で成果が無かった事に今さら驚いたような記事を書いているところもあるが、どうも日本人は気が短くていけない。

領土問題は解決まで時間がかかることが多く、「50年後・100年後に日本にとって有利になっていればそれでよい」ぐらいの姿勢で交渉に臨むものである。

 北方領土問題は、ソビエト崩壊の影響でロシアの経済が大混乱だった90年代が、ここ60年で最大の問題解決のチャンスだったのだが、それを棒に振った以上、これからしばらくは辛抱する必要があるのかもしれない。

今は日本に風が吹いていない。そこで焦って動いてもろくな結果にはならないだろう。

特にロシア側に「日本は問題の解決をあきらめました。石油などロシア経済だけに関心があります」といった、誤ったメッセージを発するのだけは避けなければならない。

 経済カードを日本がみせつけるならロシアにおいてではなく、ウクライナやポーランド、バルト三国などロシアの周辺国において、カードを切るべきである。

関連記事・ウクライナからのシグナル

関連記事・プーチン・ロシア大統領訪日せまるも日露間の対立とけず



中国、日本に”マイッタ”

 反日暴動によって破壊された北京の日本大使館に対して、中国側が賠償をし現状回復する事がどうやら決定したようである。

謝罪は相変わらず拒否しているものの、反日暴動を原因とした日中紛争の事実上の降伏宣言、つまり、中国の日本に対する「参りました、これで反日暴動に関しては勘弁してください」という本心の表明だろう。

 反日暴動は無意味な日中関係の悪化をまねくなど、中国の国益に重大な損失を与えただけに終わったが、現在も続いている中国の日本バッシングにもかかわらず、本心としては「日中関係の改善の道をさぐっている」というシグナルとみてよいだろう。

それは、サッカー・アジアカップ中国大会のときに破壊された日本外務省の公用車賠償や、国連における日本の”準常任理事国”容認発言など、一連の関係改善へのシグナルの延長線上にあるものである。

「日本人には絶対頭を下げたくないので謝罪できない」あるいは「国内の反日強硬派や軍部を納得させるために、日本バッシングはやめられない」といった具合に、つまらない”メンツ”にこだわるところが、中国らしいと言えるが。

 結局小泉首相があれほど中国が反対していた靖国参拝を実行しても、「反日暴動の原因は靖国参拝を止めない日本にあるのだから、絶対賠償しない」と言っていた、あの中国が譲歩して”マイッタ”を表明してきたわけで、

中国の日本バッシングにうろたえて、「中国に逆らったら、どんな仕返しが来るかわからない。だから靖国参拝は止めるべきだ」と主張し、

”ハーメルンの笛吹き”のように国民を誤った道に導いてきた与野党の親中派や左翼マスコミの主張とは、またもや逆のことが起こったわけだ。

 なぜ中国が最終的に譲歩したのかと言えば、日本が中国の反発を恐れず、自らの信念を強い姿勢で貫き通したからである。

中国が”邪悪で強大なパワー”を振り回す時、それを押さえつけられるのは”正義の弱々しいパワー”ではなく、”正義かつ強大なパワー”なのである。


 まだ上海領事館の賠償問題が片付いていないようだが、「少し反省しているようだから、ここで手加減してやろう」などと考えてはいけない。

そんなことをすれば、中国のふんぞり返ったようないつもの外交姿勢を復活させるだけである。

中国側がぐずぐず言うようなら破壊された上海領事館を世界のプレスに幅広く公表して、中国が大事で仕方の無い”メンツ”とやらを徹底的にぶっ壊してやればよい。

それでも「中国は謝罪は絶対にしない」というなら、日本は相互主義に基づいて、もはや日中戦争について謝罪すべきではないし、ODAや毒ガス兵器処理費用を含めて一切のカネの支払いをストップすべきである。

 いいかげん日本政府・外務省も「泥棒に追い銭をやる」悪いクセから卒業したいものだ。


ドイツ新政権発足

 最近行われた総選挙が大接戦に終わり、各党が単独で組閣できない状態が続いていたドイツだが、

僅差で最大議席を獲得した、右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)のメルケル党首を首相とし、これまでの与党で、第2党となった左派の社会民主党(SPD)と連立を組んで、メルケル大連立政権がようやく発足した。

 左翼リベラル政党・SPD出身のシュレーダー前首相は、内政においては伝統的な労働者保護・高福祉政策がドイツの国際競争力低下と不況や失業者増を招いているとして、左翼リベラルにもかかわらず高福祉政策にメスを入れて、労働者にも痛みを負担させ、

外交においては、イラク戦争などをきっかけとして盟友のシラク・フランス大統領と二人三脚で反米政策を実行し、人権団体など内外の批判を押し切って、EU製の高性能兵器を売却しようとするなど親中国政策を推し進め、ロシアのプーチン大統領とも良好な関係を維持するなど独自外交を展開した。

 そして今回の総選挙では、CDU・CSUがSPDの議席数をほんのわずかの差で上回ったのだが、選挙結果を見る限りドイツ国民は、「これまでどおり、左翼リベラル・SPDの高福祉政策の維持」か「労働者も痛みを負担して改革のスピードアップをはかり、ドイツ経済の低迷からの脱出をはかるという右派CDUの政策にかける」か、意見は真っ二つにわかれてしまったようだ。

 外交においてもアメリカとの関係改善を求めるCDUのメルケル首相が力を発揮してドイツを引っ張っていくのか、反米・親中のシュレーダー前首相の同僚で、連立相手のSPDの外相がそれに抵抗するのか、まだはっきりしない。

しかし「アメリカを牽制するために独裁国家・中国と共闘しよう」という、いきすぎた外交をしてきた親中派のシュレーダー前首相の退陣は、中国にとって痛手なのは間違い無く、日本としてもメルケル新首相の指導力の発揮に期待したいところだ。
 
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クロフネの防衛力整備計画(その6)

  • 2005/11/23(水) 00:05:08

前回のつづき

 今回は、島嶼(とうしょ)防衛に必要な海軍力について考えていきたい。

日本は歴史的に見ても優れた海軍国家であり、その伝統は今日まで受け継がれている。

戦後の日本も海軍力整備に力を入れ、空母こそ保有していないもののイージス護衛艦4隻を含む護衛艦隊(諸外国でいうところの駆逐艦隊・フリゲート艦隊)は、アメリカを除けば世界トップクラスといってよい。 通常型潜水艦の質と量についても世界有数といえるだろう。

 しかし、裏を返せば汎用護衛艦、つまり諸外国で言うところの駆逐艦やフリゲート艦の強化に少々かたより過ぎていたきらいがある。

駆逐艦やフリゲート艦の保有数で日本に劣るイギリスやフランスは、空母や強襲揚陸艦の保有に力を入れているが、それは英領フォークランド諸島や仏領ポリネシアなど本国から遠く離れた島嶼や海外領土を防衛するためでもある。

日本の場合も南北に細長いという地理的条件から、特に尖閣を含む先島諸島のように、航空自衛隊最南端の基地がある沖縄本島からでさえ、数百キロも離れている離島もあり、陸上から飛び立つ航空機だけで100%カバーするのは困難な島嶼地域も存在する。

(空中給油機がまもなく導入されるが、それが来ればかなり楽になるだろう)

そうした島嶼地域を防衛するために、軽空母(ヘリ空母をふくむ)あるいは強襲揚陸艦のような艦艇を航空戦力が必要とされる海域に派遣して、そこから航空機を発進させれば、島嶼防衛がぐっと楽になる。

 また、一旦奪われた日本の領土を奪回するために、陸上自衛隊の各部隊を離島に逆上陸させるような場合、陸自部隊が揚陸艦から離島の港あるいは浜に上陸し、戦闘のための準備・展開を完了させるまでが、敵の攻撃に一番弱い状態で、

上陸作戦の成功は陸軍だけでなく、それを援護する空軍・海軍の協力による三軍の統合作戦が、円滑にいくかどうかにかかっているのである。

軽空母や強襲揚陸艦から艦上戦闘機を発進させて、制空権を握りつつ敵の陸軍部隊を空爆して戦力を充分にそいでおき、

同じく軽空母や揚陸艦から対戦車ヘリを陸自部隊の上陸にさきがけて発進させて、上陸目標地点付近にいる敵の戦車・装甲車・砲兵などを一掃して、上陸部隊の安全を確保する。

目標上陸地点の安全が確認されたところで、艦上戦闘機や対戦車ヘリによる護衛のもと、揚陸艦から上陸用ホバークラフト(LCAC)や輸送ヘリを活用して、すみやかに陸自部隊の上陸を完了させる。

そして上陸した陸自部隊が、敵の陸軍本隊を日本領土から排除するということになる。

 このように、一旦外国軍に奪われた日本領土を奪回するような場合、陸・海・空・三軍の統合作戦は必要不可欠であり、そうした作戦の実行には統合作戦の前線指揮所であり、また陸・海・空・三軍の”移動基地”ともなる、軽空母や強襲揚陸艦は欠かせない装備である。

現在日本は揚陸艦として”おおすみ級”輸送艦を3隻を保有しており、まもなく通称16DDHと呼ばれるヘリコプター護衛艦の建造もはじまり、数年内に2隻の保有が決まっているが、こうした艦艇は上陸作戦の統合作戦指揮所・各種航空機発着プラットフォームとして活用することができそうである。

その他に、航空機が発着可能な”新型高速輸送艦”の建造計画が政府からごく最近になって発表されたばかりだが、その高速輸送艦にもこうした作戦に適した設計をお願いしたいところである。

16DDHにしろ高速輸送艦にしろ、もはや無意味な”周辺国への配慮”とやらで、全通甲板を狭くしたり”やわ”に造って重量制限をもうけたりと、航空機の離発着にわざと不便な設計にするような愚を犯さないように、重ねてお願いする。

 艦上戦闘機の候補としては当分、F-35B(垂直離着陸タイプ)しかないだろうが、航空自衛隊の次期戦闘機としてF-35A(通常タイプ)を採用していれば、スペア部品の共用化などで少しはコスト削減が期待できるかもしれない。

 このような、各種航空機・上陸部隊などを載せたヘリコプター護衛艦や揚陸艦は、敵味方双方にとって重要な戦略目標であるので、防衛態勢には万全を期さなければならない。

敵の潜水艦の奇襲に備えるため、味方の潜水艦を前方に展開させて”露払い”させる必要がある。

敵の航空機や対艦ミサイルについては、海上において直接護衛の任務につくイージス艦のほか、E-767AWACSが警戒任務にあたる事になるが、ヘリコプター護衛艦などが自前の早期警戒機(AEW)を持っていたほうが心強い。

もし予算に余裕があればヘリコプターや”オスプレイ”の早期警戒型を購入・装備するとよいだろう。 (空自が保有するE-2C”ホークアイ”がそのままヘリコプター護衛艦もしくは”高速輸送艦”から離発着できれば、わざわざ新型機を購入する必要もないのだが。)

AWACSやAEWが発見した敵機は、ヘリコプター護衛艦や高速輸送艦から発進したF-35Bもしくは他の空自戦闘機、イージス艦の対空ミサイルが迎撃することになる。

もちろん以上の話は予算が許せばの話であって、整備・維持コストなどの理由で無理であるならば、エアカバーは航空自衛隊に任せて、輸送・哨戒・対戦車ヘリなど各種ヘリコプターを護衛艦・輸送艦などに搭載できればいいだろう。

 一方、汎用護衛艦については、米ソ冷戦終了後の国際環境の変化にともなって、見なおすべきところも出てきている。
特に、ソビエト崩壊後の極東ロシア軍は、海軍力において日本に対抗すべくもないまでに、弱体化している。

 これまで海上自衛隊において、北の守りの重要拠点にあったのは青森県の大湊港だが、ここに護衛艦を張りつけておく必要性はかなり減少している。

そこで大湊に軍港としての機能だけ残しておいて、そこを定係港としている大湊地方隊を全面廃止とし、それとともに他の地方隊に配備されているものも含めて、基準排水量2000t以下のフリゲートクラスの汎用護衛艦(DE)を廃止する。

そして沿岸哨戒などの任務は高速ミサイル艇などでカバーしたり、舞鶴や横須賀の艦艇が手分けをして北への警戒態勢をとる。

(DEにはまだ建造からさほど年数のたっていないものもあるので、武装解除のうえ諸外国に売却できればよいのだが。 特にマレーシアやベトナム、フィリピンあたりに使ってもらえるとよい。)

 また駆逐艦クラス(DD)以上の汎用護衛艦やその他の艦艇も戦力の低下をもたらさないことを前提に、維持コストと新造コストをてんびんにかけながら、できるだけ長い期間大切に使ってもらいたい。

特に潜水艦は造船メーカーの技術水準維持のため16年で退役させるのは何とももったいない話だ。

30年持たせる外国海軍もあるのだから造船メーカー側にも努力をお願いして、できれば一隻あたりの就役年数をのばして潜水艦の保有総数を増やし、これからますます重要となる対潜能力の向上をはかりたいものである。

 またDEの廃止で生じた人員の余裕で、本当に必要とされる艦艇の人員の充足率アップに努めたらどうだろうか。

 海自艦艇個別の各種装備については、対艦・対潜・対空とかなり充実していると思われるが対陸が欠けており、空軍力の項でふれた巡航ミサイルの艦艇発射型の装備が望まれる。

 また対空において、艦隊全体を守るエリアディフェンス・ミサイルと各艦艇それぞれを守る個艦防御ミサイルは非常に充実しているが、最後の砦ともいうべき近接防御システムのCIWSについては、これまで通り使いつづけるのか、新造艦からRAMを採用するか、予算と相談の上で是非検討したい。

 さらに海上自衛隊全体の戦闘力向上と効率化のため、司令部とイージス艦やその他の艦艇、哨戒ヘリ、AWACS等を結ぶデータリンクシステムの拡充など、指揮統制能力(いわゆるC4I)の整備も必要不可欠なものだ。

 以上、島嶼防衛のために必要とされる日本の海軍力について考えてみた。

これからの時代、大艦隊どうしが洋上決戦をするような可能性は限りなく低くなっており、上陸作戦において陸軍との協力が必要なのは当然としても、たとえ制海権をにぎるためでも空軍との密接な協力が欠かせない。

むしろ制空権を失った状態では、海上自衛隊の作戦遂行が非常に難しくなってしまう。

である以上、海軍戦力のうち削るべきところは削り、その分を空軍力の整備や、ヘリコプター護衛艦や高速輸送艦など本当に必要とされる海軍力の整備にふりむけるべきではないだろうか。

 次回は、陸軍力について考えてみる。

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最近の気になるニュースから(11/22)

  • 2005/11/22(火) 00:02:44

年内の日韓首脳会談はナシ

 これに関連して政府・外務省は、来年の日韓首脳会談実現に向けて奔走しているようだが、日中首脳会談の場合にも述べたとおり、日韓首脳会談開催を日本側から哀願するような事はすべきではない。

そうすることによって、韓国側に「靖国問題解決のために、どうしても韓国大統領と会談をして韓国の許しを得なければならないような弱い立場に日本はいるのです。」といった、誤ったメッセージを送る事になってしまうからである。
 
 靖国問題は純粋な内政問題であって、それに韓国がとやかく言うのは許しがたい内政干渉で、独立国家・日本に対する明確な敵対行為である。

日本は「首相はこれからも靖国参拝を続けるが、中国・韓国がそれについて心配する必要は無い。日本はこれからも民主主義国家でありつづける。 中・韓は日本に独裁政治が復活してから心配を始めても遅くはない。」とだけ言っておけば良い。 

 だが、日本側が日韓首脳会談を哀願するような態度をとれば、韓国側がこの40年間抱いてきた「日本は韓国という友人がいてやらなければ世界でひとりぼっちだ。だから韓国は日本の外交を左右できる重要な国なのだ。」という妄想を、日本自らがふくらましてやるようなものである。

韓国側が拒否するなら、それでいいではないか。APECで日韓首脳会談をやったばかりだし、たとえ首脳会談がなくても日本は一向に構わない。

日本の首相が会わなければならない外国の首脳はいくらでもいる。

 むしろ韓国から首脳会談を求めてきた時に、「靖国に首相が参拝する日本を受け入れて、日本との関係を維持する」か、「日本との関係を一切絶つ」のか、二つに一つの踏絵を踏ませれば良いだろう。

日本との経済関係といったオイシイところだけをつまみ食いして、”靖国”や”竹島”といった韓国にとって苦いところは吐き出すような事を日本が認めれば、アメリカの一部でも既に気がつきはじめている、「恩知らずで裏切り者」という韓国外交のいつもの悪いクセが、どんどんエスカレートするのは目に見えている。

中韓の”ニンニク戦争”や”キムチ戦争”が示すとおり、韓国こそ究極の「下手に出てくる弱気な相手にはトコトン強く、強い相手にはからっきし弱い国」なのである。

善悪は別にしても、同じ文化に属する韓国を知り尽くしている中国は「中国との経済関係でカネをもうけたければ、一切中国に逆らうな。キムチ問題は韓国マスコミのせいだし、高句麗は中国の地方政権だ。国益のつまみ食いは許さん。」といった、まったくブレの無い外交姿勢で韓国の”裏切りグセ””歴史妄想グセ”を封じ込めている。

日本政府もいいかげん学習効果を示したいところだ。

 さて、日本の首相に会いたくないといっている特定アジア諸国はほっといて、クロフネが「日本の首相に是非訪問して欲しい」と考えているのがオセアニア諸国である。

オセアニア諸国は伝統的に親日国家が多く、ハワイがまだ独立国だったころ、ハワイの王様が日本の皇室と姻戚関係を結びたい(ハワイの王女様と皇室の山階宮定麿親王とのご縁談)と申し出られたこともあったし、

現在のトンガ国王、ツポウ4世陛下はトンガの子供たちの算数教育にそろばんを導入なさったり、訪日時には靖国神社にご参拝なさったりと、大変な親日家としても知られている。

 また数年前、日系のクニオ・ナカムラ氏が大統領に選出されたパラオをはじめ、ミクロネシア連邦やパプア・ニューギニアなど、太平洋戦争で戦場になった国々でさえ、親日国家が多いのである。

特にパラオやミクロネシア連邦など、日本がかつて統治したいわゆる”南洋諸島”地域では、今現在でも日本語を話せるお年寄りがいたり、”おしるこ”を食べる習慣が残っていたりする。

以前、あるTV番組でパプア・ニューギニアのラバウル島のお年寄りが日本の歌”海ゆかば”を熱唱するのを見たことがあるが、クロフネはTVの前で涙が出そうになった。

 日本の左翼リベラル・マスコミや中国・韓国の「日本は世界中から嫌われていて一人ぼっちだから、中国と韓国の言う事はきかなければ絶対ダメ」というデマを信じ込んでいる日本人はまだまだ沢山いるのかもしれないが、

中・朝・韓の特定アジア三カ国ばかりに目を奪われるのではなく、世界を広く見渡して、是非とも真実の世界の姿にふれて欲しい。

 日本の首相はこうした本当の親日国家にこそ足を運び、「ご迷惑をおかけしました」と頭を下げるべきではないだろうか。

そして天皇・皇后両陛下に訪問して頂けたら、日本とオセアニア各国との友好・友情がどんなに深まるか
と思うと、未だにそれが実現していないのが残念でならない。

パラオやマーシャル諸島共和国といった国々は人口数万の小さな国が多く、警察力が充分でないために警備上の問題があって、なかなか天皇・皇后両陛下や首相が訪問する事ができないと聞いた事がある。

それならば各国政府の了解を得て、日本が警察、必要ならば自衛隊を派遣して、両陛下や首相の身辺警護をしたらどうだろうか。

独立国家としてはちょっと不名誉なことだが、パラオをはじめとしたオセアニア各国に両陛下が行幸なさったり、首相がじきじきに訪問するといった事を実現することにこそ意味があると思う。

それが実現すれば、日本・オセアニア各国の両方に様々な恩恵をもたらすはずである。

(オセアニア各国と関係の深いアメリカやオーストラリアに警備を頼むという手もある。)

 またオセアニアには、産業が無いために若者の失業が深刻だったり、地球温暖化による海面上昇で国土が消滅しそうだ、といった悩みを抱えている国もある。

感謝もしない国に莫大なODAをつぎ込むより、こうした親日国家にこそODAを積極的に投入し日本のもてる技術を総動員して、日本がオセアニア各国の自立のために手を差し伸べたほうが、どれだけ世界のために役立つか知れない。

逆にオセアニアの友人たちが、国連などで日本がピンチにおちいった時は助けてくれるかもしれない。 国連で人口4700万の韓国だって一票なら、人口数万のオセアニア各国だって一票だ。

「韓国がつきあってやらければ、日本は世界でひとりぼっち」というデマをふりまく韓国もあわてふためくだろう。

日本政府・外務省にも中国や韓国だけに目を奪われてしまうのではなくて、世界をもっと広く見渡して、外交をやって頂きたい。

最近、政治・経済・安保など各方面で友好関係が深まっているオーストラリアも含め、首相のオセアニア各国歴訪を是非実現させ、日本のあたらしい”太平洋外交”の幕開けと行きたいところである。


ブッシュ大統領訪中の”おみやげ”

 APEC出席後、中国に立ち寄ったブッシュ大統領のために用意していた”おみやげ”は、アメリカ製航空機の大量発注だった。

中国が人民元の為替相場を人為的に低く設定し、労働コストがバカバカしく安い”農村戸籍”の国民をこき使う事によって、莫大な貿易黒字を稼いでいることに対して、アメリカやEUから強い批判の声が上がっている。

 こうした”強い相手”に面と向かうと、とたんに弱くなる中国が、相手をなだめるために良く使うのが「航空機の購入」という手段である。

アメリカが貿易不均衡の是正を求めればボーイングの旅客機を、EUが中国製品の洪水のような流入に不満を表明すればエアバス・インダストリーの飛行機を大量発注して、中国の各航空会社に配分して、欧米で高まる”中国脅威論”を必死に押さえ込んできた。

 日本も毎年200億ドル近い対中貿易赤字を出しているのだから、なぜ欧米のように貿易不均衡を批判しないのか理解に苦しむ。

「『日本だって○×国との貿易で、巨額の黒字を出しているじゃないか』と反論されたらどうする?」と考える人もいるかもしれないが、「それは日本と○×国との間の問題であって、両国間の話し合いで解決されるべき問題だ。中国には関係ない。」と反論すればそれで終わる話だ。

日本も「中国はアンフェアーな貿易をする国だ。通貨ダンピングを行う中国は世界の脅威だ。」といった”中国脅威論”をまくしたてれば、靖国問題など脇に追いやられて中国もそれどころじゃなくなるだろう。


台湾への日本人旅行客増加

 中国の反日暴動事件以来、日本人の旅行先が中国から台湾や東南アジアへとシフトしているようだ。 また報道には出て来ないが、韓国への旅行客も中国ほどではないにしても減少し続けていると聞いた。


中国が日本からの投資呼びかけに必死

 反日暴動で表面化した”チャイナ・リスク”で、旅行客だけでなく日本からの投資もベトナムやインドへと一部シフトしていったようだが、失った中国経済への信頼を取り戻そうと中国政府も必死なようだ。

しかし日本政府もあっさり許可しないで「日本で中国への投資募集説明会を開きたいのなら、中国政府は靖国問題への内政干渉を止め、日中首脳会談を再開すると約束しろ」と踏絵を踏ませれば、あたふたして日中関係の修復に奔走しなくてもいいのではないだろうか。

日本政府・外務省も、いつまでも”要請”をひたすら繰り返すのでは芸が無さすぎる。「”要請”は、される方よりした方が立場が弱くなる」というのは、外交のイロハだ。

「弱気な相手にはトコトン強い」という中国・韓国・北朝鮮の外交文化を考えれば、一番やってはイケナイのが”要請”である。

日本政府・外務省も、いい加減アメとムチの使い方ぐらいは、おぼえて欲しい。


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最近の気になるニュースから(11/18)

  • 2005/11/18(金) 23:45:03

ブッシュ大統領訪韓

 アメリカのブッシュ大統領がAPEC出席のため韓国を訪問した。

京都でのアジア政策演説で自由・民主主義の価値観を共有する国として日本や台湾とともに韓国も含めたブッシュ大統領は、対北朝鮮政策について米韓の溝が埋まっていないにもかかわらず、アメリカ政府の一部で高まる反韓感情を振り切る形で、米韓同盟の強化を表明した。

 また「日本と韓国は民主主義と自由主義の共通価値を共有している」と強調し、ブッシュ大統領は日韓対立解消に向けた対話を促した

 これについては、やはりクロフネは疑問を感じざるを得ない。

本気かそれともポーズなのかはわからないが、ブッシュ大統領は自由・民主主義の価値観を韓国と共有できると考えているようだ。

 しかし韓国では依然、自由や民主主義・人権といった普遍の価値観より、韓(朝鮮)民族主義の大義とか、血のつながりといったものの方が優先されているように思われる。

ウリ党のような左翼は、民主主義や人権よりも「北朝鮮は同じ民族の血をひいている同朋の国」といった事実のほうが重要なのであり、北朝鮮の独裁政治や人権抑圧には一切目をつぶっている。

一方、ハンナラ党のような右派は右派で、自民族優越主義と歪んだ自尊心を支えるための誇張でふくれあがった”歴史”が最重要で、

「古代から未開の民族だった日本人に文明を教えてやったのは韓(朝鮮)民族だったのに、近代においては恩を仇で返すかのように日本は朝鮮を侵略し、その結果、朝鮮は先進国から後進国に転落したのだ。」

という韓国の右派の非常に人種差別的な歴史観に日本が少しでも反論しようものなら、烈火のごとく怒り狂い、民族主義の大義を取り戻すために猛烈な抗議をし、世界中で日本に対するネガティブキャンペーンを繰り広げる。

そうした姿勢には、多様な意見の共存を認めるとか、思想・表現の自由といった人類普遍の価値観の尊重などといった事はみられない。

日本では「日韓併合で日本がやったことは全て悪」とか「竹島は韓国のもの」といったホームページを開く自由があるが、韓国で「日韓併合で日本はいいこともした」とか「竹島は日本のもの」といったホームページを開けば、政府の検閲が入ってたちまちつぶされてしまう。

 日本に統治された期間がはるかに長い台湾が、「日本の台湾統治には良い面と悪い面があった」と冷静に歴史を分析しているのとは雲泥の差だ。

しかしそうした台湾の多様な意見の共存への努力を、韓国人は「台湾は日本にお世辞を言って、媚びへつらっているだけ」としか見ることができないのである。

 クロフネは韓国全体が本当の意味で成熟した民主主義国家になるのは、まだしばらく時間がかかるだろうと思う。

(次期政権では、是非とも成熟した民主国家だというところを見せて欲しいものだが。)

しかし韓国のそうした未成熟な部分を考慮せず、日・米・台などの自由・民主主義同盟に、せっかちに韓国を迎え入れるのは、同盟内に分裂の火種を持ちこむようなもので、様々なリスクがあるのではないだろうか。

そうした弱点を、中国・北朝鮮のネオ・ファシズム枢軸につかれれば、自由・民主主義同盟側は痛手をこうむる可能性がある。

 ブッシュ大統領は、日本やイラクを同じアジアと考えて、太平洋戦争後のアメリカ軍の日本占領政策が成功裏に終わったから、イラクでもそうなると考えたようだ。 しかしそれが誤りだった事は明らかである。

同じアジアでも日本とイラクは価値観が違うのである。

同様に日本や台湾と韓国は価値観が同じではない。 その点をよく注意しなければ、アメリカの対アジア戦略はイラクと同様、再び失敗しかねない。

ブッシュ政権はアジアによく通じた専門家の質と量を拡充すべきではないだろうか。

と言っているそばからこんなニュースが。

関連記事


北朝鮮非難決議が国連で採択も韓国は棄権

 EUや日本・アメリカなどが成立を目指していた、日本人拉致事件をおこした北朝鮮への非難決議がとうとう国連総会で採択される。

中国とロシアのネオ・ファシズム同盟は反対票を投じたが、民主主義国家のはずの韓国も賛成票を投じず棄権するという恥ずべき行動に出た。

日本やアメリカ・EUなど国際社会は、人類社会への挑戦とも言える、日本人を含む世界各国の無実の市民を組織的に誘拐・殺害するという北朝鮮の重大犯罪を見逃そうとする韓国を「共犯者も同然ではないか」と厳しく批判するべきではないだろうか。

 また同決議案採択に向けて努力した日本政府・外務省にはご苦労様と言いたいところだが、日本がこのような「国際社会の北朝鮮包囲網」を構築するのが遅すぎた。

「北朝鮮は拉致した日本人を即時・無条件で返せ」とか「拉致された日本人を取り返すために国際社会も圧力をかけて欲しい」といった、日本のなすべき自己主張もろくにせず、

日本が北朝鮮に経済的な恩恵を与えるだけで、ただただ時間がすぎていくのを、元外交官の田中均氏に言わせると「緻密な戦略」なのだそうだが、

ハッ!まったく恐れ入る。
見上げた高等戦略じゃないか。

あのような外交戦略の失敗がなかったら、ここまで拉致問題がこじれる事も無かっただろうに。


 オーストラリア、イラクの自衛隊を最後まで守ると表明

 オーストラリア兵の命の危険をかえりみず「最後までイラクにいる日本の自衛隊員を守る」と言ってくれた、オーストラリアの友情に日本人すべてが深く感謝しなければならない。

「いざと言うときに血を流す貢献」というのは、お金では決して買う事のできない尊い行為であるからだ。 これが平和ボケの日本人にはなかなか理解できない。

 クロフネが聞いた話では、こんな事があったそうである。

何年か前に、ある紛争地域に日本の平和団体がのこのこ出かけていって、そこで地元勢力同士の武力衝突を防ぐために展開している国連軍兵士に抗議したという。

平和団体の日本人が国連軍兵士に向かって、「国連は野蛮な軍事力ではなくて、経済援助のような平和的手段で世界貢献をすべきだ」と言うと、

北欧から派遣された兵士が胸ポケットから100ドル札をその日本人に差し出すと「じゃあ、この
100ドルをお前に経済援助してやるから俺の代わりに戦場に行って、そこでドンパチやっている武装勢力から何の罪も無い住民を守ってきてくれ」
と言われて、グウの音も出ずにスゴスゴと帰ってきたと言う。

こういう話を聞くとクロフネは恥ずかしすぎて本当に頭が痛くなってくる。

 それはともかく、どうもありがとう、ダウナー外相閣下をはじめオーストラリア国民の皆さん。日本はオーストラリアの友情を忘れません。


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大切な時期を迎えた日本外交

  • 2005/11/17(木) 01:21:57

ブッシュ大統領来日

胡錦涛主席訪韓・中韓共闘へ

 アメリカのブッシュ大統領がアジア歴訪のトップに日本を持ってきて、日米同盟関係の強化をはかれば、中国の胡錦涛主席はソウルで中韓首脳会談を開催し、自陣営への韓国の取り込みを図る。

西太平洋地域において、自由・民主主義の価値観を共有する日本・アメリカ・台湾の同盟と、独裁主義・自民族優越主義をかかげる中国・北朝鮮のネオ・ファシズム枢軸の対立構造が、いよいよはっきりしてきたようだ。

そしてネオ・ファシズム枢軸に引かれつつも、両陣営の間で行ったりきたりを繰り返し、絶えず裏切りのチャンスをうかがって”二重スパイ”として最大の利益を得ようとする、韓国がいる。

 中国・北朝鮮のネオ・ファシズム枢軸と韓国は、「日本こそファシズム国家。日本の首相はヒトラー。」というネガティブ・キャンペーンを世界中で強化してきた。

その主な理由は、60年以上前の日本の犯罪をクローズアップして世界の目をくぎづけにすることで、共産党独裁体制や軍の国民抑圧、人権侵害、領土拡張主義、覇権主義といった、中国を盟主とするネオ・ファシズム枢軸が現在進行形でおかしている犯罪から、世界の目をそらしてカモフラージュすることだ。

中国のそうした一連の対日外交の長期的かつ最終戦略目標は、日本を世界から孤立させて政治力・外交力を減退させ、その後に中国が力づくで日本をねじ伏せて中国の”属国”とし、名実ともに中国がアジア内における盟主の座を不動のものにするとともに、アジアの権益からアメリカの影響力を一切排除する事にある。

だから、まずその第1歩として「中国主席が決断しさえすれば、日本首相の行動をいつでもコントロールすることができる」という実績・前例が是が非でも欲しいのだ。

 これまでの人類の歴史の大きな流れは「自由・民主主義の拡大による人類社会全体の幸福の前進」であるのは明白だ。

しかし、ここで中国を盟主とするネオ・ファシズム枢軸の勝利を許す事になれば、人類の歴史の発展・進歩は減退するどころか、歴史の時計の針が大きく逆転することになる。
 
日・米・台をはじめとする世界の民主主義国家陣営は、ネオ・ファシズム枢軸の挑戦に敗北するような事は絶対に許されないのである。

 日本政府は、中国側の”アンチ日本・ネガティブキャンペーン”に対抗するのに及び腰だが、「60年前ではなく現在ファシズムなのはどちらなのか?それは中国自身ではないか。」といった主張を展開して、首相・外相・財務相といった閣僚レベルから大使・一外交官レベルにいたるまで一貫した、世界規模での反論キャンペーンで応じるべきだ。

日本のみならず世界の自由と民主主義を守るためにも、腹を決めてケンカせよ日本。

関連記事・”西部戦線”異状無し

関連記事・小泉首相の靖国参拝


日本が準常任理事国なら中国は認めると発表

 中国の王光亜国連大使は、日本が常任理事国入りをあきらめて、拒否権無しの”準常任理事国”になるなら中国として容認する事を示唆した。

中国国民の侮日感情をあおり反日暴動を意図的に放置する事で、日本の常任理事国入りをなんとしてでも阻止し、日本を屈服させようとした中国だったが、

”将来有望で安全な投資先としての中国”という神話の崩壊と投資や観光収入の減退という傷を負ったにもかかわらず、結局小泉首相は靖国神社参拝を実行し日本を屈服させる事には失敗した。

 安保理改革においても、町村前外相が「常任理事国入りができないのであれば、日本は現在の地位にふさわしい額まで国連分担金を減らす」という「代表無くして課税無し」の普遍的な原則をかかげたために、国連を自分の都合の良いようにかき回しておいて分担金をろくに支払わない、「国連をタダ乗りする中国」という事実がクローズアップされてしまった。

 以前にも指摘したとおり、「中国という国(あるいは人)は、弱腰の相手には鬼のように強く、強く出てくる相手にはとたんに弱くなる」という特徴がある。

これまで「歴史ネタを持ち出せば、日本はすぐに弱くなって中国の言いなりになる」という事を経験してきた中国は「今回もその手で行ける!」と踏んだのだろうが、

この計算が狂って、中国製品の輸出市場としてあるいは省エネや低公害技術をもつ国として中国が必要とする日本との関係をこじらせてしまい、対中円借款打ち切りが決定され、国連における中国の分担金増も考えなければならなくなっている。

結果的に中国は、1人民元の得にもならない”宗教戦争”を日本に仕掛けて手痛い損害を負った形になっているが、そうした状況を打開するための譲歩策が、「実質的にはたいしたパワーを持たない”準常任理事国というアメ”をしゃぶらせて日本をなだめ、国連で日本が中国の風下にいるかぎりは容認する」という今回の発表だったのだろう。

 しかし、「だから日本も譲歩して準常任理事国でガマンしておこう」というのは、今、最もやってはいけないことだ。

小泉首相が靖国参拝を実行したにもかかわらず、逆に中国がこうした譲歩案を示してきたのは、これまで日本が強い姿勢を見せ続けたことによって、中国のさまざまな弱点があらわになったからであり、それによって「強く出てくる相手にはとたんに弱くなる」という中国本来の習性をあらわしたからである。

クロフネが以前指摘したとおり、(リンク1リンク2日本はG4から離れてアメリカと連携してあくまでもフル資格の常任理事国入りをめざすべきであり、今、中国に対して譲歩して弱腰になる必要性はみじんもない。

ここで弱腰になるのは相手に誤ったメッセージを与える事になり「中国は弱腰の相手には鬼のように強くなる」という習性を再び呼び覚ましてしまうだろう。

ボルトン・アメリカ国連大使をはじめアメリカ政府関係者も「日本(だけ)の常任理事国入りを支持する」「(アメリカが常任理事国にしたくないドイツのいる)G4はもう終わった話で、日本は手を切るべき。(でないとアメリカは日本を支持できない)」とさかんに言っている。

ここはあくまでも強気に粛々と、常任理事国入りのためのあらゆる手を打つべきである。

関連記事・チグハグな日本の援助戦略 


プーチン・ロシア大統領訪日せまるも日露間の対立とけず

 20日にせまったロシア・プーチン大統領の訪日だが、そのときに発表される共同声明の草案に日露両国が合意できず、ご破算となった。

ロシア側が、ロシア国営のエネルギー企業・ガスプロムの幹部など経済界の大物を大挙来日させることからもわかるように、今回のプーチン大統領の訪日の目的は「北方領土問題は棚上げにして日本からの経済協力だけをつまみ食いしたい」というところにある。

ロシアが成立させたい取引は「ロシア産の石油」と「日本からの投資」プラス「北方領土はあきらめる」という1対2の交換であり、日本の国益上決して受け入れられないものである。

しかし、相手が”産油国印のインロウ”を出すと、たちまち日本人は「ははーっ」と恐れ入ってしまいがちで、それではいけない。

 ロシアが日本からの投資を必要としているのは、いつまで続くかわからない現在の原油高とそれがもたらしたロシアの好景気が続いているうちに、ロシアを世界に通用する先進工業国に飛躍させるため、その”きっかけ”が欲しいからだ。

これに失敗すれば、ロシアは中国にエネルギーをしぼりとられるだけの中進国に押し込められてしまうし、極東ロシアがどんどん中国経済の支配下におかれてしまう。 だから日本の高度な産業技術と資本のロシアへの投資が欲しいのである。

 日本としては、あくまでも「北方領土四島の返還」と「60万人に及ぶ日本人シベリア抑留に対する謝罪と賠償」を求めるべきであり、ロシア側がそれに同意しない限り、ロシアへの投資は一切許すべきではない。 トヨタの対ロシア投資も中止するよう政府から要請すべきだろう。

「そんなことをしたらロシアが怒って、石油と天然ガスパイプラインの太平洋ルートが中止され、日本はロシア産の石油が手に入らなくなる」と心配する人もいるかと思うが、クロフネはそうは思わない。

なぜならパイプラインを太平洋岸へ通し、日本やアメリカへロシア産の石油を輸出できる態勢を整えた方がロシアの国益になるからである。 

もし石油パイプラインを中国ルートだけにすると、石油を中国に有利な価格で安く買いたたかれてしまう。 しかし、太平洋岸まで通しておけば、信用力がありハードカレンシーで気前良く石油を買ってくれる日本やアメリカに輸出する事ができる。 オークションを競る人がたった一人か、三人以上かの差と考えればよい。

だからロシア側は「石油パイプラインで日本は心配するな」と言っているのである。

である以上、「日本がロシア産の石油を心配して北方領土返還をあきらめる」といったことがいかに愚かな事であるか、おわかりいただけよう。

 たとえロシアが、サハリンや極東シベリアの石油パイプライン計画で、日本に脅しをかけても、しばらく様子を見ておけばよいだろう。

そのうち、軍事技術も天然資源も極東ロシア経済も中国にしぼりとられたロシアが日本に助けを求めてくる、といった事態もありうるし、そうなれば「助けて欲しくば、北方領土返還を決断せよ」と日本が要求する事が出来る。

うまくいけば、日本は”果実”が熟して落ちるのを木の下で口を開けて待っているだけでよくなる。 今のところ何ら焦る必要は無いだろう。


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クロフネの防衛力整備計画(その5)

  • 2005/11/15(火) 23:52:47

前回のつづき

 前回まで2回にわたって、日本領空やその周辺空域で日本側がいかに制空権を握るかについて具体的に考えてみた。

今回からは制空権を握ったあと、どう日本の空軍力を行使して外国軍の侵略に対処するかについて考えてゆく。

 以前、島嶼(とうしょ)防衛を考える場合、

1.侵略してくる外国軍を撃退して日本の離島を守る防衛力

2.敵の電撃作戦で不幸にして占領されてしまった日本の有人・無人の離島を奪回する防衛力


の両面から防衛力整備をしておかなければならない事を指摘した。

 まず前者の事態への対処から考えていくが、日本の離島の侵略を企図する上陸部隊をのせた強襲揚陸艦やそれらを護衛する外国軍艦艇が、日本の領海などに侵入してきた場合、それに対処するのは空対艦ミサイルを搭載したF-2やF-4EJ改といった支援任務につく戦闘機で、

E-767早期警戒管制機(AWACS)などが発見した敵艦隊を、AWACSの誘導を受けて支援任務についている戦闘機が現場へ急行し、空対艦ミサイルを発射して敵艦隊を排除、敵の日本領土への着上陸を阻止することになる。

 この分野は従来から日本も力を入れており、戦闘機やミサイルがカタログスペック通りの性能を発揮するならば、しばらくは問題無いだろう。

ただ前回述べたとおり、F-4EJの引退が迫っており、その穴埋めが必要である。

その場合、後継の新型戦闘機(F/A-22もしくはF-35が望ましい)に空対艦ミサイル発射能力を付与するか、既存のF-15Jを改修して空対艦ミサイル発射能力を付与するかのどちらかになろう。

 また空自が使用している空対艦ミサイルは、アクティブ・レーダー・ホーミング方式のASM-1と赤外線画像方式のASM-2の2種類だが、ミサイル本体のステルス化によって敵に発見・迎撃されにくい次世代・対艦ミサイルの早期開発が望まれる。

 以上、前者は良いとしても問題となるのは後者の事態が発生した場合である。

一旦日本の領土を外国に奪われてしまった場合、「それを奪回するのは矛であるアメリカの仕事であって、盾である日本の仕事ではない。」では困る。

そのような問題については以前述べたとおりだが、自衛隊独力で一旦奪われた日本の領土を奪回するにはどういった空軍力が必要か、具体的に考えてみる。

 まず、日本の離島を占領した外国軍は、対空ミサイルや対空砲部隊などを展開して、強固な防空網を構築しようとするだろう。

この理由も以前述べたとおり、「現代戦においては、制空権を握った方が陸・海の戦いでも優位に立てるから」である。

 日本側が日本の領土を奪回しようとする場合、その島へ陸自部隊を逆上陸させる前に、日本の領土を占領している敵陸上部隊に空爆を加えて、十分に敵の戦力をそいでおかなければならないが、

敵の防空網をそのままにして空自戦闘機が空爆を実施すれば、特に敵の地対空ミサイルによって相当の犠牲を覚悟しなければならないし、「敵の対空ミサイル・対空砲火を避けながら、目標に自由落下の爆弾を命中させよ」とパイロットに命じるなど正気の沙汰ではない。

空自戦闘機が敵の地対空ミサイルに何機も撃ち落され、生き残った空自戦闘機が敵のミサイルや対空砲火を必死に避けながら自由落下の爆弾を投下したら、
敵ではなく味方や日本人島民の住宅に落下して誤爆で犠牲者を出した、なんて事も充分予測できる事態である。

もしそんな事があったら、敵軍を日本の領土から撃退できたとしても、安全保障の専門家としては諸手を上げて喜ぶというわけにはいかないだろう。

「周辺国への配慮」などといった、もはや無意味な事にこだわるからそのような可能性が生まれるのであって、日本国民の生命・財産(その中には自衛隊員の生命も当然含まれる)を守るために必要な装備は全て調達・保有し、万全を期すということが何よりも優先される。

 それではどうしたらよいか過去の戦訓から学ぶことにするが、1960年代後半のベトナム戦争において、北ベトナムへの空爆をはじめたアメリカ軍戦闘機が、ソビエトが北ベトナムに供与した地対空ミサイルSA-2”ガイドライン”によってバタバタと打ち落とされ、かなりの犠牲をだすという事態が生じている。

このためアメリカ軍は急遽、対レーダーミサイルを使って北ベトナム軍の防空網の破壊・制圧(通称SEAD<Suppression of Enemy Air Defence>と呼ばれる)を専門任務とする”ワイルドウィーズル”(野生のイタチ)と呼ばれる部隊を編成して、対処したのだった。

それ以後、対レーダーミサイルを使用したSEAD任務は現代戦において必要不可欠なものとなり、日本と同じ敗戦国であるドイツはもちろんの事、日本の近隣の中国や韓国も対レーダーミサイルを保有しているが、日本だけはアメリカに任せてSEAD任務をおざなりにしてきた。

日本の戦闘機すべてがステルス機となれば必要無いかもしれないが、そういった事は今後数十年ないだろう。

である以上日本も対レーダーミサイルを保有し、SEAD任務をこなせる部隊を整備する事は絶対に必要である。

日本も早急に、アメリカ製のAGM-88”ハーム”やイギリス製の”アラーム”といった対レーダーミサイルを保有し、F-2もしくはF-15Jに対レーダーミサイル発射能力など、SEAD任務遂行に必要な改修を施すべきだ。

 SEADミッションによって、日本領土に上陸した敵軍の地対空ミサイル部隊といった防空網を一掃した後は、いよいよ敵軍本体を空爆する事になる。

その場合、F-2かF-4EJ改がその任務を担当し、精密誘導兵器を使用してミッションをこなす事になるが、(やはりF-4EJが、じき引退するのでF-15Jを改修して爆撃任務が行えるようにすべき)

日本が保有する精密誘導兵器は、アメリカ製で調達がはじまったばかりの、GPS誘導で相手をピンポイントで爆撃する”JDAM”だけである。

しかし空中戦の時にも述べたとおり、現代戦で重要視されるのは「敵の兵器がとどかない遠距離からこちらの兵器を発射し、味方のサバイバビリティ(生存性)を確保しながら、相手を確実に撃破してしまう能力」である。

JDAMは滑空爆弾であるため、どうしても長射程空対地ミサイルと比べて射程距離が短くなり、それだけ友軍機のサバイバビリティが低くなり、戦死者が増えてしまう可能性がある。

またGPS誘導のJDAMは移動目標を攻撃するのが基本的に得意ではない。(ペイブウェーのようなレーザー誘導方式の精密誘導爆弾も必要なのでは?)

アメリカ製のAGM-84”スラム”でもEU製の”ストームシャドウ”でもイスラエル製のものでも、ASM-2を改造して国産にしてもよいから、一刻も早く長射程や中射程のスタンドオフ空対地ミサイルを日本も配備すべきだ。

 また以前にもふれたとおり、日本の周辺各国で巡航ミサイルの保有が当たり前となりつつある今、日本だけが巡航ミサイルを保有せず東アジア地域の軍事バランスを崩してしまうのは好ましいとは言えない。

日本も空中発射型や艦艇発射型の巡航ミサイルを保有しなくてはならない時期にさしかかっていると思われる。

 さらに敵を正確に爆撃するには、戦闘機に装着する赤外線航法・目標指示ポッドが欠かせない。

F-2に装着させるために国産のFLIRの開発が進められているようだが、コスト高で調達が進まないようならF-15Jに装着する分もあわせて、アメリカなどの外国製品を輸入する方向に切りかえる事も考えるべきではないか。

(価格・性能の面から考えてイスラエル製がお買い得かもしれない。検討してみる価値はある)

 そしてSEADや空爆任務につく戦闘機部隊を援護するために、敵レーダーを妨害するスタンドオフ・ジャマー機も必要になるだろう。(EC-1やYS-11Eの後継機が必要)

 最後に”偵察”であるが、F-4EJと同様に偵察任務についているRF-4E有人偵察機も引退が迫っており、装備の更新が求められている。

これに対して余剰になるF-15Jを偵察型に改造して後継機にしようという案があるようだが、そもそも有人偵察機を敵軍が残存しているような地域に派遣するのはリスクの面からも、偵察機への改造コストの面からも現実的ではないのではないだろうか。

そこで思い切って有人機の偵察専門部隊は廃止して、偵察には各種UAV(無人機)を活用し、どうしても有人偵察機が必要だという場合は、偵察機材ポッドを戦闘機のF-2かF-15Jに携帯させて、ミッションをこなすようにしたらどうだろうか?

 3回にわたって島嶼防衛に必要となる空軍力の整備について考えてきたが、それは現代戦において空軍力が最重要だからである。

これまで述べてきたような作戦遂行能力とそれに必要な装備が調達できれば、日本の有人・無人の離島を含めた島嶼(とうしょ)防衛に求められる最低限の空軍力が整うはずである。

これ以外にも空軍力整備において大切な分野はあるが、政府・防衛庁の計画の実施をとりあえず見守りたいと思う。

 次回からは島嶼防衛に必要な海軍力・陸軍力について考えていこう。


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最近の気になるニュースから(11/14)

  • 2005/11/14(月) 23:38:28

 釜山APEC開催迫る

 15日に開催が迫った、APEC(アジア太平洋経済協力会議)釜山会議だが、これにあわせて日本外務省は中国側に日中首脳・外相会談開催を実現すべく奔走しているようだ。

 確かに日中対話の必要性はクロフネも認めるが、だからといって日本側から日中首脳会談を哀願するような事はすべきではない。

そうすることによって、中国側に「靖国問題解決のために、どうしても中国と会談をしなければならない日本は弱い立場にあるのです。」といった、誤ったメッセージを送る事になってしまうからである。

 日本側が中国との対話を求めるのは、靖国問題に対する日本の立場や神道の慰霊の考え方を説明するためであって、中国側に靖国参拝の許可を懇願しているわけではない。

靖国問題は純粋な内政問題であって、それに中国がとやかく言うのは内政干渉の禁止をうたった日中共同声明の精神に明確に違反している。

だが、日本側が日中首脳会談を哀願するような態度をとれば、中国側が”首脳会談”を高く売りつけて、「首脳会談をしてやるからその代わりに靖国参拝を止めろ」と要求してくるのは明らかで、この問題はもっとこじれていくだろう。

 中国側が拒否するなら、しばらく首脳会談開催はあきらめて放っておけば良い。 中国にとって、日本の持つ省エネ・低公害技術や中国製品の売り込み先としての日本市場は必要不可欠なものだ。

韓国は日本の協力が必要不可欠であるがゆえに、首相が靖国に参拝しても日韓首脳会談をキャンセルできなかった。

中国は韓国より国力が大きく、外交カードも豊富に持っているから日中首脳会談をキャンセルし続けても、しばらくは困らない。

しかし日本側が省エネや低公害技術などの対中供与や一切の経済援助を戦略的にストップさせれば、いつか必ず中国は日中首脳会談に応じざるを得なくなるだろう。

その時に、中・韓まとめて「”首相が靖国に参拝する日本”を受け入れて、日本と共存共栄でやっていくのか、それとも日本との関係を政治的にも経済的にも一切絶つのか、そのどちらかにしろ。」と要求すべきである。

 東アジアにおいて中国に逆らえる国が、日本とせいぜい台湾ぐらいになりつつある今、靖国問題は純粋な宗教問題から離れて「中国が力づくで日本をみずからの”属国”にするか、それとも中国に対して日本が独立を守り通すか」の問題となった。

ここは腹を決めてケンカせよ、日本。


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改革が不充分な谷垣財務省案

 谷垣財務相が、小泉首相が議長をつとめる経済財政諮問会議へ提出する、政府系金融機関改革の財務相案の内容が明らかになったが、これまで日本の国益を損ねてきた国際協力銀行が、ほぼ温存された形で残される内容となっている。

報道によると国際協力銀行の幹部は、同行の存続を図るため与党関係者に根回しをしていたようだが、国際協力銀行は、もはや組織が存続し膨張する事それ自体が、同行のレゾンデートル(存在理由)となっており、小泉首相がかかげる三位一体の改革とは真っ向から対立するものである。

 中国の東シナ海ガス田開発に巨額の融資を与えるなど日本の足を散々引っ張ってきた、国際協力銀行の解体と首相の指揮下へのODAの一本化は絶対不可欠なものであり、単なる官僚が、首相と国民の意思に逆らう事など許されない。

「政治は行政のプロたる官僚に任せておけば良いのであって、国民や国民によって選ばれた首相以下の政党政治家はすっこんでいろ」というのは、戦前の超然主義官僚の言いぐさだったが、

民主主義と立憲政治に、自己保身にきゅうきゅうとする官僚が時代遅れの超然主義で挑戦しようというのなら、国民は完膚なきまでに叩きのめしてやるべきである。

そのために小泉首相は絶大な支持と権力を有権者によって与えられたのだから、手加減をすることなくしっかりとやって頂きたい。

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日韓間で怪しく蠢く人達

 与党自民党の山崎拓氏、福田康夫氏、加藤紘一氏や公明党に続いて、森喜朗氏までもが、ろくでも無い事をはじめたようだ。

こうやって韓国に金づるを渡してやるような事をするから問題がこじれていくと何度言えばわかるのだろうか。

山崎氏をはじめとする自民党親中・韓派や公明党と、自民党執行部との政策の不一致は、国民としても見逃せないほどに大きくなっている。

自民党内の親中・韓派は自民を離党して、新党の”親中国党”でも結成し、公明党も連立を離脱して新しい政策を国民に訴えたらどうだろうか。 

その方がわかりやすいし、次回選挙でどちらに入れれば良いか有権者も投票もしやすい。 

 逆に中・韓をなだめるために、わざとこうした行動を首相は黙認しているのだといった噂も一部で流れている。

しかし「靖国に代わる国営慰霊施設」という夢だけ中・韓に見させておいて「やっぱり造らない」なんて事を日本がすれば、相手をなだめるどころか全くの逆効果で、裏切られたと感じた中・韓の反発はもっとひどくなるだろう。

はじめから「靖国参拝はやめない。代替施設もつくらない。」といった断固とした姿勢を示して、中・韓の夢も希望も完全に打ち砕いておくのが正しいやり方である。

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日本と南米の関係に影を落とすフジモリ元大統領問題

 アルベルト・フジモリ元ペルー大統領がチリで拘束された事件をきっかけとして、日本とペルーやチリといった南米諸国との関係がギクシャクし始めた。

もともとは日本に亡命したフジモリ氏の身柄引渡しをペルー政府が要求し、日本側が拒否した事が問題の発端となっている。

 亡命した人が本国へ送還された場合、迫害を受けるといった事が確実なら亡命者の身柄を安易に本国へ引き渡せないし、それがこの問題の難しいところなのだが、結論から言えば、日本政府関係者がフジモリ氏とコンタクトを取りつづけるようなことはやめて、一切この問題から手を引くべきではないだろうか。

 いくら日本人の血を引いているとはいえ、もうフジモリ氏はペルー国民なのだから、ペルーの法によって裁かれるというなら日本が介入すべき問題ではないと思う。

たとえペルーの法が悪法だったとしても、それをどうするかはすべてのペルー国民が考えるべき事であって、日本が人権の保護を訴える必要はあっても、
フジモリ氏が裁判を受けずに済むよう助けてやるような内政干渉は、すべきではない。

南米には多くの日系移民が暮らしていて、移民受け入れ国の住民から「日系移民は、まじめで勤勉」という高い評価を受けている。 そういった人達のことも考えてやらなければならないだろう。


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最近の気になるニュースから(11/11)

  • 2005/11/11(金) 23:56:10

6カ国協議終わる

再開された6カ国協議は、残念ながら成果無く終わったようだ。クロフネはあまり期待していなかったが。

あいまいな表現を盛り込んだ前回協議の共同声明をもとに始まった今回の6カ国協議だが、軽水炉にあくまでこだわる北朝鮮と、すべての核開発の放棄が先とする日米の対立は最後までとけなかった。

また日本が提案した”テーマ別作業部会”設置も認められなかったが、

前回協議で、”北朝鮮の微笑み作戦”に舞い上がってしまった日本が、北朝鮮に有利な文言を盛り込んだ共同声明にパクっと食いついてしまったためにアメリカを孤立させ、結果的にあのようにあいまいな共同声明が出来てしまった。

今回アメリカが、日本が提案した作業部会設置に良い顔をしなかったのも、その影響があるのではないだろうか。

前回協議の”北朝鮮の微笑み作戦”も、最近再開された”日朝政府間対話”も、北朝鮮の真の意図は、拉致問題を解決するのが目的ではなくて、

日本に対して失っても、痛くもかゆくも無い”アメ”を与える事で日米分断をはかって6カ国協議を有利に進め、「核兵器をそのままにして経済援助だけふんだくってやろう」という魂胆でやっているのは明白だろうと思う。

日米としては対北朝鮮戦略の練り直しが必要ではないだろうか。

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日韓首脳会談開催へ

 靖国問題で、日韓首脳会談中止や日韓FTA交渉中断をカードとして使い、日本の首相の靖国参拝を阻止しようとした韓国。 しかし、そんなカードは屁でもなかった日本。

結局こうなる事はわかっていた。それを、小泉首相の靖国参拝直後に

「中国・韓国を怒らせたぞ、これはえらいことになった。どんな仕返しが来るかわからない。靖国で怒らせたぶん、ほかの分野で日本が中・韓に譲歩して相手をなだめないと大変なことになるぞ!」

と卒倒せんばかりにパニック状態になった、対人恐怖症ならぬ外国恐怖症の日本の一部マスコミや政治家はみっともないったらありゃしない。

冷静にあたりを見回してみれば、「中・韓の日本への仕返し」なんてものは今の今まで無かったし、日本がこうむった実害はほとんどゼロだ。

外国と何回モメたかで、外交の良し悪しを評価するといった幼稚な事から、日本人はいいかげん卒業したい。 今回ケンカを売ってきたのは向こうでこちらではない。

 政界・経済界・マスコミなど各界の外国恐怖症の日本人が、こうした間違いを何度も繰り返し犯すのは「日本人との付き合い方を、外交に適用してしまう」から。

こういった輩が「自分は外国との付き合いのプロだ。外交が下手な小泉首相をなんとかしなきゃ」と変な自信と義務感を持って、うろちょろすることほど、日本にとって害の大きいことは無い。

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ヨーロッパへの接近をはかる中国

 現在、中国の胡錦涛主席がイギリス・ドイツなど欧州を歴訪中で、各種人権団体から”熱烈な歓迎”を受けている。

無意味な日本バッシングで、経済力世界第1位のアメリカと第2位の日本を強固にくっつけてしまい、結果的にアメリカの一極支配に協力するという愚を犯した胡主席。

今回の歴訪でヨーロッパを中国の味方につけ、自らの失敗をリカバーするのも目的の一つだろう。

しかし、イギリスとアメリカの同盟関係はしばらく揺らぐ事はないだろうし、ドイツは親中のシュレーダー首相退陣が大きな痛手で、新連立政権も発足に手間取って先行き不透明、フランスは移民の暴動で外交どころじゃないし、中国としても痛し痒しだろう。

ヨルダンで大規模テロ

 ヨルダンの首都アンマンで、アルカイダの犯行とみられる大規模テロがあった。 読者の皆さんの中にはヨルダンと言われてもピンとこない人もいるかもしれないので、ちょっと解説しておくと、

ヨルダンは、イラク・サウジ・イスラエル・シリアといった中東の地域大国にぐるりと囲まれた王国で、石油が出ないので残念ながら国力は大きくない。

 ヨルダンを治めているのは、イスラム教の預言者ムハンマド(マホメット)の直系の子孫といわれる由緒あるハシム家で、現国王はアブドラ陛下。

アブドラ国王の父君である、フセイン前国王は「暗殺とクーデタのデパート」と言われる中東で強国に囲まれながら、ヨルダンを巧みな綱さばきでひっぱってきた。



↑フセイン前国王

 もともとイギリスの委任統治領だったこともあって、独立後のヨルダンは親欧米路線をとった。 しかし度重なる中東戦争で、反イスラエル・反米のパレスチナ難民が大量にヨルダンに避難してくると、ヨルダンの苦悩がはじまる。

イラン・イラク戦争中の1981年、イラクのフセイン大統領が核兵器開発を始めたのをイスラエルがかぎつけ、イスラエル軍戦闘機がヨルダン上空を堂々と飛びぬけて、イラクの核施設を爆撃した”バビロン作戦”発動時も、

ヨルダンのフセイン国王は、イスラエル戦闘機の領空侵犯を事実上黙認するしかなかった。

 90年にイラクがクウェートを侵略して始まった湾岸戦争では、イラク・フセイン大統領が「この戦争は、アメリカやイスラエルの十字軍を叩きのめすための戦いだ」と宣言。

これにヨルダン国内のパレスチナ難民は熱狂的な支持を訴え、ヨルダンのフセイン国王は、親米から親イラクに外交の舵をきるという苦渋の選択を迫られた。

当然、クウェート亡命政権やサウジなどがヨルダンに激怒し、湾岸産油国から来ていた経済援助はバッサリ切られ、ヨルダンは経済的苦境に立たされた。

湾岸戦争がアメリカの勝利に終わった後、ほとぼりが冷めるのを待ってからイスラエルと国交を樹立するなど、フセイン国王は再び親米路線に舵をきり、サウジなどの湾岸産油国との和解もすすめた。

このように、強国に囲まれたヨルダンの外交の舵を、時に巧妙に時に危うい綱渡りのように操る、したたかな政治家であったフセイン国王は、飛行機パイロットとしてのライセンスも持ち、ヨルダン国王専用機の”ロッキード・トライスター”を自分で操縦して外遊に出かけてしまうといった、”異色の国王陛下”でもあった。

フセイン国王は99年に薨去されて、後を引き継いだのがアブドラ現国王である。

 アブドラ国王は親欧米路線を引き継ぐとともに、ヨルダンの軍需産業育成に力を入れ、戦車や各種装甲車の開発などをすすめている。

これには日本も少し関係していてクロフネが聞いた話では、ヨルダン王立の兵器開発公社がヨルダン陸軍などのために開発する軍用車両のベース車として、韓国の某自動車会社に四駆を発注したのだが、

その韓国企業が「納期は守らないわ、送ってきた四駆は不良品だわ」で、怒ったヨルダン側は韓国企業と契約解除、発注先をトヨタに切り替えて送られてきたランドクルーザーをベースとして改造を施し、各種軍用車両を開発したとのことである。

 そのアブドラ国王だが、無類のサッカー好きとしても有名で、サッカー・ヨルダン代表チームに投資をして、その強化策が実り2004年サッカー・アジアカップ中国大会に出場を決め、決勝トーナメント1回戦では日本代表とPK戦にもつれこむ死闘を繰り広げたのは記憶に新しい。

はるばる中国まで国王専用機を飛ばして応援に駆けつけたアブドラ国王を、中国・重慶スタジアムのVIPルームに見た人もいるのではないだろうか。

 このブログの読者さんのなかに王室ファンの方もおられるようなので、ちょっとサービスしてヨルダンという国家とその王室について詳しくみてみた。

話を本筋に戻すが、イラクで日本人を誘拐して殺害したイスラム原理主義組織、イラク・アルカイダ聖戦機構が今回のヨルダン大規模テロの犯行声明を出している。

その組織のリーダー、アブ・ムサブ・ザルカウィが実はヨルダン出身で、親欧米路線をとるヨルダンに対する報復として、今回の大規模テロが計画されたのだろう。

「たとえ同じアラブでも親欧米は許さない」というアルカイダの姿勢は、アラブ社会に深刻な亀裂を生んでしまうのではないだろうか。

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クロフネの防衛力整備計画(その4)

  • 2005/11/10(木) 23:18:14

前回のつづき

 また自衛隊に配備されて30年以上たつ、ベテラン戦闘機として退役がせまっているF-4EJシリーズの後継機種選定も迫っているが、数十年先をみこした効果的な空自戦闘機の再編成も、日本が自国領空の制空権を確保しつづける上で重要な課題である。

F-4の後継候補としてはアメリカ製のF-15E、F/A-18やF/A-22などがあがっているようだが、戦闘機というのは国家にとっては非常に高い買い物で、一旦買ったら20~30年は使わないといけない。 

つまり20~30年先でも有効な戦闘力を維持していなければならず、将来を見越して慎重に機種選定をしなければ、貴重な防衛費を無駄にしてしまうことになる。

 前回で「現代の空中戦において重要なのは、敵に発見されるより先にこちらが相手を発見すること」といったが、その意味で敵レーダーに発見されにくいステルス機が今後の戦闘機の主役となるのは間違い無いだろう。

だから、今さら非ステルス機を買うのは防衛費の無駄であって、F-15EやF/A-18は候補としては問題にならない。

アメリカ自身、F-16やF/A-18、F-15Eといった非ステルス戦闘機の後継として、F-35やF/A-22といったステルス機での代替計画をすすめているのに、日本が今になってF-15EやF/A-18を買ってしまったら、配備してすぐに「やっぱりステルス機にしておけばよかった」となるのは目に見えている。

 現在世界でステルス機として形になっているのは、アメリカ製のF/A-22とF-35だけだが、F-35を日本が買って手元にとどくのは2020年ごろらしいので、残念ながらF-4EJの引退に間に合わない。

そこでF-4EJの後継としてではなく今後の空自の戦闘機全体の更新と再編成をにらんで、
F-15Jの後継としてF/A-22を導入することを提案したい。

そして玉突き式に、F-15Jを改修して転用することで、引退するF-4EJの穴埋めをしたらどうだろうか。

 ここでネックとなるのは、アメリカ空軍最新鋭のF/A-22を日本に売ってくれるのか?という事と、たとえ売ってくれたにしても、F/A-22は日本にとって高い買い物になる可能性があるという二つの点である。

しかし、アジアにおけるアメリカ排除を狙って軍拡を進める中国に対抗するために、戦後最高ともいわれる日米同盟関係を有効活用すれば、アメリカ軍の戦力が手薄な西太平洋を日本がカバーして軍事的バランスをとることができ、しかもアメリカの国防費の節約ともなって、F/A-22の日本への売却はアメリカ側に相当のメリットがあり、可能性はゼロではないと思われる。

また、製造メーカーのロッキードマーチンとしても、アメリカ軍むけにたった200機ちょっとしか生産せず、巨額の投資をして構築したF/A-22製造ラインを閉じて雇用を失ってしまうのは、投資効率が悪いのではないだろうか。

 もし日本へのF/A-22売却にGOサインが出るのであれば、現在日本が200機保有するF-15Jの後継として一対一で交換する必要は全く無い。

日本の制空任務を担う戦闘機の数を3分の2とか半分に減らしてでも、F/A-22を購入・配備する価値はある。

(当然、前回のべたAAM-4携行能力を持たせるため改修をする、F-15やF-2の数を減らすことになる。)

なぜなら、F/A-22がカタログどおりの性能を発揮するのであれば、現在日本が保有する戦闘機2機につき1機の割合でF/A-22と交換しても、戦力は変わらないどころか、むしろアップする可能性さえあるからである。

それでも「F/A-22は高すぎる」「戦闘機の数が少ないと不安」というなら、しばらく後に生産が始まる、より安価なステルス戦闘機F-35と併せて購入し、”ハイ・ロー・ミックス”でいくのもよいだろう。

 もしアメリカから「どうしてもF/A-22は売れない」と言われた場合でも非ステルス機を購入するべきではない。

その場合は、将来生産が始まるステルス戦闘機(今のところF-35しかないが)を購入するとして、それが日本に届くまでの間、アメリカなどで使っていた中古のF-16Cあたりをリースして空自で使用し、ステルス戦闘機が届いてからF-16Cをリースバックすれば、防衛費のムダ使いを防ぐ事が出来よう。

 よって今後3、40年間の近い将来、航空自衛隊が使用する戦闘機は、

A案として、F/A-22、(F-35)F-15J改、
 F-2

B案として、F-35(仮)、F-15J改、F-2

の3機種程度となる。 

もしF-4EJの後継としてF/A-18を買ってしまったら、

F/A-22、<F-35>F/A-18、F-15J、F-2

の4~5機種となって、パイロットの養成と訓練・メンテナンス費用などで防衛費のムダがかさんでしまう。それは避けなければならない。

 ここで「国産戦闘機開発という道はないのか?」とか「F/A-22を買うにしてもせめて日本でライセンス生産を!」といった話も出てくるだろうが、

前者は、日本の財政事情が健全で潤沢な防衛費の使用が許されるというならまだしも、現在の状況をふまえれば現実的ではないし、後者も、アメリカが最高機密のかたまりであるF/A-22のライセンス生産を許すともちょっと思えない。 「やらせてくれたら儲けもの」ぐらいに考えておくべきではないだろうか。

F/A-22を買ったら買ったで、「空対空ミサイルをどうするのか? AAM-4が積めるのか? そうなると火器管制レーダーはどうなる? それともアメリカ製のミサイル・AIM-120”アムラーム”で妥協するか?」といった諸問題も出てくるのだが、それは未来への課題としておこう。

 前述のA案またはB案での空軍力が整備できれば、今後数十年にわたって日本の領空やその周辺空域で日本側が制空権を確保しつづける事は、今の時点でかなり高い確率で可能になると思われる。

また、米ソ冷戦期には空自の最新鋭戦闘機は、まず北海道に優先的に配備されてきたが、それは今現在でも続いてしまっている。 おそらく「中国を刺激してはいけない」という理由からだろう。

しかし日本の脅威がソビエトから中国へとはっきり移った今、沖縄にこそ、空自の最新鋭戦闘機をまっさきに配備しなければ意味が無い。

さきに政府は那覇基地のF-4EJをF-15Jと取り替える事を発表したが、のんびりしすぎている。 F-15用のバンカーの整備もあわせて、一刻も早い配備を済ませて欲しい。


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クロフネの防衛力整備計画(その3)

  • 2005/11/09(水) 22:02:08

前回のつづき

 今回からは、侵略してくる外国軍を撃退して日本の離島をいかに防衛するか、あるいは敵の電撃作戦で不幸にして占領されてしまった日本の有人・無人の離島をいかに奪回するかという、将来予測される双方の事態に対処するために、これからの日本に求められる島嶼(とうしょ)防衛力を具体的に考えてみる。

 さて、効果的な島嶼防衛には陸・海・空・三軍の密接な連携が欠かせないが、その中でまず一番に力点をおかなければならないのは”空”であり、具体的に言えば制空権の確保である。

(”制空権”という言葉を嫌って”航空優勢”という語句を使う人もいるがそれでもいい。今回は制空権という言葉で統一する)

こちらが制空権を確保できなければ、敵の水上艦艇の領海侵入や強襲揚陸部隊の日本領土への上陸を易々と許してしまうだろうし、一旦奪われた領土を奪回するために、こちらの水上艦艇や揚陸部隊を目標の島へ近づける事もままならない。

 現代戦において、空を制する者が陸や海での戦闘においても戦いを有利に進められるというのは、常識である。

もちろん空軍は万能ではないが、制空権を失って日本側にマイナスになることはあっても、プラスになることはないだろう。

だから日本としては、まず日本の領空と周辺空域の制空権の確保が最重要課題であり、日本領土への侵略を企図する相手国も当然、日本上空の制空権の確保に全力をあげることになろう。

 それでは「いかにして制空権を確保するか」という問題を次に考えていくが、

現代の空中戦においては、

敵に発見されるより先にこちらが相手を発見し、なるべく敵の兵器がとどかない遠距離からこちらの兵器を発射して、味方のサバイバビリティ(生存性)を確保しながら、相手を確実に撃破する能力を保持する

といった事が重要になってきている。

 日本の場合、敵をいちはやく発見する能力は非常に高い。 
空自が保有するE-767・AWACSやE-2C・AEWなどの空中早期警戒管制機群は、質・量ともにアメリカを除けば世界トップクラスといえるだろう。

それら空中早期警戒管制機が発見し、指示・誘導を受けて敵機を実際に排除するのは、制空任務を負う戦闘機とそれに搭載された空対空ミサイルということになる。

空自でいえば、F-15JとF-2、F-4EJ改などといった戦闘機がその任務にあたる。

 前述の「なるべく敵の兵器がとどかない遠距離からこちらの兵器を発射して、味方のサバイバビリティ(生存性)を確保しながら、相手を確実に撃破する能力」が重視されるという理由から、

湾岸戦争以降、敵機を目視してから発射される格闘戦用の短射程ミサイルやバルカン砲よりも、レーダーで敵を補足しパイロットが敵機を目視しないまま、遠距離から発射されて相手を撃墜してしまう目視外射程ミサイル(BVRAAM)が、空中戦における敵機撃墜手段において重視されるようになってきた。

ステルス機が世界的に普及すれば再び格闘戦に逆戻りするという話もあるし、発射したBVRAAMがはずれてしまえば、接近した敵戦闘機と格闘戦をせざるをえなくなるという状況はありうる。

だから格闘戦のための戦技訓練や短射程ミサイルの性能も重要だとは思うが、BVRAAMの能力が低くては格闘戦に持ちこむまでに撃墜されてしまう可能性があり、やはり高性能のBVRAAMの装備は大前提である。

 空自では、従来から使用していたアメリカ製のAIM-7”スパロー”にかえて国産のAAM-4(99式空対空誘導弾)を、主力の目視外中射程ミサイルとして配備をすすめ、同時にAAM-4の携行・発射能力を持たせるため、F-15J戦闘機のうちMSIP機と呼ばれる機体の近代化改修を行っているが、

前線に配備される全てのF-15やF-2に、AAM-4発射能力を持たせることこそ、日本が最優先にやらなければならない事であり、防衛費を傾斜的に投入して、すみやかに完了させてしまわなければならない。

F-15やF-2の火器管制レーダーの換装やセントラルコンピューターの改修の際は、もう開発が始まっている”AAM-4改”の発射管制能力への拡張性を持たせておく必要もあるだろう。 でないと改修が二度手間になり無駄に時間と防衛費を食うことになる。

また、E-767AWACSと各戦闘機とのデータリンクの拡充によって、C4I機能<Command(指揮) Control(統制) Communication(通信) Information(情報) Computers(コンピュータ)>の向上を図る事も重要である。

 これらが完成すれば、近々導入される空中給油機との相乗効果で、しばらくは日本領空や隣接する空域での優勢を保つ事ができるし、日本の離島を狙う敵国海軍や海兵隊への高い抑止力となるだろう。


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最近の気になるニュースから(11/7)

  • 2005/11/07(月) 23:34:15

フランスで移民の暴動広がる

 フランスでアフリカ系を中心とする移民の暴動が全国に広がり、フランス政府は対応に苦慮している。

フランス・ドイツ・イギリスなどEU各国は、経済的・人道的理由から寛大な移民政策をとってきた。

その結果トルコ系移民が多いドイツは別にしても、言語が同じという利点を生かしてアフリカやアジアなどの旧植民地から、大量の移民がEU各国にやってきた。

 しかし、社会的に成功する移民が出現する反面、移民先の社会になじめず、失業や貧困などを理由に犯罪やテロに走る移民も出てきて、ヨーロッパで深刻な問題となっている。

 日本においても少子高齢化社会をみすえて、移民の積極的受け入れを主張する人がいる。

そういった移民積極派の人達は「労働力の確保とともに、世界各国との友好と日本社会の文化の多様性が促進される」といったバラ色の未来しか想像したがらないが、

日本社会になじめない移民が犯罪やテロに走ったり、フランスでのスカーフ事件のように「郷にいらば郷に従え」「ローマに行ったらローマ人のやるようにしろ」ではなくて、「外国人移民の出身国の文化の方に日本人のほうが合わせろ」と主張して、移民と移民を受入れた地域住民とが激しく対立したり治安が悪化するといった、負の側面もあるということを忘れてはいけないと思う。

 日本社会も将来的に、

コストの安い労働力として移民を入れるかわりに、治安維持コストの増加も受け入れるのか、

労働コストは高いかもしれないが、ワークシェアリング的な政策を取り入れて、日本人の若年失業者や高齢者を労働力としてうまく経済に組み込んでいくのか、

選択を迫られる時が来るのかもしれない。

 それはともかく、日本の民主党のような一部政党などから”理想社会”とされているEUであるが、移民の問題も主権統合の問題も前途多難であるのは間違いない。

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きしみが目立つ南北アメリカの市場統合

 ブッシュ大統領がアルゼンチンに乗り込んで推進しようとした南北アメリカの市場統合であるが、南米主要各国の反応は思わしくないようだ。

ベネズエラ・チャべス政権を筆頭に、近年南米ではアメリカに批判的な左派政権が続々と誕生したが、そのせいもあるのだろう。


日本版石油メジャー誕生へ布石

 クロフネもこれをテーマに記事を一本と思っていたのだが、現実の方が先に動いてくれた。GJ!である。

実は、日本に数ある石油会社をすべてかき集めて統合しても、欧米メジャー1社にも勝てないといった状況なのだが、それにもかかわらず、今まで日本の石油会社の統合の動きはほとんど見られず、弱小会社がいくつも分立している情けない状態が続いていた。

 世間一般では「石油会社が油田を掘りさえすれば、カネがガッポリもうかる」というふうにイメージされているが、

実際のところは、一本ウン億円かけて油井の試し掘りをして「石油が出ませんでした。」とか、出たとしても「とても採算にのる量ではありません。」といった事もザラにあるという、ハイリスク産業なのである。

となれば、資本がデカイほうが有利になるのは当たり前で、体力の無い石油会社が試掘に何回も連続で失敗するとそれだけで倒産の危機となる。 

その意味で、今回の日本の石油会社統合は非常に大きい。是非、国が積極支援をして日本のエネルギーの安定供給に貢献するような、下流だけでなく上流部門にも強い国策石油企業へと育てて欲しい。

 余談だが、日本の石油会社は規模は小さいが保有する精油所の質が高く、特に脱硫能力(石油から有害な硫黄分を抽出する能力)は非常に高いレベルにあるという。

この点だけでいえばアメリカや中国の石油会社を引き離しているが、日本の精油所の高い能力を生かして、精油能力の不足に悩んでいるアメリカ向けに、製品の輸出などはできないのだろうか? コスト的に無理かな?

対中・円借款打ち切りで日中が対立

 日本の対中・円借款打ち切りに対して、中国が反発し、話し合いを拒否しているという。

ある外務省の幹部は「双方が経済協力の成果を祝え、『有終の美』を飾れるものにしたい」などと言っているそうだが、バッカじゃなかろうか。

銭其シン元外相が「日本の対中援助は、日本の利益になるからやったのであって、中国が感謝する必要など無い」と言いきったではないか。 はじめから中国側に「経済協力の成果を祝う」なんて気持ちはサラサラないのは一目瞭然だ。

(逆に言えば、「中国が外国を援助する時は、必ず見返りを要求する」という事実が、銭其シンの発言の前提となっているのである。 

見返りの例としては、「台湾と国交を断絶して中国とつきあえ」とか「アメリカ軍に対抗するために中国軍の基地をお前の国に造らせろ」といった事である。

だから当然、「中国と国交を断絶して台湾とつきあいはじめる」という風に、援助国からの見返りが無くなれば、中国は何のためらいもなく援助をバッサリ切る。)


中国が交渉に応じるつもりもないようだから、とっとと日本側が打ち切りを決定して中国に一方的に通告すればそれでよい。

 そもそも日本が対中ODAを打ち切らなければならないのは、反日暴動や一方的な日本の海底資源吸い上げ、さらに大軍拡による軍事力を使った日本への威嚇など、中国の対日本敵視政策が原因であって、”有終の美”をブチ壊したのは日本じゃなくて中国である。

にもかかわらず、何故日本が”有終の美”を必死に取り繕わなければならないのか意味がわからない。

さらに言えば、何故日本が中国への援助を打ち切るのに中国側の同意が必要で、同意がなければ有終の美を飾れないのか?

国民が納得いくように説明してみろ、外務省の幹部とやら。

 日本政府の一部には国民にコソコソ隠れて対中・円借款打ち切り後も、なんらかの迂回策を講じてどうにかして援助を継続させようとしている連中がいる。

毒ガス兵器処理も結局、迂回援助の氷山の一角だが、環境だなんだと理由をつけて対中援助を継続させたくて仕方の無い連中がいるらしい。

http://headlines.yahoo.co.jp/
hl?a=20051103-00000031-jij-pol


 確かに、日本の持っている省エネや低公害のための技術などは、持続的な経済成長が危うくなっている中国が、のどから手が出るほど欲しいものの一つだ。

だから、どんなに靖国やガス田問題でモメても、中国は日本と決定的なケンカができないのである。

その意味で”環境にやさしい低公害のための技術”や”省エネ技術”は日本が対中外交を有利に運ぶための重要な外交カードである。

 このように重要なカードは、中国が日本に友好的な姿勢を永続的にみせて、はじめて切るべきものであって、中国側が何もカードを切っていないにもかかわらず、日本が”低公害”や”省エネ”のカードを援助と称してタダでやってしまえば、

何の苦も無く低公害や省エネ技術を手に入れた中国がそれを使ってさらに国力を高め、その国力を使って更に激しい日本敵視政策をとってくるのは目に見えている。

 ともかく、無償もすべて含めて、プロジェクトが中途半端な状態で打ち切られても良いから、一切の日本の対中援助を即時停止せよ。

それでもやりたいと言うなら、中国に援助したくて仕方の無い連中が自腹を切って彼らのポケットマネーでやればいいのであって、国民の税金を勝手に使うんじゃない。

(だいたい中国に賠償や援助したがるヤツに限って、国民にカネを出させて自分だけはビタ一文出そうとしない、ケツの穴の小さいセコイやつと相場が決まっている

 たとえば日本を敵視する国には、「日本を敵視するな。お前たちが今やっている間違った対日政策を変更せよ!」という意味で援助を打ち切り、

日本に友好的な国
には、「日本に協力してくれてありがとう。現在の良好な2国間関係をこれからも継続しましょう」という意味で援助を継続させる

といった対応をとるのは、外国とコミュニケーションをとる場合の世界共通語の基本文法だが、日本の政治家・外交官だけに、この世界共通語がしゃべれずに正反対のことを恥ずかしげも無くやってのける世界の田舎者が存在する。

まったく日本政府や外務省には、外国語が堪能でも外国とのコミュニケーション能力ゼロの使えない人間が多すぎて、国民の一人として頭が痛くなってくる。

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クロフネの防衛力整備計画(その2)

  • 2005/11/05(土) 00:45:41

 前回では

1.A(核)B(細菌などの生物兵器)C(毒ガスなどの化学兵器)兵器とそれを搭載した弾道ミサイル・巡航ミサイルを防ぐ能力

2.北朝鮮特殊部隊を含めたテロ組織による破壊活動防止能力

3.日本の離島とその周辺の領海、さらに排他的経済水域を守る島嶼防衛力

の三つを、これからの日本が整備すべき防衛力の三本柱とした。

それでは今回からその三本柱のうちの、日本の離島とその周辺の領海、さらに排他的経済水域を守る島嶼防衛力の整備について考えてみる。

 近年中国がすすめている天然資源の獲得を目的とする領土・領海拡張政策によって、日本の領土・領海・排他的経済水域が脅かされているのは、皆さんご存知の通りだが、

この動きに対して日本は完全に出遅れてしまい、昨年12月に策定された次期中期防衛力整備計画も、そういった脅威への対処に万全であるとは言えないように思える。

 島嶼(とうしょ)防衛を考える場合、侵略してくる外国軍を撃退して日本の離島をいかに防衛するかといった対策だけでは不充分で、敵の電撃作戦で不幸にして占領されてしまった日本の有人・無人の離島を奪回するにはどうすればよいかといった事も考えて、防衛力の整備をしておかねばならない。

しかし、現在の自衛隊では前者の対策のみに重点がおかれていて、後者のような事態が発生した場合に対処するための能力の整備がおろそかになってしまっている。

もちろん現在の自衛隊の装備でも後者のような作戦を遂行する事は不可能ではないが、もし自衛隊単独で、しかも現有装備だけで離島奪回作戦を決行すれば、作戦が成功しても本来なら防げるはずの人的損害まで出してしまう事が予想される。

 何故そのように日本の防衛力整備がいびつなものになってしまったか、その理由としてあげられるのは、相変わらずの”専守防衛”論への固執

つまり「アメリカが攻撃で日本は防御」という役割分担にこだわりすぎている結果、日本自らが自衛隊に手かせ足かせをはめてしまい、島嶼防衛に自衛隊が柔軟に対応するための兵器が装備できておらず、また装備しようともしないという弊害を生んでいる点がひとつ、

二点目の理由としては、前例に固執するという官僚主義特有の問題であるが、陸・海・空・三自衛隊への予算編成が縦割り化・硬直化しており、今まで使用していた兵器の後継となる新兵器の購入を、ただひたすら事務的に繰り返していくといった事態に陥りがちになっていて、

その結果、ある分野での防衛力が異様に整備されているかと思えば、別の必要とされる分野での防衛力整備がおろそかになっているといったアンバランスな状況を招いてしまい、

やはり島嶼防衛に自衛隊が柔軟に対応するための兵器が装備できておらず、又装備しようともしないという弊害を生んでいる、という事があげられる。

これでは現在はよくても、軍拡という新しい時代に突入したこれからの東アジアの国際情勢にうまく対応できなくなるのではないかといった懸念がぬぐえない。

 現在の「日本が盾(防御)でアメリカが矛(攻撃)」という”専守防衛”政策では、離島の防衛は自衛隊単独でも対応できるようになっているが、一旦奪われた離島の奪回作戦ではアメリカが主役となる事が前提となっているように思える。

クロフネは同盟国としてのアメリカの信頼性を疑うつもりはないが、アメリカとて独立国なのであるから、日・米の国益の微妙な食い違いから、日本が侵略を受けた場合に、アメリカが中立の立場をとる以上のことはできない事態が発生する事も想定しておかなければならない。

そうなると現在の日本がかかげる”専守防衛”理論が破綻する事は目に見えている。

手かせ足かせをはめられた”盾”だったはずの自衛隊が”矛”となり、単独で離島奪回作戦を決行しなければならなくなると、”矛”としての装備がはじめから不足しているために、本来なら犠牲にならなくてもよい人たちが犠牲になってしまうといった、バカバカしい事態が起こってしまうのである。

 これまでかかげてきた日本の”専守防衛”政策は、

「アジアで侵略をはじめるのは邪悪な日本人以外ありえない。逆に中国人や朝鮮・韓国人は善良だから日本への侵略の可能性を考えなくとも良い」

「だから邪悪な日本人にだけは”刃物”、つまり攻撃的兵器を持たせてはならない。日本人にさえ”刃物”を持たせなければアジアで戦争は起こらない」

という非常に人種差別的な、左翼の歪んだ思想の影響を強く受けてきた。

 しかし北朝鮮による日本人拉致・殺害や中国による日本の海底資源吸い上げといった悲劇が起こるに至っては、まったくの妄想というしかない。

また兵器というものは使い方によって攻撃的にもなるし防御的にもなるものであり、攻撃的か防御的かで兵器を分類して装備するのもナンセンスである。

たとえば、トヨタのランドクルーザーや三菱パジェロなんかを攻撃的兵器という人はいないだろう。

いや、その前に兵器とみる人さえほとんどいないだろうが、こうした四駆の荷台に機関銃を装備した”武装ランクル”や”武装パジェロ”は第三世界のゲリラではおなじみの装備であり、それで陸路国境を超えてそこの村人を襲えば立派な攻撃的兵器である。

逆に、一旦奪われた離島を奪回するには、外国を攻撃する時に必要な兵器と同じ装備が要求される。

そうした”攻撃的兵器”を外国への侵略に使えば攻撃的兵器かもしれないが、一旦奪われた領土を奪回するのに使用すれば防御的兵器となる。


その意味で「防御的兵器さえ軍隊に持たせておけば侵略はおこりっこない」という考え方は、まったくのナンセンスであって、兵器の攻撃的・防御的といった区別にこだわるより、

国を守るために必要な兵器を装備した軍隊を、国民と国民を代表する政治家が完全なコントロール下に置いて、軍隊が暴走して侵略をはじめるようなことがないよう監視する事(シビリアンコントロール)の方が大切なのである。

(航空自衛隊の飛行機の航続距離をわざと短くしたり、海上自衛隊の船をわざと小さくつくるのも同様に無意味)

自衛隊が完全なシビリアンコントロールの元におかれている限り、離島奪回に使用するために攻撃的と言われる兵器を保有しても問題にはならないし、必要とあれば躊躇せずそういった兵器を装備すべきである。

 次に陸・海・空・三自衛隊の予算硬直化の問題だが、

島嶼防衛を考える場合、特に外国の軍隊に一旦占領されてしまった日本の有人・無人の離島を奪回するといった場合、作戦の成功には陸・海・空・三自衛隊の高度な統合運用による密接な連携が欠かせない。 

陸・海・空がバラバラでは、無駄な犠牲を出すだけである。

 政府・防衛庁も次期中期防衛力整備計画で”統合幕僚長”というポストを新設して、陸・海・空一体となった自衛隊の統合運用をめざしているが、

決して良好とはいえない日本の財政を考えれば、かぎられた防衛費を効率的に使うためにも、防衛予算の分野でも陸・海・空の垣根をとっぱらって、近い将来予測される脅威に対処するために必要な装備には柔軟に予算を配分して、削るべきところは思い切ってけずるといった、”防衛予算の統合”も必要である。

陸・海・空がそれぞれ「ウチだけは予算を削られるのはイヤ」と言うのを許していては、効率的かつ有効な防衛力を整備することはできない。

 今回はやや抽象的な話になったが、簡単にまとめると「意味の無い”しばり”をいくつも設定して、離島を防衛しようとしている自衛隊の足を引っ張るのはもうやめましょう」ということ。

次回からは、これからの自衛隊が整備すべき防衛力、削るべき防衛力について具体的に考えていきたい。


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中国に呑み込まれつつあるASEAN

  • 2005/11/04(金) 00:31:28

中国鉄鋼メーカーのタイ進出に地元企業反発

中国車がベトナム市場を席捲?

 東南アジア諸国連合(ASEAN)は中国との自由貿易協定締結をすすめ、中国市場への進出をはかろうとしているが、逆に東南アジアに進出してきた中国企業によって、東南アジア各国の民族資本企業が競争に敗れて駆逐されるおそれが出ている。

クロフネは、ASEANとその加盟各国が対中国戦略を誤ってしまったのではないかという、強い危惧を抱いている。

 1960年代に高度経済成長期にはいった日本、70年代のNIES(台湾・香港・シンガポール・韓国)に続いて、90年代に高度成長期と工業化をむかえたシンガポールを除くASEAN各国だが、同じ新興工業国のライバルとしてまもなく登場したのが中国だった。

97年のアジア通貨危機以降もたつくASEAN各国を、無尽蔵ともいえる安価な労働力で世界からの投資をひきつけた中国は、あっという間に追い越していった。

 政治・経済・軍事の各パワーで、単独では中国にまったく太刀打ちできなくなってしまったASEAN各国は、このような状況に自らの国家戦略の再構築を迫られた。

そうして出てきた答えが、「ASEANと中国との市場統合を推進し、中国の経済的成功をASEANの成功にも結びつけよう」というものだった。

 確かに自由貿易は大切だ。だからといって無制限にそれを拡大していいというものではない。

特に競争力の弱い国々が戦略も持たずに、関税を撤廃し自由貿易を性急に拡大すれば、国内産業が壊滅的打撃を受けてしまう。

ASEANが中国と性急に市場統合をすすめれば、中国の安価な工業製品が洪水のようにASEAN各国に流入して、タイやベトナム・マレーシアなどの民族資本企業に壊滅的打撃を与えてしまうおそれがある。

そうなると、中国企業によって工業に打撃を受けたASEAN各国は、中国の工業のために農産物や天然資源など1次産品や労働力を供給する、従属的地位に押し込められて固定されてしまうのではないかという懸念が出てくる。

ASEAN各国は、「中国とのFTA締結で地場産業が壊滅するのではないか?」という自国の民族資本企業から出てくる、そのような危惧を押さえ込もうと説得しているが、私はASEANの指導者たちの意見よりも、民族資本企業の意見の方が的を得ているように思える。

 やはりASEANと中国は、世界からの投資を誘致する新興工業国としてのライバルであり並び立たないのではないだろうか?

そして、もしライバル同士が市場統合すれば競争力が強い方が工業化に成功し、競争に敗北した方は従属させられてしまうのではないだろうか?

私は日本の大切な友人であるASEAN各国の指導者に、もう一度国家戦略を練り直すよう忠告したい。

 そして日本の首相官邸もホワイトハウスも重大な関心を払わなければならないニュースがこれである。

http://headlines.yahoo.co.jp/
hl?a=20051102-00000025-nna-int


 カムラン湾は南シナ海に面するベトナムの天然の良港で、日本や台湾などのシーレーンが目と鼻の先を通っており、冷戦期にはソビエトがここを租借し軍港を整備していた。

このカムラン湾とウラジオストク、ペトロパブロフスク・カムチャツキーの三大軍港を連携させて、ソビエト海軍が西太平洋におけるアメリカ海軍のパワーを排除しようという狙いだった。

 冷戦終了後、経済的困窮でロシアはそうそうにカムラン湾の軍港を引き払ったが、そのカムラン湾の租借を中国が申し出たという事が事実ならば重大事件である。

これまで中国はミャンマーとは軍事的な協力をすすめていたが、ベトナム・カムラン湾租借が成立すれば中国人民解放軍は本格的に東南アジアへと進出することになる。

中国は中央アジアでアメリカの影響力を排除しようとしているが、いよいよ東南アジアにおいてもアメリカの影響力排除に動き出したと言えよう。

それが成功すれば経済だけではなく軍事の分野でも、中国はASEAN各国を自らの勢力圏・衛星国家にすることが出来る。

もちろんカムラン湾に中国海軍戦闘艦艇を配備しておけば、日本や台湾と武力衝突を起こした場合、シーレーンを切断して日本・台湾の継戦能力に打撃を与える事も可能になるだろう。

 かつてはベトナムも中国に痛手を負わせるだけの軍事力を持っていたのだが、ソビエト崩壊以後、重要な後援者を失ってからはパワーを減退させている。

ベトナムはパラセル(西沙)諸島を武力衝突のすえ中国に奪われ、トンキン湾の海底資源も中国に吸い上げられ、スプラトリー(南沙)諸島でも中国軍に劣勢である。

中国は強大な軍事力で国力の弱い相手を力でねじ伏せ、自分の領土・領海を軍事力で拡張してから、「中国は領土問題を2国間の平和的交渉で解決することを望む」という声明を発表して交渉を始めるという、恥知らずなやり方が得意中の得意だ。

このように2国間交渉に限定することで、国力の弱い東南アジア各国を助けようとする国際社会を排除するといった狡猾なやり方で、フィリピンもベトナムも各個撃破されてしまった。

 主に経済を中心として、これまで伝統的に東南アジアでは日本の影響力が強かった。

97年のアジア通貨危機の際も、日本が珍しくリーダーシップを発揮してASEAN各国を助けようとしたのだが、アメリカの民主党クリントン政権がそれにジェラシーを感じ、日本が進めていたASEAN各国の通貨安定化策を叩き潰してしまった。

クリントン政権は、日本がASEANを支配しアメリカを排除しようとしていると見たようだが、それは重大な誤りではなかったのか。

その時のツケが今になって回ってきているような気がする。

 東京とワシントンは、ベトナムに中国へのカムラン湾の租借を考え直すよう忠告すべきである。

そして日本とアメリカにとって大切な東南アジアの友人が窮地に追い込まれないよう、ASEANとしての対中戦略の見直しを勧めるとともに、経済的・軍事的な助けを与える事が急務である。


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新政権の腕の見せ所となる、日朝交渉再開

  • 2005/11/03(木) 01:17:01

 本日3日から日朝政府間の対話が再開される。日本政府は拉致問題の解決に向けた北朝鮮の対応を求める方針だ。

http://headlines.yahoo.co.jp/
hl?a=20051102-00000108-jij-int


 第3次小泉改造内閣発足後、初の重要な外交交渉となる今回の日朝政府間対話。 さっそく新体制の外交手腕が試されるものとなろう。

そこで日本側として、どういった点に注意して今回の交渉に臨むべきかを考えてみたい。

 その前に、まず北朝鮮が何故日本との交渉に応じるつもりになったかについてだが、北朝鮮の狙いの一つは、近々再開される6カ国協議でアメリカを孤立に追い込み、会議を有利に運ぶための日米分断にあるとクロフネは見ている。

前回の6カ国協議で、北朝鮮から突然愛想よく話し掛けられただけで舞い上がってしまった日本は、中国が提示した「軽水炉による核開発を北朝鮮に認める」という日・米にとって不利な妥結案にうかつにも飛びついてしまい、
結果的にアメリカを孤立させる事になってしまった。

http://gaikoanzenhosyo.blog4.fc2.com/
blog-entry-170.html


これに味をしめた北朝鮮が”2匹目のどじょう”を狙っている可能性は高い。

つまり拉致問題の交渉には応じて日本に協力するフリをみせて、それをエサに日本をおびき寄せてアメリカから引き離してやろうという魂胆である。

「日朝国交正常化(=拉致問題解決)を妨害しているのはアメリカだ。」という、最近突然使い始めた北朝鮮のレトリックがそれを裏付けている。

http://headlines.yahoo.co.jp/
hl?a=20051028-00000008-jij-int


 そして二点目は、やはり「拉致問題はウヤムヤにして日本から賠償金だけをせしめてやりたい。」というこれまでの戦略の継続だろう。

 以上のことをふまえて、日本が交渉に臨む上で注意すべき点を考えてみるが、

まず一点目は、日米連携は絶対に崩してはいけないという事である。

日米が密接に連携しなければ拉致問題の解決のために、北朝鮮に有効に圧力をかけることができなくなってしまうし、北朝鮮が核兵器を保有しつづけるなら拉致問題の解決もまた遠のくだろう。

 第二点目は、交渉の決裂を恐れてはいけないという事だ。

北の狙いは「拉致問題はウヤムヤにして日本から賠償金だけをせしめてやりたい。」というところにあり、過去の清算(=日本による賠償金支払い)問題だけをテーブル上に持ち出して、拉致問題の話題を極力避けようとするだろうが、

交渉の決裂を恐れて日本がそれに乗ってしまうのであれば、そもそも北と交渉する意味が無い。

ある韓国マスコミの報道では、北朝鮮が「日本に渡した”めぐみさんの遺骨”を、日本がニセモノと言いがかりをつけた事を謝罪しろ。そうしなければ交渉再開には応じない」と言っていたらしいが、

それが本当なら「『北朝鮮様が日本と交渉してやる』という事自体をカードとして高く売りつけてやりたい」という意図がミエミエだ。

結局北朝鮮は「北朝鮮様が日本と交渉してやる」という事をエサに、日本からのカネを狙っているが、そんなものは対日カードでもなんでも無いし、日本が得られるものは何も無い。 北朝鮮にカネを渡して会談しただけで終わったのでは、日本が得たものは何も無いのである。

日本人拉致は北朝鮮の国家ぐるみの犯罪であって、無条件で拉致被害者を帰国させ、謝罪をし賠償金を支払うのが道理である。

日本が拉致被害者帰国の見返りに北朝鮮に与えなければならないものなど無い。

 しかも、現在EUなどが中心となって国連で北朝鮮の日本人拉致を非難する決議案を提出しようとする動きがあるなど、国際環境は日本の有利なように動き始めている。

今日本が交渉妥結を焦る理由は何一つ無いのである。

交渉のしょっぱなから日本の要求を最大限ぶつけて思いっきりふっかけてやり、新政権の毅然とした姿勢を見せつけてやれば良いだろう。

さらに北朝鮮は「遺骨がニセモノだというなら返せ」とも言っているが(マヌケな事に自分からニセモノだと認めてしまっている)、これもガラクタを渡して拉致問題の幕引きを図ろうとして日本に見破られるという、北朝鮮外交の失敗の証拠隠滅を企図したものであるのは間違い無い。

である以上、ニセの遺骨は絶対に返還してはならない。

むしろニセの遺骨を出してきて見破られるという北朝鮮の失策を徹底的につくべきであり、北朝鮮の道義のかけらもないようなやり方を国際社会に宣伝して国際世論を日本の味方につけるためにも、ニセの遺骨は日本が保持し、外交カードとして利用すべきである。

「交渉決裂も辞さず」という毅然とした態度をみせてこそ、「北朝鮮様が日本と交渉してやる」という相手方のカードを無力化できるし、もし相手が誠意ある態度をみせず、テーブルを叩いて部屋から出て行くのであれば、以前から言っているように制裁措置発動を躊躇すべきではない。

 そしてジェンキンス氏の証言に出てきたタイ・レバノン・ルーマニアといった、北朝鮮に自国民を拉致された国々などと連携しながら(韓国には期待すべきではない)国際的な北朝鮮包囲網を構築して、出来る限り早く拉致被害者を取り戻さなければならない。

間違っても「北朝鮮様の機嫌を損ねるような事を言ったり、行動したりしたら交渉が決裂してしまう」などと考えて、交渉のしょっぱなで「北朝鮮が渡してくれた遺骨をニセモノと言って悪かった」と言ってみたり、ニセの遺骨を返還してしまったりして、交渉が北朝鮮ペースになるようなことはすべきではない。

そういった日本側の態度こそが、拉致問題の解決を妨害してきたのである。

昨年十一月に平壌で開催された日朝実務者協議でのやりとり、

北朝鮮の鄭泰和・日朝国交正常化担当大使に「我々は日本人拉致を白状しないという選択肢もあった。正直に白状したから国際的に北朝鮮のイメージが傷ついた。(正直に白状したことを)日本は評価しろ。」といった、日本をナメくさった発言をヌケヌケとされて、

こともあろうに「ご発言に感謝する」などと日本側代表が返答してしまうといったマヌケな醜態をさらすのは、もう二度と繰りかえしてはいけない。

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クロフネの防衛力整備計画

  • 2005/11/01(火) 22:35:50

 冷戦の終結によって、欧州では軍縮と地域統合が進行しているがそれとは裏腹に、現在の東アジアは軍拡競争の時代に突入している。

北朝鮮の、日本列島を飛び越え太平洋へ着弾した弾道ミサイル試射や核武装宣言、そして今や”世界最強の独裁国家”となった中国の軍拡。 それらにつられる形での韓国の自主防衛力の強化。

 そうした東アジア諸国から日本への”刺激”に対して、わが日本のこれまでの姿勢はひたすら「日本は中国や北朝鮮、韓国などの隣国を刺激しない」という”呪文”を繰り返すばかりだった。

政府の親アジア派政治家や対アジア外交を担ってきた外務省の関係課局が、これまで唱えてきた”呪文”で魔法でも使えて、日本の安全が守られればよかったのだが、残念ながら現実というものは甘くない。

日本がその間、呪文を唱えた以外何ら有効な手段を講じなかったツケがたたって、軍拡競争時代に突入した東アジア情勢に対して日本は後手後手を踏むばかりとなってしまっている。

そうした日本政府・外務省の失策の総決算というべきものが「北朝鮮の武装工作船侵入と日本人拉致事件」であり「中国の東シナ海の日本の海底資源吸い上げ」である。

そこで決して良好とは言えない日本の財政事情を踏まえながら、軍拡という新たな局面に突入した東アジア情勢のなか、どうしたら日本は効率的かつ有効に自国の安全を保障していけるのかを考えてみたい。

 さて、冷戦期における日本の防衛力は、ソビエト軍が日本に侵攻・占領するのをいかに防ぐかという、ほぼ一点にしぼって整備されてきた。

しかし冷戦の終了後、一国が他国を完全に征服してしまうような大戦争の危険はかなり減少したが、弾道ミサイルや核・毒ガスといった大量破壊兵器の拡散問題、大規模な無差別テロが新たな脅威として浮上した。

さらに、海洋資源の利用をめぐって、離島やそれに付属する海域を奪い合う、局地的な限定戦争の可能性はむしろ以前より高まっている。

 そうした事を念頭において日本がこれから整備しなければならない防衛力を整理すると、

1.A(核)B(細菌などの生物兵器)C(毒ガスなどの化学兵器)兵器とそれを搭載した弾道ミサイル・巡航ミサイルを防ぐ能力

2.北朝鮮特殊部隊を含めたテロ組織による破壊活動防止能力

3.日本の離島とその周辺の領海、さらに排他的経済水域を守る島嶼防衛力


三本柱であり、どれ一つとっても国民の生命・財産を守るためにはあだやおろそかに出来ないものである。

1に関しては巨額の予算を投入してアメリカと共同でMD(ミサイル防衛)計画を推進・実戦配備をする予定であるのでそれを見守る事とする。

(今はこれしか、有効な対抗手段が見当たらないというのもある。 本来なら日本も大量破壊兵器を保有する国への報復能力を保持すれば安上がりで手っ取り早いのであるが、大多数の国民および国際社会の理解が得られないだろうから今は除外する)

2に関しても対テロをみすえた自衛隊と警察との協力なども始まっているので、それに期待することにしたいが、クロフネが大いに不満なのが3番目である。

不満の理由は、現実にそうした脅威が発生して使用にせまられる確率が一番高い防衛力は実は3番目であるにもかかわらず、現日本政府は1・2番目に力点を置きすぎていて、3番目の防衛力整備がおろそかになっているということである。

具体的なケースで考えれば、1・2の防衛力が必要となる事態というのは、北朝鮮が滅亡するかどうかのせっぱつまった状況以外ほぼ有り得ない。

しかし3は、中国が滅亡するかどうか以前に、東シナ海における日中間の偶発的な武力衝突でも必要とされる防衛力である。

どちらが現実のものとなる確率が高いか一目瞭然であろう。

そういった点を踏まえて、防衛力の三本柱の1・2番目はこのまま整備を継続してもらう事にして、3番目つまり日本の離島とその周辺の領海、さらに排他的経済水域を守る島嶼防衛力の整備に的をしぼって、論を進めていきたい。

つづく


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